今の会社を辞めたい、新しい仕事に挑戦したいと考えていても、職務経歴の短さを理由に転職を躊躇する方は多いはず。
「もっと実績を積まないと、転職は難しいのでは?」
「でも、未経験の職種に挑戦するなら、少しでも早く転職した方が良いのかな?」
このように、転職に関して悩みを抱える20代の方は多いでしょう。
一昔前は、「どんな仕事も最低3年は経験するべき」と言われていました。しかし、働き方や労働に対する価値観が変化している今、20代のうちに転職するのは珍しい選択ではありません。特に未経験職種に挑戦する場合、ポテンシャル採用されやすい20代は転職に有利な時期といえます。
一方で、20代の多くは転職経験がなく、求人探しや仕事選びのノウハウもありません。自分の希望する転職を成功させるには、転職エージェントによる専門的な支援を受けることが大切です。
この記事では、20代の未経験転職におすすめの転職エージェントや、仕事選びのポイント、転職の手順、年齢・性別ごとの注意点を網羅的に解説します。20代で転職に悩んでいる方、未経験で転職したい方は、ぜひ参考にしてください。
20代は未経験職種への転職チャンスが大きい!
20代は、他の年代よりも転職する人が多い傾向にあります。
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、20~24歳・25~29歳の転職入職者(いわゆる転職者)の割合は、20歳以上60歳未満の他の年代よりも高いことがわかります。
出典:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」
また、株式会社学情が企業の人事担当者を対象に実施した「中途採用・20代通年採用におけるアンケート調査」では、以下2点が明らかになっています。
・中途採用で「特に20代を採用したい」と回答した企業は6割超
・20代を中途採用する際は、7割弱の企業が「業種/職種経験不問」としていることも明らかに
(引用:株式会社学情「中途採用動向調査2022‐ニーズが高まる20代採用市場に迫る‐(2022年7月 リリース)」
上記より、20代は他の年代よりも転職者が多く、過去の経験を問わない「ポテンシャル枠」として採用する企業が多いことがわかります。
20代は、未経験職種へのチャレンジに最も適した年代といえます。
20代の未経験転職したいなら転職エージェントを活用しよう
20代は未経験での転職が有利である一方、転職ノウハウが少ない時期でもあります。自分一人での転職活動は、時間や手間がかかるだけでなく、自分の望む転職を叶えられない危険性が高いでしょう。転職活動に慣れていない20代こそ、転職エージェントの力を借りることが大切です。
転職エージェントにサポートしてもらうべき理由は、以下3つです。
- キャリアカウンセリングを通じて自分の強みを把握し、仕事選びの基準が明確になる
- プロによる求人紹介を受けられるので、幅広い求人に出会い、転職先の選択肢が広がる
- 応募書類の添削や面接指導などにより、内定確率が上がる
転職エージェントを活用すれば、転職の戦略作りから実際の入社まで一気通貫で支援してくれます。しかも、すべてのサービスが原則無料。闇雲に転職活動を進めるより、プロに伴走してもらう方が効率的かつ効果的です。
今回は、数ある転職エージェントの中でも20代の未経験転職にオススメの企業を3社に厳選してご紹介します。同時に複数のエージェントに登録することも可能なので、ご自身のスタイルに合わせて選択してください。
オススメ1|マイナビAGENT
20代の転職者からの評価が高いのは、株式会社マイナビが運営する「マイナビAGENT」です。マイナビは新卒採用の支援も積極的に行っており、若年層のキャリア支援を強みにしています。
未経験歓迎の求人数 | 3,295件(2023年3月) |
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特徴 | ・2023年 オリコン顧客満足度調査 転職エージェント 第1位 ・業界ごとに専任のアドバイザーがサポート ・転職サイトなどで培った幅広いノウハウあり |
良い点 | ・初めての転職も親身にサポートしてもらえる ・応募書類の書き方を指導してもらえる ・全国の求人に応募できる |
注意点 | ・職務経験がない場合は登録を断られる可能性あり |
初めての転職で不安が大きい方、転職の手順がわからない方、地方にお住まいの方などは、マイナビAGENTがおすすめです。
オススメ2|doda
dodaは、パーソルキャリア株式会社が運営する大手転職エージェントです。エージェントサービスのほか、企業から直接スカウトが届くダイレクト・ソーシングや、転職サイト、転職フェアなど、幅広いサービスを展開しています。
未経験歓迎の求人数 | 6,959件(2023年3月) |
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特徴 | ・登録者の過半数が20代以下 ・転職サイトなどで培った幅広いノウハウあり ・無料の転職支援ツールが豊富 |
良い点 | ・未経験歓迎の求人を多く紹介してもらえる ・サイト登録すれば企業からスカウトをもらえる場合がある ・イベントを活用して転職ノウハウを学べる |
注意点 | ・キャリアカウンセリングまでに時間がかかる場合がある |
「未経験歓迎」を明記している求人に応募したい方、転職イベントでノウハウを学びたい方、フェアやダイレクトサービスで企業と直接つながりたい方は、dodaがおすすめです。
オススメ3|ハタラクティブ
ハタラクティブは、レバレジーズ株式会社が運営する20代や第二新卒などの若年層向け転職エージェントです。職務経歴の短い方、フリーターの方なども幅広く支援しています。
未経験歓迎の求人 | 2,135件 |
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特徴 | ・未経験歓迎の求人が約8割 ・書類通過率96%以上、内定率80%以上 ・大手企業の求人取り扱いが多い |
良い点 | ・職務経験が短くてもしっかりサポートしてもれる ・面談回数が多く親身にサポートしてもらえる ・企業訪問などで得たリアルな情報を提供してもらえる |
注意点 | ・高年収の求人が少ない |
職務経歴が短い方、これまでのキャリアに自信がない方、企業情報に精通したアドバイザーから支援を受けたい方は、ハタラクティブを活用してください。
20代で未経験転職を成功させるまでの5ステップ
次に、20代で未経験転職を成功させるまでの具体的なステップを5つご紹介します。転職活動の開始から内定までの全体像、それぞれのステップにおけるポイントを把握してください。
在職中の方であれば、転職活動に3か月程度を見込んでおくと良いでしょう。
活動スタート | 【ステップ1】転職エージェント登録 |
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~2週間 | 【ステップ2】キャリアの棚卸し 【ステップ3】応募先を選ぶ |
~1か月 | 【ステップ4】書類選考対策 |
~3か月 | 【ステップ5】面接対策 選考→内定へ |
それぞれのステップとポイントを解説します。
ステップ1|転職エージェントに登録する
まずは転職エージェントに登録しましょう。20代の未経験転職なら「マイナビAGENT」「doda」「ハタラクティブ」がおすすめです。
その他にも多数の転職エージェントが存在するため、選び方のポイントをご紹介します。
- 20代や未経験の転職支援実績が豊富
- 自分が挑戦したい業界や職種の転職支援に強い
- 自分が転職活動をする地域の求人を扱っている
- 公開されている求人の条件が希望に近いものが多い
- 応募書類の添削や面接指導を実施している
なお、転職エージェント選びと同じくらい大切なのが、担当のキャリアアドバイザーとの相性です。
馬の合わないアドバイザーが担当になると、活動がスムーズに進まないばかりか、思わぬすれ違いで転職チャンスを見逃す危険性すらあります。
初めは複数の転職エージェントに登録し、自分と相性の良いキャリアアドバイザーを見つけましょう。違和感がある場合は、キャリアアドバイザーの交代を申し出てください。それでも合わないと感じるなら、その転職エージェント自体の登録を解除しましょう。
最初から相性の良い転職エージェント、キャリアアドバイザーを見つけるのは困難です。ぜひ複数社登録して、「この人に転職支援を任せたい」と思えるアドバイザーを見つけてください。
ステップ2|キャリアアドバイザーとキャリアの棚卸しをする
転職エージェントの担当キャリアアドバイザーと面談をし、キャリアの棚卸しをします。
キャリアの棚卸しをする目的は、以下3つです。
- これまでの業務経験から、転職活動でアピールできる強みを見つける
- 今後目指すキャリアのイメージを整理する
- 転職に求める条件を明確にする
20代前半で職務経歴が短い場合などは、人となりや業務に臨む姿勢などから強みを見つけます。20代後半になれば、ビジネスマンとしての基礎的なポータブルスキルをアピールできるよう、整理してください。
キャリアの棚卸しは、自分一人で行うよりも、第三者の助言を得ながら進める方が効率的です。自分では気づかなかった視点を得ることもできます。
転職活動の軸を明確にするため、必ずアドバイザーとキャリアの棚卸しを実施してください。
ステップ3|業界×職種×企業のポイントで応募先を選ぶ
転職活動の軸が決まったら、いよいよ実際に応募する企業を選びます。
「今の仕事が合わないから違う職種に変わりたい」「自分に向いている仕事を探したい」といった漠然としたイメージだけでは、無数にある求人から応募先を選べません。
キャリアの棚卸しで整理した自分の強みやキャリアイメージ、条件面をベースに、求人票を絞り込みましょう。加えて20代の未経験転職で仕事探しをするときは、「業界」「職種」「企業」の3つの軸で探すと効率的です。
未経験でも採用してもらいやすい業界、自分の強みを生かせる職種、人材育成に注力する企業の3つの視点から、以下のように応募先を絞り込みます。
- 採用ニーズの高い物流業界 × 営業経験を生かせる × Off-JTに力を入れている企業
- 人材不足が顕著なホテル業界 × コミュニケーション力を生かせる × 未経験採用の実績が豊富な企業
業界・業種・企業選びのポイントを具体的に解説します。
業界選びのポイント|人手不足で採用ニーズの高い
人手不足が顕著な企業は、未経験でも若くてキャッチアップの早い人材の採用に積極的です。特に以下の業界は、未経験でも応募しやすい傾向にあります。
- 福祉・介護
- 運送・物流
- 宿泊
- 飲食
業界も業種も未経験だと、入社の難易度が上がります。挑戦したい未経験の職種がある方は、未経験歓迎の業界を探すと良いでしょう。
職種選びのポイント|自分の経験や強みを生かせる
未経験の職種にチャレンジする場合、直接的でなくても自分の経験や強みを生かせるものを選ぶと、選考通過率が上がります。転職後に挫折してしまうリスクも減らせるでしょう。
経験・強みを生かした未経験職種への挑戦は、以下のようなパターンです。
- 飲食店の接客業で培ったホスピタリティを武器に、介護士になる
- 保育園での保護者対応の経験を生かして、子育て世代向けの生命保険営業の仕事に就く
- 住宅販売の営業経験をもとに、インテリアコーディネーターを目指す
業界を問わずに生かせるポータブルスキルや、業務で接してきたお客様の分類、扱ってきた商材などから、挑戦する職種を検討してください。
企業選びのポイント|人材育成に注力して働きやすい企業
せっかく未経験で入社しても、仕事についていけない、ブラックすぎて続けられない、となると早期離職してしまうリスクがあります。人材育成に力を入れている企業、労働環境が劣悪でない企業を選びましょう。
人材育成と労働環境の面で、チェックしてほしい企業の特徴は以下の通りです。
【人材育成面】
- 入社後のオリエンテーションや研修がきちんと設けられている
- メンター制度や1on1面談など、個を重視した制度がある
- OJT(業務を通した教育)だけでなくOff-JT(業務から離れた研修)も実施している
制度関係は、会社のwebサイトや求人票などで調べられる場合が多いでしょう。一方で、未経験入社した社員の活躍状況は、キャリアアドバイザーに確認してもらうことをおすすめします。
【労働環境面】
- 平均残業時間が業界水準と比べて多すぎない
- 年間休日数が業界水準と比べて少なすぎない
- 有給休暇の取得率が高い
残業時間や有給取得率などは、求人票に記載されている場合があります。しかし、正式な残業時間と捉えられていない「サービス残業」などの実態は、求人票から把握できません。労働環境の実情も、キャリアアドバイザー経由で確認しましょう。
ステップ4|書類選考対策をする
未経験職種の場合、書類選考を通過できるかが大きな関門になります。直接的にアピールできる経験が少ない中で、「ポテンシャルの高い人材」「当社でも活躍が期待できる人材」と思われる記載が大切です。
応募企業や職種ごとに効果的な書類を提出できるよう、キャリアアドバイザーと事前に相談しましょう。
特に以下の点でアピールすると効果的です。
- 業務から得た気づきや学びを記載する(=ポテンシャルの高さをアピール)
- 交渉力などのポータブルスキルを発揮したエピソードを書く(=汎用性の高さをアピール)
- 取得した資格や現在勉強している分野に関する記述をする=(向上心の高さをアピール)
転職エージェントによっては、キャリアアドバイザーが企業へ推薦文を提出したり、事前に電話などでアピールしてくれたりする場合もあります。キャリアアドバイザーから積極的にプッシュしてもらえるよう、依頼してください。
ステップ5|面接対策をする
20代・未経験OKの求人はポテンシャル採用であるため、人柄を重視する傾向にあります。「成長意欲があり、活躍が期待できる人材」と思ってもらえるよう、面接で好印象を残すことが大切です。
特に多数採用の求人は1回の面接のみで選考結果が決定する場合もあるため、一発勝負だと思って気合を入れてください。
キャリアアドバイザーから面接のイロハを習ったり、模擬面接を受けたりして、徹底的に面接対策をしましょう。
面接時に特に気をつけたいのは、以下の点です。
- 服装や髪型などに清潔感がある
- 挨拶など基本的な社会人マナーが身に着いている
- 大きくはっきりとした声で、自信をもって話す
- 相手の話によく耳を傾ける
- わからないことは素直に「わからない」と伝える
面接官は、求職者の態度から誠実さや素直さ、意欲などを観察しています。これまでの経歴に自信がなくても、今後ますます活躍したいという前向きな姿勢をアピールしましょう。
20代前半・後半の未経験転職でおさせるべきポイント
次に、年齢別の注意点を解説します。
20代前半と後半では、企業が求職者に求めるものが異なります。未経験者を採用する企業側の視点に立って、選考対策を実施しましょう。
20代前半の方|ポテンシャルの高さを見せる
20代前半の未経験募集は、人柄や今後の伸びしろなどを重視するポテンシャル採用がほとんどです。業務経験の多さが問われない代わりに、「これから成長して活躍できるか」が最も問われる内容といえます。
20代前半の方の面接では、以下の点に注意してください。
- 自分と異なる意見にも素直に耳を傾ける姿勢を見せる
- 困難に立ち向かう覚悟を見せる
- 前職や現職に対するネガティブな発言を繰り返さない
新しいことに挑戦する際には、素直さやタフさが必要です。周囲の人や環境を悪くいう他責発言はマイナスに捉えられるので、ポジティブに仕事に臨む姿勢を見せましょう。
20代後半の方|ビジネスマンとしての実績を見せる
20代後半の未経験募集は、ビジネスマンとしての基礎力や一定の実績を求められます。未経験職種への応募だとしても、これまでの経験を応用できる可能性や、ポータブルスキルの高さを見せる必要があります。
20代後半の方の面接では、以下の点に注意してください。
- 業務経験の中で得た学びを「強み」として語る
- コミュニケーション能力や課題解決力など、汎用性の高いポータブルスキルをアピールする
- 自分のキャリアプランをベースに明確な志望動機を伝える
単にポテンシャルが高いだけでなく、すでにビジネスで一定の成果を残したこと、思い付きではなく明確なビジョンの中で未経験転職することをアピールしてください。
20代男性・女性の未経験転職でおさえるべきポイント
次に、男性・女性別で注意すべきポイントをお伝えします。
性別によって転職活動に差が出ることはありません。一方で、今後のキャリアや生活を考えたときに、男女で気にする内容が異なる場合もあります。それぞれの傾向をもとに、ポイントを解説します。
男性の方|キャリアプランを明確にしておく
転職市場において、20代男性の未経験採用ニーズは高い傾向にあります。企業としては、今後長く活躍してくれそうな若い人材を、早めに確保しておきたいという狙いがあります。
未経験の応募でも、複数の内定を獲得できる可能性があるでしょう。「自分が将来どんなふうに働きたいか」のキャリアプランを考えて、入社企業を決定することが大切です。
「なんとなく楽しそうだから」「面接官の雰囲気が良さそうだったから」というあいまいな理由で転職先を決めてしまわないよう、しっかりと転職の基準を決めておきましょう。
女性の方|ライフプランを考慮して転職先を選ぶ
女性のキャリアを考えるうえで、ライフプランの見通しは大切です。今すぐに結婚・出産の予定はなくても、今後自分がどのような生活を送っていきたいか、転職を機に考えておくと良いでしょう。
最近では、性別に関係なく役職者を選出する企業、活躍する女性社員が増えています。将来自分が希望する働き方を想像し、転職先を決定してください。
20代の未経験転職はプロの支援が必須!
20代は、前半・後半ともに未経験で転職できるチャンスが大きくあります。ただし、転職ノウハウや転職市場を把握できていない場合が多く、転職エージェントの支援が成功の鍵です。
労働力人口の減少により、今後も売り手市場が続くと予想されます。転職の選択肢が増える一方で、適切に自分をアピールしたり、転職軸を明確にしたりすることがより重要となります。たくさんの求人を知り、自分の強みや希望を整理したうえで、「業界」「職種」「企業」の3つの軸で、転職先を選んでください。
せっかく未経験転職した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないよう、転職エージェントを活用して企業の実態把握にも努めてください。