W杯効果で大注目、若手が躍動する株式会社横浜ビー・コルセアーズの成長戦略

若手が活躍している、会社自体の成長が著しいなど、これからの「ミライ」をつくっていく企業を紹介するこの企画。今回は、B.LEAGUE(Bリーグ)所属のプロバスケットボールクラブ「横浜ビー・コルセアーズ」を運営する株式会社横浜ビー・コルセアーズを取材させていただきました。

W杯で注目された株式会社横浜ビー・コルセアーズとは

株式会社横浜ビー・コルセアーズは、神奈川県横浜市をホームタウンとするプロバスケットボールクラブ「横浜ビー・コルセアーズ」の運営会社です。横浜ビー・コルセアーズはB.LEAGUE(Bリーグ)に所属しており、昨シーズンはクラブ史上初となるBリーグチャンピオンシップ(※)への進出を果たし、ベスト4という結果を残しました。
(※)B.LEAGUE CHAMPIONSHIP(チャンピオンシップ)とは、Bリーグの年間優勝クラブを決めるために行われるトーナメント戦のこと。B1リーグ戦でそのシーズン上位だった8チーム(B1各地区の1位・2位クラブと、各地区の1位・2位クラブをのぞく18クラブのなかの上位2クラブ)がチャンピオンシップに進出できる

FIBAバスケットボールワールドカップ2023(バスケW杯)で日本代表として活躍した河村勇輝選手の所属クラブとして注目を集め、今シーズンのホーム開幕戦のチケットが発売数日でソールドアウトになるなど、人気的にもビジネス的にも、今、ノリに乗っているクラブです。

しかし、ほんの数年前まで、クラブはB1に残れるかB2に落ちるかという入れ替え戦を毎年のように戦い、会社の業績的にも赤字が続いていました。この状況を打開したのは、思い切った変革と若手社員の活躍が引き寄せた「巡り合わせ」だったといいます。

会社名 株式会社横浜ビー・コルセアーズ
住所 神奈川県横浜市都筑区中川中央1丁目1-6
事業内容 ・プロスポーツチームの運営
・プロスポーツ選手のマネジメント
・スポーツイベントの企画・運営・主催など
設立 2005年6月22日
公式ページ https://b-corsairs.com/

今回は、株式会社横浜ビー・コルセアーズの代表取締役である白井英介さんに、若手の活躍、赤字から黒字に転換させた成長戦略、社内カルチャー、採用にあたって重視している点などについて、お話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社横浜ビー・コルセアーズ代表取締役の白井英介さん

株式会社横浜ビー・コルセアーズ
代表取締役

白井 英介さん

Bリーグで覇権を争う横浜ビー・コルセアーズを運営

横浜ビー・コルセアーズのエンブレム
▲横浜ビー・コルセアーズのエンブレム(公式サイトより引用)

編集部

最初に、横浜ビー・コルセアーズさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

白井さん

大きくいうと、横浜ビー・コルセアーズというプロバスケットボールクラブの運営です。試合・興行の開催や運営、プロスポーツ選手のマネジメント、スポーツイベントの企画・運営・主催などを総合的に行っています。

また、コーチを抱えて、クラスをつくって、お子さんたちにバスケットボールを教える「横浜ビー・コルセアーズ バスケットボールアカデミー」の運営や、指定管理者として市の保有施設である「たきがしら会館」の施設管理も行っています。

編集部

プロスポーツクラブの運営というのは、具体的にどのような部門や業務があるのでしょうか。

白井さん

核となるのは、試合の運営をして興行そのものをつくっていく部門です。そして、その興行を試合のチケットをお客様に販売するなどのBtoC(Business to Consumer)だったり、ユニフォームやコートサイドなどに企業様の広告を出すことでスポンサー料をいただく法人営業のBtoB(Business to Business)だったりという切り口で収益に結びつけていく部門があります。

もちろん、経理、財務、法務といったバックヤードを支える部門も存在しており、そのあたりは一般の会社と変わりません。

チケットだけじゃない、プロスポーツクラブの多様なBtoC業務

編集部

チケット関連を取り扱っているのは、どういった部門にあたるのでしょうか。

白井さん

マーケティング部門です。単にチケットを販売するだけでなく、試合日ごとに異なったきめ細やかな戦略や対応が必要となります。

例えば、横浜ビー・コルセアーズでいうと今シーズンは10月の21・22日がホーム開幕節です。何日前から、どのぐらいの価格帯で、どうやってチケットを販売していくのか。今シーズンでいうと開幕節は販売から数日で満席になってしまいましたので、では後追いで立見席を設けたらどうか、その立見席はどう値付けをして、どう販売して、どう告知をして、どうプロモーションを行うか、というようなチケッティング(※)をしている部門です。
(※)チケッティングとは、チケットに関する業務全般のこと

編集部

BtoCの収益は、チケット以外にどのようなものがあるのでしょうか。

白井さん

ファンクラブの運営、グッズの企画・生産・販売、試合会場での飲食物の販売などです。ファンクラブの運営では、ファンクラブ会員の方向けに選手のサイン会のようなイベントを企画したり、会員ランクに応じてご来場の満足度やファンクラブ会員の満足度を上げるようなキャンペーンを行ったりしています。

また、先ほど少し触れたアカデミーも、一般消費者である個人の方から入会金や年会費などをいただくBtoCビジネスですね。

収益を生むビジネスでもあり使命でもある、アカデミー

横浜ビー・コルセアーズ バスケットボールアカデミーの様子

編集部

横浜ビー・コルセアーズ バスケットボールアカデミーの狙いや取り組みについて教えてください。

白井さん

神奈川県はバスケットボールがとても盛んな地域です。有名なバスケ漫画の「SLAM DUNK」「あひるの空」「DEAR BOYS」などはどれも神奈川県が舞台となっており、作中ではしばしば横浜の高校が強豪校として登場しています。

名前に横浜を冠するプロバスケットボールクラブとして、横浜でバスケットボールをやっている、またはやってみたいと思っているお子さんに、バスケットボールの文化を広めていく、私たちがバスケットボールを教えていくということは、いわば使命のようなものです。

創業当初からずっと続けてきて、今では、横浜ビー・コルセアーズとしてクラブの特徴を尋ねられたときに、いちばん最初に「アカデミーが強いクラブです」と答えるほど、私たちの事業の中核を担う存在となっています。

編集部

具体的にはどのような組織なのでしょうか。

白井さん

お子さんの可能性を伸ばし、バスケットボールの普及や選手の育成・強化に努める育成組織です。バスケットボールスクール、ユースの育成チーム、イベントの3カテゴリーから成っています。プロバスケットボールクラブとしてのノウハウを生かした指導環境を整えており、バスケットボールを教えるメソッドが優れているとご評価いただくことが多いです。

会員数は、チアリーディングアカデミーと合わせて1,500名ほどとなっています。ほかのクラブと比べてもアカデミーの収益や登録者数は多いほうです。

編集部

なるほど、事業内容としては、プロバスケットボールの試合・興行の運営を核に、アカデミーを含めたBtoCビジネスと、法人相手のBtoBビジネスを展開しているということですね。

若手が多く、社員の半数以上は20代か30代前半

株式会社横浜ビー・コルセアーズの運営事務局であるB-COR CENTERの外観
▲株式会社横浜ビー・コルセアーズの運営事務局で情報発信拠点でもあるB-COR CENTER

編集部

今回のテーマの1つである若手活躍について伺いたいのですが、横浜ビー・コルセアーズさん全体の社員数は今どれくらいでいらっしゃいますか?

白井さん

正社員ベースで20人ぐらいでしょうか。ヘッドコーチなどのチームスタッフはカウントせずに、いわゆるフロントスタッフといわれる人員で、大体20人ちょっとだと思います。

編集部

そのなかで、20代30代の方というのはどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

白井さん

私が現在35歳です。私より年上の社員の方は7、8人ほどですので、社員の半分以上を20代から30代なかばまでの方が占めていると思います。私が入ってから、若い方を積極的に採用してきました。平均年齢などは出していませんが、かなり若手社員の多い会社です。

編集部

社員の方々は、新卒で入社された方が多いのでしょうか。また、中途入社組の方は、同じ業界から来られた方が多いのでしょうか、それとも違う業界から来られた方が多いのでしょうか。

白井さん

なかには同じ業界の別クラブで働いていたという方もいますが、社員のほとんどは、銀行、広告代理店、旅行代理店、化学メーカーなど違う業界からの中途入社組です。私は、もともとコンサルタントでした。

新卒は、学生時代に横浜ビー・コルセアーズでインターンをしていて、そのまま社員として登用されましたという方が2、3人います。社員全体で20人ちょっとですので、社員数全体の10%が新卒の方だと考えると極端に少ないわけではないのですが、人数的にはほとんどが中途入社組です。

新B1に参入するための抜本的な変革で増えた若手社員

編集部

採用にあたって、経験豊富な人材を中心に採るというやり方もあったかと思います。若い方を集めたのか、結果的に集まったのか、どちらにしろ若い方が多い理由というのはどこにあるのでしょうか。

白井さん

2026年に、Bリーグで「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」という新しい1部リーグ(新B1)が始まります。新B1構想が立ち上がったときに、新B1リーグ(Bプレミア)に参入するには、12億円の売上高、平均4000人以上の観客来場数、それから新基準に準拠したアリーナが必要だということが、発表されていました。

河村勇輝選手の存在もあって、今はチームがすごくノッている状態です。しかし、横浜ビー・コルセアーズはもともと2020年、21年ぐらいまでは、ずっとチーム成績が下から数えて2番目3番目というような状態で、毎年、残留プレーオフや入れ替え戦というB2に落ちるか落ちないかの戦いをずっとしてきたクラブでした。新B1構想発表のタイミングで、横浜ビー・コルセアーズは新B1からとても遠いところにいたのです。

会社として、今までの延長線上で経営していくのではなく、思い切って舵を切らないとBプレミアへの参入は厳しい、抜本的に新しいことをやっていかねばならないという危機感がありました。

会社を抜本的に変革し、新しいことをしていくために、マインドがフレッシュで、新しいことをやりたいと思っている方、エネルギッシュな方を採用しています。意図して若い方を集めたわけではありませんが、私たちが求めるそういった人材が若い方に多かったということです。

私は代表取締役として、採用面接や採用後の面談などで採用者全員に「会社として"これぐらいできて当たり前"のレベルを2つ3つ上に引き上げてくれる人でないと、採用する意味がありません。あなたのことも、当たり前のレベルを上に引き上げてくれる人だという目線で見ていますよ」と必ず伝えています。

あとは、私自身が若いので、運営をしていく上で私が一緒にやりやすそうな方を無意識に選んでいった結果、私より若い方が多くなったという側面もあるかもしれません。

20代の営業担当者が年間予算の200%を達成

編集部

このくらいの年齢の方がこういうことをやりましたというような、具体的なご活躍のエピソードがありましたらお聞かせください。

白井さん

例えば、法人営業のスポンサーシップ獲得の部門で現場のリーダー的な役割を担っているのが、まさに20代後半の方です。私が入社してから中途で採用した、まだ入社1年2年しか経っていない20代の方なのですが、現場でリーダーシップを取って既存のクライアント様をマネジメントしており、取り扱い金額でいうと、会社全体のスポンサー収入のうち50%強を1人で担当しています。

法人営業には、既存のクライアント様に対する営業と、新しいクライアント様を引っ張ってくる新規の営業があります。新規営業のほうでも1人、年間予算の200%ぐらいを達成している方がいて、この方も20代です。横浜ビー・コルセアーズは7月が期の始まりなのですが、この方は7月、8月の2カ月で年間新規獲得目標のかなりの部分を達成してしまっています。

2人とも入社してからまだ1年ちょっとしか経っていないにもかかわらず、大活躍してくれていて、今、スポンサー営業が非常に伸びているんです。これなどは、まさに若い力が躍動している事例かなと思います。

編集部

ちなみに、お2人はどういった業界から来られた方なんですか。

白井さん

既存のほうを回している方は、銀行から転職してきました。新規のほうの方は、もともとは教員をやっていたそうです。教員を辞めたあとに通信系の営業、いわゆるテレアポのような営業をやり、そこから横浜ビー・コルセアーズに転職してきました。

代表取締役との1on1で社員の現状や意志を吸い上げ

株式会社横浜ビー・コルセアーズ代表取締役の白井英介さん

編集部

若くして活躍されている方々を後押ししたり、若い方が働きやすい環境をつくったりしていく上で、工夫されていることや、こういったことがプラスになっているのではということはありますか。

白井さん

組織の規模があまり大きくないため、「若い年代に対してどうフォローアップするか」ということに特化はしていません。ただ、社員がやりたいことを意思表示したり、そのやりたいことを吸い上げたり、お互いに活発に意見できたりするような状況は、つくれているのではないでしょうか。

特に法人営業部については、代表取締役である私との1on1の時間を毎週必ず設けています。1対1で30分ほどしっかりコミュニケーションをとって、「あのクライアント様が、今こういった状況で……」といった業務の話から「同僚の誰々さんにこんなことを言われていて、ちょっとやりづらいです」なんていう半分愚痴のような相談まで、いろいろと聞いています。

編集部

そういった話を代表取締役にできるということは、白井さんが話しやすい雰囲気をつくられているのでしょうか。それとも社内の環境でしょうか。

白井さん

環境だと思います。私はけっこう厳しく言うタイプですので、話しやすいと思われているかどうかはわかりません。ただ、少なくとも、定期的に話す時間をつくってコミュニケーションをしています。特に法人営業部の方たちについては、役職の垣根を越えて話しやすい状況になっているのではないでしょうか。

編集部

Bプレミア参戦に向けて会社を大きく変革するため、フレッシュでエネルギッシュなマインドを持つ方を多く採用し、その方たちのやりたいことや意見を吸い上げる環境を整えたことが、若手社員の方々の増加や躍動につながっているのですね。

売上前年比135%、ファンクラブ会員数も急増

株式会社横浜ビー・コルセアーズのTIP OFF MEETING

編集部

今回は、成長企業というテーマについてもお話を伺いたいと思います。ここ数年で急成長をされてきた横浜ビー・コルセアーズさんですが、ここまでどのような経緯をたどってこられたのでしょうか。

白井さん

Bリーグで新B1構想が立ち上がったことで、会社を抜本的に変革する必要性に迫られたというのは先ほどお話した通りです。経営や体制を大きく変えていくということで、2021年9月に代表取締役が私に代わりまして、2022年7月に地元の大企業であるトヨタ系販売会社のウエインズグループが親会社になってくれました。

業績でいうと、2020年度は売上が約6億2,500万円、コストが約8億300万円で、約1億7,800万円の赤字です。それが2021年度は売上が前年比140%の約8億9,000万円、コストが約8億7,700万円で、利益が約1,300万円と黒字を達成しました。

さらに2022年度は、売上が前年比135%の約12億400万円で、コストも増えているものの2期連続の黒字となっています。

今期は、シーズンチケットが昨年の2.5倍ほど売れ、開幕戦のチケットも一般販売から数日ですべて売り切れてしまい、ファンクラブの会員数も7月時点で去年同時期比の179%増となりました(※)
(※)ファンクラブ会員数は以降も伸び続け、2023年10月18日をもって、2023-24シーズンオフィシャルタイムアウトの全てのカテゴリーの募集は締め切られた

期末までの予算をすでに達成していて、ここから先のアピールポイントをどうつくっていくかという次を見据えたボーナスステージに突入しているような状態です。

昨シーズンの時点で平均観客来場数が3,691名と、Bプレミアに参入する条件の1つである平均4000人以上の観客来場数にかなり近づくことができたのですが、今年はさらに伸びるのではないでしょうか。直近の試合のチケットは軒並み売り切れていますし、「どうやってチケットを買うんですか?」というお問い合わせもどんどん来るようになりました。

肌感覚でいうと、今シーズンはお客様に関する数字がすべてが2倍から3倍ほどの規模で成長しているような印象を現時点では受けています。

編集部

赤字経営から数年でそれだけの顕著な成長を遂げた要因というのは、何が考えられますか。

白井さん

いろいろな巡り合わせが、ちょうどうまくかみ合ったというのはあります。親会社ができて、スポンサー収入が上がって、河村勇輝選手が特別指定選手として入って、そこからプロ契約を締結してくれました。選手たちが熱く戦ってくれたおかげで、昨シーズンはチャンピオンシップと天皇杯でともにベスト4という大きな成果も出ています。

業績がよくなる、お客様がたくさん来てくださるようになるという商業的な成功体験の積み重なりと、バスケW杯で河村勇輝選手が活躍して注目度がアップしたということと、チームが強くなってきたというところがかみ合って、今はすべてが好転しているという感じです。

横浜ビー・コルセアーズに所属する河村勇輝選手

「W杯効果でチケット完売」の裏にあった若手の戦略と奮闘

編集部

バスケW杯をきっかけに、Bリーグや横浜ビー・コルセアーズさんに興味を持った方も多いかと思います。これまでも、そうした好機を逃さずに売上や成功につなげてこられたのでしょうか。

白井さん

まさに、おっしゃる通りです。よく「河村勇輝効果で売上もあがって良かったね、ラッキーだったね」というふうに語られたり、見られたりするのですが、単にラッキーというだけでは大きな成果にはつなげられません。好機を最大限に生かせるように仕掛けるのが私たちの仕事です。

例えば、パリ五輪の出場を勝ち取り大盛り上がりとなったバスケW杯ですが、格上ばかりがそろう厳しいグループに入ってしまったことで、日本の前評判は芳しくありませんでした。フィンランド戦で18点差をひっくり返す大逆転勝利をおさめて、いっきに潮目が変わったのです。

私たちは勝てるとしたらフィンランド戦だろうと踏んだ上で、ホーム開幕戦のチケットの一般販売開始日を8月27日のフィンランド戦に合わせて9月1日に設定していました。横浜ビー・コルセアーズのホーム開幕節は10月21・22日ですので、通常であれば9月中旬頃の販売となります。しかし、ワールドカップで日本が勝つなどして盛り上がったり、河村勇輝選手が活躍したりして、チケットが売れるかもしれないと考えて、仕込んでおいたわけです。

フィンランド戦で、河村勇輝選手はラウリー・マルカネン選手というすごいNBA選手とマッチアップし、40cm以上も身長が高いマルカネン選手の上から3Pシュートをねじ込んで、日本に勝利を呼び込んでいます。結果として、機を逃すことなく、売り逃すことなく、開幕節をソールドアウトさせることができました。

河村勇輝選手が活躍したのも、日本が勝利をしてバスケ界を盛り上げてくれたのも、私たちの力ではありません。ただ、単なるラッキーでもないと思います。販売のタイミングがずれていたら、あんなには売れなかったはずです。これは、マーケティングチームの若手社員たちがうまくとりまとめてくれたのですが、好機が来たときに備えておけたというのは彼らの成長であり、成果でもあると思います。

編集部

しっかり種をまいて仕掛けをしてきたことが、ここ数年でうまくかみあって急成長につながったというわけですね。

エネルギッシュで挑戦心あふれる社内カルチャー

編集部

横浜ビー・コルセアーズさんの社内の雰囲気やカルチャーについて教えてください。

白井さん

横浜は港町ですので、新しいものを取り入れていくことに積極的なマインドが根付いています。横浜ビー・コルセアーズにもそういったカルチャーがあり、社内には常に新しいことに挑戦しようという活気があります。

選手たちが試合をしている姿はとてもエネルギッシュですし、それを見に来てくださるお客様もまたエネルギッシュです。そうした「熱」に試合やイベントで直に触れて、お客様の顔を見て、声を聞いているうちに社内にも自然に活気が生まれますし、無気力ではいられません。

また、私たちの業界は、自分たちがやった仕事の成果が目に見えやすいのです。シーズン中は、1週間や2週間に1回は試合日がやって来て、試合に勝つと次の試合のチケットがよく売れますし、勝ちが続けばお客様はどんどん増えていきます。けれどそれだけではなく、私たちのコミュニケーションや仕掛けなどによっても、チケットが売れた・売れない、クライアント様がとれた・とれないなどの成果が、ダイレクトに返ってくるのです。

それぞれが自分の仕事をきちんとした結果として、お客様が来てくださって、小さなお子さんも楽しんでたくさん笑顔を見せてくださって、チームが勝って……。負けて悔しいと思うことも含めて、スポーツビジネスはとても楽しく、やりがいがあります。

編集部

自分の仕事の成果が、チケットの売れ行きやお客様の満足度などという形でわりとすぐに反映されるということですね。

白井さん

そうです。ですから、お客様の反応を見て変更を加えたりといった対処もかなりのスピード感で行われます。「1カ月売ってみてダメだったから、来月から変えよう、むしろ来週から変えよう」などということも少なくありません。そこはBtoCビジネスの醍醐味だと思います。

編集部

新しいものを取り入れていくマインド、選手の方やお客様の発するエネルギー、自分の仕事の成果が目に見える形でダイレクトに返ってくる環境などがあいまって、エネルギッシュな社内カルチャーがつくられているというわけですね。

現状に満足せず、新しいことに「進取果敢」に挑戦を

横浜ビー・コルセアーズ バスケットボールアカデミーの様子

編集部

最後に、採用についてお伺いします。職種やマインドを含めて、今どのような方を求めていらっしゃいますでしょうか。

白井さん

職種でいえば、どの部門でも継続して採用中です。法人営業、マーケティング、ファンクラブ運営、ウェブ担当もそうですし、施設管理事業やアカデミーのコーチなども常に人を募集しています。

プロスポーツクラブというのは、「試合をする、興行をする」というのが唯一のプロダクトです。このプロダクトをいろいろな角度から切り売りして、チケット代やスポンサー料などの収益をいただいています。試合はリーグで決められた数しかできませんし、選手の稼働限界もありますので、「キャッシュポイントをもっとつくるために、試合数を倍にしましょう」などということはできません。

自分たちで素材やビジネスをつくることが自由にフレキシブルにできる事業ではないからこそ、試合以外・興行以外の収入をどうつくっていくか、既存の事業からどうやって効率的にキャッシュを生み出すかということが、とても重要となります。

そのためには、「何か新しいことに取り組む」「自分たちが今していることを100点だと思わないで、そこから2つも3つも先のことを提示する」「今の自分たちを正しく自己否定して、新しい方向に進んでいく」ことが必要不可欠です。

私たちはよく「進取果敢」という言葉を使うのですが、自ら積極的に何にでも取り組んでいこう、既存の枠組みにとらわれず、新しいことを自由闊達に議論してやっていこうというマインドを持っている方が望ましいですね。

プロスポーツビジネスは「所詮はファンビジネス」「収入が低い」「選手と触れ合えること、試合で勝つことだけが喜び」「お客さんからのクレームが多い」など、ネガティブなイメージを持っている方が少なくありません。イメージにとらわれず、前向きに、新しいこと・面白いことに取り組んでいこうというマインドを持った方であれば、とてもやりがいがあって楽しめる仕事だと思います。

編集部

フレキシブルではないプロダクトだからこそ、新しいことをしていかなくてはならないという、プロスポーツビジネスの難しさと面白さがよく伝わってきました。Bプレミア参入に向けて、これからも2つ3つ上のレベルへと突き進んでください。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社横浜ビー・コルセアーズ:https://b-corsairs.com/
採用ページ:https://b-corsairs.com/recruit/