社会福祉法人みずほ厚生センターが取り組む「働きやすい環境づくり」と情熱ある仕事

従業員の働きやすさを重視した魅力的な制度を取り入れる企業や団体を紹介する本企画。今回は、大分県臼杵市に高齢者施設や障害者支援施設、放課後児童デイサービスなどを展開する社会福祉法人みずほ厚生センターにインタビューしました。

地域や時代のニーズに柔軟に応える社会福祉法人みずほ厚生センター

昭和40年2月に法人として設立された社会福祉法人みずほ厚生センターは、障害を持つお子さん向けの入所施設から事業をスタートしました。

施設利用者の方々が年齢を重ねるにつれて、成人した方を受け入れる施設や一般就労、就労訓練関連の事業所の必要性が高まりサービスを拡大。年月を追うごとに変化するニーズに対応し、現在は高齢者施設の運営も担います。

会社名 社会福祉法人みずほ厚生センター
住所 大分県臼杵市大字江無田1119-5
事業内容 ・高齢者介護事業
・障がい者支援事業
・こどもデイサービス
・相談・介護保険・訪問事業
設立 昭和40年2月
公式ページ https://www.mizuhokousei.
com/
働き方 短時間正規員制度
フレックスタイム勤務

社会福祉法人みずほ厚生センターでは"職員の幸せが高いパフォーマンスにつながる"という考えのもと働きやすい環境を整えています。たとえば育児休暇の取得率は約98%(男性を含む)で、復帰率は100%を目指しており、ライフワークバランスや女性の活躍を重視した制度が充実しています。

今回は法人本部事務局長の髙橋智秀さんに、働きやすさを支える社会福祉法人みずほ厚生センターならではの制度や取り組みをお話しいただきました。

本日お話を伺った方
社会福祉法人みずほ厚生センターにて法人本部事務局長を務める髙橋智秀さん

社会福祉法人みずほ厚生センター
法人本部 事務局長

髙橋 智秀さん

「施設利用者の意思の尊重」を念頭においた介護・福祉サービスを提供

社会福祉法人みずほ厚生センターが運営する通所介護施設「輝デイサービス」の内観

編集部

まず最初に、みずほ厚生センターさんの法人理念について詳しくお聞かせください。どのような想いで施設を運営されているのでしょうか。

髙橋さん

当法人の理念は、"一人ひとりの尊厳を守り「共育・共生」の地域づくりに貢献"というものです。"統一的・画一的な管理のしやすい業務は行いません"という言葉を掲げ、施設利用者の方々の個性を重んじ、意思の尊重を念頭に置いた介護・福祉サービスを提供しているのが特徴です。

日々の過ごし方も、決まったスケジュールにただ従っていただくのではなく、利用者様一人ひとりの意思や考えを反映した対応ができるチームを目指しています。

編集部

すごく素敵なお考えですね。御法人では利用者様の意思を大切にされているとのことで、より具体的なエピソードなどがあればお聞かせください。

髙橋さん

たとえば障害者支援施設では1年に1回旅行に行きますが、皆さん行きたい場所がそれぞれ違うんですよね。そこで10年ほど前から参加者それぞれの希望を聞き、要望に合わせて旅行を計画、実施する方法をとるようになりました。2023年度は10グループに分かれて旅行しています。

社会福祉法人みずほ厚生センターが運営する障害者支援施設「聖心園」のUSJ旅行
▲障害者支援施設「聖心園」では旅先にUSJを選んだグループも。利用者様のイキイキとしたご様子が伝わる

編集部

すごいですね。やりたいと思っても簡単に実行できることではないと思います!

髙橋さん

グループに分かれると2~3回は引率することになり、職員の負担は大きくなります。しかし利用者の方々にとても楽しんでいただけておりますので、働きがいというか、やりがいは大きいものです。

短時間正規員制度やフレックスタイム勤務でワークライフバランスに配慮

編集部

ここからは働き方についてお伺いします。みずほ厚生センターさんでは、職員の方々が暮らしやニーズに応じてフレキシブルに働ける制度を導入されているそうですね。どのような制度があるか教えていただけますか?

髙橋さん

職員が暮らしや子育てに応じて柔軟に働けるよう、短時間正規職員制度やフレックスタイム勤務を設けています。

短時間正規職員制度は週20時間から週40時間未満の間で勤務時間の設定ができる取り組みで、1日4~8時間未満の勤務となります。平成22年から導入しているため、職員にもだいぶ浸透してきました。

短時間勤務においては、育児・介護休業法に基づき"お子さんが3歳になるまで""要介護状態の家族がいる場合"といった条件を設けている職場が一般的かと思います。しかし、我々は制度の活用に特別な条件は設定していません。

短時間正規職員制度は誰でも取得でき子育て世代から好評

社会福祉法人みずほ厚生センターで短時間正規職員として働く子育て中ママの様子
▲短時間正規職員として働く子育て中ママが多数。レクリエーション活動の指導中

編集部

短時間正規職員制度は必要に応じてどの職員も申請できる制度なのですね。利用に条件を設けていない理由として、どのような背景があるのでしょうか?

髙橋さん

産後休暇や育児休暇からの復帰率を100%に近づけたいという想いや、復職した職員への配慮の気持ちが込められています。特に臼杵市外から通勤しているスタッフは、お子さんの保育園の送り迎えでどうしても通勤時間が通常より長くかかってしまいます。

そこで幅広い職員に対して短時間正規職員制度の活用を可能とし、勤務時間もたとえば"6時間"と固定するのではなく、暮らしに合わせて調節できるようにしました。

この制度は「子どもを一人で留守番させるのが心配」といった小学生のお子さんを持つ職員からも好評です。制度を活用しながら第二子・第三子を迎える職員も多く、職場における女性の活躍や少子化対策の一助となっているように感じます。

編集部

短時間正規職員制度は子育て世代の職員さんはもちろんのこと、さまざまな事情で通常勤務が難しい職員さんにとってもメリットが大きい制度かと思います。

髙橋さん

子育て中の職員だけでなく、ご家族の介護がある、慢性疾患がある、病気の治療中、といった職員も広く活用できる制度です。勤務時間を短縮することで仕事を続け、個々の能力を十分に発揮できるような体制を整えたいという意図もあります。

フレックスタイム勤務は相談支援業務で積極的に導入!

社会福祉法人みずほ厚生センターでフレックスタイム勤務を活用する子育て中ママの様子
▲相談支援業務ではフレックスタイム勤務をする職員が多い

編集部

みずほ厚生センターさんのフレックスタイム勤務制度についても教えてください。積極的に取り入れている部署や、メリットに感じている部分はありますか?

髙橋さん

フレックスタイム勤務は相談員、ケアマネジャー、ヘルパーといった職種で取り入れています。福祉の仕事は職員がいないと利用者様の支援ができません。そのため全職種で導入とはいきませんが、主に相談支援を行う職種で実施しています。

たとえば、障害児の方の親御さんの相談支援は、親御さんのお仕事が終わった夜間が多い傾向です。こうした業務に携わる職員は積極的にフレックスタイム勤務を取り入れ、自身で時間を管理しながら働いています。

この制度によって柔軟な働き方ができるようになったとともに、職員の自主性も育まれているように感じます。

評価は成果だけでなくプロセスも重視。賞与日に自分の頑張りを実感!

編集部

続いて、みずほ厚生センターさんの人事制度について伺いたいです。職員一人ひとりの自主性を促すために、工夫されていることはありますか?

髙橋さん

当法人ではキャリアパス制度を導入しており、事業所目標以外に職員一人ひとりが上期と下期で個人目標を立てて働いています。設定した目標の達成に向け仕事に邁進、あるいは自己研鑽に励む姿勢は人事考課制度でもきちんと評価する仕組みをとっており、これが自主性につながっていると考えます。

具体的には、事業所目標や個人目標を達成したかどうかだけでなく、そのプロセスも重視していますね。相対評価ではなく絶対評価で、真摯に取り組んでいれば評価は上がります。

編集部

きちんとプロセスが評価されれば、職員の方々の意欲も増しそうです。ところで人事考課は一度で決まるものなのでしょうか?どのようなステップを経て最終評価を導いておられますか?

髙橋さん

上期と下期でそれぞれ1回、最低でも年2回は職員と考課者で面接を行い、自己評価と考課者サイドの評価のすり合わせを行っています。その上で、部署の考課者全員を集めた二次考課、さらには施設・法人の管理者で三次考課を実施し、職員の最終評価を決定しています。

我々は人事考課後のフィードバックが最も重要と考え、専用シートを用いながら丁寧に最終評価を伝えています。最終評価は賞与に反映されるため、フィードバックのタイミングは賞与日です。前年度下期の評価を夏の賞与日にフィードバックするといったイメージです。

ちなみに、当法人では賞与だけは現金支給なんです。賞与額を通帳で確認するのではなく、実際に目にするので、どの職員も賞与日はテンションが上がっていますね(笑)。自分の頑張りを実感することで、一層強くやりがいを持ってもらえたらと考えています。

編集部

公平性に配慮した人事評価と適切なフィードバックは、職員の仕事への意欲を引き上げる大変重要な役割を担っていることが伝わります。

女性職員が7割。育児との両立にも協力的で働きやすい環境あり

社会福祉法人みずほ厚生センターで働く先輩ママ・現役ママの集合写真
▲職場は女性の比率が高く明るい雰囲気

編集部

みずほ厚生センターさんでは産休・育休についてはどのような取得状況ですか?

髙橋さん

出産した女性職員の育児休暇取得率は99%です。当法人では女性が約7割を占めているので、産休・育休制度の利用事例も多いほうかと思います。

編集部

御法人ではこうした休暇からの復帰率が100%に近いと伺いました。その理由は制度面だけではないように感じます。髙橋さんは、秘訣はどこにあるとお考えですか?

髙橋さん

やはり子育てしながら働きやすい職場環境が理由でしょうか。

まず挙げられるのが産休・育休を取得した先輩職員が多いこと。そうした職員のおかげで、子どもの発熱で急に帰宅しなければならない職員に対して「早く帰ってあげてね」と快く送り出せる風土があると思います。

編集部

気持ち良く送り出してもらえると、休む側としては心理的な負担が軽くなりますね。

時間休や有休の活用で学校行事にも参加しやすい。有休も入職時に付与

編集部

仕事と育児や介護を両立するには、体調不良のとき以外にも休みが必要になることもあるかと思います。みずほ厚生センターさんではそうした場合の対応はどうされていますか?

髙橋さん

子育て中の家庭では、学校の授業参観やPTAなど行事も多いものです。そういったときは、時間休や半日休暇、有給休暇をうまく利用してもらっています。1時間単位で年間40時間まで取得できる時間休は特に好評ですね。介護や通院などでも活用されています。

編集部

中途採用に際して有給休暇の有無を気にされる方は多いものです。"有給休暇は採用半年後から発生"など職場によって条件がさまざまかと思いますが、みずほ厚生センターさんではどのように付与されるのでしょうか?条件があれば教えてください。

髙橋さん

当法人では入職日に有給休暇を付与しています。中途採用の正規職員の場合は10日間の有給休暇があり、突発的に休みが必要な際に使えるよう制度を整えています。

編集部

入職日から有給休暇が付与されるのは中途採用の方にとって嬉しいポイントですね。子育て中の方やご家族の介護などがある方も「頑張って働いてみよう」と思える魅力的な環境です。

長く働ける職場へ!働きやすさがサービスの質も上げる

社会福祉法人みずほ厚生センターで相談支援業務に従事する子育て中パパの仕事の様子
▲相談支援に従事する子育て中パパ。職員自身が幸せを感じることで入所者さんに優しく接することができる

編集部

みずほ厚生センターさんは働きやすさにとても配慮されていることが伝わります。ここまで働きやすさを大切にされているのはどのような背景からでしょうか。

髙橋さん

私たちの仕事にはお相手がいます。施設利用者様をご支援する際は、職員自身が心穏やかな状態でなければ良いパフォーマンスを発揮できません。職員一人ひとりが充実した気持ちや幸せを感じられる環境を整えたい、という想いが始まりです。

編集部

ホームページに"その人らしさ、安心できる場所。ここにあります。"という言葉がありましたが、施設利用者様だけでなく職員の方々にも当てはまるように感じました。自身のライフステージの変化に合わせて制度を活用しながら長く働ける職場は安心感がありますね。

髙橋さん

職員のなかには障害を持つ方もおり、そうした方々も安心してずっと働き続けられるような環境が"働きやすい職場"に通じるのではないかと考えています。

従業員の医療保険をまかない「もしも」をサポート!

編集部

これまでご紹介いただいた例以外に、みずほ厚生センターさんで職員の方々の働きやすさや定着率向上のために工夫されていることはありますか?

髙橋さん

福利厚生として、法人の持ち出しで従業員の方々の入院や手術のための医療保険をまかなっています。もしもの際はどうしても自己負担があるものです。たとえば高額医療の控除以外にかかる差額ベッド代や食事代などですね。こうした出費を気にせず入院できるような制度を整えています。

編集部

いざというときに費用の心配をしなくてすむのは職員の方々やご家族にとって心強いでしょうね。どのような経緯で導入されたのでしょうか。

髙橋さん

かねてより「民間の医療保険に加入している職員が少ないな」という印象があり、いっそ職場で制度を整え、いざというときの安心を提供しようという想いで導入しました。実際に制度を活用し「医療費を気にすることなく特別室に入院できた」という職員もいます。

編集部

こうした制度があると、より"長く働こう"と思えますね。

「使命感」や「情熱」を持って行動に移せる方を歓迎

社会福祉法人みずほ厚生センターが運営する「こどもデイサービスぽっぽ」の内観

編集部

みずほ厚生センターさんの採用に関する方針をお聞かせください。

髙橋さん

ありがたいことに、職員の人数は概ね足りております。しかし、さらに有給休暇や時間休を取りやすい、フレキシブルな働き方がしやすい環境を整えるためには、一つの事業所に対して人員を1.5人ほどプラスしたいところです。

編集部

職員の方々にとってより良い職場環境を整えるためにも、新たな人員を受け入れたいとお考えなのですね。最後に、みずほ厚生センターさんに興味を持った方へ向けてぜひメッセージをお願いします。どのような方に来ていただきたいなどありましたらお聞かせください。

髙橋さん

やはり、我々の理念に共感して一緒に働いてくださる方を求めています。その中でも、仕事に対して使命感や情熱を持って遂行していただける方を必要としています。

私が職員へよく伝えているのは、「ミッションとパッションを持ってアクションを起こそう」という言葉です。使命感、情熱を持ち行動に移せる方と仕事を共にしたいので、ぜひご応募いただければありがたいです。

編集部

ホームページに掲載されている「いつだって"しらしんけん"(仕事に対して一生懸命)」という言葉は、使命感や情熱を持った職員の方々によってまさに"体現"されていることが伝わりました。

髙橋さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力
社会福祉法人みずほ厚生センター:https://www.mizuhokousei.com/
採用ページ:https://www.mizuhokousei.com/pg4854943.html