転職活動を成功させるために、「自己分析」が重要です。自己分析は、自分にとって適切な転職先を選び、効果的な自己PRで採用確率を上げるために必須の取り組みです。
しかし、自己分析について以下のようにお考えの求職者も多いでしょう。
「自己分析って何をしたら良いかわからない。」
「自己分析をした結果を、どのように転職活動に生かしたら良いの?」
この記事では、転職活動における自己分析の具体的な手法や便利なツール、転職活動を有利に進めるための自己分析の生かし方を解説します。
記事を読みながら手を動かすことで自己分析が完結する流れになっていますので、ぜひいっしょに自己分析を進めていきましょう。
フレームワークで考える3つの自己分析内容と分析ツール
自己分析とは、これまでの職務経験を棚卸して、今後どんなキャリアを歩みたいかを整理することです。自己分析をせずにいきなり転職活動を行うと、莫大にある求人の中から自分に合ったものを選べなかったり、企業に自分の魅力をうまくアピールできなかったりします。
実際に、自己分析を始めてみましょう。
闇雲に過去の経歴を振り返ったり、将来をイメージしてみるよりも、フレームワークを活用して体形的に自己分析する方が効果的です。
自己分析で有用なフレームワーク、「WILL・CAN・MUST」をご紹介します。WILL・CAN・MUSTは、自分がやってみたいこと、できること、やるべきことを整理するためのフレームワークです。
転職活動で自己分析をする際には、CAN→WILL→MUSTの順番での分析をおすすめします。
- CAN...過去の業務経験から、自分ができること、強みを確認する
- WILL…自分のキャリアにおいて将来どうなりたいのか、何を重視するかを言語化する
- MUST…CANを生かしてWILLを叶えるべく、自分が何をすべきかを考える
過去から未来を考え、そのギャップを埋めるために必要なことを理解する流れです。
CAN・WILL・MUSTの詳細と分析におすすめのツールを、それぞれご紹介します。
分析内容1|CAN -自分の強みやスキル
CANは、自分の強みやスキルです。転職活動においては、もともとの自分の性格や思考タイプではなく、業務経験から得た強みをCANとして整理します。
ビジネスにおける「CAN」の例は、以下の通りです。
- 約100名分の給与計算によって身に着けた、正確な事務処理と労務知識
- 新商品の飛び込み営業によって身に着けた、コミュニケーション力や交渉力
- 戸建住宅の設計業務によって身に着けた、ヒアリング力と意匠設計のスキル
上記のように、具体的な業務経験を振り返りながら、得られた強みを整理してください。
即戦力採用の多い中途採用において、CANの言語化は採用成功の第一条件です。「ポテンシャル採用」「人柄重視」といった求人に応募する場合でも、これまでの経験から得られた強みのアピールは必須と考えてください。
強みの見つけ方と面接でのアピール方法については、こちらの記事も参考になります。
CANを見つけるための分析ツール
CANを自己分析する際は、マイナビ転職の自己分析シートの活用がおすすめです。過去の職務経歴の中から自分の強みを見つけ、象徴するエピソードを書き出すことができます。
転職活動においてアピールすべきCANは、もともとの性格や考え方ではなく、「職務経験から身に着けたスキルや学び」です。マイナビ転職の自己分析シートは、職務経歴と強みをリンクした自己分析ができるため、転職活動時の分析に有用といえます。
マイナビ転職の自己分析シートは、無料でダウンロード可能です。シートを活用して、まずは自分のキャリアにおけるCANを見つけてください。
分析内容2|WILL -将来のありたい姿
WILLは、将来自分がどんなキャリアを築きたいか、どんな風に働きたいかといった理想の未来像です。転職活動においては、「業務内容」「働く環境」「条件」の3つの視点で、WILLを整理してください。
ビジネスにおける「WILL」の例は、以下の通りです。
- UXデザイナーのプロフェッショナルになりたい。
- 海外で新規事業をリードしたい。
- 自分が尊敬できる人たちと働きたい。
- 都心の高層ビルで働きたい。
- 年収600万円以上
- 土日祝休み
- 退職金制度がある
3つの視点から自分がキャリアや職場に求めるポイントを洗い出して、優先順位をつけてください。絶対に叶えたい条件を整理することで、企業選びの軸になるほか、志望動機が明確になります。
WILLを見つけるための分析ツール
WILLを自己分析する際は、dodaの自己分析シートの活用がおすすめです。仕事において大事にしている価値観を確認することで、将来自分がどのように働きたいかを整理できます。
また、大事にしたい価値観に優先順位をつけ、上位5つの項目を1つの文章にすれば、自分のありたい姿を言語化できます。文章の抽象度が高い場合は、具体的な名称や数値を追加し、理想の姿の解像度を上げましょう。
dodaの自己分析シートも、Excel形式で無料でダウンロード可能です。自分の仕事に対する価値観を知り、将来のありたい姿を明確にしてください。
分析内容3|MUST -自分がすべきこと
MUSTは、自分のCAN(強み)を生かしてWILL(将来のありたい姿)を達成するために、自分がすべきことです。転職活動の自己分析におけるMUSTを考える際には、業務内容に関連した内容を検討する必要があります。
ビジネスにおける「MUST」の例は、以下の通りです。
「これまでの飲食店での接客経験を生かして、将来は店舗の責任者として活躍できる人材になりたい。そのために、部下マネジメントのスキルを身に着けるほか、これまで苦手意識のあった計数管理の能力を高める必要がある。」
MUSTを明確にすると、自分の目標を達成するために必要な要素が明確になります。また、面接時に効果的にMUSTを伝えれば、転職後の業務の取り組み姿勢や、熱量の高さを示すことも可能です。
CANで即戦力としての強みをアピールし、WILLで将来の活躍イメージを示したうえで、目標達成に向けた具体的な戦略をMUSTで提示します。企業の採用担当者に対し、自分のキャリアを深く分析できる人材、自社においても活躍できる人材だと認識してもらえるでしょう。
MUSTを見つけるための分析ツール
MUSTを自己分析する際は、マンダラチャートの活用がおすすめです。マンダラチャートとは、目標達成に対するサブ目標を8つ設定し、各サブ目標の達成に必要な行動を書き出して、最終的な目標の達成を目指すシートです。
無料でダウンロードできるマンダラチャートのテンプレートとして、bizocean書式テンプレの「目標管理(目標設定)シート」があります。エクセルで簡単に自作することも可能です。
マンダラチャートを作成すれば、自分が取り組むべき行動が明確になり、転職における企業選びの参考にもなります。
転職活動で自己分析をすべき3つの理由
自己分析は、転職活動を進めるうえでまず取り組むべき重要なプロセスです。適切に自己分析をしなければ、自分が望む転職活動を実現できない危険性すらあります。
なぜ自己分析が必要なのか、具体的なメリットを含めて解説します。
理由1|自分の強みを認識して言語化できる
これまでのキャリアの中で、自分がどんな経験を積み、何を学んできたか、即答できますか?おそらく多くの方が、すぐには答えられないでしょう。
日々忙しく働いている多くの社会人にとって、自分のキャリアをゆっくりと振り返る機会は少ないもの。自己分析の時間を設け、過去の経験から得たスキルや学び、身に着けたスキルの整理をすることが大切です。
これまでの職務経験こそが、転職市場で勝ち残っていくための武器です。過去を振り返って自己分析することで、自分が転職活動でアピールできるポイントを言語化できます。
理由2|適切な転職先を選ぶことができる
過去のキャリアを振り返るだけでなく、今後のキャリアを想像することも、自己分析の大切な要素です。将来のキャリアに関する希望を詳しく分析をすれば、応募企業を選ぶ際の指標になります。
理想のキャリア像がないと、「なんとなく雰囲気が良さそうな会社だから」「面接官の対応が良かったから」といったぼんやりとした理由だけで企業を選んでしまう危険性があります。
後悔のない転職活動をするために、将来を見据えた自己分析が必須です。
理由3|応募書類や面接で効果的に自分をアピールできる
しっかりと自己分析をすれば、強みを生かして望みを叶えられる企業を選択できるため、志望動機を明確に伝えられます。
また、応募先企業でどんな貢献ができるかを力強くアピールできるため、「ぜひとも力を貸してほしい人材」という良い印象を与えられるでしょう。
面接官が応募者の志望動機や採用後の活躍をイメージできなければ、選考を通過するのは困難です。企業にとって必要な人材であると認識され、選考をパスするために、自己分析が重要といえます。
自己分析を面接で生かすためのポイント5つ
適切な自己分析は、企業選びの参考になるだけでなく、選考通過率アップの効果も期待できます。しかし、せっかく時間をかけて自己分析をしたものの、どのように面接に生かせばいいかわからず、お悩みの方も多いでしょう。
ここからは、自己分析の結果を面接に生かす方法と、おさえるべき大切なポイントを5つ紹介します。
ポイント1|強みは具体的なエピソードで語る
自己分析で自分の強みが明確になれば、企業に即戦力として良い印象を与えられます。より効果的に強みをアピールするために、裏付けするエピソードとセットで説明してください。
「コミュニケーション力が高い」などの抽象的な言葉だけでは、説得力に欠けるだけでなく、今後の活躍イメージがわきません。職務上の具体的な経験と、そこから得た強みをセットで語れば、十分なアピール効果を発揮できるでしょう。
業務経験から得たスキルとその背景を語り、面接官がスキルの詳細をイメージしやすくなります。具体的な実績を語れば、即戦力としての魅力や今後の期待値の高さも示せるでしょう。
ポイント2|ありたい姿に納得感のあるストーリーを持たせる
中途採用の面接では、将来のキャリアプランを質問されることがよくあります。これまでの経験や強みから今後のキャリプランまでを、納得感のあるストーリーで語ってください。
「個人営業で得たコミュニケーション力が強み。今後はwebマーケティング職を目指したい。」のように前後の関係性が不明瞭だと、聞き手に意図が伝わりません。また、論理的表現力が不足しているようにも見えてしまいます。
未経験職種に挑戦するときほど、CANとWILLのストーリー展開が重要です。自己分析を丁寧に行えば、面接官にとって納得感のあるストーリーで将来の理想像を語ることができます。
ポイント3|志望動機に結び付けて語る
自分の強みや在りたい姿を踏まえたうえで、応募企業にとって納得感のある志望動機を話すことが大切です。WILLを叶えるために、応募企業への転職が自分にとって最適な選択肢であるとアピールしてください。
自分の理想とする将来像に近づくために、応募企業への転職が自然な流れと感じられるように話しましょう。志望動機が鮮明になるため、企業としても、自社で働きたい理由に納得できます。
ポイント4|企業でどんな貢献ができるかを具体的に語る
自分にとって応募企業への転職が有益なだけでなく、企業にとっても採用にメリットがあることをアピールしましょう。自分の現在の強みが募集求人とどのようにマッチし、どんな貢献ができるかを、目標でもいいので語ってください。
自分の強みを生かしてどのように企業に貢献できるか(CAN)、足りない部分をどのように伸ばしていくと考えているか(MUST)を、一連のストーリーとして伝えてください。面接官に入社後の活躍イメージ(WILL)を具体的に持ってもらうことができます。
ポイント5|自信を持って語る
採用面接において最も重要なポイントは、自信をもって話すことです。どんなに魅力的なストーリーで志望動機やPRを語っても、話し手の声が小さかったり、自信がなさそうに見えたりすると、納得感がありません。
このように、言語情報よりも話し方や話し手の様子の方がより大きなインパクトを与えることを、「メラビアンの法則」といいます。企業にとって自分が魅力的な人材であると印象付けられるよう、堂々と話す練習をしておきましょう。
具体的に気をつけたいのは、以下のポイントです。
- 大きな声ではっきりと話す
- 面接官の目を見て話す
- 胸を張って座る
たったこれだけで、聞き手に対する印象を大きく改善できます。せっかく自己分析した内容を面接官にしっかりと届けるために、自信をもって話す練習をしてください。
自己分析がうまくできないときの解決策3選
自分一人では、なかなかうまく自己分析が進まない方もいるでしょう。そんなときにぜひ試してほしい、3つの解決策をご紹介します。
自己分析は、転職活動の軸を見つける大切な作業です。信頼できる第三者の力を借りて、自己分析を進めましょう。
解決策1|同僚に相談する
自分の強み(CAN)が見つけられないときは、仕事を共にした同僚に相談しましょう。自分では気づいていない、第三者の視点から見た強みが見つかります。
同僚に相談する際は、「話しかけやすい」「勤勉」といった抽象的な性格上の長所ではなく、具体的なエピソードに基づくビジネス上の強みを上げてもらいましょう。
ただし現職中の方は、同僚に相談することで退職意向が社内に広まる危険性があります。相談する相手やタイミングは、慎重に検討してください。
また面接で自分の強みを語ることに気恥ずかしさがある方は、「同僚からよく○○と言われます」というように、伝聞調でアピールするのも効果的です。話す内容に客観性が増し、面接官に好意的に受け止められる可能性があります。
解決策2|キャリアコンサルティングを受ける
自分の将来のキャリア像(WILL)をうまく整理できないときは、キャリアコンサルティングがおすすめです。キャリアコンサルティングとは、「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」です。
出典:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
キャリア支援の国家資格である「キャリアコンサルタント」の有資格者より、助言や指導をうけることができます。
厚生労働省の委託事業である「キャリア形成サポートセンター」では、ジョブ・カードを用いたキャリアコンサルティングを無料で提供しています。自己分析の進め方に不安がある方は、ぜひ積極的に活用してください。
解決策3|転職エージェントに相談する
転職活動のプロフェショナルである転職エージェントを活用すれば、自己分析を包括的にサポートしてくれます。これまでの職務経歴の棚卸しや、現在の転職市場でアピールしやすい強み、目指す将来像にあった求人紹介まで、幅広く相談可能です。
転職相談で好評な転職エージェントとして、以下3社がおすすめです。
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いずれも無料で利用できる転職エージェントであるため、積極的に活用してください。
その他にも転職エージェントはたくさんあります。こちらで解説しています。
自己分析をしっかりすれば転職活動の成功率は大幅にアップする!
転職を成功させる最初の一歩として、自己分析は必須の取り組みです。CAN→WILL→MUSTの順でキャリアを深堀りし、効果的に自己分析を進めてください。
しっかりと自己分析すれば、自分に合った転職先を選び、選考を通過する可能性が高まります。転職支援のプロの力を借りながら、自分の強みや今後のキャリアを整理し、納得のいく転職を実現しましょう。