業界が抱える課題解消につながる新しい取り組みを行う企業を紹介するこの企画。今回は訪問介護事業と、介護事業所運営のノウハウを生かした社会課題解決のための事業開発を行うユースタイルラボラトリー株式会社にお話を伺いました。
介護業界に新たなソリューションを提供するユースタイルラボラトリー株式会社
ユースタイルラボラトリー株式会社は「すべての必要な人に、必要なケアを届ける。」というミッションを掲げ、全国各地で重度訪問介護や訪問介護・看護サービスを展開しています。また介護・福祉サービスのノウハウとITの力を活用し、2025年問題（※）を見越したさまざまなソリューションを提供しています。
※2025年問題…団塊世代が全員後期高齢者となり超高齢化社会を迎えることで生じるさまざまな影響のことを指す。
| 会社名 | ユースタイルラボラトリー株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 東京都中野区本町1-32-2ハーモニータワー18階 |
| 事業内容 | ・介護事業 ・看護事業 ・教育事業 ・人材事業等 ・フランチャイズ事業 ・経営支援事業 ・就労支援事業 ・海外事業 |
| 設立 | 2012年2月 |
| 公式ページ | https://eustylelab.co.jp/ |
| 働き方 | ハイブリッド勤務 フレックスタイム制度 |
今回のインタビューはユースタイルラボラトリーで展開するさまざまな事業の中でも、ユースタイルラボラトリーの正社員が「CS社員」として介護施設・病院に出向して介護業務等を行う「C×S（シーバイエス）事業部」にフォーカスしています。C×Sの事業の意義や今後の展開、そして「介護職の新しい働き方」を打ち出すその働き方について、CxS事業部の松橋美紀子さんに詳しく伺っていきました。
さまざまな介護現場を経験できる「C×S事業部」のCS社員
編集部
早速ですが、まずユースタイルラボラトリーさんのC×S事業部の事業内容についてご説明ください。
松橋さん
C×S事業部は簡単にいうと、ユースタイルラボラトリーの正社員が「CS社員」という形で介護施設に出向し、介護現場のお仕事をするものです。期間の定めはないため、1年以上同じ施設に在籍するCS社員もいますが、原則いろいろな出向先を経験してもらっています。
編集部
CS社員としていろいろな介護現場を経験することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
松橋さん
「介護施設」と一口に言っても、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどさまざまな形態があり、同じ種類の施設でも法人が違えばまったく違う運営を行っているんです。CS社員がなるべくさまざまな施設を経験することで、介護知識はもちろんのこと、人間関係も含めた介護現場での経験値をつけ、どこの施設に行ってもきちんとしたケアを提供できるという効果が期待されます。
また、さまざまな知識と経験を得たCS社員が出向先の施設との信頼関係を築くことで、施設の抱える課題解決についてユースタイルラボラトリーが助言できるケースもあるかもしれません。もちろんいきなりそこまで介入するのは難しい部分もありますが、将来的にはこのC×S事業がそこまで展開するものになっていくのが理想です。
それは出向先の施設にとってプラスになるのはもちろん、CS社員のやりがいにもつながると考えます。私自身介護施設で働いてきた経験を持っていますが、一つの施設で働いている中では見えてこない解決策も、CS社員としてさまざまな現場で経験を積むことで提案していけるのではないかと思っています。それを介護現場の改善につなげていけたら、ただ現場で働く以上のやりがいを得ることができるのではないでしょうか。
C×S事業部とは？特徴1：介護職を通じた自分らしい働き方が発見できる
編集部
一般的に介護施設で働くとなると、その施設の正社員として働くか、あるいは派遣会社に登録して人材派遣という形で働く方が多いと思います。C×S事業部のCS社員ならではの特徴は何なのでしょうか。
松橋さん
そもそもこの「C×S」という名前は、介護を意味する“ケア”と4つの”S”をかけ合わせてつくっています。この4つの“S”に絡めて、C×S事業部の持つ特徴をご説明させていただきます。
まず1つ目がケアדSomething”、つまり「何か」ということです。介護職を通じて「自分らしい働き方」「目指したいキャリア」を見つけてほしいという意味を込めています。介護施設の正社員として働き続ける場合、介護主任や施設長などのポジションを目指すのが一般的かなと思います。しかしユースタイルラボラトリーのCS社員として働くことで、マネジメントや営業など、多様なキャリア選択の可能性を広げていくことができるのが特徴です。
C×S事業部とは？特徴2：介護現場の人材問題を解決する
編集部
C×S事業部の2つ目の特徴を教えてください。
松橋さん
2つ目はケアדSolution”、介護×人材提案による課題解決です。介護業界全体で慢性的な人材不足の課題を抱えており、当然出向先でも同じく人材不足に悩んでいるケースが多くなっています。CS社員が出向して技術提供することは、人材不足に対する一つの解決策を提示できているのではないでしょうか。
加えてCS社員の場合、ユースタイルラボラトリーが責任を持って必ず契約期間満了までCS社員に働いてもらっています。その点で、施設側の安心感にも寄与していると思います。
編集部
ただの人材派遣ではなく、ユースタイルラボラトリーさんの正社員としてしっかりと仕事をまっとうできる人材が出向しているということですね。CS社員自身の特性によるところもあると思いますが、責任感などの適性はどのように担保されているのでしょうか。
松橋さん
採用の時点で、その部分に重点を置いて選考しているのが大きいですね。ユースタイルラボラトリーに応募してくる方は経験の長い方もいれば未経験の方もいますが、単純に経験だけを重視するのではなく、未経験であっても「これから介護業界でやっていく」という覚悟を持っている方を採用しています。そういった「技術を学ぼう」「現場の力になろう」という姿勢が出向先の施設の方にも伝わっているのではないでしょうか。
C×S事業部とは？特徴3：介護福祉士の資格取得に向けたサポート体制
編集部
C×S事業部の3つ目の特徴は何ですか？
松橋さん
3つ目はケアדSchool”。これは介護×自社スクールでの資格取得を支援するものです。介護資格はいくつかありますが、ユースタイルラボラトリーでは「実務者研修」というカリキュラムを無料で受講可能です。これを受講して3年間実務経験を積むと、国家資格である介護福祉士に挑戦できます。介護福祉士になるためには3年の現場経験が必須のため、未経験の場合は最短で介護福祉士を目指すことを一つの目標としています。
介護福祉士の資格を取得することで、介護業界での市場価値は非常に高まります。働いている上でのモチベーションにもつながってくるのではないでしょうか。介護福祉士の資格を取得して経験年数を重ねることでスクールの講師を目指すこともでき、さらにキャリアの選択肢が広がっていきますよ。
C×S事業部とは？特徴4：介護現場での仕事だけでなく、“営業”的視点が身につく
編集部
C×S事業部の4つ目の特徴を教えてください。
松橋さん
最後はケアדSales”です。ユースタイルラボラトリーでは「ユースタイルキャリア」という求人サービスなど、介護現場の困りごとを解決するための各種ソリューションを自社開発しています。介護現場で働きながら、その施設での課題が解決につながるような自社商品の提案営業を行うことが可能です。
これは最初にお話した、CS社員としてのやりがいにつながる部分です。介護現場で働きながら、営業も行えることは新たなキャリアの可能性につながり、働く上でのやりがいになっていくのではないかと考えます。
編集部
なるほど。C×S事業部の特徴について、4つの“S”から説明いただくことで良く理解できました。施設と働く側双方に大きなメリットをもたらす、とても発展的な事業なんですね。
全国1,800名組織を目指す！C×S事業部の成長の可能性
編集部
C×S事業部の成長がわかるような具体的な数字などがあれば教えてください。
松橋さん
3月に立ち上げてからここまで、CS社員の人数は順調に増加しており、現在は全国で35名います。東北から関東首都圏、関西、中部、九州など全国的にどんどん人数が増えている状況です。
CS社員となることでキャリアの可能性が広がるというお話をさせていただきましたが、実際に介護現場を経て本部の内勤になるであろうメンバーなど、キャリアステップを踏んでいるメンバーがいます。人員拡大しながら、一人ひとりの挑戦も実現していることを皆さんに知っていただきたいなと思っています。
編集部
今後もCS社員の増員はしていくご予定ですか？
松橋さん
はい。今はまだ30名強ですが、全国で1,800人近くの大きな組織にしていくことが目標です。売上的にもユースタイルラボラトリーのメイン事業である重度訪問介護事業にひけを取らないくらい大きな事業に発展させていけたらと思っています。
編集部
1,800人というと、ものすごく大規模な組織になりますね！
松橋さん
超高齢化社会に突入していく中で、介護現場の課題をどんどん解決していかないと、介護業界全体が良くなっていかないと思っています。そのためにユースタイルラボラトリーができるのが、現場で起きていることをより早くキャッチアップしていくことです。
だからこそ全国各地で多くのCS社員が出向し、現場の課題を吸い上げていくのはとても重要なんです。1,800人というのはびっくりするような数字かもしれませんが、ユースタイルラボラトリーはそのくらいの気持ちでC×S事業を進めているということが伝わればと思います。
夜勤は希望者のみ。介護職の新しい働き方を考えるC×S事業部
編集部
ここからはC×S事業部の働き方に焦点を当てていきたいと思います。CS社員の皆さまはどのような働き方をされているのでしょうか？
松橋さん
C×S事業部では「介護職の新しい働き方の実現」を目指しています。例えば介護というと夜勤が必須というイメージがあると思いますが、ユースタイルラボラトリーの場合はあくまで本人の希望するライフスタイルを大切にし、夜勤は希望者のみとしています。我々も、本当は介護のお仕事が好きなのに、夜勤が難しいからという理由で離れてしまう人がいるのは残念だなと思うんです。いろいろなライフスタイルを持つ方が安心して働いていただけるよう、さまざまな働き方の選択肢を提示していけたらと思います。
年間休日もしっかりと確保していますし、有給も問題なく取っていただけますよ。残業も平均月5時間です！もちろん施設によって状況は違いますし、個人差もありますが、仕事とプライベートを両立できる働き方を実現できているのではないかと思います。
部署間異動も可能。ライフスタイルの変化や「挑戦」を支える働き方
▲オンライン会議を実施することも。リモートワークでも問題なくコミュニケーション可能
編集部
「いろいろなライフスタイルを持つ方が働けるように」とのお話がありましたが、ユースタイルラボラトリーさんでは子育てをしながら働かれている方も多いのでしょうか。
松橋さん
そうですね。内勤で働いているメンバーは子育てしながら働いている者が多く、フレックス制度やリモートワークを利用しながら仕事と子育てを両立しています。ユースタイルラボラトリーでは育児休暇を取得した後に復帰しているメンバーもいますよ。
介護現場で働くCS社員の場合も、事情がある場合はユースタイルラボラトリーから出向先の施設様に相談し、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方ができるよう調整しています。もちろん決められた時間内にしっかりと仕事をするのが大前提で、必ず希望通りになるわけではありませんが、都度相談しながら多様な働き方を実現できるようにしています。
編集部
元々別の介護施設で働いていた方が出産を経てユースタイルラボラトリーさんのCS社員としてジョインする例もありますか？
松橋さん
はい。子育てが一段落してまた介護施設で働きたいけれど、介護施設の職員ではなく違う働き方を求めてCS社員になってくださる方もいらっしゃいますよ。
逆にCS社員としてユースタイルラボラトリーにジョインしてくださった方が、部署間異動をする場合もあります。必ずしもライフステージが変化した場合だけでなく、違うことに挑戦したくなった場合であっても、「挑戦したい」という気持ちを会社として後押ししています。私自身は、C×S事業部のみです。部署間の異動が可能であることを、社内の動きから、改めて実感しています。
今ユースタイルラボラトリーでは新しいサービスがどんどん生まれています。部署異動によって幅広い職種を経験できるという点でメリットがある一方、別の部署で何をしているのか社員間で不明瞭になっている部分も生じています。これを解消するために、いかに社内の部署間の壁を取っ払い、連携を深めていくかというのは今後の課題ですね。
幅広いキャリアの可能性と、施設の役に立つ実感が得られる“働きがい”が魅力
編集部
働き方に関連することとして、キャリア形成に関しても具体的にお伺いできればと思います。ユースタイルラボラトリーさんではどのようなキャリアステップを踏んでいく方が多いのでしょうか。
松橋さん
CS社員に限らず会社全体的な話でいうと、ユースタイルラボラトリーには「ティール組織」という役職のない組織文化があります。年齢や勤続年数、雇用形態に関係なく、成果を平等に評価する人事評価制度を敷いているのが特徴です。
CS社員に限っていうと、まずは現場で働くこと、介護福祉士の資格を取得することは必須としています。しかしそれ以降のキャリアステップに関しては、年数や経験にこだわらず、本人の希望や適性、現場からの評価、ユースタイルラボラトリーの評価をあわせてキャリアを進めていけるような環境づくりをしています。
編集部
実際に働かれているCS社員の皆様からは、働き方やキャリアに関してどのような声が上がってきていますか。
松橋さん
「多様なキャリアを目指せる」というところに魅力を感じる方が多いですね。介護施設で何年か勤務して、もっといろいろな経験をしたいと思っていた方にとっては魅力的な環境があるのだと思います。「営業経験はまったくないけれど、営業を行うことにも興味がある」と言ってくれる声もとても多くなっていますよ。
先ほど言ったような、出向先の施設の困りごとを解決するような存在になれるということに惹かれて応募してくださる方も少なくありません。実際に働いてみるとそこまでの信頼関係を築くことが大変だと実感される方もいるようですが、本社から「〇〇さんが来てくれて助かっています」という声をフィードバックしながら、CS社員の方の働きがいにつなげています。
採用拡大中！気軽な気持ちで面接に進む人が増えてほしい
編集部
最後に、採用についてお伺いします。先ほどCS社員は数千人規模で全国的に拡大していきたいというお話がありましたが、今後も採用活動は活発に行われていく予定なのでしょうか。
松橋さん
はい。どんどん採用していきたいなと思っています！月目標でいうと10名は新規採用をしていきたいくらいの勢いです。
CS社員の募集要項の中では「介護職アドバイザー」という言葉を使っているので、もしかすると難しいのではと不安に思われる方もいるかもしれません。しかしここまでお話してきた通り、CS社員は介護職の新しい働き方を実現しながら、介護の現場に貢献できるお仕事です。「まずは話を聞いてみたい」というような気軽なお気持ちで面接に進んでいただける方が増えるとすごく嬉しいです！
求める人物像は「素直さ」「覚悟」がある人
▲採用において求めることとして「素直さ・覚悟」というキーワードを挙げていただいた松橋さん
編集部
ユースタイルラボラトリーで採用にあたり重要視しているポイントは何ですか？
松橋さん
経験や資格があるのはもちろん必要なことではありますが、最も重要視するのは「素直さ」があるかどうかです。経験者においては、経験や年齢を重ねていることで逆に凝り固まった視点を持っていないか、柔軟に働いていただけるかという点は採用面談を進める中で見極めています。
未経験者については「覚悟」をみています。介護は誰でも気軽にできるという仕事ではありません。もちろん資格のための努力も必要です。介護のお仕事をやっていく覚悟が備わっている方かという点は重要な判断材料の一つとしています。
コミュニケーションがかなり重要なお仕事です。自信がない・苦手という方でも、挑戦した・克服したと思っていただける方に是非ご応募いただきたいです。
編集部
インタビューから、ユースタイルラボラトリーさんが介護現場を良くするための強い思いを持っていることが伝わってきました。介護のお仕事に興味があるけれど、働き方やキャリアアップの面で不安があるという方にとって、ユースタイルラボラトリーさんのC×S事業部では新たな可能性を切り拓きながら働いていくことができそうです。本日はお忙しい中、ありがとうございました！
■取材協力
ユースタイルラボラトリー株式会社：https://eustylelab.co.jp/
採用ページ：https://eustylelab.co.jp/care-ms/