女性社員やインターン生など多様な人材が活躍し、社会に大きなインパクトを与える事業を展開する企業に迫るこの企画。今回はスタートアップ・ベンチャー企業に特化した転職・副業サイト『アマテラス』を運営する株式会社アマテラスにお話を伺いました。
起業家の採用課題を解決する株式会社アマテラス
株式会社アマテラスは、「日本からグーグル・フェイスブックを100社創出する」をミッションに掲げ、スタートアップ・ベンチャー企業に特化した採用スカウトサービスサイト『アマテラス』を運営しています。
スタートアップ企業の成長には、優秀な人材の獲得が欠かせません。しかし現在の人材紹介のビジネスモデルの多くは、企業と求職者とのマッチングの成功報酬により成り立っており、このことが資金力のないスタートアップの優秀な人材確保を困難にする一因となっています。
一方で、働き方や価値観の多様化を背景に、自身の能力を活かすことのできるスタートアップを志望する求職者も増加しています。株式会社アマテラスが運営する『アマテラス』は、そんな採用課題を抱えるスタートアップ企業と、スタートアップ志望者を効率的にマッチングするプラットフォームとなっています。
会社名 | 株式会社アマテラス |
---|---|
住所 | 東京都目黒区三田1-12-26EbisuBorg101 |
事業内容 | ・スタートアップにコアメンバーとして参画するための転職・副業サイト『アマテラス』の運営 ・キャリア女性のための時短転職サイト『ママテラス』の運営 |
設立 | 2011年4月5日 |
公式ページ | https://amater.as/ |
働き方 | フルリモート(出社日数等の規定なし) |
今回は、株式会社アマテラスの創業者で代表取締役の藤岡さんにインタビューを行いました。『アマテラス』の運営を始めたきっかけや事業成長の経緯、そして株式会社アマテラスの事業が社会に与える影響などについて詳しく伺っています。また女性社員やインターン生など多様な方の活躍を生む社内カルチャーにも迫っています。
ベンチャー企業の成長課題を実感したことをきっかけにアマテラスを創業
編集部
アマテラスさんがスタートアップ・ベンチャー企業に特化した転職・副業サイト『アマテラス』の運営をはじめられたきっかけを教えてください。
藤岡さん
アマテラスは私が前職で7年ほど経験したベンチャーキャピタルでの経験がきっかけとなり、2011年に創業した会社です。ベンチャーキャピタルで投資を行うのは目を付けたベンチャー企業から厳選して1%程度なのですが、それでも上場するのは投資した企業の内1割にも満たない数となっています。その経験から、ベンチャー企業が成長するのには多くの困難があるということを実感していました。
当然、投資だけで会社が成長することはありません。ベンチャー企業の成長には採用戦略がかなり重要です。しかしアメリカなどと比べて日本のHR領域はかなり遅れており、それがベンチャー企業の成長の障壁になっていると感じてきました。
投資をする中で感じたスタートアップ企業の育成の課題を、人材活用の面からサポートしたい。そう考えたことが、アマテラスをスタートした理由です。
アマテラス活用後に上場した会社は150社超。求職者とスタートアップ企業双方に貢献
▲多くのマッチングで求職者・スタートアップ企業の双方に貢献する『アマテラス』のサービス
編集部
『アマテラス』のサービスを通じた採用実績など、事業の成果が分かる数字があれば教えてください。
藤岡さん
『アマテラス』を通してスタートアップへの転職を実現したユーザー数は年間約300人です。また、『アマテラス』を活用した後に上場した会社は150社を超えています。
スタートアップへの転職を希望するユーザー、優秀な人材を獲得して成長を加速させたいスタートアップ企業の双方に対して貢献できていると考えています。
編集部
転職実績が多いだけでなく、スタートアップ企業様の成長にも貢献されているんですね。
厳選されたスタートアップ企業を掲載。高いレベルでマッチングできることが魅力
▲登録ユーザーは「ベンチャースピリッツ宣誓」に同意した方のみ(公式サイトから引用)
編集部
アマテラスさんならではのプロダクトの特徴はどこにあるのでしょうか。
藤岡さん
求職者様に対しては、成長可能性が高いベンチャー・スタートアップに厳選した企業が登録されているという点が特徴です。スタートアップの企業が並んでいるだけだとどこを選んだら良いのか分からないという方も多いと思いますが、『アマテラス』では私が責任を持って厳選した企業をリストアップしています。
編集部
『アマテラス』に登録できる企業の基準はどういうものですか?
藤岡さん
我々は2つのポイントから会社を選んでいます。1つは「社会性」です。儲かる事業を取り扱う会社は多々ありますが、やはり社会と調和していない事業は成長を継続させることが難しい面があります。儲かるだけではなく、人類課題や社会課題の解決に寄与するビジネスモデルを持っているか、経営者がきちんとそういった点を考えられているかは1つのポイントとして見ています。
もう1つは「新規性」です。ビジネスモデルや扱うテクノロジーに新しさがあるかを選定のポイントにしています。新しさがなく成長可能性が少ないビジネスを展開している企業は、我々の定義するスタートアップ・ベンチャーから外れます。
アマテラスでは「社会性」「新規性」の2点からかなり厳しく企業様を選定しています。社会を変えていく、次世代を担うスタートアップ・ベンチャーのみをリストアップしているため、初めてスタートアップへの転職を考えている人にも安心してご利用いただけているのではないかと思います。
逆に企業様にとっても、優秀な人材データバンクとしてご活用いただけています。『アマテラス』をご利用いただくのは、前提としてスタートアップのコアメンバーとして活躍したいという希望を持った方です。さらに登録には弊社の設定した『ベンチャースピリッツ宣誓』への同意が条件となっています。
このように、求職者にとっても企業にとっても高いレベルでのマッチングができることで、双方から支持を得られるプロダクトとなっています。
約4年間の赤字を乗り越え成長。優秀な人材の獲得もカギに
編集部
多くのスタートアップ企業を採用面でサポートされているアマテラスさんですが、アマテラスさん自体は事業スタート当初から順調に成長をされてきたのでしょうか。
藤岡さん
いえ、最初の方はかなり苦労しましたね。エージェント事業からスタートしたのですが、ビジネスモデルとしては最初から今と同じ、企業と個人が直接マッチングできるプラットフォームを思い描いていました。シリコンバレーのAngel List(現:WELLFOUND)という会社をベンチマークとして進めていたのですが、カルチャーが違う日本で受け入れられずなかなかプロダクトとしてユーザーニーズにフィットするには至りませんでした。
編集部
何が成長のターニングポイントになったのでしょうか?
藤岡さん
システム投資をしてから約4年間赤字が続いたのですが、お客様の声を聞きながら粘り強く修正を加え、赤字期間を乗り越えたのが大きいと思います。アメリカの成功事例を見ていたこともあり、絶対にうまくいくと信じて続けてきました。プラットフォーム型にスイッチして黒字化してからは、おかげさまで黒字経営を続けることができています。
プラットフォーム型になってからは、カスタマーサクセスチーム、エンジニアチーム、マーケットチームをつくり、組織化も進めてきました。エンジニアなど専門職の採用には苦戦しましたが、そこは『アマテラス』というプロダクトがあったからこそ採用が出来たと思っています。
最初に申し上げた通り、ベンチャー・スタートアップ企業というのは採用でかなり苦労をするものです。しかし、自社プロダクトを活用して優秀なエンジニアやCSを採用することができたのは、組織の成長にとってとても大きなことでした。
編集部
優秀な人材を獲得することで組織が成長したというのは、まさにアマテラスさんの事業の意義をご自身で体現されていますね。また優秀な人材を獲得できたということが、『アマテラス』のプラットフォームが有効なものであるという証明にもなっていると感じました。
震災をきっかけに起きた“スタートアップ志向”が事業の成長を加速
編集部
アマテラスさんの成長に寄与する要因として、転職を希望するユーザー様の意識の変化などの外部要因もあったのでしょうか。
藤岡さん
そうですね、そこは大きく変わった部分だと思います。いわゆる大企業を志向する人ばかりでなく、働き甲斐や自己実現、社会貢献に目を向ける人も増えてきたなと感じています。
その転換点だと思うのは、やはり3.11の震災です。大きな天災があったことで、「一度きりの人生だから後悔せずやりたいことをやろう」という人が多く出てきました。
もちろん大企業で働くことが駄目ということではありません。しかし大企業に所属をしてくすぶっている人というのは一定数いるのではないでしょうか。そのような方が震災を契機に「このままだと後悔するからやりたいことをやろう」と起業したり、スタートアップに転職したりするケースが増えてきました。
それを見て「あの人がやっているなら私もやってみよう」という人も増え、ムーブメントがじわじわと広がっている感じがあります。今では間違いなく以前よりスタートアップを志向する人が増えたのではないでしょうか。
以前はスタートアップをネガティブにとらえる風潮というのが確かにありました。しかし今はスタートアップの地位は上がってきていると感じています。それが我々の事業の追い風になっている部分はありますね。
アマテラスは「日本の未来をつくるビジネス」。社会に与える大きなインパクト
編集部
スタートアップ企業の選定基準に「社会的意義」を挙げられていましたが、アマテラスさんがまさに日本社会に大きなインパクトを与える事業を展開されていると思います。藤岡さんご自身は、アマテラスさんが与える社会への影響をどのようにお考えでしょうか。
藤岡さん
売上で言うとまだまだ社会に与える影響は軽微なものかもしれませんが、アマテラスは日本の未来をつくるようなビジネスだと思っています。我々の事業があることで、リスクを取って新たなチャレンジをし、新しい社会をつくっていくきっかけが生まれています。
今の会社で自分の能力を活かしきれていない優秀な方々が、社会を変えていく側になっていく、その人たちを見て「私も何か新しいチャレンジをしよう」と影響が波及していくことは、長期的に見れば非常に大きなインパクトを与えていくと思います。日本の未来をつくる裏方のような意義のある仕事だと、誇りを持っていますよ。
編集部
アマテラスさんの事業は、既にある大木に水をあげるのではなく、種をまいて全体を育てていくようなものだと感じます。日本企業の底力を上げていくような、非常に大きなインパクトのある取り組みですよね。
“成果”を中心に据えた柔軟な働き方が、女性社員の活躍を生む
▲出社ルールなし。アマテラスさんの「成果」を中心にした柔軟性のある働き方が活躍を生む
編集部
ここからはアマテラスさんでの女性社員の活躍についてお話を伺います。現在アマテラスさんではどのくらいの比率で女性社員の方が働いていらっしゃるのでしょうか。
藤岡さん
アマテラスでは社内の女性比率が53%となっています。中には子育てをしながら働いている女性も多くおりますよ。
編集部
半分以上が女性の方なんですね。女性社員の方が活躍できる環境づくりにおいて工夫していることなどはありますか?
藤岡さん
私自身が長時間労働の職場を経験してきたこともあり、「会社にいる」というだけで評価をされる慣習に理不尽さを感じていました。成果を出しているのであれば、性別も、労働時間も、どこで仕事をするのかも関係ないのではないか、というのが私の考えです。
だからこそ、アマテラスでは個人が柔軟に働き方を選べるような環境を用意しています。基本的にフルリモートで、出社も義務付けていません。ママだから、女性だから、ということに限らず、それぞれの方のライフスタイルを会社として尊重しつつ、成果を出せる働き方を個人個人で考えて選択してもらうようにしています。
編集部
誰もが自由で柔軟な働き方ができる環境であるということが、結果として多くの女性社員の活躍につながっているということでしょうか?
藤岡さん
そういった面はありますね。先ほど申したような「会社に長くいる程評価される」「上司がいる間は帰れない」といった職場だと結局時間勝負になってしまうため、男性より体力がない女性の方が不利になってしまうんですよ。
その点アマテラスでは本当に「成果」のみを中心にした働き方にしているため、結果的に女性が活躍できる環境になっているのではないでしょうか。
編集部
確かに優秀な女性でも、社会構造的に働きにくくなってしまう面はあると思います。アマテラスさんでは成果主義で柔軟な働き方ができるからこそ、時間や体力といった部分に制約を受けずに活躍できるのですね。
女性活躍への思いを形にした、時短ママ×スタートアップの『ママテラス』
編集部
アマテラスさんでは『ママテラス』というキャリア女性のための時短転職・副業サイトも運営されていますよね。このサービスは、今言われたような働き方への思いがあってスタートされたのでしょうか。
藤岡さん
実は『ママテラス』は、アマテラスで子育てをしながら働いている女性の声を受けて生まれたサービスなんです。
その裏には、やはり今お話ししたような思いがあります。つまり「子育てをしながら働いている女性が、能力が下がったわけではないのに時間的な制限があるというだけで責任ある仕事を任せられないのはおかしい」ということです。時短勤務でも活躍できるような働き方を提供できたら、という思いでこの事業をスタートしました。
そしてそれは、スタートアップ企業でこそ可能なのではないか、と考えています。スタートアップの社長は先進的で合理的な判断をする方が多く、加えて、採用課題を抱えているからこそ時短社員でも優秀な方であれば積極的に採用していく傾向にあります。
実際にいろいろなスタートアップ企業に時短勤務を希望するキャリア女性の採用を提案したところ、ニーズとぴったりと合ったため、2016年に『ママテラス』としてリリースしました。スタートアップと時短ママをかけあわせたサービスは、アマテラスがパイオニアですね。
編集部
『アマテラス』と同様、能力を活かしたい女性、優秀な方を採用したい企業の双方にとってメリットのあるサービスとなっているんですね。
大学1年生から採用し、卒業まで育てる。アマテラスのインターン制度
編集部
ここからはアマテラスさんで実施されているインターンについて伺います。2015年から大学生のインターンを受け入れているとのことですが、インターンを実施されるようになった経緯を教えていただけますか?
藤岡さん
2015年当時はシステム投資などで資金がなく、正社員を雇ってもこの先どうなるかわからないという状況でした。しかしやらなければならない業務は多いため、正社員ではなくまずは大学生インターンから始めようかな、と思って始めたのが正直なところです。
とはいえ、もちろんそういった会社事情だけで大学生インターンを受け入れたわけではありません。やはりスタートアップは動きの速い世界なので、感度の若い学生と触れ合うことで、自分では知り得ない情報を得ることができるのではないかと考えました。
実際に学生インターンを採用すると、新しいサービスへの感度も高く、自分では知らなかったいろいろな情報を入手して教えてくれる場面が多くありました。加えて皆さんとても優秀で、良く働いてくれました。それで毎年採用しよう、ということになったんです。
アマテラスでは大学1、2年生から採用して育てる長期インターンを行っています。1、2年生のときから働いていれば、3年生のときには完全に戦力化して社員のように活躍してくれますし、さらに下の世代の育成も担ってくれるという好循環も生まれています。
アマテラスのインターンだから叶う『即戦力としての活躍』『多くの経営者との出会い』
編集部
アマテラスさんのインターン生で活躍されている方、印象に残っている方などのエピソードがあれば教えてください。
藤岡さん
一番はやはり、インターンから入社した社員ではないでしょうか。大学1年生のときから働いているため、現在は入社3年目くらいですが既にベテランの中核社員となっています。
他の方では、大企業に就職する学生が多いのが特徴です。大企業のオープンイノベーションの部署など、花形部署に配属されるようなロケットスタートを切る人が多くなっています。
編集部
インターン卒業生のご活躍には、アマテラスさんでのどういった経験が活きていると思われますか?
藤岡さん
アマテラスでは私の直下で、かなりの裁量を与えて仕事をしてもらっています。レポートを作ったり、皆の前で発表したりと、学生ではなくビジネスパーソンとして経験を積むことできるため、社会に出たときに即戦力として活躍できるのではないでしょうか。
加えてさまざまなベンチャー企業の社長との出会いがあることも大きなバリューです。それによりさまざまな刺激を受けながら、より深くベンチャー企業を知ることができます。それは他の同期社員の中でも大きなアドバンテージになるのではないかと思います。
編集部
もしかすると企業で2、3年働いていても経験できないかもしれないことを、学生のうちから任せてもらえるのは本当に価値のある経験になりますね。
スタートアップに対する好奇心、日本の未来をつくることへの憧れがある方はぜひ
▲「社会を変革することに憧れを感じる人はぜひ」と話してくれた藤岡さん
編集部
最後に、アマテラスさんの採用について伺います。アマテラスさんで活躍できるのは、どのような人材なのでしょうか。
藤岡さん
正社員に関しては、ソリューション営業で確かな実績を持っているなど、ある程度即戦力として活躍できる人材を求めています。それに加えて、スタートアップ企業や起業家への興味・好奇心は必須条件です。
スタートアップの世界は本当に変化が激しく、新しいサービスが次々と出てきます。今新しいものも、来年には衰退しているかもしれません。どんどん出てくる情報に興味を持ってキャッチしていける人には、とても楽しい環境があるのではないでしょうか。
アマテラスには未来のエクセレントカンパニー、未来の有名経営者と出会える環境があります。日本の未来をつくる、社会を変革することに少しでも憧れがあるのであれば、ぜひ応募していただければと思います。
編集部
アマテラスさんには、多くのベンチャー・スタートアップ企業の経営者様との出会いに刺激を受けながら成長できる環境があると感じました。「日本の未来を変える」ことにワクワクし情報をキャッチアップしていける方は、ぜひお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
本日はお忙しい中貴重なお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社アマテラス:https://amater.as/
採用ページ:https://amater.as/recruit/