日本のITを牽引する独立行政法人情報処理推進機構で若手の躍動が目覚ましい理由

特定の領域において日本を牽引していくような事業を展開する企業に迫るこの企画。今回は国の政策実施機関としてIT推進の中核を担う独立行政法人情報処理推進機構にお話を伺いました。

安全で信頼できるIT社会を目指す独立行政法人情報処理推進機構

独立行政法人情報処理推進機構の社内風景
▲漫画を使った啓発など、生活者に対する学習・啓発も積極的に推進

独立行政法人情報処理推進機構(Information-technology Promotion Agency, Japan)(以下「IPA」)は、経済産業省を所管官庁とする国の政策実施機関です。

Society5.0(※)実現に向けた「デジタル基盤の提供」、国家・経済の安全保障、組織・個人自らのセキュリティ対策のサポートを行う「サイバーセキュリティの確保」、DX・イノベーションを担う「デジタル⼈材の育成」の3つを事業の柱とし、国のIT国家戦略を技術面・人材面から支えています。
※Society5.0…サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が融合した新たな社会を指す言葉。2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

会社名 独立行政法人情報処理推進機構(Information-technology Promotion Agency, Japan)
住所 東京都文京区本駒込二丁目28番8号
文京グリーンコートセンターオフィス(総合受付13階)
事業内容 ・デジタル基盤の提供
・サイバーセキュリティの確保
・デジタル⼈材の育成
設立 2004年1月5日
公式ページ https://www.ipa.go.jp/index.html
働き方 ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク)
スライド勤務

IPAではここ5年程で採用を強化しており、中途採用だけでなく新卒採用も積極的に進めています。若い世代も含めて職員全体からボトムアップで意見を吸い上げ、職場カルチャーや働きやすい環境づくりをつくりあげているのも特徴となっています。

今回はそんなIPAでの若手職員の活躍実態や職場環境に迫るため、公務員、独立行政法人の職員というそれぞれの立場からIPAに中途でジョインした池元さんと寺江さんのお二方に、IPAに惹かれた理由や現在従事する業務内容、仕事のやりがいなどについてお聞きしました。若手活躍を後押しするカルチャーやワークライフバランスへの取り組みについても、人事部採用グループグループリーダーの谷澤さんを中心にお話を伺っています。

本日お話を伺った方
独立行政法人情報処理推進機構の谷澤さん

独立行政法人情報処理推進機構
人事部採用グループグループリーダー

谷澤昭紀さん

独立行政法人情報処理推進機構の池元さん

独立行政法人情報処理推進機構
デジタルアーキテクチャ・デザインセンタープロジェクト推進部
インキュベーショングループ主任

池元貴哉さん

独立行政法人情報処理推進機構の寺江さん

独立行政法人情報処理推進機構
デジタル基盤センターイノベーション部
未踏実施グループ主任

寺江晴菜さん

IPAが担う「国のIT化を牽引する役割」に惹かれ転職

独立行政法人情報処理推進機構のインタビュー写真

編集部

早速ですが、IPAさんでの若手職員活躍のトピックについて伺っていきたいと思います。まずは池元さん、寺江さんのお二方にIPAさんにジョインしたきっかけや現在のお仕事の内容についてお聞きしたいのですが、池元さんからお願いできますか?

池元さん

私は新卒で中央省庁に入省し、3年半勤務しました。元々大学時代にプログラミングを学んでいたこともあり、本省の情報システムの管理や端末・ネットワークの切り替え等に携わりました。

その中で目の当たりにしたのが、省内でもITに詳しい職員が多くはないという現状です。公務員の仕事はルーティン化しているものも多いためシステム化や電子化との相性は良いはずなのですが、日々の業務に追われて手が回っていない状況があるんです。そういった現状を見ていくうちに、国全体のITリテラシーの底上げが必要なのではないかと感じるようになりました。

IPAについては中央省庁で勤務していた当時から仕事上での関わりがあり、存在を知っていました。実は、転職先の候補の1つとしてIPAが挙がったのではなく、最初からIPAで働きたくて転職をしたんですよ。転職1年前からIPAの募集要項を見ており、そのときには社会人経験が足りなかったので次の年にチャレンジしました。国のIT推進の中核を担うIPAで、この国全体のITの水準を上げていきたいという志を持ってIPAに入構をしました。

編集部

最初から一社に絞って転職をされるというのはなかなかないことだと思います。それだけIPAさんの業務がご自身の志と一致していたということだと思いますが、IPAさんのどういった部分に特に惹かれたのでしょうか?

池元さん

元々公務員になったのも、第三者的な中立の立場からこの国の未来、行く末を見ていきたいという思いがありました。だからこそこの国のITリテラシーを高めていきたいと思ったときに、IPAが独立行政法人という公共性のある立ち位置を取り、国全体のITを牽引する役割を担っていることに魅力を感じました。

またIPAが推進している取り組みは、この国の今後にとっても、世界的な視野でみても確実に必要になってくると思います。その将来性も惹かれたポイントです。

編集部

寺江さんがIPAさんに転職されたきっかけも教えていただけますでしょうか?

寺江さん

私は元々公共性のある、国の役に立てる仕事をしたいという思いを持っていたため、新卒でIPAとは別の独立行政法人に入構しました。そこでITの知識をつけるためにIPAの情報処理技術者試験を受けた際にIPAの存在を知り、「この試験を運営している組織も独立行政法人なんだ」と興味を持ったのがきっかけです。

前職でオンライン研修事業の立ち上げ・運営などに携わっていく中で、やはりこれからの日本の成長にITは必要だということを実感していました。IPAが取り組んでいる領域は今後必ずどんどん大きくなっていく分野だろうと思い、今後はそちらの面から政策に携われたらと考え転職を決めました。

編集部

お二人とも公共性の高いお仕事にもともと意識を高くもっていらっしゃった中で、その中でも「IT」という領域で国の中核を担っているIPAさんに魅力を感じられたんですね。

アーキテクチャ設計に向け民間企業からアイディアを募集する「インキュベーションラボ」

独立行政法人情報処理推進機構の池元貴哉さん

編集部

池元さんは現在、IPAさんでのどういったお仕事に携わっていらっしゃいますか?

池元さん

私は現在、デジタルアーキテクチャ・デザインセンタープロジェクト推進部インキュベーショングループと、デジタル基盤センターデジタルトランスフォーメーション部の2つの部署を併任しています。文字数が多すぎて、名刺に記載すると読めないくらいなのですが(笑)。

2019年にIPAに入構した直後に配属されたのが、デジタル基盤センターです。そこから約4年間DXに関する仕事をしてきて、2023年からデジタルアーキテクチャ・デザインセンターを併任することになりました。現在メインで所属しているのはデジタルアーキテクチャ・デザインセンターの方です。

デジタルアーキテクチャ・デザインセンターをDADCと呼んでいるのですが、こちらはSociety5.0実現のための法制度やルール、ハードやソフトの設計なども含めた見取り図をつくる仕事をする部署となっています。その中で私は「インキュベーションラボ」という、社会全体のアーキテクチャ設計につながるアイディアを民間企業から募集する仕事を担っています。

募集テーマの一例を挙げると、「マイナンバー認証の民間活用」があります。金融機関や保険会社などの民間事業者ではマイナンバーをもっと活用したいというニーズがあるようで、マイナンバー認証の民間活用をどう進めていくかをテーマにした提案が民間のコンソーシアムからありました。

過去3回そういったテーマについて募集を受け付けています。2023年度はまた4回目となる民間企業からの応募受付を行うということで、その企画を担当しています。

編集部

池元さんが現在のお仕事でやりがいを感じる瞬間を教えてください。

池元さん

異動してDADCの仕事を始めてまだ間もないのですが、その中でもCEATEC(シーテック)2023というIT関係の展示会イベントにIPAとしてブースを出したときにはやりがいを感じましたね。4日間で合計1,000人程に声をかけてインキュベーションラボの制度の紹介をしていったのですが、そこで興味を持って後日問い合わせをくださった方もいて、この事業の必要性を改めて実感することができました。

高いIT技術を活用したスタートアップ人材を育成する「未踏アドバンスト事業」

独立行政法人情報処理推進機構の寺江晴菜さん

編集部

寺江さんは現在、IPAさんでどのようなお仕事をされているのでしょうか。

寺江さん

私は2020年のIPA入構直後は中小企業のセキュリティに関する部署に配属され、現在はデジタル基盤センターイノベーション部の未踏実施グループに所属しています。未踏事業というのはITのトップ人材を発掘し、育成していく事業で、2000年の開始からこれまでにさまざまな天才的な人材を輩出してきました。

未踏事業に応募した方の「こういうものを開発してみたい」「自分の技術で世の中を変えていきたい」という想いやアイディアは、プロジェクトマネージャーの審査によって採択されます。採択されると開発や活動にかかる費用の支援が得られます。要するに自分のやりたいことを、業界のトップランナーの指導や金銭的支援を受けながら実現に向けて進めていける事業です。

未踏事業は、対象や目的によって「未踏IT人材発掘・育成事業」「未踏アドバンスト事業」「未踏ターゲット事業」のラインナップがあります。未踏アドバンスト事業は、未踏事業の中でもそのIT技術を使ってビジネスをしたい、社会課題の解決につなげたいという人材を育成する事業です。政府の「スタートアップ育成5か年計画」にも位置付けられていて、国の方針としても非常に力を入れている事業になります。

私は現在未踏アドバンスト事業に携わっており、公募・採択・育成にかかる一連のプロセスを運営事務局として進めています。公募内容の検討から審査に際しての書類の取りまとめ、採択者の進捗管理、報告会等の企画運営、採択者への支援金支払いの事務手続きまで業務は多岐にわたります。また政府の方向性を受けて今後スタートアップ支援を強化していくにあたり、未踏アドバンスト事業の採択者を増やしていくための長期的な体制づくりの検討などもあわせて行っています。

編集部

寺江さんが感じるIPAの未踏実施グループでのお仕事のやりがいはどういった点にありますか?

寺江さん

未踏アドバンスト事業では事務局として、採択者、プロジェクトマネージャーの方と直接接することができるので、それはモチベーションになっています。未踏アドバンスト事業への応募には年齢制限が無く、大学院生や社会人の方などもエントリーしてくれています。さまざまな背景の採択者の方たちがいろいろな壁にぶつかりながらプロジェクトを進めている様子をみると、応援したい、サポートしたいという気持ちにさせられますね。

また未踏事業はプロジェクトマネージャーという、採択者を指導する方によって成り立っているともいえる事業です。プロジェクトマネージャーになられる方は、皆さん未踏事業の意義に賛同し、熱意を持ってくださっています。時には運営主体である我々以上の思いを感じることもある程です。熱意があるからこそ厳しいお言葉をいただくこともありますが、この政策は我々だけではなく仲間と一緒に進めているんだ、と実感できます。だからこそ、IPAとしてももっと事務局として頑張らなくてはと思います。

入構すぐに新しい部署・コンソーシアムの立ち上げに奔走する中で、成長を実感

編集部

IPAで仕事をする中で、池元さん、寺江さんが成長を実感したエピソードがあれば教えてください。

池元さん

入構直後に配属されたデジタル基盤センターのデジタルトランスフォーメーション部の仕事では、転職1年目にして大きな成長を感じました。その当時はDXという言葉がちょうど流行り始めた頃で、経済産業省からもIPAに対してDX推進のための事業を期待されていました。そのタイミングで入構し、DX部署の立ち上げから携わらせていただくことができました。

組織立ち上げといいつつも予算がなかったため、他の組織からDXの仕事を受託する形で最初は始まりました。また人もいなかったためにさまざまな日本企業の代表的なベンダーさんに直接訪問して出向者を出してもらうようにお願いし、結果的に1年目には10数人の組織をつくることができました。事業を実施していくための委員会の立ち上げや、委員会における有識者の選定など、多方面から組織の立ち上げに奔走しました。

それまで私は組織の枠を超えた外の人と一緒にチームで仕事をすることや、委員会のような形で仕事をする経験をあまりしてきませんでした。いろいろな立場の人と会話をしてそれぞれの視点からの意見を聞く中で、自分としての見識も広がりましたし、相手の立場に立って物事を考える必要性を実感することができました。とてもいろいろな勉強をさせていただき、成長につながったなと未だに実感しています。

独立行政法人情報処理推進機構の池元貴哉さん

寺江さん

私もIPAに入りたてのときに配属された部署の話になります。入構直後に中小企業のセキュリティに関する部署に配属になり、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」という、中小企業におけるサイバーセキュリティ対策をサポートする仕組みの構築に向けた実証事業を行いました。

実証事業で得られた知見に基づき、人員や資金に限りのある中小企業においても導入・運用しやすく、サイバーセキュリティ対策として必要不可欠な機能を備えるサービスの基準を検討しました。セキュリティベンダー、中小企業団体や業界団体、学識者の方々とも議論し、それぞれの立場からの意見を吸い上げながら、経済産業省と一体となって基準の検討を行い、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」制度を立ち上げたことは、成長につながる経験だったと感じています

 また、当時から大企業から中小企業までを含むサプライチェーン上の弱点を狙って攻撃対象への侵入を図るサイバー攻撃は高度化が進み、喫緊の課題でした。そこで、産業界が一体となってセキュリティ対策の推進運動を進めていくことを目的とした組織「サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアム(SC3)」を立ち上げ、IPAがその事務局を担うことになりました。この立ち上げ・運営に私も関わらせていただきました。

やはりコンソーシアムを一つ立ち上げるとなると、運営委員会、ワーキンググループの設置、それらの委員の就任依頼などさまざまな調整が必要になります。始まったら始まったで、事務局として連絡調整事務の他に検討資料、説明資料の作成なども必要です。新たな取り組みのために踏襲できる前例が少なく、自分自身の経験もまた浅かったので困難は多かったです。

入構したばかりのタイミングでそういった仕事に携わらせてもらったことは、すごく成長のきっかけになったなと思っています。委員会やワーキンググループを回していくための細かいノウハウは、今もとても役に立っています。今携わっている未踏事業はそれとは真逆で、2000年からの積み上げがあるものではありますが、いろいろな指示が飛んできたときも臆することなく対応できているので、本当にこの経験が活かされているなと感じます。

また前職ではある程度決まった役割の中で仕事をしていた一方で、IPAでは経済産業省と一緒に制度や組織を立ち上げていくことができたので、そこもすごく面白さを感じましたし、成長につながっていった部分かなと思います。以前所属していた組織はIPAよりもやや規模が大きかったのですが、IPAの規模だからこそ、経済産業省からの要請を取りまとめるだけでなく、現場の意見を反映しながらやっていくことができたのだと思います。

独立行政法人情報処理推進機構の寺江晴菜さん

ボトムアップで職員の意見を取り入れるのが、IPAの組織の特徴

独立行政法人情報処理推進機構の谷澤昭紀さん

編集部

池元さん、寺江さんのお話を伺うと、入構直後に重要な役割を任せてもらい、それが成長につながっていることが伺えます。若手職員の方の意見を積極的に取り入れたり、重要な役割を任せたりというのはIPAさんの方針としてあることなのでしょうか?

谷澤さん

はい。若手職員に限らず職員全体の意見を積極的に取り入れるというのはIPAで重要視している方針です。それを象徴する例が、IPAが2022年に策定したミッション、ビジョン、バリューです。実はこれらは約1年かけてIPA全員で検討を重ね、ボトムアップで作り上げてきたものなのです。

もちろん経済産業省は国民の課題を踏まえたIT政策方針を示しているわけですので、IPAは政策実施機関としてそれを遂行していくというのが前提となります。しかし「こういう仕事をしてほしい」という依頼が来て、目の前の仕事をやっていくだけだと、どうしてもIPAとしての動きがまとまらなくなってしまいます。

だからこそIPAとしても最も大切にすべき指針が必要だと思い、ミッション、ビジョン、バリューの策定に至りました。そこで重要となるのが、ボトムアップでつくりあげていったということです。皆で意見を出し合いつくり上げていったからこそ、IPAとして同じ方向を向いて進んでいくことができるものになったのではないかと考えています。

独立行政法人情報処理推進機構の事業案内パンフレット
▲約1年かけてつくりあげていったIPAのミッション・ビジョン・バリューは事業案内にもしっかりと掲載されている

谷澤さん

さまざまな職員の意見を取り入れていくことは、新しい仕事を展開していく上でも重要です。IPAの性質上、大きな規模での新しい提案というのはすぐには採用されづらい傾向がありますが、業務上の細かいことにおいても新しい提案は重要になります。例えば業務改善ツールやコミュニケーションツールを新たに導入したい、というのもそうですよね。ボトムアップで声を吸い上げ、会社としてもそれを聞き入れて改善につなげていけるのがIPAの組織の特徴だと考えています。

池元さん

私もDX担当として「IPA自身もDXをしないといけないよね」という動きを受けて職員の声を直接聞く窓口を設ける活動をしています。「DXアイディアボックス」という形で、24時間365日受け付けています。フリーアドレスもリモートワーク対応も、そこでの職員の声が反映されています。

谷澤さん

職員からあがってきた提案は、その場でやる・やらないを判断するのではなくきちんと経営層と話をして方針を立てた上で実施を決めています。

今インタビューを行っているこの部屋も、職員の意見を受けて整備したものなんですよ。外部の人との打ち合わせスペースにもなりますし、コロナ禍でコミュニケーションが取りづらくなった状況を受けて、職員同士のコミュニケ―ションの場としても活用されています。ちょっとした社内イベントで集まる際にも積極的に活用されているので、すごく良い場所になったなと感じています。

リモート・時間単位の有給・スライド勤務で柔軟に働ける

独立行政法人情報処理推進機構のオフィス

編集部

続いてIPAさんのワークライフバランスの取り組みについてもお伺いしていきます。今も少しお話の中に出てきましたが、IPAさんではリモートワークを導入されているんですよね。

谷澤さん

はい。ワークライフバランスの取り組みとしては、やはりリモートワークを導入したのは大きいですね。コロナ禍を機に導入し、試行錯誤を経て今ではしっかりと制度化されています。

対面でのコミュニケーションも重要なので週に1回は皆で集まるタイミングを設けていますが、それ以外はそれぞれの状況に応じた働き方を選択できるようになっています。仕事で使うPCやセキュリティ回線もすべてIPAで提供し、職員に負担のないように環境を整えています。

ワークライフバランスの取り組みとしてもう1つ特徴的な点は有給休暇です。IPAでは1日、半日の有給休暇に加えて、1時間からの時間単位での取得も可能にしています。朝の1時間だけ取得する、PTA活動があるから2時間だけ取得するといったようにそれぞれのライフスタイルに合わせて取得できるので、大変好評な制度となっています。

もう1つ特徴的なのが、勤務時間をスライドできること。IPAは9時半から18時15分が定時なのですが、業務によっては朝早くから仕事をした方が良い場合もありますし、夜に会議が入ってしまう場合もあります。そんなときに早出・残業で対処するのではなく、全体の時間をシフトできるようにしています。フレックスとはまた少し違うのですが、早く出勤すれば早く退勤できる、遅く退勤することで出勤時間を後ろ倒しすることができるというこちらも好評な制度です。

まだ実施前の制度ではありますが、サテライトオフィスを設けてより働く場所に柔軟性を持たせようという動きもあります。自宅と本社オフィスというだけでなく、それ以外の働く場所も設けることで、外勤してちょうどその場所を通るからそこで仕事をできるようにするなど、自由度の高い働き方も積極的に取り入れていけたらと考えています。

充実の制度や“転勤なし”のメリットで、働きやすさを実感

独立行政法人情報処理推進機構インタビュー写真

編集部

IPAさんがいろいろな角度から働きやすい制度を整備されていることが良く分かりました。制度を使用した実感も伺いたいのですが、いかがでしょうか。

寺江さん

勤務時間をスライドさせられるのは、忙しいときにも朝に早く業務を開始し、もし早く終われば夜早く退勤できるのでありがたいですね。私が携わっている未踏事業は基本的に対象が学生や社会人の方なので平日だと夜にイベントをセットすることが多いのですが、そういうときでも出勤時間を遅くするなどで調整できるので、柔軟に活用しています。

谷澤さん

産休・育休制度も当然整備していますし、取得のしやすさもあると思います。男性育休の取得実績もありますよ。

また制度とは少し違う話にはなりますが、IPAは転勤がないので、その点は働きやすさにもつながっているのではないかと思います。中途採用の場で転職のきっかけを聞くと、全国転勤がある会社で落ち着いて仕事ができないということをあげる方も多いです。その点、IPAでは転勤がないのでメリットに働いているのではないかと思います。

若い世代が生むパワーが職場の雰囲気の良さにも影響

独立行政法人情報処理推進機構インタビュー写真

編集部

IPAさんは全体的に、どのような雰囲気のある職場環境なのでしょうか?

池元さん

IPAの職場の雰囲気はかなり良いなと感じます。優秀な人も多く、チームとして仕事をしていてもお互いに安心して仕事を任せられるなと感じますね。人間関係も良くてトラブルも起きにくく、コミュニケーションもかなり取りやすいです。

谷澤さん

社内の雰囲気については、ここ数年で一気に良くなったという実感があります。コロナ禍になってコミュニケーションの必要性を改めて考えるようになったのもありますが、同じ時期に採用を強化したことも影響しているのではないかと考えます。

IPAは国の政策実施機関なので、2004年に立ち上げられた当初から「実施すべき仕事」というのは明確にありました。そのため基本的に外部の民間企業の即戦力人材に動いてもらいながら、IPAのプロパー職員は管理的な役割を担うことが多くなっていました。

ただそういった感じで進めていくと、どうしてもIPAとしての舵取りが難しい状況が生じてきてしまいます。今後は管理の役割としてだけでなく、IPAの職員が外部の人間としっかりと話をし、事業方針にも携わる必要が出てくる。だからこそ正職員を採用し、しっかりIPAイズムを育てていかなくてはならない、と思うようになりました。

そこで、時間はかかってもIPAの人材を育てていこうという方針を打ち出し、中途採用や新卒採用を強化するようになりました。それまでは数人しか採用してきませんでしたが、この5年で50人近く採用するなど、大幅にプロパー職員を増員しています。実際に採用した職員は、どんどんプロの人たちの仕事の仕方を見ながらスキルを磨いていってくれています。

新たに採用した若い世代の職員は、IPAの雰囲気づくりにも貢献してくれているなと感じます。すごくパワーがあるんですよ。もう少し上の世代になると縦と横のつながりをつくる機会を設けることを億劫に感じたり、仕事中心の生活をしていたりということがあるのですが、若い世代の方同士がすごく仲が良くて、積極的にコミュニケーションを取っています。そういうパワーが、会社全体の雰囲気に対してとても良い影響を与えているなと思いますね。

編集部

新卒採用も含めて職員の方が増えていっていることで、IPAさんの組織自体が力を増しつつ、そういった若手の方たちのパワーが良い雰囲気づくりにも作用していることも良く分かりました。

公共×ITに興味を持つチャレンジ精神を持つ人を歓迎

独立行政法人情報処理推進機構インタビュー写真

編集部

最後に、記事を読んでIPAさんに興味を持った読者の方に向けて、採用メッセージをお願いします。

池元さん

今はコロナ禍や戦争、自然災害など、世の中の環境変化が大きい時代に入っていると思います。IPAは世の中の激しい変化の中でも経済産業省の政策実行機関として、最新の政策に携われる機会を非常に多く得られます。最先端の政策に携わりたい方は、ぜひIPAに来ていただければと思います。

寺江さん

先ほどのお話にもあった通り、IPAではこの5年以内でかなり新卒採用、中途採用を強化しています。それに加えて出向の方もたくさんいて、多くの経験や知見が集まっているなと感じます。すごく刺激的で、相互に学び合うことの多い職場環境です。

もしかすると、それまでの経験から、自分はあまりIPAには向いていないのではないかと感じられる方もいるかもしれません。でもその経験は必ず何かの役に立つと思います。いろいろな経験を持った方と会ってお話することができるのを、私は楽しみにしています!

谷澤さん

IPAはIT・デジタルで世の中を良くしていく公共機関である、というのが前提にあります。そのためやはり「公共×IT」ということに興味を持つ方に活躍いただきたいなと思いますね。

仕事自体は何かに特化した専門技術が必ずしも必要なわけではありません。しかし今IPAで活躍している人、楽しく仕事をしている人を見ると、やはりITやデジタルに興味を持つ人が多くなっています。

IT業界は日々めまぐるしく変わっています。変化が激しいだけでなく、この先にどのような波が来るのか分からないのもITの特徴です。IPAとしてはスキルだけでなく、いろいろなところにアンテナを張って楽しみながらIT領域に突き進むチャレンジ精神を持った人を歓迎します。そういう方であれば、絶対に活躍できる場を提供できると思いますので、一度門を叩いてみてください。

編集部

IPAさんにはさまざまな知見を持つ人たちが集まり、国の最先端の政策を推進していけるとても刺激的な環境があると感じました。

本日はお忙しい中貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

■取材協力
独立行政法人情報処理推進機構:https://www.ipa.go.jp/index.html
採用ページ:https://www.ipa.go.jp/recruit/index.html