公益財団法人日本生産性本部の女性職員を輝かせる、優れたワークライフバランスとキャリア支援制度

企業や組織の優れたワークライフバランスや、女性活躍の背景にある制度、取り組みなどを紹介するこの企画。今回は国民の生活水準の向上を目的に生産性運動を推進する、公益財団法人日本生産性本部を取材しました。

持続可能な経済社会を次世代に引き継ぐ「公益財団法人日本生産性本部」

公益財団法人日本生産性本部は、持続可能な経済社会を次世代に引き継ぐために、生産性(※)をはじめとするさまざまな領域の調査研究に取り組み、提言活動を行うとともに、人材育成やコンサルティング事業を通して日本の産業の生産性向上を図る組織です。
※生産性:アウトプット(産出)をインプット(投入)で割ったもので、商品やサービスの生産に必要な設備や原料、労働力などがいかに効果的に使われたかを示す指標

会社名 公益財団法人日本生産性本部
住所 東京都千代田区平河町2-13-12
事業内容 社会経済システムと生産性に関する調査研究、情報収集の提供や普及、啓発、研究会、セミナーなどの開催、教育訓練、内外関係機関との交流・協力
設立 1955年3月
公式ページ https://www.jpc-net.jp/
働き方 フレックスタイム制度(コアタイム10:30〜14:30)
テレワーク(出社とリモートワークを可とするハイブリッド勤務)

育児休職からの復職率100%など、女性職員が活躍する日本生産性本部には、どのような制度やワークライフバランスへの取り組みが存在しているのでしょう。同財団の総務部課長の小澤雅彦さんと、総務部兼国際連携室主事の坂水侑佳さんに詳しくお話を伺いました。

本日お話を伺った方
公益財団法人日本生産性本部の総務部課長である小澤雅彦さん

公益財団法人日本生産性本部
総務部課長

小澤 雅彦さん

公益財団法人日本生産性本部の総務部兼国際連携室主事である坂水侑佳さん

公益財団法人日本生産性本部
総務部兼国際連携室主事

坂水 侑佳さん

生産性運動の中核組織「公益財団法人日本生産性本部」とは

公益財団法人日本生産性本部にある生産性運動の理念が記された掲示
▲生産性運動の理念。1959年3月に、ヨーロッパ生産性本部のローマ会議の報告書で定められたもの。

編集部

日本生産性本部さんは公益財団法人とのことですが、どのような組織なのでしょう。

小澤さん

1955年に生産性運動の中核組織として設立された当本部は、経営組織や生産管理、マーケティングなどの経営手法を学ぶための視察団をアメリカに派遣するなどして、戦後の日本経済の復興と高度経済成長を支えてきました。

生産性運動の目的は国民の生活水準の向上であり、生産性向上はそのために不可欠な手段です。

生産性運動の理念として“今日は昨日よりもよりよくなし得るという確信であり、さらに明日は今日に優るという確信である”を掲げる当本部は、「雇用の維持・拡大」「労使の協力と協議」「成果の公正な分配」の生産性運動三原則のもと、生産性の向上に取り組んでいます。

コンサルティングや研修コンテンツによる事業収益と、日本の生産性向上に寄与する公益事業を展開

編集部

日本生産性本部さんの具体的な事業内容についてお聞かせください。

小澤さん

当本部は、社会経済システムと生産性に関する調査研究、情報収集の提供や普及、啓発、研究会、セミナーなどの開催、教育訓練、内外関係機関との交流・協力などを行っています。

自らの収益事業であげた収益で公益に資する取り組みを行っており、公益事業・収益事業を合わせて11の事業を行なっています。

収益事業の代表的なものはコンサルティング事業です。個社の経営課題や人事課題をお預かりし、ソリューション提案をしています。また、研修事業では公開型の研修コンテンツを提供する他、企業の課題に合わせてカスタマイズした企業内研修を提供しています。これらの事業で得た収益をもとに、公益事業を実施しています。

編集部

公益事業にはどのようなものがありますか?代表的な取り組みを教えていただければ幸いです。

小澤さん

日本の産官学を代表するリーダーや、トップクラスのオピニオンリーダーにお集まりいただき、意見交換の場づくりをする「日本アカデメイア」という取り組みがあります。

この他にも、「生産性」を軸に、経済社会の様々な分野について積極的に問題提起、世論喚起を行うシンポジウムを専門家と協力して開催したり、「生産性」やイノベーションに関する調査・研究を行い、政策提言につなげていったりといった取り組みを行っています。また、地方自治体や労働組合への支援などにも取り組んでいます。

編集部

さまざまな事業を通して雇用や経営の改善に貢献すると共に、内外関係機関との交流や協力などを行う日本生産性本部さんが、日本の生産性向上に大きく寄与されていることがわかりました。

新卒女性入職者増加の背景と女性職員の活躍

公益財団法人日本生産性本部のミーティング風景

編集部

さまざまな事業を展開されている日本生産性本部さんには、何名の職員が在籍していますか?男女比と合わせて教えていただけますでしょうか。

坂水さん

約250名の職員が在籍しています。男女の比率としては男性職員が64.4%、女性職員が35.6%です。現状、男性職員が半数以上となっていますが、ここ数年の新卒採用では女性の比率が多く、今後は女性職員の比率が増えていくと予想されます。

編集部

新卒の女性の採用比率が増えていくことには何か理由があるのですか。

坂水さん

意図して女性を積極採用した訳ではなく、選考の結果、当本部でご活躍いただけそうだと判断した人材に、たまたま女性が多かったというのが事実です。

編集部

新卒採用で女性が多いということは、そもそも日本生産性本部さんへの入職を希望する女性が多いということなのかと思います。そこにはどのような理由があるとお考えですか?

小澤さん

さまざまな理由があると思われますが、その一つが勤務先です。当本部のオフィスは平河町、丸の内、溜池山王に位置し、いずれも東京都内にあります。

女性はライフステージの変化における選択肢が多様だと思いますので、例えば人事異動があった場合でも基本的に生活圏が大きく変わることはないというのも、女性の働きやすさにつながっていると感じます。

公益財団法人日本生産性本部の外観画像
▲東京都千代田区平河町にある公益財団法人日本生産性本部。都内に拠点が集中しているため、異動の際も生活圏が大きく変わらないのが魅力だ

編集部

引っ越しを伴わない異動は女性のみならず、男性にとっても魅力的な職場と言えますね。

子育て世代の女性職員のリアル

編集部

日本政府は女性活躍や男女共同参画の取り組みを推進していますが、日本生産性本部さんの取り組みについてお聞かせください。

坂水さん

当本部の女性管理職の割合は13.5%と、日本の平均(※)を上回っています。しかしながら、世界平均と比較するとまだまだ低い値なので、今後さらに女性活躍推進に取り組まなければならないと感じています。
(※)厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」によれば、企業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.7%となっている。

編集部

女性の入職希望者が多い日本生産性本部さんですが、坂水さんはどのような理由で入職を志望されたのでしょう。現在の仕事内容、やりがいについてもお聞かせいただけますか?

坂水さん

国際協力の分野に絞って就活をしていた際に、日本生産性本部を知りました。

説明会に足を運んでみると、国際協力以外にもコンサルティングや企業内研修、調査、研究、政策提言まで、幅広く事業展開をしていることを知り、国際協力専門の組織に所属するよりも成長できるのではという考えに至り、入職を決めました。

現在は総務人事担当と国際連携室を兼務しており、総務人事の業務は日本生産性本部で一緒に働く仲間のための業務になるので、非常にやりがいを感じています。国際連携室に関しては、もともと興味を持っていた国際協力の分野に近いグローバルな領域ということもあり、日本と世界を繋ぐ役割を担えることを光栄に思っています。

編集部

多岐にわたる人事業務の中でも、坂水さんが女性の働きやすさに配慮していることはありますか?また、坂水さんご自身が働きやすいと感じる日本生産性本部さんの制度があればお聞かせください。

坂水さん

研修に派遣する職員を検討する際、配慮のつもりで小さなお子さんがいる職員を対象外にしてしまう話を聞くことがありますが、勝手な配慮を行うのではなく、必ず本人の意向を確認してから検討するようにしています。

制度としては、私自身も3人の子供を育てながら仕事をしていますが、当本部の勤務時間は9時30分から17時30分(休憩時間1時間を含む)の7時間勤務なので、時短勤務制度を使用していなくても、無理なくフルタイムで勤務できることに働きやすさを感じています。

編集部

坂水さんのように日本生産性本部さんで活躍されている女性職員をぜひ、ご紹介いただけますか?

坂水さん

活躍している多くの女性職員のうち、2人紹介させていただきます。

1人目は私と同世代の職員で、第二子を妊娠中、日々の業務をこなしながらキャリアコンサルタント(※)の養成講座を受講し、育児休職中に資格を取得しました。そして、育児休職から復職した1年後には昇格試験を受けて昇進、現在は子育てをしながらフルタイムで活躍しています。
(※)キャリアコンサルタント:職業選択や職業生活設計、職業能力の開発や向上などに関する労働者からの相談に応じ、適切な助言や指導をおこなう国家資格

編集部

子育てと妊娠中に資格取得を目指すのは、かなりハードだったと思われます。そうした中で資格を取得できたのは、どのような工夫があったのでしょう。

坂水さん

本人の話では、自分自身の向上心だけではなく、ご家族の理解と協力が一番大きかったとのことでした。スキマ時間を有効に活用しながら、無理のないスケジューリングで勉強を進めていたと聞いています。また、キャリアコンサルタント養成講座の同期の存在も支えになったそうです。

編集部

もうお一方についてもご紹介いただけますでしょうか。

坂水さん

私の元上司だった管理職の女性職員は、フレックスタイム制度を活用し、9時30分から17時30分の就業時間を9時から17時までとして、お子さんのお迎え後、ご家族のために夕食を毎日作っていました。管理職ということもあり、業務は多忙であったと思いますが、しっかり調整することで家庭と仕事を両立していました。

編集部

家庭の状況に応じて制度を柔軟に運用されているのですね。

復職率100%を支える手厚いサポート体制

編集部

坂水さんを含め、ご紹介いただいた女性職員は育児休職から復職されていますが、復職率は何%くらいなのでしょう。

坂水さん

ここ最近の復職率は100%となっています。

小澤さん

人事総務としては部門の管理職を通じた休職中の職員の様子伺いの他、復職直前の際の勤務制度、育児休職中に変わった制度などを案内するようにしています。復職後の勤務時間についても丁寧にヒアリングして、本人の意向を尊重しながら調整しています。

編集部

復職前後のサポートが手厚いことも、100%の復職率につながっているのですね。

生産性向上につながる集中タイムを目的としたテレワーク

公益財団法人日本生産性本部の職員によるテレワークの様子

編集部

坂水さんのお話や育児休職からの復職率が100%ということからも、日本生産性本部さんのワークライフバランスが優れていることがわかります。職員の方が選択できる働き方の制度があればお聞かせください。

小澤さん

当本部では週3回を上限にテレワークをすることができます。ポイントは、子育てをはじめとするライフスタイルを考慮した福利厚生の目的としてではなく、在宅に向いている業務を集中して行うためのテレワークということです。

企画立案や資料作成などのアイデアを練るためには、オフィスよりも静かな自宅の方が捗ることがあります。このように集中タイムを計画したうえで在宅に向いた業務をテレワークで行い、生産性を向上させる狙いがあります。

自由に取得できる時短勤務orフレックスタイム

公益財団法人日本生産性本部オフィス内のリフレッシュルーム
▲公益財団法人日本生産性本部のオフィス内のリフレッシュルームは開放感に溢れている

編集部

テレワークの他に、就業時間について選択できる制度はありますか?

小澤さん

10時30分〜14時30分をコアタイムとしたフレックスタイム制や、1日当たり4時間を限度とした時短勤務は、育児や介護事由など、家庭の状況に合わせて利用することができます。

特にフレックスタイム制は、利用する際に特別な内部手続きは不要となっており、前日までに上長に申告をすれば自由に取得できる制度となっています。

編集部

女性のための制度ではなく、男女問わず働きやすい環境を整えた結果、女性のライフステージの変化に柔軟に対応できる制度になったというわけですね。

費用の半分を組織が負担。多様性に富んだ自己啓発補助制度

編集部

次に、日本生産性本部さんのキャリア支援制度について伺います。支援制度の内容や、実際に制度を利用した職員のキャリアパスについてお聞かせください。

小澤さん

職員が自身のキャリアアップのために、大学院や英会話スクールなどで自己研鑽を希望した場合、費用の半額を当本部が負担する自己啓発補助制度があります。私も含め、本部職員の半数はキャリア採用なのですが、さまざまな学びを通してキャリアを支援する制度は他にはないと感じています。

学んだことはさまざまな事業に活かされています。例えば、大学院でデータサイエンスを学んだ職員は研修事業に携わっており、統計学に基づいて事業を分析し、新たな観点からの事業の展開を考察することに役立てています。

また、関心のある分野を深めることによって、意図せず事業に展開された事例もあります。

編集部

実際に自己啓発補助制度を利用している職員はどのくらいいらっしゃるのでしょう。

小澤さん

大学院で見ると、過年度の3ヶ年だけでもおそらく20名に迫る人数と思われます。英会話スクールなどを含めると、さらに多くの職員が利用しています。

個人事業主と職員の兼務ができる独自の働き方

編集部

日本生産性本部さんには、職員でありながら個人事業主としても働くことができる、いわゆる副業的な働き方があると伺っております。こちらについてご説明いただけますか?

小澤さん

自身が事業主である場合に限り、当本部の職員のまま収入を得て働くことができます。年休取得や福利厚生など当本部の制度を活用しながら、個人の事業を行うことが可能です。ただし、年間収入が20万円を超えない範囲という制限はあります。

副業の内容は大学の客員教授をはじめさまざまですが、あくまで個人事業主としての活動で、日本生産性本部の名前を使用せずに副業に取り組んでいます。

編集部

自己啓発補助制度を利用したキャリア育成や事業主としての活動は、必ずしも日本生産性本部さんの業務に直結しなくても、さまざまな観点でプラスになるというわけですね。

社会を俯瞰し課題解決を提案できる方や、学ぶ意欲を持って信頼関係を築ける方を歓迎

公益財団法人日本生産性本部の受付の風景

編集部

日本生産性本部さんの女性の活躍を推進する取り組みや、ワークライフバランス、キャリア支援制度に興味を持った読者は多いと思われます。最後に、組織にフィットする人材の特徴や、求める人物像についてメッセージをお願いします。

小澤さん

公益財団法人である当本部は、社会課題の解決に向けて公益事業に取り組む組織です。

中小企業、大企業のトップリーダーや多様なカウンターパート、ステークホルダーの方々と接する機会が多い中で、社会を俯瞰しながら自分ができることを探索したいという方に当本部の事業はフィットすると思われます。

テレワークによる集中タイムやフレックスタイム、時短勤務などを活用することで、多様な働き方ができるのも当本部の特徴です。

一方で、当本部は現場主義でもあります。コンサルティングや政策提言などの取り組みの裏方として、イベント運営に関わる泥臭い業務も多くあります。このような業務もしっかり対応していく現場でこそ生まれるネットワークがあります。当本部のカルチャーの中でキャリアを磨きながら、一緒に働きたいという方はぜひ、ご応募ください。

坂水さん

日本生産性本部には学びを重要視する、向上心が高い職員が多く在籍しています。そのような環境下で共に研鑽する方を歓迎します。

当本部が提供するのは、コンサルティングや研修、シンポジウムなど目に見える商品ではないので、信頼を得ることがとても重要です。お客様とはもちろん、職員との信頼関係をしっかり構築できるような、素敵な方と共に働けたら嬉しいです。

編集部

今回の取材を通し、公益財団法人の特徴や、日本生産性本部さんの事業を詳しく知ることができました。また、女性の活躍を支援する優れたライフワークバランス、キャリア支援制度は、求職者にとっても魅力と思われます。

本日はありがとうございました。

■取材協力
公益財団法人日本生産性本部:https://www.jpc-net.jp/
採用ページ:https://www.jpc-net.jp/about/saiyo/