医療など新規事業に進出する「カシオ計算機株式会社」でエンジニアが働く魅力とは

注目企業の新しい働き方や、社員の活躍を後押しするワークライフバランスについて紹介する本企画。今回は腕時計のG-SHOCK、電子辞書のEX-wordなど、多種多様な製品の開発・製造・販売を行う電機メーカー「カシオ計算機株式会社」にインタビューしました。

様々な分野でブランドを確立する電機メーカー「カシオ計算機株式会社」

カシオ計算機株式会社は、時計や電子辞書、電卓、電子楽器などの各製品、総合学習プラットフォームなどEdTechの領域、さらには経営支援システムなどのソリューション提供まで、幅広い事業を展開している電子機器メーカーです。

腕時計のG-SHOCKやBABY-G、電子辞書のEX-word等、多種多様な分野において先進的な製品を生み出していることで確固たる地位を築き、国内にとどまらず海外にもその技術力と商品力を発信しています。

会社名 カシオ計算機株式会社
住所 東京都渋谷区本町1-6-2
事業内容 時計、電子辞書、電卓、電子文具、電子楽器、ハンディターミナル、電子レジスター、経営支援システム、データプロジェクター、成形部品、金型などの製造・販売
設立 1957年6月1日
公式ページ https://www.casio.com/jp/
働き方 ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク)

現在、カシオ計算機株式会社では、時計やデジタルカメラ事業で培った精密加工・画像解析技術などを生かした、新規事業の創出に取り組んでいます。

新規事業の1つであるメディカル事業としては、皮膚科向け製品「ダーモカメラ/ダーモスコープ」、婦人科向けの「コルポカメラ」を発売。そのほかAIを活用した皮膚科用の診断支援サービスの展開を予定するなど、事業の確立を進めています。

今回はメディカル事業のエンジニアとして活躍する斉藤さんと人事部の上野さんのお二人に、カシオ計算機株式会社におけるエンジニアの働き方や強み、社員のワークライフバランスを実現する制度などについてお話を伺いました。

本日お話を伺った方
カシオ計算機株式会社NBセンターメディカル企画開発部の斉藤さん

カシオ計算機株式会社
NBセンターメディカル企画開発部 企画開発室

斉藤篤さん

カシオ計算機株式会社人事部の上野さん

カシオ計算機株式会社
人事部 採用教育グループ

上野友也さん

新規事業のメディカル分野で活躍するエンジニアの業務内容とは

カシオ計算機株式会社NBセンターメディカル企画開発部の斉藤さんの勤務風景

編集部

はじめに、斉藤さんがエンジニアとしてどんなお仕事をされているのかお聞かせいただけますか?

斉藤さん

大枠から説明しますと、カシオでは過去に製造していたデジタルカメラで培った画像処理などのノウハウを活かして、高精細に接写して撮影できる皮膚観察用のカメラや、子宮頸がんの早期発見をサポートする産婦人科用カメラを開発・販売しています。

私が担当しているのは、その画像データを解析し、医師の診断をサポートするAIの開発に携わる業務です。病変部分をAIで解析して、悪性が疑われる場合はその情報を医師に提示し、より上位の大学病院などに紹介するといったレコメンデーションを行うシステムを開発しています。

編集部

どういったところに仕事のやりがいを感じられていますか?

斉藤さん

私は、医療AIが将来の患者を救うというイメージを常に持って開発に臨んでいます。つまり、医療AIが創る一助となるということが、やりがいに繋がっていますね。

入社の理由は、カシオの技術を活かして医療分野に関われること

編集部

斉藤さんは転職でカシオ計算機さんに入社されたと伺っていますが、元々はどのような業界を経験されていたのでしょうか?

斉藤さん

私はカシオに2021年に中途入社しました。それまでは、大学で教員として医療用の画像処理の研究をしていました。

大学での5年間の任期が終わった後、将来のことを検討して民間企業に転職することを決意し、今に至ります。

編集部

数ある企業の中から、カシオ計算機さんを選ばれた理由はなんですか?

斉藤さん

やはり「CASIO」というブランドと技術力が大きいですね。カシオのような個性を持った会社だったら、医療の分野でもインパクトのある仕事ができるのではと考えて転職しました。

元々、テクノロジーを活用して医療の分野で社会貢献ができるという部分から、学生時代に医療用の画像処理に興味を持っていたんです。今の仕事は、自分の興味や好奇心を活かせることができ、非常に魅力的です。

ハードとソフト両方を開発できる、カシオ計算機ならではの強み

ドイツの医療機器展示会でのカシオ計算機株式会社の出展ブース
▲ドイツの医療機器展示会でのカシオ計算機のブースと、製品の説明を行う斉藤さん

編集部

他社にはない、カシオ計算機さんならではの強みはなんでしょうか?

斉藤さん

まず、ブランド力という点で、海外でも展開がしやすいところですね。例えばベンチャー企業でも、弊社と似たようなことをされている会社はたくさんあります。

その中でも、既に海外でブランドとして立ち上がっているカシオだからこそ、海外展開も非常にスムーズにできますし、かなりの強みだと思っています。

他にも、ハードとソフトの両方を開発できるのも、カシオならではだと考えています。ハードとして高性能な皮膚科用カメラを、ソフトとして撮影画像のAI診断支援サービスを開発しているのですが、特徴的なデバイスから得られる情報を活用したAIはなかなか世にないので、大きな特徴といえます。

編集部

ハードとソフトを連携できるところが強みということですが、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

斉藤さん

自社開発の専用カメラを使うことによって、画質を担保することができます。AI開発においても、高画質の画像があることで精度を高くすることができます。

海外では、スマホにアタッチメントをつけて皮膚画像を撮影するというやり方がされています。しかし、それだとカメラによって画質はまちまちで、AIの精度の担保が難しいんですね。

その点、カシオはカメラが原点で、高品質の画像とそれに対応したAIを提供していくことができます。今後も様々な撮影デバイスを開発したり、美容外科など他の用途にも普及させたりと、幅広い視点でAI診断支援サービスの開発を進めていく予定です。

エンジニアは業務時間の10%を、興味あるテーマの勉強や開発に充てられる

編集部

メディカル分野に限らず、エンジニアとして御社で働く魅力や支援制度などを教えてください。

上野さん

人事の私からカルチャーや制度面についてご説明します。カシオ計算機では、全社的に若手に仕事を最初から任せる社風があります。若手のうちから仕事を任せてもらって、テーマに向けて自分で考えて、計画して、進めていくことができるのは、弊社の特徴の一つとしてあるのではと思います。

また、会社としても、社員が新しいものを生み出していく仕組みづくりに力を入れています。例えば、エンジニアは会社から指示された業務ではなく、自分が行いたい仕事や内容について、業務時間の10%を使用して勉強したり、開発したりすることが可能です。

これは実際にルールとして運用されていて、既存のものではない新しいものに向けてしっかり取り組んでいける環境があります。

編集部

実際にそのルールを活用された具体例をお聞きできますか?

上野さん

カシオでは、近年メタバースやNFTを利用してG-SHOCKをPRしており、2023年10月にはVRChat(※)上にG-SHOCKの仮想店舗「G-SHOCK STORE」をオープンしました。
(※)メタバースの一種である、ソーシャルVRプラットフォーム

この仮想店舗を企画・推進したのは、ソフトウェアの時計の開発スタッフです。時計の開発だけにとどまらず「どういうふうに売るか、どう価値を高く見せるか」まで考えて実施したということです。

その結果、業務時間の10%を使って、プロトタイプの作成や役員への提案を経て、仮想店舗の企画実現まで漕ぎ着けました。自身の仕事の範囲の枠を超えて、自社製品の宣伝に貢献した事例です。

他にも、ソフトウェア開発のプロジェクト管理を担当しているメンバーが、「プロジェクト管理をしながらコーディングもしたい」という想いを持っていたので、制度を使って実際にアプリを作成しました。

そして、開発側のチームの上司に成果であるアプリを見せ、直接掛け合って部署異動に至った例があります。このメンバーのように、技術を磨きつつ、自分をPRしていくための手段として活用することも可能なんです。

編集部

なるほど。新しい価値を生み出していくために会社として環境を整えていて、実際に制度を活用しながら自分のスキルを伸ばし、新しいコンテンツを作っている社員さんがいるということですね。

部署や業務内容によって、在宅型・出社型の2つの働き方がある

カシオ計算機株式会社でのWebミーティングの様子
▲「在宅型」と「出社型」で勤務形態が分かれるカシオ計算機では、オンラインミーティングも日常的に実施している

編集部

カシオ計算機さんはリモートワークを導入されているということですが、出社とリモートの割合はどれほどなのでしょうか?

斉藤さん

弊社には、在宅型・出社型の2つの働き方があります。私は週1程度出社して、出社が必要な業務を行ってます。

AIやアプリケーションなどのソフトウェアのエンジニアは在宅型が多いですが、本社のメディカル事業のメンバーは7〜8割が出社型だと思います。

ただ、私が普段一緒に仕事をしている羽村技術センターのAI開発のメンバーは多くが在宅型で、ほとんど出社していません。一緒に仕事をしている同僚がみんな在宅でも、開発業務における効率は変わりませんね。

週次ミーティングなど、リモート環境でも社内外の連携をスムーズにする工夫

編集部

斉藤さん含め、エンジニアの方は在宅型が多いとのことですが、リモート環境でのコミュニケーションはどうされているのでしょうか?

斉藤さん

社員とのコミュニケーションは、主にGoogle Chatが使われています。部によってはGoogle Chatではなく、社内ポータルサイトなど別のツールを使用して交流していますね。

編集部

リモート環境下での仕事面の連携で、工夫されていることなどあれば教えてください。

斉藤さん

今、大学と共同で研究を進めているのですが、定例で週1回ミーティングを設定し、リモートで打ち合わせをしています。定期的に時間を設けて、コミュニケーションをとりながら研究を進めています。

また、メディカルではスプレッドシートで業務推進表を用意し、在宅勤務でも全体の業務の進捗が逐次把握できるような体制を整えています。

編集部

リモートだと同僚の方の仕事の状況が、出社している時よりも見えづらいこともあると思います。業務の進捗状況がわかる表があると、業務上でのすれ違いなどを減らすことができそうですね。

1週間以上・1時間単位の休暇も取得可能。社員のワークライフバランスを実現する

編集部

カシオ計算機さんにおいて、社員のワークライフバランスを整えるための特徴的な制度があれば、ぜひご紹介ください。

斉藤さん

弊社には、通常の有給休暇以外にリフレッシュ休暇などの特別休暇制度が用意されています。こうした休暇制度と、夏休みや連休を組み合わせて長めの休みをとることができて、私はゴールデンウィークとつなげて、約2週間休みをいただきました。

また、帰省先で勤務することも許可されていますので、そういった制度も活用し、プライベートも大事にしながら働いていますね。

上野さん

勤務時間に関しては、「時差BIZ」という制度があります。弊社の勤務時間は8:50~17:30としていますが、この制度を活用することで始業時間と終業時間を前90分間、後ろ120分間の範囲で調整可能です。

また、1時間単位の時間休も取得できるため、お子さんのお迎えに行くために2時間だけ有休を取得して早く帰る、といったこともできます。時間の融通をきかせやすいので、皆さんご自身の都合に合わせて働いています。

ノー残業デーの設定など、時間外勤務を極力行わない風土を醸成

編集部

御社は、時間外勤務を極力行わない風土を醸成されているとお伺いしたのですが、残業を削減する工夫や意識されていることなどあれば教えてください。

斉藤さん

「今日は切りの良いところまで集中する日」「今日は用事があるので早く帰る日」というように、メリハリをしっかりつけて働いていると感じています。

また、メディカル企画開発部ではノー残業デーを設定し、週1回しっかりと休む日を決めています。

編集部

部署として残業する日を減らすための取り組みをされているので、より社員さんたちも「勤務時間内に集中して効率よく結果を出そう」と意識されるのではないかと感じました。

柔軟なキャリアパスが設定可。会社と一緒に成長できる人と働きたい

カシオ計算機株式会社NBセンターメディカル企画開発部の斉藤さんと人事部の上野さん

編集部

それでは最後に、求める人物像や、カシオ計算機さんに興味を持った読者に向けたメッセージをいただければと思います。

斉藤さん

カシオは計算機から始まり、時計や楽器など様々な分野で一大ブランドとして確立してきました。そして、今度は「世界の患者を救う医療のカシオ」として新たな成長をしようとしており、まだ始まったばかりの時期です。

このようなチャレンジングな環境下で、事業と共に成長していくパートナーとして働いていただける方は、ぜひお声がけいただきたいです。

上野さん

たとえば一般的なSIerであれば、必要とされる企業に自分が派遣されて、何かしらのプロジェクトに関わる形になります。そのため、「自分が所属する会社の商品をプライドを持って開発する」という経験を得るのは、難しい側面があるかと思います。

その点、弊社はさまざまなコンセプトの自社商品を持ち、その開発や製造に直接的に関わることができます。それは大きな違いですし、強みであると考えています。

また、カシオではソフトウェア開発という大きなくくりの中でも、組み込みソフトだったりアプリだったりAIだったりと、たくさんの領域やポジションがあります。

一例としてソフトウェア開発職の中でも、個人のキャリア志向や希望職種を踏まえたローテーションを検討していますし、その枠組みの中で異動することもあれば、ジョブチャレンジ制度(※)を使って違う職種に挑戦することも可能です。
(※)社内公募により、未経験であっても希望する職種に異動できる制度

一つの会社の中で幅広くキャリアを歩めるのも、カシオの特徴です。自社商品の開発や製造に関わりたい方や、エンジニアとして様々な経験を積みたいという方にとって、弊社はマッチすると思います。

編集部

業務時間の10%を自分のやりたいことに使えたり、ジョブチャレンジ制度などを使って幅広いキャリアに挑戦できたりと、キャリア形成に積極的な方にマッチするのではと感じました。

また、実績と歴史のあるカシオ計算機さんですが、医療分野をはじめ新しいことにもチャレンジされています。今後さらに展望が広がる環境で、新規分野の開拓に興味がある方には魅力的だと思います。

本日はありがとうございました。

■取材協力
カシオ計算機株式会社:https://www.casio.com/jp/
採用ページ:https://www.casio.co.jp/saiyou/