ワークライフバランスを大切にするカルチャーのもと、多くの女性社員が活躍している企業をインタビューする本企画。今回は、人材派遣・人材紹介などのサービスを展開している株式会社ビースタイル ホールディングスにお話を伺いました。
ビースタイルグループとは
▲ビースタイルグループが掲げる存在意義、使命、信念
「『はたらく』をもっと、しあわせに。」を使命に掲げるビースタイルグループは、主婦やITエンジニア、高度なスキルを持った人材の派遣・紹介サービスなど、人材に関する幅広いサービスを展開してます。
創業は2002年。最初はメンバー4人での出発でしたが、その後事業を拡大させ、現在では5つのグループ会社による、さまざまな領域のサービスを運営しています。
会社名 | 株式会社ビースタイル ホールディングス |
---|---|
住所 | 東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー 32F |
事業内容 | ・時短型人材派遣・人材紹介サービス ・時短正社員採用支援サービス ・ITエンジニアの派遣・委託サービス ・求人媒体サービス ・ギグワークのマッチングプラットフォーム ・業務自動化支援サービス など |
設立 | 2020年2月14日(株式会社ビースタイルより分社化した日付。ビースタイルの創業は2002年7月) |
公式ページ | https://www.bstylegroup.co.jp/ |
創業から約20年で大きな成長を遂げているビースタイルグループですが、特徴は多くの女性社員が活躍していることです。2023年6月1日時点の女性管理職比率は49%であるほか、産休・育休の際のサポートも充実しており、女性がいきいきと働ける環境が整っています。
今回はビースタイルグループの制度やカルチャーについて、株式会社ビースタイル ホールディングスで人事本部採用・育成ユニット長を務める佐々木さとみさん、人事本部採用・育成ユニットの岩﨑亜希さんにお話しいただきました。
女性にもキャリアを積んでほしいという思いが生んだサービス
▲人材に関する幅広いサービスを展開している(公式ページより)
編集部
はじめに、ビースタイルさんが展開しているサービスについて伺わせてください。
岩﨑さん
ビースタイルグループは、持株会社であるビースタイル ホールディングスを含む6つのグループ会社で構成されており、人材派遣・人材紹介サービスを中心に事業展開しています。
たとえば子会社の株式会社ビースタイル メディアでは、主婦・主夫向けの求人サイト「しゅふJOB」を運営しています。しゅふJOBについては、2020年に「革新的な優れたサービス」について表彰する日本サービス大賞の厚生労働大臣賞を受賞しました。
編集部
人材サービスに関してはさまざまな企業が展開していますが、なぜ創業時にパートタイムに絞ったサービスを展開することになったのでしょうか?
岩﨑さん
代表取締役社長の三原(邦彦さん)は創業時、「結婚後、女性たちが思ったようなキャリアを描けていないのではないか」という課題感を持っていました。一緒に働いていた女性がどんなに優秀であっても、ライフイベントによって仕事を諦めざるを得なかったり、出産後に高校時代のアルバイト先に戻って働いていたりという現実があったようです。
将来的に労働人口が減っていくことが予想されるなか、女性が働きにくさを感じている現状に手を打っていくことで、社会的な価値を生み出せるのではないか。そんな思いが、しゅふJOBのサービスに結び付いていきました。
編集部
ビースタイルさんは「時代に合わせた価値を、創造する。」を存在意義に掲げていますが、まさにその通りのサービスを展開しているということですね。
スキル不問のギグワークからハイスキル人材まで幅広い分野の人材サービスを展開
▲ハイキャリア人材向けの求人サービス「スマートキャリア」を展開している
編集部
しゅふJOB以外に、高い評価を受けたサービスはあるでしょうか?
岩﨑さん
一例として、グループ会社の一つである株式会社ビースタイル ギグワークスが提供している「ご近所ワーク」「ご近所ワークlite」が挙げられます。
こちらのサービスについては、隙間時間を活用して収入を得たい働き手と、生産性を向上させたい企業のニーズを同時に満たせるサービスになっており、2021年に日本HRチャレンジ大賞奨励賞を受賞しました。
編集部
対外的に評価が高いサービスを次々と展開しているのですね。ほかの3つの会社が展開している事業についても教えていただきたいです。
岩﨑さん
株式会社ビースタイル スマートキャリアが展開している「スマートキャリア」は、ハイスキル人材向けの求人サービスです。マーケティングやWEBディレクターなど、専門のスキルを持った方向けにサービスを展開しています。
次に、株式会社ビースタイル バリューテクノロジーズが展開しているのが、ITエンジニアの派遣・委託サービスです。ビースタイル バリューテクノロジーズでは人材に関するサービス以外にも企業の業務自動化に関する業務も請け負っています。
最後に、株式会社ビースタイル チャレンジです。特例子会社となっており、ビースタイルグループの障がい者雇用の推進を担っています。沖縄に事業所と農地を持っていて、島野菜を栽培したり、果樹を植え付けることでグループのカーボンニュートラルへの取り組みも推進しています。
どんな働き方であれキャリアに制限がかかることはない
編集部
ビースタイルさんは女性管理職比率が49%と、多くの女性社員が活躍されています。その要因としては何が挙げられるでしょうか?
岩﨑さん
創業当初からパートタイムの主婦層の方々に支えていただいたこともあり、本人のライフステージや雇用形態に関わらず、成長や活躍の意志さえあればそれを尊重してきたという点が挙げられます。
子育てや介護などの理由がある社員には時短勤務を認めているのですが、時短勤務だからといって責任のある仕事を任せてもらえないといったことはありません。子育て中であってもキャリアに制限がかかることはないのです。
編集部
勤務形態に関わらず、しっかりと個人の能力で評価しているということですね。
代表自ら育休取得を推進。社員同士の相談や情報発信も活発
編集部
子育てや介護などではどうしても休暇を取得しなければならない場面もあると思います。主な休暇制度は何があるでしょうか?
佐々木さん
産休・育休、介護休業はもちろん、特徴的なものとしては生理休暇や結婚休暇、配偶者出産休暇を設けています。
編集部
社員それぞれの事情に寄り添った、さまざまな休暇制度が設けられているのですね。
佐々木さん
そうですね。近年は男性の育休も注目されていますが、弊社では育児中の代表自ら取得を促進しています。人事からは、早い段階から育休を取得していた男性社員へインタビューし、社内報を通じて発信を行いました。
実は、その社員の中の1人は、育休取得によってどんな効果が生まれたか資料にまとめ、自主的に相談会を開催していました。男性だけでなく女性も参加し、育休を取る際の社内手続きのポイントも解説してくれたそうです。社員自らこういった発信をしてもらえるのは、非常にありがたいですね。
編集部
会社の方から「取得しなさい」となるのではなく、社員の方から育休取得の機運が高まったというのは珍しいケースですね。男性が育休を取得することによる好影響は何でしょうか?
佐々木さん
男性が育休を取得することで、男女問わず産休育休についての相談に乗れるようになれるのではないかと考えています。いざ産休育休について上司に相談しようとしても、取得したことのない男性社員よりは、期間は短くても取得した男性社員の方が気軽に相談できますよね。
編集部
より気軽に産休育休について相談できる環境が整うことで、さらに取得率が向上するという好循環も生まれそうですね。
育休中の社員と交流を図る育休コミュニティを実施
▲育休コミュニティを開催し、育休中の社員とコミュニケーションを取っている
編集部
一般的に、育休を取得している社員とはコミュニケーションが希薄になりがちだと思います。その点、ビースタイルさんで何か取り組みはされているのでしょうか?
岩﨑さん
育休中の社員を対象にした育休コミュニティを実施しています。このコミュニティは、実は私自身の育休経験が元になっています。これから復帰してくる社員には「不安な思いをせず復帰してほしい」という想いで企画し、今年から始めた施策です。
編集部
育休コミュニティではどんなことが行われているのでしょうか?
岩﨑さん
育休コミュニティでは、前期の業績についての説明や、今期の会社の方針について代表の三原から話があります。また、お昼ご飯を食べながらの社員同士の自己紹介があったり、人事制度の変化について説明したりして、最後に参加者をオフィスに案内します。久しぶりに会う方が多いと思いますので、交流の機会を作っているんです。
編集部
代表もコミュニティに参加されるとは驚きです。実際にオフィスを訪れる機会があることで、育休中の社員の方も、復帰へのハードルが低くなりそうですね。
働き方についてのスタンスを定めたワークスタイルポリシー
編集部
社員のライフステージを大切にされているビースタイルさんですが、働き方を考えるうえでの行動指針のようなものがあるのでしょうか?
岩﨑さん
2022年の秋ごろに、弊社の働き方に対するスタンスを定めた「ワークスタイルポリシー」を代表の三原が中心となって作成しました。そこで示されたのは、コロナ禍を経てより多様化した働き方に対する会社の基本姿勢です。
それぞれの事情を踏まえた選択ができることがベースとなっていますが、同時に、「社員みんなで新しく入った社員を育てていこう」という呼びかけもありました。
編集部
ワークスタイルポリシーに沿った働き方とは実際にどんなものになるのでしょうか?
岩﨑さん
弊社では在宅勤務を認めているのですが、定期的にリアルの場で顔を合わせる機会を作ることなどが挙げられます。取り組んでいる仕事やチームによって会う頻度は変わると思うのですが、社員を育てていくというワークスタイルポリシーのスタンスに沿った働き方を社員に提案しています。
ただ、社員も入社時と現在ではプライベートの状況が変わることもあると思いますので、その変化に柔軟に対応していくというのがビースタイルの基本的な考え方です。
勤務時間が選べるオクトワークなど柔軟な働き方を実現
編集部
社員のライフステージを大切にしているビースタイルさんですが、その姿勢が表れている制度はございますでしょうか?
岩﨑さん
自分で勤務時間を選べる、オクトワークという制度があります。これはいわばマンスリーフレックスともいえるもので、1ヵ月の中で「営業日数×8時間」で設定された勤務時間を自ら配分して働けるという制度です。現在12名の社員が利用しています。
これにより、1日単位での働き方もすごく自由になっています。例えば私は保育園に通っている子どもが2人いるのですが、保育園のお迎えは午後6時前後です。なのでその時間で中抜けして、ご飯やお風呂などを終わらせて午後8時~9時の間だけ働くという利用の仕方をしています。
編集部
ビースタイルさんの柔軟な働き方を象徴するような制度ですね。働き方に関して基本的に自由度が高いのでしょうか?
岩﨑さん
そうですね。他の制度としては、時差出勤制度も設けています。それぞれの事情に合わせて午前8時から正午の間で出社時間を選べます。何時に出社するかデフォルトの時間はそれぞれで設定しますが、その日ごとの業務内容に合わせて柔軟に変更することも可能です。
ほかにも、営業担当の社員の直行直帰も認められています。社員一人ひとりのワークライフバランスを考慮しながら、フレキシブルな働き方を実践していますね。
編集部
時差出勤制度は子育て中の社員からすると大変ありがたい制度ですね。
社員に働き続けてもらうため柔軟な働き方ができる環境を整える
編集部
ビースタイルさんが社員に柔軟な働き方を認めているのは、どういった思いからでしょうか?
佐々木さん
代表の三原は「これからは人生100年時代。新型コロナウイルスの影響もあり、昔ながらの働き方が必ずしも正しいとは限らないだろう」ということをよく話していますね。
ビースタイルグループでは、コロナ禍以前から在宅勤務制度を導入していたり、育休復帰率も100%だったりと、ライフステージの変化には柔軟に適応することができていました。しかし、このような未曽有の事態がまた起きたときに適切に対応できなければ、今後辞めてしまう社員が出てくるかもしれません。
その場合、優秀な人材を逃すことになってしまうので、会社としては大きな機会損失となってしまうでしょう。なので、社員それぞれの事情に対応していけるような環境を会社が整えていく必要があるのです。
こういった姿勢は、ビースタイルグループの存在意義「時代に合わせた価値を、創造する。」にも通じるところがありますね。
編集部
存在意義は一見外向けの言葉のように聞こえますが、ビースタイルさんの場合は社内でもパーパスに沿った姿勢を示しているのですね。
「人を育てる」をコンセプトにした評価制度
編集部
社員がそれぞれの事情に合わせて柔軟な働き方をしていると、社員の評価軸の設定が難しくなりがちだと思います。ビースタイルさんはどういった評価制度を設けているでしょうか?
佐々木さん
ビースタイルグループではBoulder(ボルダー)という評価制度を導入しています。社員の成長機会にフォーカスした評価制度にしたいと考えて制度設計し、2022年4月から運用を開始しました。
制度のコンセプトは「人を育てる」です。評価制度ではあるのですが、社員の成長という部分にかなりフォーカスした制度になっています。
編集部
さきほどのワークスタイルポリシーの内容が反映されている制度と言えそうですね。具体的にはどんな制度になっているのでしょうか?
佐々木さん
Boulderでは社員の成長に合わせてグレードが上がっていく方式を取っているのですが、ある程度のグレードに達すると自分の職域を広げていく「ゼネラリスト」になるのか、または一つの職域を極める「スペシャリスト」になるのか選んでもらっています。
編集部
自分がどんなキャリアを描きたいのか選ぶ機会が設けられているのですね。
社員の率直な思いを聞くために設けられるWILL面談
編集部
ゼネラリスト、スペシャリストどちらを選べばよいか迷う社員もいらっしゃると思うのですが、上司などに相談できる機会はあるのでしょうか?
佐々木さん
Boulderと付随して実施しているのがWILL面談です。ゼネラリスト、スペシャリストどちらに進むか決まっている方にはキャリアパスについてのアドバイスを送れますが、「そもそも将来何がしたいのかわからない」という社員もいます。
なので、WILL面談では直接の上長ではなく、もう一つ上の部長と面談を実施し、社員それぞれがキャリアについて率直な気持ちを話します。
WILL面談の目的は、現在の成果から先を見てもらい、社員に自分の将来を描いてもらうことです。社員にキャリアの選択肢を与え、納得したうえで先のキャリアを歩んでもらいます。
編集部
「社員に先のキャリアに進んでもらいたい」という思いを感じさせる制度ですね。
佐々木さん
もちろん社員にはしっかりとキャリアを積んでもらいたいのですが、プライベートの事情などで少し歩みを止めたいという社員もいると思います。
先ほどグレードのお話をしましたが、あくまで一つ上のグレードを目指すのかという部分は任意となっています。面談では、それぞれの事情を踏まえて社員の率直な声を聞くことが大切にされています。
編集部
ビースタイルさんの柔軟性が伺えますね。評価制度以外にも社員を評価する場は設けられているのでしょうか?
岩﨑さん
年に一度社員総会を実施し、優秀な社員の表彰も行っています。コロナ禍で対面式のものは一時中断してしまっているのですが、最後に対面で実施した際はホテルの一つの会場を貸し切って開催しましたね。
▲年に一度社員総会を実施し、社員の表彰を行っている
仲間を大切にする「四方よし」の経営を実践
編集部
ビースタイルさんが大切にしているカルチャーは何でしょうか?
岩﨑さん
我々は「四方よし」という言葉を大切にしています。よくビジネスの世界では売ってよし、買ってよし、世間よしの「三方よし」という言葉が用いられると思いますが、ビースタイル ホールディングスではそれに「仲間よし」を加えています。
ビジネスを展開する上で対価をいただくということはもちろん大切にしているのですが、社員のことも大切にしたいという思いが強いですね。
編集部
実際に、仲間を大切にできる優しい気持ちを持った方が多いのでしょうか?
岩﨑さん
社員アンケートを実施しても「人がいい」という声は多いですね。困っている人がいれば、部署は関係なく手を差し伸べてくれる社員ばかりです。
また、もう一つの特徴はフラットであるという点です。ビースタイルグループでは社員のことを役職では呼びません。代表の三原も「三原社長」ではなく、「三原さん」と呼ばれています。
編集部
御社が非常にフラットで、風通しの良い組織だということが伝わってきます。
仲間と「長く付き合っていきたい」という考え方に共感する人を歓迎
編集部
最後にビースタイルさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
岩﨑さん
私たちは、一緒に働く人はすごく大切だという思いを持っています。「人」が全てとまでは思いませんが、できれば気持ちよく仕事がしたいですし、そういう人たちが集まってくれているのだと思っています。先ほども申し上げた通り、人の良さという部分は胸を張ってアピールできる部分だと思います。
私たちの根底にある思いは、「社員と長く付き合っていきたい」というものです。こういった思いに共感いただけるような方に入社していただけたらと思います。
編集部
一人ひとりの社員を大切にするビースタイルさんの姿勢は、多くの方の共感を生むと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ビースタイル ホールディングス:https://www.bstylegroup.co.jp/
採用ページ:https://www.bstylegroup.co.jp/recruit/