5,000人超のエンジニアを育成。セラクが人への投資を惜しまない理由

注目企業の躍進の秘密と成長を支えるカルチャーを探る本企画。今回は、「持続可能な社会の実現に貢献する」を経営ビジョンに掲げ、幅広いITソリューションで500社を超える企業の課題解決をサポートする株式会社セラクさんを取材しました。

株式会社セラクとは

株式会社セラクのオフィス入り口

株式会社セラクは1987年に設立し、2016年に上場を果たしたIT企業です。創業以来、常に最先端のIT技術を取り入れたサービスを開発し、ITインフラやクラウドサービス、WEBマーケティングやIoTプラットフォーム、ITを活用した農業など、その業務領域を拡大し続けています。

また、「IT技術教育によりビジネスを創造し、社会の発展に貢献する」という経営方針のもと、人材育成に積極的に投資し、それが成長力となって設立以来35期連続黒字(2022年8月決算)という安定経営を実現しています。

会社名 株式会社セラク
住所 東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア6階
事業内容 IoTプラットフォーム、インフラ、WEB、アプリなど、総合的なITソリューションの提供
設立 1987年12月
公式ページ https://www.seraku.co.jp/
働き方 リモート(ハイブリッド勤務含む)

今回、お話を聞かせてくださったのは、経営戦略室室長の清水宏樹さんと、執行役員で人材・組織開発室の米谷信吾さんです。「教育型IT人材創出企業」を掲げるセラクさんが誇る育成システムについて伺ったほか、女性が活躍している背景、求める人物像などについてもお聞かせいただきました。

本日お話を伺った方
株式会社セラクの経営戦略室室長の清水宏樹さん

株式会社セラク
経営戦略室室長

清水宏樹さん

株式会社セラクの人材・組織開発室の米谷信吾さん

株式会社セラク
人材・組織開発室

米谷信吾さん

幅広い領域で企業のIT化をサポートし、35期連続黒字を実現

株式会社セラクの事業領域を示した図
▲セラクさんはWebマーケティングからITインフラ、IoTプラットフォームなどさまざまな領域でサービスを展開(公式サイトから引用)

編集部

まずは、セラクさんの事業内容をお伺いしてもよろしいでしょうか?

清水さん

当社はIT領域でさまざまなサービスを提供している会社です。現在、弊社には3,000人以上のエンジニアがおり、500社以上の企業のITパートナーとして長期的に貢献しています。

その領域は、ITのインフラ運用やビジネスソリューションの提供、DXコンサルティングによる業務効率化支援、農業ITサービスなど多岐にわたっています。

編集部

IT領域でサービスを展開する企業がたくさんある中で、セラクさんならではの強みや特徴を教えていただけますか?

清水さん

弊社の強みは、ITインフラの中でも常に最先端の、未来に新しい価値をもたらす領域へ積極展開し続けていることです。

たとえば、2022年夏に設立した事業子会社「セラクCCC」は、クラウドシステムの運用・定着化支援を行う会社です。セラクCCCの設立も、今後ニーズが高まるDX化に対して貢献していくという事業戦略があってのことです。

編集部

今、お話に出た子会社のセラクCCCさんは、Salesforce社認定のコンサルティングパートナーですよね?

清水さん

そうです。セラクCCCの事業はSalesforce社の各種製品の定着支援が中心ですが、それだけではありません。この先、クラウドシステムを活用して成果を出すことが当たり前の社会になることは確実です。しかし現状では、使いはじめても定着しない、あるいは使いこなせずにやめてしまう企業が少なくないんです。

ただ単に、システムを構築するだけではなくて、企業活動で役に立つよう定着運用の支援をしていく。ここが一般のシステム開発会社さんと我々の異なるところです。そのため、すでにSalesforce社に続くそのほかのクラウドプラットフォームのシステム構築にも着手しています。

編集部

時代を先取りした事業をいち早く展開しているからこそ、セラクさんは企業として成長を続けておられるのですね。

清水さん

おかげさまで、私たちは設立以来35期連続黒字を実現し、毎年15%〜20%の事業拡大を続けています。安定的なビジネスを展開できていますが、これに満足することなく、5年後には売上高500億円の実現を目指しています。

「現場での活躍」を目的にした研修で、未経験者も急速に育つ

ソファに座りながら談笑する株式会社セラクの社員

編集部

セラクさんでは、若手の方が活躍されていると伺いましたが、社員の年齢構成はどのようになっているのでしょうか?

清水さん

弊社の平均年齢は30.3歳で、20代が60%です。IT人材を未経験から育成し、技術スキルに見合ったプロジェクトにアサインして活躍の場を提供し、同時に社会のIT人材不足解消にも貢献していくというのが弊社の事業の特徴です。

未経験で入社した若い世代の社員でも、スキルを身につけてキャリアアップをしていく人はたくさんいて、3年以内に役職についた者は17%ほどになります。

編集部

未経験の方が、IT業界で活躍するまで成長されるのは簡単でないように思うのですが、セラクさんではどのような研修を行っているのでしょうか?

米谷さん

未経験の方にはまず、初期段階でテクニカルな部分を覚えていただきます。社内の研修ルーム「Tech Lab」では座学だけではなくて、実際の機械やクラウドの基盤を使ったり、サービス提供先のルールや要望などの環境を再現したりして、トラブル対応などの実践的な研修を行っています。

編集部

たとえば、セラクさんではまったくの未経験で入社した方ですと、最初の研修期間はどれくらいになるのでしょうか?

米谷さん

だいたい1.5か月間から3か月ですね。たとえば、ITインフラはネットワークやサーバー、セキュリティの構築・運用、保守に関するスキルが必要ですが、そういった現場の中でも、比較的手順ががっちり決まっている場合があります。そのような現場で求められるのは、手順をこなす基礎知識プラス、正確にこなしていく力です。その場合でしたら、1.5か月ぐらいの研修期間で対応できるようになります。

編集部

3か月の研修期間が必要となるのは、どのような現場になるのでしょうか。

米谷さん

先ほど少し話題に出ました、クラウドサービスの運用支援などは高い技術レベルが求められるので、研修期間は3か月ほどになります。ただ、研修を終えて現場に配属された段階で、求められるスキルを完璧に身につけているかというと、そんなことはありません。

未経験の方がいきなり1人でお客様と交渉してものを作り上げるというのは、相当なレアケースです。我々がお客様から請け負っている案件を担当しているチームに加わり、先輩社員のもとで業務をスタートさせるというのがほとんどで、OJT的に覚えていく要素も大きいですね。

編集部

研修の期間中に必要な基礎知識を習得して、OJTで力をつけていくというカリキュラムができているのですね。

清水さん

そうした育成のノウハウが、我々の強みです。我々はこれまでに延べ5,000名以上のエンジニアを育成してきました。そして、1.5か月〜3か月で案件にアサインされ活躍できているという実績があります。

なぜそれが可能なのかというと、いくつか要素があるのですが、一つは「画一的なスキルを身につける」ことを目的とするのではなく、あくまで「案件に入ってからの活躍」を目的に教育しているという点です。

そして、その人それぞれを見て、レベルにあった業務を割り当てていきます。お客様が求めることに対し、我々は技術力だけでなく、営業面や管理面も合わせた「総合力」を発揮して、サービスを提供することが重要です。

未経験の人間であったとしても、大きなプロジェクトの中でできることはあるものです。その人に合ったレベルの業務をちゃんとプロジェクトの中で割り当てていることで、無理のないキャリアを積むことができるのです。

1on1でキャリアを支援。それぞれが自分らしく活躍できる業務や領域を用意

株式会社セラクの人材・組織開発室の米谷さんと女性社員が話しているようす

編集部

セラクさんでは、エンジニアへのサポートはどのようにされているのでしょうか?

米谷さん

1on1などを通じて、上司と直接、話す機会を設けています。他方で、事業規模が大きくなってきたので、社員のスキルの可視化についてはタレントマネジメントシステム(※)などを活用しています。
(※)タレントマネジメントシステム:社員の情報を集約化し一元的に管理することで、組織開発などに役立てるためのシステム。

編集部

1on1はどのくらいの頻度で行ってらっしゃるのでしょうか?また、そのテーマについても教えていただけますか?

米谷さん

部門や対象となるエンジニアのキャリアによって頻度は変えているので、一概には言えませんが、少ない頻度の場合でも四半期に一度、多い部門では隔週で1on1を行っています。話すテーマは、今どういうポジションで、目指すキャリアの実現のためには今後どうするかといった中長期視点もあれば、目先の業務での課題や解決法など細かいテーマの場合もあります。

また、1on1は人間同士のつながりを作る場でもあります。無理強いはしませんが、ビジネスの話だけではなくてプライベートの話もするよう心がけてはいます。

編集部

研修システムや細やかなアサイン、人間関係の構築などで、社員の無理のない成長が促されているのですね。

米谷さん

そうですね。成長や活躍への志向が強い方がいれば、一方で、安定して堅実に働くことを求める方もいます。専門的な技術スキルを極めたい人がいれば、幅広く豊富なスキルを持ちたいという人もいますし、マネジメントや経営に関心がある人もいます。いろんなタイプの方がいるので、その人それぞれが自分らしく活躍できる業務や領域を用意し、対応するよう心がけています。

編集部

そのほか、社員のキャリアや成長をサポートする制度はありますか?

米谷さん

勉強会やイベントは頻繁に開催されています。たとえば、「セラク情熱大学」と名づけた勉強会は、人事担当者だけではなく、実際に現場に出ている先輩エンジニアや外部の方を講師に招いたりもしています。最先端のテクニカルスキルを純粋な技術としてシェアしていく場になっています。

清水さん

そのほか、資格取得バックアップ制度を設け、社内で認定した360種類以上の資格に対して費用負担や報奨金を支給するといった制度もあります。

編集部

セラクさんは社員が常に上を目指して成長し続ける仕組みを、会社として提供されているのですね。

社員の8割が未経験でのスタート。互いに共感できるからこそ、会社が居場所になる

カウンターやソファなどが並ぶ株式会社セラクのオフィス

編集部

未経験の若手が活躍できるのは、サポート体制だけではなく、セラクさんの社風も関係しているのではないでしょうか?

清水さん

それは大きいですね。弊社は現在、3,500人ほどの社員がいるのですが、少なく見積もっても8割以上が未経験からスタートしています。未経験者がマイノリティの世界ではないので、共感の度合いが高いんです。

受け入れる側の社員は、シンプルに未経験で入ってきた人の気持ちがわかります。また、キャリアをスタートする人にとっては、ほとんどの人が自分と同じような境遇だったわけですから、未来の自分がイメージしやすいわけです。

実際、上司に相談をすると、自分の実体験に基づくアドバイスが返ってきます。組織全体が若手・未経験者を受け入れる環境になっているんです。

編集部

初めてで何もできない自分を理解してもらえたら、そこで心が折れずに済みますし、活躍している先輩を見たら「頑張ろう!」という気持ちにもなりますね。

清水さん

カルチャー的なことで言うと、当社の代表である宮崎龍己は、技術力はもちろんですが、「社会人としての人間的な力」をとても大切にしています。

世のITエンジニアの世界では、技術力がすべてであって、人間性とかビジネススキルは二の次、というところもあるかもしれません。しかし、当社はそうではないんです。人間力も重視しています。それが社員にとって、「会社が自分の居場所」と感じられる要因の一つになっているのだと思います。

編集部

セラクさんでは、制度だけでなく、成長を見守るカルチャーがあるからこそ若い未経験の方も活躍できるのですね。

高い育休復帰率。身につけたスキルが働き方の選択肢を広げる

ミーティングをしている株式会社セラクの社員

編集部

エンジニア職だと現場に行かなくてはならず、出産や育児との両立は難しいように思うのですが、セラクさんでは、どのように対応されているのでしょうか?

清水さん

弊社では産休と育休の取得率が100%で、復帰率は96%です。このような数字を達成できているのは、プロジェクトの選択を含めて自由度の高い働き方が実現できているからだと思います。

ITエンジニアは基本的にお客様のプロジェクトに従事する立場ですから、基本的にはチーム単位でお客様と一緒にお仕事をします。しかし、さまざまなプロジェクトがあって、出勤が前提となるものがあれば、8割〜9割がリモートで完結するプロジェクトもあるんです。

米谷さん

育児などで勤務時間に制限がある方は、比較的自由が利きやすい、柔軟な働き方ができるポジションにアサインすることで両立ができるわけです。

編集部

セラクさんは事業規模が大きく、さまざまな条件の案件があるため、働く人に応じたプロジェクトに振り分けることができるのですね。ただ、出産・育児休暇から復帰したときに自分が通用するのか、不安を抱く方も多いと聞きます。

清水さん

人生の中で、育児や介護などで自分のキャリアを制限せざるをえない時期はあります。しかし、エンジニアとして確かなスキルと経験を積んでおけば、働き方に制約をかけなくてはいけない状況になったときでも選択肢を広げておくことができます。

長い人生を考えたとき、準備段階からキャリアアップ、スキルアップを意識しておくことはとても重要で、これについては入社時の早い段階から伝え、指導しています。そして、それを前提に福利厚生を整備し、教育プログラムを提供しているので、どんな状況になっても自分の希望の働き方が選べるのです。

たとえば、産休や育休に入る人がいたとき、復帰後にリモートで勤務できるよう、休みの期間を使って新しいスキルを学んでもらうこともできます。もちろん、大変なのは承知していますので、義務として課すわけではありません。本人の希望があればですが、学びの機会を会社として提供しているのです。

「ベビーシッター制度」で年間最大60万円を補助

編集部

そのほか、セラクさんでは女性の両立支援に関する制度はありますか?

清水さん

育児のための勤務時間制限や所定外労働の免除、時短勤務などは当然あります。

あと、特徴的なものを挙げるとすると「ベビーシッター制度」でしょうか。ベビーシッターの加盟会社を利用する際、割引券を利用することができるんです。月や年による上限はありますが、児童一人当たり年間で最大60万円超の補助を受けることができます。

米谷さん

直接的な女性支援ではありませんが、「カフェテリアプラン」という商品やサービスが受けられる制度もあります。社員全員に、1年に一度カフェテリアポイントを付与し、それを使って日用品や健康食品を購入したり、旅行時の宿泊費に充てたりすることができます。

編集部

柔軟な働き方ができるほか、スキルアップを後押ししてくれること、そして現実的なサポート制度もあるというわけですね。セラクさんでは、さまざまな角度から社員をサポートされていることがわかりました。

元お笑い芸人の支社長も!採用で重視するのは社会人としての「経験」

ミーティングブースやソファが並ぶ株式会社セラクのオフィス

編集部

セラクさんでは採用時に、どのような点を重視されているのですか?

清水さん

ここまでお話ししてきたように、IT業界での経験は問いません。むしろ、社会人としてどういう経験をしてきたのか、どういう強みを持っているのかを重点的に見させていただいています。たとえば、飲食店で働いてきて、高いコミュニケーション能力やホスピタリティを身につけていたら、それは弊社の仕事でもおおいに役立つものです。

実際、パチンコ店のホールスタッフや電気工事など、IT業界とは無関係なところでキャリアを積み、そこでの経験が花開いて活躍している人は、弊社にはたくさんいます。

米谷さん

大阪支社の支社長も未経験での入社で、前職はお笑い芸人です。テクニカルなことについては、入社してから身につけることができます。採用にあたっては若くて学習意欲が高く、コミュニケーション能力があることをベースに、ビジネスパーソンとしての経験を評価させていただいています。

編集部

入社後の評価も、ビジネスパーソンとしての経験が関係するのでしょうか。

清水さん

評価についても、IT技術が高ければ上のポジションにいけるということはありません。むしろ、それ以外の力を発揮していただくことを期待しています。

いい仕事をしていくためには、ITの力は絶対に必要です。もちろん、ITスキルは身につけていただきますが、もともと持っていたビジネス経験や能力のほうが、弊社で活躍するための源になるはずです。

会社と社員、社会が「ともに良くなる」ことに共感できる方を歓迎

株式会社セラクの人材・組織開発室の米谷信吾さん

編集部

最後に、セラクさんに興味をもった方にメッセージをいただければと思います。

清水さん

デジタル化していく未来に対して貢献できる会社、それがセラクです。少し上からの言い方になりますが、これまでまったく異なるビジネス領域で頑張ってきた方が、伸び盛りであるIT業界で活躍したいというとき、我々はその環境を提供することができます。

当社はITの技術力、ビジネス力、人間力など、「人の力」を高めて社会に貢献するための投資は惜しみません。その投資は人に対するものなので、すぐに結果が出るわけではないし、人が辞めてしまうと無駄になってしまいます。

しかし、それでもセラクが人への投資を続けられるのは、IT技術者として高いスキルとキャリアを積む人がいて、会社が利益を上げられているからです。つまり、会社だけが成功することはないし、ITエンジニアだけが成功するということもない、ということです。会社と社員、必ず、互いに貢献し合って成り立つわけで、それができて初めて、我々は社会の課題に対して貢献ができると考えています。

毎年成長している弊社には、前職や経験、学歴、性別など関係なく、フラットに活躍できるチャンスがあります。ITの業界の中で長期的に活躍をしていきたいという方、しっかり一つの会社の中でキャリアを積んでいきたという方に来ていただきたいです。

米谷さん

セラクには社員が守るべき「社員心得」の一つに「ともに良くなる」というものがあります。お客様とともに良くなる、会社と社員がともに良くなることで、社会に貢献できるという考え方です。そして、「ともに良くなっていく」ということを実現するためには、これも社員心得にあるのですが、誠実さが必要です。

誠実な言動、誠実な仕事が人を成長させます。「誠実」で「ともに良くなる」というところに共感いただける方に入社いただきたいと思います。

編集部

セラクさんの成長の大きな要因は、人への投資にあることがよくわかりました。この先、IT人材の不足が懸念される中、セラクさんの果たす役割はさらに大きくなるだろうと感じました。本日はどうもありがとうございました。

■取材協力
株式会社セラク:https://www.seraku.co.jp
採用ページ:https://www.seraku.co.jp/recruit_seraku/