働き方や組織作りで先進性を発揮している企業を紹介するこの企画。今回は、データトラブルの問題解決を専門に行う「デジタルデータソリューション株式会社」をご紹介します。
デジタルデータソリューション株式会社とは?
デジタルデータソリューション株式会社は、日常に潜むさまざまなデータに関するトラブルやリスクに対して、ソリューションを提供する企業です。例えば急激な拡大を見せるサイバー攻撃、自然災害によって失われる膨大なデータ、高齢化社会が生み出す未継承のデジタル資産といった、データに関するあらゆる問題を解決しています。
中でも、同社が強みとしているのが、失われたデータを復旧するサービス「デジタルデータリカバリー」です。HDD、MicroSD、サーバーなど記憶媒体のデータを、それぞれの症状に合わせ、専門のエンジニアが復旧します。2011年1月以来、法人や官公庁をはじめ累計36万件以上の実績があります。
■デジタルデータリカバリーのサービスサイト
https://www.ino-inc.com/
さらに最近、注目されているのが、消された証拠データの調査や解析を行うサービス「デジタルデータフォレンジック」です。「フォレンジック」とは、もともとは「法廷の」という意味で、IT業界では「デジタル・フォレンジック」と呼称し、デジタル機器から法的証拠に関わる情報を抽出する手法を指します。
■デジタルデータフォレンジックのサービスサイト
https://digitaldata-forensics.com/
このほか、セキュリティ事業などのサービス分野で高い技術力を発揮するデジタルデータソリューションは、「世界シェアNo.1のデータソリューションカンパニー」をビジョンに掲げ、世界中からデータトラブルで困る人をなくしたいという想いで事業を展開しています。
会社名 | デジタルデータソリューション株式会社 |
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住所 | 東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー15階 |
事業内容 | ・データリカバリー事業 ・フォレンジクス事業 ・セキュリティ事業 |
設立 | 1999年6月14日 |
公式ページ | https://www.digitaldata-solution.co.jp/ |
デジタルデータソリューション株式会社は社員数192名(※)、社員の平均年齢は28.8歳という若い組織です。ビジョン達成に向けて活躍する若手メンバーの様子や成長を促すさまざまな制度、社内のカルチャ―などについて、事業戦略部の嘉藤哲平さんにお話を伺いました。嘉藤さんは27歳で事業部長を務める若手マネージャーの1人です。(※)2023年1月時点
データ復旧専門業者として14年連続国内売上首位
▲デジタルデータソリューションさんの企業理念(同社HPより)
編集部
はじめに、デジタルデータソリューションさんの事業内容について、ご紹介いただけますか?
嘉藤さん
弊社は「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します。」という経営理念のもとに、あらゆるデータトラブルの解決を事業として展開をしています。
事業の柱は今3つあるのですが、1つめは「データリカバリー事業」です。これは主に壊れてしまったパソコンやハードディスク、サーバーなどからデータを復旧する事業です。デジタルデータソリューションはデータ復旧専門業者としては、14年連続国内売上ナンバーワンを誇っています(※)。
(※)データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に、保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと。第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく(集計期間:2007年〜2020年)
2つめが、「フォレンジクス事業」というもので、サイバー犯罪や不正アクセスが行われた際に、パソコンやスマートフォン内の痕跡を調査するものです。国内のサイバー攻撃の増加を背景に、業界としても需要が非常に伸びています。
3つめが、「セキュリティ事業」です。われわれはデータリカバリー事業やフォレンジクス事業など、困っているお客様を助けるという事故対応をメインにしていましたが、困っている人を出さないに越したことはありません。そこで、サイバー攻撃の予防や不正の予兆検知といったセキュリティサービスやセキュリティプロダクトも自社で開発しています。
編集部
データトラブルで困っている人を助けるための事業から、困っている人を生み出さないための事業も展開されているのですね。データリカバリー事業では14年連続国内売上首位というお話がありましたが、デジタルデータソリューションさんの技術力の高さを表す数値などがあれば教えてください。
嘉藤さん
技術力として一番わかりやすいのは、データリカバリー事業における復旧率の最高値95.2%(※)です。また、ご依頼の約80%を48時間以内に復旧しており、スピード対応も誇れるところです。
これらを支えているのは、本社にあるラボの存在です。弊社は東京・六本木ヒルズにオフィスがあるのですが、半分くらいが丸々ラボになっています。各事業のラボをワンフロアに構えることで、横断的なサービスの提供や研究開発をスピーディーに行えるようになっています。
(※)2018年2月実績。復旧率=データ復旧件数/データ復旧依頼件数(2017年12月~2021年12月の各月復旧率の最高値)
”デジタル鑑識”と呼ばれる「デジタル・フォレンジック」事業も注目されている
▲フォレンジクス事業部で働くエンジニアたち
編集部
デジタル・フォレンジックというのは一般的にまだなじみがない言葉だと思いますが、どのようなことをするのでしょうか?
嘉藤さん
ホワイトハッカーと呼ばれるエンジニアのもと、事故対応をする事業です。「デジタル・フォレンジック」は日本語では”デジタル鑑識”と呼ばれており、警察が行う犯罪捜査を電子化したようなものと考えていただくとわかりやすいと思います。
事件に使われたパソコンの内部にあるログを取ってきて、悪者であるブラックハッカーがどんな経路で入り、どんな不正をしたのかを明らかにしていきます。こうした仕事は、犯罪捜査を行う捜査員のイメージに近いかもしれません。
不正はハッカーによる攻撃だけでなく、企業の退職者による情報の不正持ち出しなどもあります。個人のお客様からは「自分のスマホがハッキングされていないか心配だから調べてほしい」といった依頼もあります。
編集部
わかりやすいご説明をありがとうございます。デジタル・フォレンジック市場において、デジタルデータソリューションさんの強みはどこにありますか?
嘉藤さん
データリカバリー事業での実績があることです。ログデータはハードディスクやSSD、メモリなどの記録媒体に格納されていきますので、その解析技術を持っていることが強みです。データリカバリーの知見を活かし、デジタル・フォレンジックにおいてもより有効な証拠を出せるのが他社にはない特長です。
実力主義だからキャリアを積むスピードが速い
▲「1年ごとに異動を繰り返し、超高速でキャリアを積んだ」と語る嘉藤さん
編集部
ここからは、デジタルデータソリューションさんでの若手活躍についてお聞きしたいと思います。社内には若手のリーダーが多いのでしょうか?
嘉藤さん
はい。課長職や係長職は20代が圧倒的に多く、事業部長もほぼ30代です。弊社では20代後半はリーダーやマネージャーの「適齢期」と言いますか、20代後半になるともう仕事を任される年齢です。
編集部
20代で責任あるポジションに就いた方の事例を伺いたいのですが、嘉藤さんがまさにそのお1人でいらっしゃると思います。ご入社から現在に至るまでの経験をお聞かせいただけますか?
嘉藤さん
私は新卒入社で、1年目はデータリカバリーのエンジニアをやっていましたが、あまり性に合いませんでした。2年目にマーケティンググループに異動し、自分の得意分野はマーケティングであると気づかされました。そして3年目にマーケティンググループの課長になり、実績を上げたことで、4年目にはフォレンジクス事業の事業部長に就きました。
このように1年ごとに異動を繰り返し、超高速でキャリアを積んでいくような環境でした。その後は採用や事業開発を強化するための事業戦略部という部署を立ち上げさせてもらい、現在は部長を務めています。
編集部
嘉藤さんがスピード成長できた背景や原動力は何だったのでしょうか?
嘉藤さん
中小規模の企業ならではのアクティブさがあり、PDCAを素早く回せたこと、そして、実力主義でどんどんチャレンジできる環境があったことです。異動でさまざまな経験をしたことで、一般的なキャリアの積み方とは違う成長ができたと思っています。
また、早い段階で役職に就けたことで、ニュースにも取り上げられるような大きな案件の最前線で仕事することができました。デジタルデータソリューションは世の中ではまだあまり知られていない会社かもしれませんが、やっていることの社会への影響力や社会貢献性を感じたことが成長の原動力となりました。
編集部
ニュースに取り上げられるような案件とは、どのようなものがあるのでしょうか?
嘉藤さん
例えば豪雨が原因でデータが水没してしまったというケースや、企業様が大きなサイバー攻撃を受けて情報漏えいしてしまったといったケースです。自然災害や情報漏えいは社会ニュースになりますが、その裏でデータ復旧や調査を行うのが私たちの仕事です。
編集部
デジタル社会の進展の中でデータに関するトラブルは多発しています。チャレンジできる環境があるとともに社会貢献性の高い事業であることが、やりがいになっているのですね。
平均年齢28歳。若手がモチベーション高く働くための社内制度がたくさん
▲インサイドセールスとして働く若手メンバー。デジタルデータソリューションさんは社員の9割を20~30代が占める
編集部
デジタルデータソリューションさんで若手の方が活躍できる背景について、もう少し詳しく伺いたいと思います。組織や事業の特徴も関係するのでしょうか?
嘉藤さん
はい。まず、約200名いる従業員の平均年齢が28歳と非常に若い組織であることが挙げられます。20代が47%、30代が43%を占めており、圧倒的に若手メンバーが多い職場です。
また、事業領域も、若手ならではの情報収集力や、小さいころからパソコンやスマホを使っているデジタルネイティブならではの感性が活かされる領域であるため、若い人材が活躍できているのだと思います。
編集部
若手の方がモチベーション高く働くためのサポートや制度にはどのようなものがありますか?
嘉藤さん
一人ひとりの頑張りを給与や表彰できちんと評価する制度があります。特にインセンティブ制度は充実しており、年2回の評価に加えて、職種にかかわらず事業部の目標達成で毎月インセンティブが支給されます。ちなみに、これまでもっとも成果を挙げた営業社員は、1つの案件だけで100万円が支給されました。
また、社内の等級ランクは年齢に関係なく、スキルやポテンシャルを評価されてどんどん上がっていき、それが給与に反映されます。
編集部
実力次第で大きな報酬やポジションを得られることが、若手の方のモチベーションの1つになっているのですね。嘉藤さんは異動することで経験を積まれたとおっしゃっていましたが、異動に手を挙げることもできるのですか?
嘉藤さん
月に1回、成果に対する進捗確認やフィードバックのために上長と1on1を行っており、希望の声はなるべく拾えるようにしています。また、半期に一度、自ら手を挙げて異動できる「キャリチャレ」という制度もあります。キャリアの無駄がないようにと言いますか、個々人の力を発揮しやすい環境を作っています。
編集部
「ポジションがないから」「上の人が詰まっているから」といった理由でステップアップが止まることがない環境なんですね?
嘉藤さん
そうですね。ポジションがないどころか、人員が追いつかないぐらいのスピード感で、新しい事業部が作られていきます。ですので、責任者候補はまだまだ足りません。20代や30代前半くらいの若手の方で、今の会社でくすぶっているような方や、なかなか上が見えないと悩んでいるような方には、腕試しの場としても良いと思います。
編集部
スピーディーに事業拡大を続けるデジタルデータソリューションさんの最前線では、若手が中心となって活躍されていることがわかりました。
挑戦することも支え合うことも大切にしている
編集部
デジタルデータソリューションさんの社風やそれを象徴するエピソードがあれば、教えていただけますか?
嘉藤さん
弊社は会社のくくりとしては「ITベンチャー企業」になると思いますが、社風はこの言葉から感じられる”ノリ”はなく、どちらかと言うとプロ意識の高い人の集まりという感じです。
また、実力主義かつ挑戦する社風の一方で、支え合うことをとても大事にしています。「困った人を助ける」という理念を掲げて事業をしていますので、まずは社内で助け合いの意識が浸透していなければいけません。
支えることというと、目に見えた成果になりにくいものが多いと思います。そこをしっかり評価するために、評価指標には定性的な頑張りを評価する項目を設けています。
また、社内に「フィロソフィーバッジ」といって周囲でお手本となる行動をした社員を称える制度があるのですが、このバッジの1つに「支え合う」が入っています。
フィロソフィーに沿う行動をした社員を社内SNSで称賛
▲デジタルデータソリューションさんでは社員共通の価値基準「DDSフィロソフィー」を大切にしている(同社採用サイトより)
編集部
「フィロソフィーバッジ」は会社の理念を浸透させる取り組みなのですね。詳しく教えてください。
嘉藤さん
まず、弊社にはデジタルデータソリューション(DDS)の企業理念とビジョンの実現に向けて、従業員の価値基準となる「DDSフィロソフィー」があります。「フィロソフィーバッジ」はこれに基づき、作られています。
バッジの使い方は、「DDSフィロソフィー」に沿う行動をした社員がいた際に、社内チャットで「フィロソフィーバッジ」という独自のアイコンを添えて全社に共有するものです。バッジには「支え合う」「積極的な行動」「1秒でも早くお客様の助けに」「歴史をつくる」といったさまざまなものが50個以上あり、1ヵ月に1人5個まで贈ることができる仕組みになっています。
編集部
バッジは上長がメンバーに贈るのですか?
嘉藤さん
いえ。「フィロソフィーバッジ」の仕組みにおいては全員が対等な関係なので、下から上に贈ることもあれば、上から下に贈ることもあります。先月は確か1ヵ月で50個ぐらいのバッジが贈られていましたので、平均すると毎日2~3人がバッジで称えられていました。
バッジをモチベーションにしている社員もいますし、だれかを称える報告が毎日チャットに上がってくるのは嬉しいです。サポートの文化にもつながっていると思います。
編集部
一緒に働く方の日常の行動を称え、共有する文化があることで、社員同士での助け合いや協力を促しているのですね。
営業もエンジニアもワンフロアで働く。物理的にも心理的にも壁のない会社
▲ワンフロアにエンジニアやセールスチームがそろうデジタルデータソリューションさんの本社オフィスの様子
編集部
デジタルデータソリューションさんでは、部門を超えた連携やコミュニケーションも活発でしょうか?
嘉藤さん
はい。各事業のラボをワンフロアに構えているとお話しましたが、広いオフィスのワンフロアにエンジニアもセールスチームもいるため、オフィス内は壁がほとんどないんです。そのため、セールス担当がお客様に技術要件を聞かれて答えられないときには、エンジニアにすぐ聞きに行ける環境があります。
編集部
お客様へのスピーディーな対応という意味でもメリットがありますし、社内の部門間の壁をなくすという意味でもいい影響がありそうですね?
嘉藤さん
はい。弊社は、物理的にも心理的にも壁のない会社です。部門間の壁はすごく薄いと思います。
編集部
「壁をつくらない」文化を感じる場面は他にもありますか?
嘉藤さん
ラボを公開しているところです。お客様に実際のラボの環境を見て意思決定をしていただけるように、希望があればラボ見学をご案内しております。また、採用活動でも、入社予定の方にラボを見ていただきます。働く環境や雰囲気も感じ取っていただけていると思います。
編集部
デジタルデータソリューションさんは業務上、機密性の高い情報を取り扱うため、第三者機関の警備やセキュリティゲート、監視カメラを配置しているとホームページで拝見しました。セキュリティを保ったうえで、壁をつくらない姿勢も持っていらっしゃるのですね。
裁量を持って働きたい人、理念に共感した人はぜひ応募を
▲クリーンルームで作業するエンジニアたち。デジタルデータソリューションさんには理念に共感したメンバーが集まっている
編集部
最後に、採用について伺います。デジタルデータソリューションさんは第二創業期を掲げ、メンバーを募集していらっしゃいます。こんな人に応募してほしい、こんな思いを持った人に来てほしいといったメッセージをいただけますか?
嘉藤さん
「ビジネスで一旗揚げたい」という意欲のある方、裁量を持ってどんどんチャレンジしていきたい方には、ぜひ応募していただきたいです。また、「今の会社ではアグレッシブな行動ができない」「自分の強みを最大限発揮できない」と感じている方は歓迎します。
大事にしているのは、理念に共感してもらえることです。今、転職を考えている方の中には、報酬面以外にも、「この事業が本当に誰かの役に立つのか」ということを気にする方もいると思います。そういった社会貢献度の高い仕事をしたい方には、うちの事業ドメインや理念は非常にマッチするのではないかと思います。
キャリアの軸ずらし転職も可。チャレンジできる環境がある
編集部
「デジタルデータリカバリー」や「デジタル・フォレンジック」と聞くと、専門性が求められるイメージもありますが、スキル要件はありますか?
嘉藤さん
教育体制は結構しっかりしており、社員は理系より文系出身の方が多いんですよ。データ復旧やデジタル・フォレンジック、セキュリティ分野を経験している人は全国でも本当に少ないと思いますので、スキルセットは気にしていません。
編集部
新しい職種にチャレンジしたいという人も歓迎でしょうか?
嘉藤さん
はい。専門職でエンジニアをやりたいという方、専門職としてセールスをやりたいという方も、もちろん歓迎ですが、総合職のような感覚で応募してくださってもオープンポジションでお迎えできます。
社内にはキャリアの軸をずらして活躍している人もたくさんいます。例えば、今、SIerなどでエンジニアをされている方であれば、エンジニアとして働くこともできますし、エンジニアの知見を生かしてセールスとして活躍することもできると思います。
編集部
プロフェッショナルを目指すマインドを持った方であれば、どんな形でも活躍できる環境があるのですね。嘉藤さん、本日はありがとうございました!
■取材協力
デジタルデータソリューション株式会社:https://www.digitaldata-solution.co.jp/
採用ページ:https://www.digitaldata-solution.co.jp/recruit/