Supership株式会社は「求めよさらば与えられん」の精神で若手の挑戦を支援する

テクノロジーを活用し、時代をリードする事業を行う企業を紹介する本企画。今回は、デジタルマーケティング支援などを手がけるSupership株式会社にインタビューしました。

Supership株式会社とは

Supership株式会社のオフィス

Supership株式会社は、企業のデジタルマーケティング支援を行う「マーケティングテクノロジー事業」や、企業が持つデータや顧客接点の価値最大化を支援する「データイネーブラー事業」を手がけるデータテクノロジーカンパニーです。

同社はKDDIのグループ会社であり、スタートアップ6社の合併を経て成り立っています。大企業が持つ資金・信用力・アライアンス等のアセットと、スタートアップが持つアイデア・技術・スピードを掛け合わせることで価値を生み出す「ハイブリッドスタートアップ」という唯一無二のコンセプトでビジネスを展開しています。

会社名 Supership株式会社
住所 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー27階
事業内容 デジタルトランスフォーメーション事業(マーケティングテクノロジー事業、データイネーブラー事業)
設立 2007年12月
公式ページ https://supership.jp/

Supership株式会社には、エンジニアや若手社員の育成を後押しするカルチャーがあるほか、ワークライフバランスの実現を推進する取り組みにも力を入れており、月曜の午前中を有給休暇にする制度「Super Happy Monday(スーパーハッピーマンデー)」を導入しています。

今回は、代表取締役副社長COOを務める稲葉真吾さんに、人材育成や社風などについてお話しいただきました。

本日お話を伺った方
Supership株式会社 代表取締役副社長COOの稲葉真吾さん

Supership株式会社
代表取締役副社長COO

稲葉 真吾さん

データとテクノロジーを活用した2つの事業を展開

Supership株式会社の公式サイトに掲載されたグループパーパス
▲Supership株式会社は「ミライリアルの幸せを、デジタルの力で創る。」をパーパスに、データとテクノロジーを活用した2つの事業を行う。(公式サイトから引用)

編集部

まずはじめに、Supershipさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

稲葉さん

弊社は、データとテクノロジーで新たな価値を生み出すことを目指すスタートアップの共創体、Supershipグループの中核企業です。

「ミライリアルの幸せを、デジタルの力で創る。」というグループパーパスのもと、企業のマーケティングを支援する「マーケティングテクノロジー事業」と、企業が持つデータや顧客接点の価値を最大化する「データイネーブラー事業」の2つの事業を展開しています。

編集部

それぞれの事業の特徴についても、教えてください。

稲葉さん

マーケティングテクノロジー事業では、データとアドテクノロジー(※)を活用することによってメディアの広告収益を最大化させたり、広告効果を高める支援をしています。また、親会社であるKDDIのハウスエージェンシーとして、au IDをベースにした広告配信なども行っています。
(※)インターネット広告の配信や最適化に関する技術

ウェブサイトにおけるCookie規制など、プライバシー保護の観点からデータ活用を規制する動きが強まっており、デジタル広告におけるマーケティング手法は過渡期を迎えています。

弊社ではCookieに依存せずプライバシーに配慮した形でパーソナライズされた広告配信を可能にする「次世代のマーケティング」を展開することで、ポストCookie時代においてもクライアント企業様が顧客と最適なコミュニケーションを取り、マーケティング効果を最大化できるようお手伝いしています。

データイネーブラー事業では、ECサイトやスマートフォンアプリ(オンライン)と実店舗など(オフライン)のデータを融合させ、最適な顧客体験や販促効果につなげる支援をしています。

例えば、「PROMOTAG®(プロモタグ®)」というプロダクトは、小売企業などが持つ店舗アプリをデータマーケティングに活用できるアプリにカスタマイズするソフトウェア開発キット(SDK)です。店舗に設置されたセンサーにスマホをかざしてアプリを起動することで、来店スタンプやクーポンなどを受け取れたり、ユーザーの購買行動データに基づいて関連性の高いコンテンツをアプリに表示することができるようになるため、ユーザーの利用拡大や接客の高度化が期待できます。

編集部

変化や技術の進歩が目まぐるしいマーケティングの分野で、時代を捉えたサービスを提供しているのですね。

稲葉さん

時代を捉えたサービスとしてもうひとつ、近年注目が高まっている「リテールメディア」(※)の支援サービス「S4Ads(エスフォーアズ)」も手がけています。
(※)流通・小売事業者が保有するアプリやwebサイトなどの媒体に広告枠を設置し、新たな収益を得る手法

これは、ECサイトを広告媒体化し、ユーザーの検索・行動履歴をもとにサイト内の商品を広告として表示することができるサービスで、ECサイト事業者にとっては、広告収入という新しい利益を生み出すチャンスとなります。

アメリカでは、すでに小売大手のウォルマートがリテールメディア事業で大きな収益を得ており、日本の流通・小売事業者の間でも、自分たちの店舗やECサイト、アプリを広告媒体として活用することへの関心が高まっています。リテールメディア市場においては、まだ圧倒的ナンバーワンのポジションに立つ企業がいないので、弊社としてはこの分野を主戦場のひとつと位置付け、業界をリードするような存在になりたいと考えています。

入社3年目でプロジェクトの中心メンバーに。Supershipの若手育成の秘訣

Supership株式会社の社員3名が会話する様子

編集部

ここからは、若手社員の活躍にフォーカスしてお話を伺います。Supershipさんでは、入社数年で責任ある立場としてプロジェクトを率いるメンバーも多いということですね。

稲葉さん

はい。例えば「プロモタグ®」では、新卒入社3年目の社員が中心的なメンバーとなっており、事業企画の立案などを積極的に行っています。ほかにも、博士課程を修了した新卒社員が2年目にグローバル企業との共同プロジェクトを率い、3年目にはチームのマネージャーに抜擢された例があります。

優秀な若手社員がたくさんおり、そのようなメンバーに活躍の機会を提供するカルチャーもあります。私は現在45歳ですが、若いメンバーの活躍に刺激され「枯れないように頑張ろう」という気分になります。

成長意欲のある社員には、どんどん機会を提供する

Supership株式会社のオフィスで社員らが働く様子

編集部

若手でも遠慮せずに意見を言ったり、手をあげたりできる雰囲気もあるのでしょうか?

稲葉さん

はい。年齢や年次を気にして挑戦を躊躇することがないよう、弊社には年功序列の文化は一切ありません。「求めよさらば与えられん」という言葉のように、成長意欲のある若手にはどんどん責任ある仕事を任せたいと考えています。

編集部

Supershipさんは、「Super 未来志向」、「Super Challenge」、「Super ジブンゴト化」、「Super Honesty」という4つのバリューを掲げています。若手が成長するうえで、バリューの体現も大切だとお考えでしょうか。

稲葉さん

ベースラインとして4つのバリューを体現してもらえたらいいなと思っています。ただ、人は一人ひとり違うので、バリューのなかに得手・不得手があるのは当然で、必ずしも全てを兼ね備えている必要はないと考えています。

例えば、新規事業をひたすら創出できる人も必要ですが、運用の仕事を着実にこなせる人も当然必要です。そう考えた時、後者の人は「Challenge」より「Honesty」の部分が重要になるかもしれないので、そこに光を当ててしっかりと評価します。

編集部

Supershipさんには、それぞれの適性を理解して、良い部分を伸ばそうというカルチャーがあるのですね。

先輩社員によるサポートや研修が成長を支える

Supership株式会社のオフィス

編集部

若手の活躍には、周囲のサポートや教育制度も不可欠だと思いますが、Supershipさんではどのような取り組みを行っていますか?

稲葉さん

まず、弊社には先輩社員が後輩の育成にきちんと向き合うカルチャーがあり、これが若手社員の成長を支えています。

先日10月に行った内定式では、2023年4月に入社した社員が「先輩社員」として、内定者にメッセージを送りました。その内容は「入社した時は何もできなかった自分たちだけど、先輩がしっかり教えてくれた。分からないことは分かるまで付き合ってくれた。」というもので、まさに弊社のカルチャーを表す言葉だと感じました。

編集部

研修をはじめとする人材育成制度についてはいかがですか?

稲葉さん

新卒入社の場合、入社後2ヶ月間の研修があります。ここでは、弊社の役員や事業部長から仕事内容やこれまでの経験談を聞いて自分自身のキャリアについて考えたり、チームで与えられた課題に取り組むことで理論的思考を養ったりしています。

私たちは「人」が全てだと考え、研修を含む人材への投資を惜しまず行いたいと考えています。ただ、大企業とは違い、育成の仕組みが確固たる制度としてしっかりと定まっているわけではありませんし、会社の成長スピードに制度が追いついていない部分もあります。周囲の意見を取り入れて試行錯誤しながら、理想的な人材育成制度を設計していきたいと考えています。

編集部

社員の成長を真剣に考え、今後も積極的に人材育成への取り組みを推進するお考えなのですね。

Supershipのエンジニアはビジネス視点とユーザー視点を踏まえた開発が得意

Supership株式会社のエンジニアが勉強会に参加する様子
▲Supership株式会社は、生成AIなど様々な先端技術をテーマに、エンジニア向けの勉強会を定期的に企画・開催している。

編集部

Supershipさんのエンジニアのお仕事についても、お伺いできますか?

稲葉さん

弊社では、100名あまりがエンジニアとして働いており、社員に占めるエンジニア比率は約30%です。

広告配信事業を展開しているのでアドテクのエンジニアもたくさんいますが、検索システム系のエンジニアリングに強いメンバーも多く、検索エンジンを内製できる珍しい会社でもあります。

編集部

エンジニアの皆さんの特徴があれば教えてください。

稲葉さん

自分たちが作りたいものを作ることよりも、「世の中に必要とされ、収益を生み出せるプロダクト」を作ることを大切に考える人が多いです。言い換えると、独りよがりの“良いもの”を作るのではなく、ビジネス視点を持ちながら世の中のニーズをふまえて提供するものにこそ価値があると考えているメンバーが集まっています。

また、特に若手のエンジニアはよく飲み会に誘ってくれます。お酒を飲みながら、彼らのエンジニアとしての野心を聞くこともあり、頼もしい気分になりますね。

エンジニアの意向に沿ってキャリア形成を支援

Supership株式会社のオフィス

編集部

エンジニアとしてのキャリア形成をサポートするような仕組みはありますか?

稲葉さん

エンジニアには、専門性を高めてスペシャリストになる道と、さまざまな分野を経験しながらマネジメント職を目指す道の2つがあり、弊社では本人の意向を聞きながらキャリア形成を支援しています。

ただ、組織が大きくなるにつれてマネジメントの重要性が高まっていくので、将来的には、スペシャリストを希望する人にマネジメントをお願いするようなケースが出てくるかもしれません。そのような場合には、研修などを通じてマネジメントスキルを身につけてもらえるように会社がしっかりとフォローしたいと思っています。

インターネット企業として子どものICT教育に貢献

Supership株式会社のオフィスで社員らが働く様子

編集部

Supershipさんでは、エンジニアが中心となってICT教育などの社会貢献活動を行っていると伺いました。

稲葉さん

エンジニアチーム主導で、小学校でICTに関する授業を行っています。年に数回、都内の小学校を訪問し、パソコンやインターネットを利用する上でのマナーやモラルについてワークショップを交えながら伝えたり、プログラミングの方法について授業をしています。

編集部

そのような活動を行う理由は何でしょうか?

稲葉さん

始めたきっかけは、東京都教育委員会が掲げる「デジタルを活用した学習の推進」に賛同し、プロジェクトの一員としてSupershipグループが参加したことです。

収益になるわけではありませんし、商談につながるわけでもありませんが、インターネットを通じて人々の生活や暮らしを豊かにするビジネスを展開する企業として、将来を担う子どもたちのICT教育をサポートすることの重要性を感じています。

編集部

教育の現場が抱えるICTの課題は多岐に渡るので、先生や児童との交流を通じてSupershipさんの事業に活かせそうなヒントにも出会えそうですね。

企業理解を深めるためのエンジニア向けインターンを開催

Supership株式会社のオフィス

編集部

Supershipさんが実施するインターンシップについてもご紹介いただけますか?

稲葉さん

弊社では、エンジニア経験を積める10日間の就業型インターンシップ「テックサマーインターンシップ」を実施しており、広告配信を経験する「広告コース」と、検索サジェストシステムの作成などを経験する「検索コース」の2つのコースから選ぶことができます。

編集部

どのような学生さんが参加していますか?

稲葉さん

ビッグデータを扱いたい学生や、技術志向の高い学生に毎年たくさん参加してもらっています。

インターンをきっかけに入社を決めてくれた人もいるので、今後も弊社のことを深く理解してもらう良い機会として、積極的に実施したいと考えています。

編集部

Supershipのエンジニアさんにはビジネス視点を持ち合わせた人が多いというお話だったので、インターンシップに参加する学生は技術はもちろん、ユーザー視点に立った価値あるプロダクト開発についても学べそうですね。

オープンなカルチャーのSupership。月曜午前を有給にできる独自制度も

Supership株式会社の社員が集合する様子
▲Supership株式会社では、オフィスとリモートのハイブリッド形式でのイベント開催が定着している。写真は、社内向けの経営方針説明会。

編集部

Supershipさんの社内の雰囲気についても、教えてください。

稲葉さん

弊社は、とてもオープンな会社です。オフィス内もフリーアドレスなので、私は大抵入口付近の席に座って、何か話したいことがあればいつでも気軽に来てもらえるようにしています。

創業してから一貫して、社員には何でも開示するというスタンスなので、売上や利益など経営に関わる数字も社員にメールや月次のグループ朝会で共有しており、全員が会社の経営状況を把握しています。

「Super Happy Monday(スーパーハッピーマンデー)」で働きやすさや生産性を促進

Supership株式会社のオフィス

編集部

働き方への取り組みとして、特徴的なものはありますか?

稲葉さん

ワークライフバランスや働きやすさの実現を目指し、月曜日の午前中に有給の特別休暇を取得できる「Super Happy Monday(スーパーハッピーマンデー)」を導入しています。

週明けの仕事をゆっくり開始することで週末を一層満喫することができ、結果的に業務効率化や生産性の向上などにもつながると考え、2018年11月から正式導入しています。

編集部

思い切った取り組みだと思いますが、導入にあたって不安はありませんでしたか?

稲葉さん

「こんな制度があったらいいんじゃないか」という思いつきから始まった制度でしたが、3ヶ月間の試験導入を通じてどのような変化があったのかをデータドリブンで検証したうえで正式導入を決めたので、不安はありませんでした。

編集部

データからは、どのようなことが見えたのでしょうか?

稲葉さん

例えば、月曜日の労働時間が短縮してもほかの曜日の労働時間が増えることはなく、労働時間の削減が期待できることが明らかになったほか、制度の導入が売上に影響を与えないことも確認できました。

また、社員へのアンケート調査で、ほとんどの人がSuper Happy Mondayによる業務上の不都合を感じていないことも分かりました。

編集部

プラスの効果が大きいことがデータで裏付けられたので、正式な制度として導入することを決めたのですね。

稲葉さん

はい。働き方に関する制度は、時代の変化に合わせて柔軟に変えていくべきだと思っているので、今後も必要に応じて見直しや新しい取り組みを考えていきたいです。

3,000万のデータをどう活用する?アイデアを持っている人を歓迎!

Supership株式会社 代表取締役副社長COOの稲葉真吾さん
▲稲葉さんは、Supershipが求めるのはデータ活用のアイデアを持つ人だと話す。

編集部

Supershipさんのカルチャーやお仕事にフィットするのは、どのような人でしょうか?

稲葉さん

弊社の大きな特徴は、KDDIという大手キャリアを親会社に持つ「ハイブリッドスタートアップ」として、普通のスタートアップと異なる戦い方ができる点にあります。

そのため、0から1を生み出すことも大切ですが、親会社が持つ約3,000万のユーザーデータというアセットをビジネスに活用するためのアイデアやセンスを持ち合わせていることも同じくらい重視しています。

このような思考が得意な方にとって、弊社での仕事はとても楽しいものだと思うので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

編集部

スタートアップならではのスピード感やチャレンジ精神と、大手企業のグループ会社としてのデータアセットや信頼性を持ち合わせたSupershipさん。ハイブリッドスタートアップの強みを活かし、社会にインパクトをもたらすような大きなことに挑戦できそうだと感じました。

本日は、ありがとうございました。

■取材協力
Supership株式会社:https://supership.jp/
採用ページ:https://supership.jp/recruit/