成長企業や若手が活躍する企業を紹介していくこの企画。今回は、クリエイティブ分野に特化した専門スクール事業を行う「株式会社バンタン」をご紹介します。
株式会社バンタンとは?
▲「世界で一番、社会に近いスクールを創る。」をビジョンに掲げるバンタンさんのホームページ
株式会社バンタンは、「世界で一番、社会に近いスクールを創る。」をビジョンに掲げ、クリエイティブ分野に特化した専門スクールを運営する企業です。
18歳以上が通う全日制の専門スクール、社会人や大学生が通う土日・夜間限定のキャリアカレッジ、将来の仕事につながる専門知識やスキルが学べる高等部、大卒資格を取得できる大学部を運営しています。
創業は1965年。日本には「デザイン」という言葉すら浸透していなかった時代に、「バンタンデザイン研究所」として東京・恵比寿に誕生しました。「日本は海外から取り入れたものを市場に流す『製造』はしていても『創造』はしていない。グローバル化が進む時代に本当の意味でデザインする人を育てなければいけない」という想いのもと、若い才能を育てる場をスタートさせました。
ファッション、ヘアメイク、ビューティ、グラフィックデザイン、映画映像、ゲーム、アニメ、パティシエ、カフェ、プログラミング、エンターテインメント領域のクリエイター、インフルエンサー、プロデューサーなどの分野で教育事業を展開。これまでに20万人以上の卒業生を輩出しています。
現在はKADOKAWAグループの一員として、教育事業を展開し、即戦力となる人材の育成と新たな文化の創出を目指しています。
会社名 | 株式会社バンタン |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿西1-31-9 |
事業内容 | ファッション、ヘアメイク、ビューティ、グラフィックデザイン、映画映像、フォト、ゲーム、アニメ、サウンド、パティシエ、カフェ、フードコーディネーター、IT、プログラミング、エンターテインメント領域のクリエイター、インフルエンサー、プロデューサー等を育成するスクール運営事業、卒業生の支援事業等 |
設立 | 1965年4月(バンタンデザイン研究所創立) |
公式ページ | https://vantan.jp/ |
株式会社バンタンでは20~30代が8割以上を占め、進化を続ける事業やスクール運営を若い力が支えています。今回は若手活躍の実際や社内のカルチャーなどについて、人事・総務部の河村さんと坂本さんに伺いました。
企業立のスクールにこだわり58年
▲バンタンさんのスクール卒業式での1枚
編集部
バンタンさんは長らく、さまざまなスクールを運営されています。現在の事業概要について教えてください。
河村さん
株式会社バンタンは1965年に設立されて以来、クリエイティブ分野での専門的な教育機関として長くやってきています。具体的な分野で言いますと、ファッション、デザイン、食、ゲーム、新しいものではプログラミング、動画などの分野があります。このように幅広い分野でクリエイターを育成するスクールを運営しています。
現在は高等部に通う高校生からキャリアカレッジという大人向けのコースに通う大学生や社会人まで、すべて合わせると約7,000人のメンバー(生徒)が東京・大阪・名古屋のバンタンのスクールに通われています。
編集部
世代によっては「ファッションのバンタンさん」というイメージが強いかもしれませんが、それ以外の分野も含め幅広く運営されているのですね。現在、規模が大きいのはどの分野なのでしょうか?
河村さん
生徒数の規模で一番大きいのは、「バンタンゲームアカデミー」という、ゲーム、アニメ、イラスト、eスポーツなどのコンテンツに特化した専門スクールです。ゲームプログラマーやゲームグラフィッカーだけでなく、アニメなど、コンテンツに関わるクリエイター育成を幅広く行っているため、現在はファッションやデザインのスクールを抜いて一番の規模になっています。
編集部
時代のニーズに合わせて変化しているのですね。バンタンさんの教育の特長についても教えてください。
河村さん
特長としては、専門的かつ実践的な教育を行っていることです。教科書の勉強をするというよりは、その業界の最新の情報やツールを使うことでプロを目指すスクールです。
編集部
「世界で一番、社会に近いスクールを創る。」というビジョンのもと、実務経験を身に付けることにこだわっていらっしゃるんですね。企業立のスクールである理由も、このビジョンからでしょうか?
河村さん
はい。私たちはポリシーとして株式会社で事業を行っていまして、学校法人として認可を申請したことすらありません。株式会社だからこそできる自由で、新しく、チャレンジングな部分を強みとしており、新しいスクールの企画、プログラムやコースの構成などに活かしています。
2020年から新規スクールを次々と開校
▲打ち合わせする社員たち。バンタンさんでは新規事業展開が進んでいる
編集部
続いて、バンタンさんの事業成長について伺います。最近のトピックスを教えていただけますか?
河村さん
売上高は2021年度から右肩上がりで成長しています。これは2020年から、新規事業として新しいスクールやエリアの展開を毎年実現できてきたことが背景にあります。
編集部
どのような新規スクールが開校したのでしょうか?
河村さん
2020年開校の「バンタンテックフォードアカデミー」というプログラミングのスクールを皮切りに、その翌年2021年には「バンタンクリエイターアカデミー」という動画クリエイターのスクールを東京に開校しました。
それぞれエリア展開も行い、「バンタンテックフォードアカデミー」は2021年に名古屋校を、2023年に大阪校を開校しています。また、「バンタンクリエイターアカデミー」は2022年に大阪校を開校しました。このように各地で次々とスクールを開校しています。
編集部
スピード感を持って新規事業とエリア展開を同時並行されたことが、成長要因なのですね。
河村さん
クリエイティブやエンターテインメントの世界では、求められる職種やスキルは時代によって変化します。バンタンは、スクールを開校し運営してきた長年のノウハウがあるため、その市場の変化をキャッチして、スピーディに新スクールを開校することができました。事業が成長したことで、組織規模も拡大し、社員数は2019年の段階では200人だったのが、2023年7月現在、300人にまで増えています。
新規スクール展開でさらなる成長を目指す
▲バンタンさんでは近年「バンタンクリエイターアカデミー」など新規開校を進めている
編集部
バンタンさんは近年、新規事業を進めたことで、生徒数も社員数も急増されたことがわかりました。新規スクールやエリアの展開は、どのような戦略で行っているのでしょうか?
河村さん
マーケティングをしっかり行った上で、一つのスクールとして成り立つ見込みが立つか否かを検証しています。エリアの特性も様々ですので、ある地域では美容のスクールはやるけれど動画クリエイターのスクールは開校しない、といった判断もします。
編集部
今後の展開についても教えてください。
河村さん
具体的には、2024年4月には福岡校を開校予定で、「バンタンゲームアカデミー」「バンタンテックフォードアカデミー」「ヴィーナスアカデミー」の生徒募集を開始しています。
また、同じく2024年4月、株式会社KADOKAWAの協力のもと、「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」と「KADOKAWAマンガアカデミー」を東京と大阪で同時に開校します。
■2024年4月開校の「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」「KADOKAWAマンガアカデミー」のホームページはこちら
KADOKAWAアニメ・声優アカデミー
https://school.kadokawa.co.jp/anime/
KADOKAWAマンガアカデミー
https://school.kadokawa.co.jp/manga/
編集部
今後も次々と新規展開が待っているのですね。バンタンさんの長い歴史の中でも今、新しいフェーズにあるのだと感じました。
社員の8割が20~30代。若手企画のコースが開講した例も
▲優秀な営業成績を残した社員を表彰するイベント。若手が多数活躍している
編集部
バンタンさんではスタッフの年齢構成は20~30代が84%を占めており、若手が活躍しているとホームページで拝見しました。実際に若手で活躍している方の例を教えていただけますか?
河村さん
新卒で入社した男性がスクールの新規コースを企画・発案し、役員の承認を取ってコース立ち上げを実現したことがあります。彼自身がブレイクダンスをやっていまして、その経験を活かしてブレイキンのコースを立ち上げたいと、上司のサポートも受けながら、マーケットデータやカリキュラムのたたき台も揃えました。
その後、実際に「バンタンデザイン研究所」というスクールの新規コースとして立ち上がりました。彼はその数年後、このスクールの学生募集をする営業チーフに昇格し、若くして頑張っています。
他にも、20代で中途入社した女性スタッフが発案したフレグランスのコースも、現在、生徒募集中です。若手でも自分の好きなものや得意なものを活かし、コースの企画提案ができたりします。
編集部
自分で提案した企画が実現し、会社の事業として運営されるのは、やりがいが大きいでしょうね。その若手のお2人は企画職だったのでしょうか?
河村さん
いえ、スクールの運営職や営業職でした。
編集部
必ずしも企画の仕事でなくても、そのような提案の機会があるのですね。歴史あるバンタンさんでこのように若手の方が活躍できるのは、企業風土なのでしょうか。
河村さん
そうですね、風土だと思います。バンタンという社名はフランス語で20歳という意味を持つ「vingt ans」という言葉を語源にして生み出されました。20歳というのは若さ、可能性の象徴のような年齢です。
こうした歴史からも、バンタンという会社の根っこには「若い人の力を大切にする」「若い人を抜擢する」という考えがあります。顧客層が若い会社ですので、顧客層と年齢が近く、トレンドもわかる若手が活躍できる場はたくさんあります。
略称禁止、役職者も“さん”付け。独自ルールと文化
▲フラットに意見を出しあえる組織を目指している
編集部
先ほど社員数が4年で1.5倍規模に増えたと伺いました。新しいメンバーが増える中で、バンタンさんのカルチャーはどう変化していますか?
坂本さん
バンタン独自のカルチャーとして「フラット化した組織」や「ホスピタリティ」を大切にしています。例えば、誰もがフラットに意見を出し合える組織を維持するため、役職者は役職でなく「さん付け」で呼ぶことをルールにしています。また、略称禁止というルールもできました。
編集部
略称禁止とは、例えばスクールの名称を略して言うことなどでしょうか?
坂本さん
はい。スクール事業では、学部名やコース名などさまざまな長い名称や用語が存在し、かつてはたくさんの略称を使ってきました。しかし、略称を使っていると、新しく入ってきた方がミーティングに参加しても会話がわからなかったり、略称を1から覚えなければいけなかったり、略称で検索しても資料が見つからなかったりということが起こります。
これは、ホスピタリティが足りないことだ、と私たちは考えます。そこで、現在は、新人や他の部署の人でもすぐに理解ができるよう、社内用語やファイル名において略称を使わないことを徹底しています。
編集部
多くの会社にも独自の略称があり、資料や会話で使われていますよね。略称禁止は小さなルールのようですが、ホスピタリティを尊重する文化の表れであり、組織としてのパフォーマンスを最大化する環境づくりの1つでもあるのですね。
2022年には「働きがいのある会社」に認定された
▲バンタンさんのオフィス。1Fはカフェをイメージした共有スペースとなっている
編集部
働き方の面ではいかがでしょうか?
坂本さん
働き方改革も進め、現在では社員全員にスマートフォン、ノートパソコンを支給し、SlackやAsanaなどのコミュニケーションツールを導入しています。また、部署によってはテレワークも行えます。
編集部
バンタンさんは2022年、従業員の意識調査を行うGreat Place to Work® Institute Japanより「働きがいのある会社」に認定されています。このような働きやすい環境づくりや文化が評価されたのでしょうか?
坂本さん
バンタンでは一人ひとりの個性を尊重し、主体的・自律的に働くことができるよう、環境づくりに努めています。そういったバンタン独自の文化が従業員に評価されたと思っています。
河村さん
これまで、入社した社員に「バンタンは“人”がいい」と言ってもらえることが多くありました。しかし、それを採用などの場面で外部に向けて、形にして伝えることができていませんでした。「働きがいのある会社」に認定されたことで、働く環境や働いている人たちの魅力をわかりやすい形で伝えることができ、嬉しく思っています。
安定的な経営体制のもとチャレンジできる
▲バンタンで働く魅力について語る河村さん(左)と坂本さん
編集部
最後に採用についてお伺いします。この記事を読んでバンタンさんで働くことに興味を持った方に向けて、自社の魅力をお伝えいただけますか?
河村さん
実は私はバンタンには2度入社しています。何度か転職を経て2度入社した私が感じるバンタンの魅力は、「人がいい会社」ということです。信頼できる人たちとまっすぐ仕事に向かえる環境があります。仕事を一生懸命頑張りたい、仕事を一生懸命楽しみたいという人には良い環境・風土です。
また、KADOKAWAグループという安定的な経営体制があり、その上でチャレンジできる環境があります。若い人に適したフィールドだと思います。
編集部
坂本さんからは「こんな人と働きたい」というメッセージをいただけますか?
坂本さん
バンタンにはOJT制度やメンター制度などのさまざまな制度があり、中途入社でも入社早々にキャッチアップできる環境なので、1ヶ月たたないうちに独り立ちできます。また、一人ひとりの裁量が本当に大きい会社です。
ですので、若いうちから裁量を持って働きたい人、20代で幹部を目指したいという成長意欲のある人、自分で何かを立ち上げたいという主体性や積極性のある人と、ぜひ一緒に働きたいなと思います。
編集部
バンタンさんでは、長く続いてきたブランドを守りながら、意欲ある若手の方とともに未来を創っていることが伝わってきました。河村さん、坂本さん、本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社バンタン:https://vantan.jp/
採用ページ:https://vantan.jp/careers/