株式会社アイディスの世界で愛されるゲームを創る、「クリエイターファースト」な環境とは

エンジニアが活躍できる環境を整え、独自のサービスを展開して成長を続けている企業をインタビューする本企画。今回は、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を手掛けている株式会社アイディスにお話を伺いました。

全世界500万人ダウンロード突破のゲームを開発

株式会社アイディスが展開しているスマートフォン向けゲーム「ラストクラウディア」のイメージが映し出されたパソコン画面
▲株式会社アイディスが展開しているスマートフォン向けゲーム「ラストクラウディア」

「世界一遊ばれるゲームを創る」をミッションに掲げている株式会社アイディスが手掛けているのは、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営です。

RPGゲーム「ラストクラウディア」は全世界で500万人ダウンロードを突破するなど、世界中の人々から愛されるゲームを世に生み出しています。

会社名 株式会社アイディス
住所 東京都渋谷区渋谷1-7-7 住友不動産青山通ビル 5F、6F
事業内容 ゲームの企画、開発、運営
設立 2016年1月27日
公式ページ https://www.aidis.co.jp/

株式会社アイディスの成長要因は、ゲームの仕様に関して海外ユーザーも視野に入れて開発を進めてきた点です。ゲームの開発当初から海外市場もターゲットとし、エンジニアがチームとなって動きやすい環境を作ることで世界に価値を提供してきました。

同社の成長の背景やエンジニアの働く環境について、ゲーム事業部 開発部 部長の郷田努さんと人事総務部 副部長の田中由美子さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
インタビューに答える株式会社アイディスの郷田さん

株式会社アイディス
コンテンツビジネス本部 本部長付
ゲーム事業部 開発部 部長
ゲーム事業部 プロデューサー

郷田 努さん

株式会社アイディスの田中さん

株式会社アイディス
コーポレート本部 人事総務部 副部長

田中 由美子さん

「クリエイターファースト」を徹底している株式会社アイディス

株式会社アイディスが手掛けているスマートフォン向けゲーム「ラストクラウディア」のプレイ画面
▲海外売上比率について、日本のゲーム会社がリリースしているスマートフォン向けゲームの中で「ラストクラウディア」はトップ3に入っている

編集部

初めに、アイディスさんの事業内容について伺わせてください。

田中さん

弊社が展開しているのは、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営です。基本的に自社開発のオリジナルゲームを手掛けております。

現在リリースしているゲームは、RPGの「ラストクラウディア」です。34カ国で配信している主力サービスで、2023年4月で4周年を迎え、全世界で500万人ダウンロードを達成するなどユーザーから高い評価を得ています。

アプリプラットフォーマーによると、ラストクラウディアの海外売上比率は日本のゲーム会社が展開しているスマートフォン向けゲームの中でトップ3に入っているとのことでした。

まだお話しできる段階にありませんが、現在大きなプロジェクトが動いており、今後も挑戦を続けていく方針です。

編集部

2016年に設立されて以降、早いペースで成長されているのですね。アイディスさんが設立された背景についてもお教えください。

郷田さん

代表の早貸が、「クリエイターに還元できるような会社を自分の手で作りたい」という思いでアイディスを立ち上げたと聞いています。

ですので、弊社はクリエイターにオープンな環境を作ることを心掛けています。また、「努力の結晶が事業の成功につながる」という思いを強く持っています。

加えて、弊社は「世界一遊ばれるゲームを創る」をミッションとしています。より多くの世界中のユーザーにおもしろいゲームをしっかり届けていきたいという思いがあるため、ゲームプラットフォームとして今一番普及しているスマートフォン向けのゲームを開発しています。

多くのお客様に、弊社のゲームを届けることができるのであれば、他のプラットフォームにも挑戦していく考えを持っています。

編集部

クリエイターファーストと、おもしろいゲームを世に届けていくという熱い思いがアイディスさんの根底にあるのですね。

開発段階で海外市場を意識することで世界で愛されるゲームに

「ラストクラウディア」の英語版配信に当たる株式会社アイディスの社員たち
▲ラストクラウディアの英語版配信に当たる社員たち。世界で同時にゲームを更新し、世界中の人々が同じ状況でゲームを遊べることにこだわっている

編集部

ここまで海外ユーザーに愛されるゲームを生み出せている背景についてお聞かせください。

郷田さん

弊社の特徴として挙げられるのは、開発段階からグローバル視点でゲームの企画をしている点です。当初から、日本のみに向けたものとしては開発していませんね。

例えば、ゲームの色使いにも気を付けています。日本のゲームは比較的淡い色が使用されているケースが多いですが、弊社では海外で配信されているゲームのトレンドに鑑みて、濃い色を使うようにしています。

また、ゲーム内のボタンも、手が比較的大きい方でも操作しやすいよう、大きめに作るといった工夫もしています。

編集部

海外ユーザーもプレイしやすいような配慮がゲーム内の随所にちりばめられているのですね。ほかに海外市場を意識する上で気を付けていることはございますでしょうか?

郷田さん

主力サービスのラストクラウディアは、ゲームの更新を日本語版と英語版で同時に実施しています。日本で先行して更新されてしまうと、海外ユーザーのわくわく感が薄れてしまいますよね。やはり、世界中のユーザーが同じタイミングで遊べるようにすべきという思いがあります。

ただ、繫体字中国語版と韓国語版では、別会社に配信代理をしてもらっていた関係で同時に更新できていませんでした。2023年8月から直接運営となりましたので、繫体字中国語版と韓国語版を併せて、世界同時更新が可能になるよう開発を進めているところです。

編集部

海外市場を意識してゲームを開発・運営するというアイディスさんの方向性は、やはり代表の早貸さんが目指しているビジョンによるところが大きいのでしょうか?

郷田さん

早貸だけではなく、弊社で働く社員も「世界一遊ばれるゲームを創る」というミッションをもって、ゲームを開発・運営しています。

早貸はラストクラウディアのシナリオ制作やデザインアセットの確認や作曲まで広く携わっています。現場のメンバーも、その姿を見て刺激を受けて、成長できていますね。

新規プロジェクトの始動とともにメンバーの人数も急増中

開発中の株式会社アイディスの社員

編集部

アイディスさんの社員数の状況について伺わせてください。

田中さん

弊社の現在の社員数は150名ほどです。2021年9月時点では100名なので、毎年約20〜30名ずつ増えている状況です。ただ、これは社員だけの話なので、業務委託のスタッフや派遣社員なども入れると倍のペースで増えています。

編集部

アイディスさんの社員さんはどんな動機で入社されるのでしょうか?

田中さん

「本気でゲームを作りたい」という動機の方が多いですね。また、メンバーがゲーム好きで自らゲームを作っているので、入社する社員もやはりゲームがとにかく好きという方が多いと思います。

編集部

好きなものを作れるということで、モチベーション高く働けているのですね。メンバーの人数が急速に増えていますが、その背景は何でしょうか?

郷田さん

メンバーの人数が増えている背景としては、プロジェクトが増えていることが挙げられます。先ほど申し上げた通り、複数の新しいプロジェクトが始動中です。

プロジェクトの1つは、家庭用ゲーム機でプレイできるバージョンも開発をする予定です。これまで日本のゲーム会社で世界を視野に入れてコンシューマーゲームを開発し、成功している例はまだまだ多くはありません。弊社はあえてその領域でも挑戦していきます。

編集部

どんなゲームが生まれるのか、まだお話しできないことも多いと思いますが、とても楽しみです。

成長の意欲に応えていく会社。キャリアの枠は狭めない

パソコン画面を見つめる株式会社アイディスの社員

編集部

アイディスさんには現在どれぐらいのエンジニアがいて、どんな人材を採用しているのでしょうか?

田中さん

社員でいうと、約30名のエンジニアが在籍しています。基本的にはUnityでの開発経験がある方を採用しています。また、より深い部分をカスタマイズして作れる、ツール開発ができる社員も多いですね。

編集部

アイディスさんのエンジニアはどのようなキャリアパスを歩んでいくのでしょうか?

郷田さん

弊社では、エンジニアにはジョブローテーションをしてもらっています。

クライアントエンジニアやサーバーエンジニアなど、専門性をしぼって働く会社もあると思いますが、弊社では「クライアントエンジニアもサーバーエンジニアもできる」というハイブリッド人材を育成することを心掛けています。

もちろん、ジョブローテーションは本人の希望を聞いた上で実施しています。必ずしもハイブリッド人材になりたいというエンジニアばかりではないと思いますので、採用面接の段階で希望を聞いています。

「ハイブリッド人材になりたいが、そのような経験はできるか」という質問を受ければ、むしろありがたいので挑戦してほしいと伝えていますね。

編集部

意欲があれば自分の思い描くキャリアを歩める環境にあるのですね。

郷田さん

はい。弊社はエンジニアにかかわらず、基本的にはオープンマインドの会社です。本人のキャリアの希望と会社の方向性が合致しているのであれば積極的に機会を作っています。

また、もし成功した実績がなくても、次に活かす姿勢があれば問題にすることもありませんので、キャリアに関しては枠を狭めないよう心がけていますね。

編集部

成長意欲がある社員さんにとっては理想的な環境にあるのですね。

エンジニアのスキルだけでなくマネジメント能力も伸ばしていく

株式会社アイディスの自社キャラクターのポックルとオフィスの様子

編集部

エンジニアの成長のために、アイディスさんではどのような工夫をされているでしょうか?

郷田さん

弊社は、エンジニアチームの中でいずれリーダーとして期待できる人材には、小さい研究プロジェクトを作って開発を任せています。プロジェクトで実施しているのは、今後弊社の戦略の中で必要になるとされる技術の研究です。

現段階でリーダーのポジションに就いている社員は、そのプロジェクトのサポートも担っています。

また、私自身が主催していることですが、希望者を募ったうえでコミュニケーションやマネジメントスキルや考え方を学ぶ研修を実施しています。

ゲーム開発がもともとできる人材を採用してはいるのですが、会社の規模が大きくなっている中でプロジェクトもどんどん大きくなってきています。

関わる人数が多くなる中でコミュニケーションやマネジメントで課題感を覚える社員もいます。研修は、そのような社員に向けて実施しているものです。

編集部

エンジニアといえど技術だけではなく、コミュニケーションやマネジメントスキルが一定程度求められるのですね。

郷田さん

そうですね。企業でゲーム開発に取り組む場合、コミュニケーションの質がサービスの質に大きく関わってきます。

開発の現場では属人化することも多いですが、人間が作っている以上、どのように集団の中で働いていくか、働きやすい環境を作っていくかというのはとても大切なポイントだといえるでしょう。

編集部

実際に社員さんはどんな課題を持っていて、どのように解決しているのでしょうか?

郷田さん

マネジメントに課題を感じていることが多く、解決のためにトレーニングをしています。具体的に、先ほど申し上げた新プロジェクトを例にお話ししますと、正社員、派遣社員、業務委託社員の混成チームがあります。

プロジェクトの規模も大きいうえにさまざまな人が関わっているなかで、リーダーの立場にある人はエンジニアとしての能力だけでなく、プロジェクトを仕切る力も必要になってきます。

クライアントエンジニアチームを例にすると、チームにはさまざまな年代のメンバーがいます。年代の違いによって仕事の向き合い方も違いますので、チームリーダーがどのようにマネジメントすれば良いか悩んでいたのです。

リーダーを務めている社員は「これまでマネジメントの方法を学んだことがない」と悩んでいました。私は人材開発や組織開発の経験も持っていますので、その社員の悩みを聞いた上で、アドバイスしたりトレーニングを実施したりしました。

ほかにも、メンバーのモチベーションの保ち方などで、相談を受けることもありましたね。

編集部

マネジメントの方法について相談したり学んだりできる環境がアイディスさんにはあるということですね。

個人に責任を負わせない、報連相がしやすい環境

株式会社アイディスのゲームのキャラクターのイラストなどを飾っている額縁

編集部

業務上で発生する課題を相談しやすい環境にあると感じましたが、定期的に上司に相談をする場があるのでしょうか?

田中さん

弊社では、定期的に上司との1on1が設定されています。1on1については社員が相談する機会を作るということのほかに、会社としてリスクとなりそうな情報をいち早く知ることを目的としています。

編集部

会社としてリスクとなりそうな情報を伝えることは社員にとって勇気が必要な場合もあると思いますが、何でも相談しやすい雰囲気を作るために会社として心掛けていることは何でしょうか?

郷田さん

「報連相は大切」とよくいわれますが、報告・連絡・相談をする側からすると、やはり伝えることは気が引けることもあるでしょう。

例えば「任された仕事ができそうにないです」というような場合、「ネガティブな評価をされてしまうのではないか」「怒られてしまうのではないか」と社員が考え、報連相が十分にできなかった場合、会社は社員から大切な情報を得られなくなってしまう恐れがあります。

ゲーム開発は不確実な要素も多いですし、人間なのでミスをすることもあります。会社としては、そういった前提に立っています。トラブルが起こることは良いことではありませんが、仕方のないことです。大切なのは、トラブルが起こってしまった原因を突き止めることと、同じことを繰り返さないために対策することです。

例えば、100人を超えるプロジェクトで、特定の個人だけに責任があるような問題は起こり得ないはずです。社員一人ひとりが間接的に関わっているので、何か問題が起こった場合は全員が振り返りをし、関わっているすべての人がそれぞれに持ち帰り、改めるべきことがあると考えています。

編集部

ミスそのものを責めないこと、個人に責任を被せないことを会社のカルチャーとして大切にしているのですね。そういったカルチャーを作るためには上の立場にいらっしゃる方の姿勢が重要となってくると思いますが、その点いかがでしょうか?

郷田さん

社員には、私のような部長の立場にある人が全責任を持つというメッセージを送っています。ミスを責めることはないから、必ずミスについて説明してほしいと伝えていますね。

部長の立場にある人物が経営層やステークホルダーに説明できないとなると、結局は社員が説明しなければならなくなってしまうのです。なので、良いことも悪いことも常に報告連絡相談できるような環境と関係値を作ることを心掛けています。

編集部

部長としてストッパーのような役割を務めるよう意識されているのですね。

「こうあるべき」ではなく「こうしたい」に応える会社

株式会社アイディスの郷田さん
▲「制限はなく、提案して実行して達成するという経験を得られる会社」と話す郷田さん

編集部

最後に、アイディスさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。

郷田さん

アイディスは「こうあるべき」ではなく「こうしたい」に応える会社です。

弊社はベンチャーゆえに、まだ社内の制度が整っていない部分があります。なので、決まりきった型の中でルーティーンワークをしたい方には向いていないかもしれません。例えると、ガードレールがない環境にあるのです。

一方で、「ガードレールがないのならば自分のノウハウを生かして作ってみよう」という方は弊社に向いているでしょう。または「ガードレールを作ったことはないが、できると思うので挑戦してみよう」という方も活躍できます。

制限はなく、提案して実行して達成するという経験を得られますので、そういった経験を積みたい方はぜひ入社いただきたいです。

編集部

制限のない環境で思い切り挑戦してみたいという方にとって理想的な環境にあると感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社アイディス:https://www.aidis.co.jp/
採用ページ:https://open.talentio.com/r/1/c/aidis/homes/4171