ユニークなロボットを開発するユカイ工学株式会社。エンジニアの「妄想」が魅力的な製品を生み出す

エンジニアが活躍し、ユニークなものづくりで注目される企業を紹介する本企画。今回は、コミュニケーションロボットなどの開発・製造・販売を手がけるユカイ工学株式会社にインタビューしました。

世界をユカイにするロボットを生み出すユカイ工学株式会社

ユカイ工学株式会社のプロダクトが並ぶ様子
▲Maker Faire Tokyo 2023の展示

ユカイ工学株式会社は、「ロボティクスで、世界をユカイに。」をビジョンに、ロボットをはじめとするハードウェアやソフトウェアの企画開発・製品化から商品化までを手がけています。

コミュニケーション・インターフェイスとしてのロボット開発に強みを持つ同社は、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコエモ)」や、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo(クーボ)」などで知られ、自社製品の開発を通じて培ったノウハウを活かしクライアントの要望に合わせたハードウェアやソフトウェア、アプリ開発も行っています。

セコムが提供するBOCCO emoを活用した高齢者のQOL向上を目指すコミュニケーションサービス開発の他、ユカイ工学の高いロボティクス技術や発想力は大企業からも注目されています。

会社名 ユカイ工学株式会社
住所 東京都新宿区富久町16-11武蔵屋スカイビル101号
事業内容 ロボット、ハードウェアの開発・製造・販売
設立 2011年
公式ページ https://www.ux-xu.com/
働き方 ・フレックスタイム制(コアタイム 11:00~16:00)
・一部リモートワークあり

社員の「妄想」が次世代商品のキーとなると考えるユカイ工学株式会社では、社員が自由な発想でプロダクトを企画できる環境づくりを推進しており、自由参加でアイディアを出し合う「妄想会」や、3ヶ月かけてものづくりを行うイベント「メイカソン」などを開催しています。

今回は、代表取締役CEOの青木俊介さんに同社のエンジニアのお仕事やインターンについてお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
ユカイ工学株式会社の代表取締役CEOの青木俊介さん

ユカイ工学株式会社
代表取締役CEO

青木 俊介さん

ユカイ工学のエンジニアが自由なものづくりに挑戦できる理由とは

ユカイ工学株式会社のミーティング(妄想会)の様子

編集部

まず、ユカイ工学さんのエンジニア比率についてお伺いできますか?

青木さん

弊社の社員数は約40名で、このうち約半数がエンジニアです。

弊社の自社開発プロダクトに興味を持ったことをきっかけに入社を希望していただくことが多く、ハードウェアエンジニアには高専や大学時代にロボコンで活躍していたような人もいますよ。

編集部

中途入社のエンジニアさんも多いと思いますが、どのようなバックグラウンドの方がいますか?

青木さん

メーカー出身者からチームラボにいた人、海上自衛隊でシステム担当をしていた人まで、さまざまです。弊社での仕事については、「アイディアを出してそれが形になるところまで関われることが面白い」と言ってくれる人が多いですね。

編集部

ロボットなどのハードウェアだけでなく、ソフトウェア開発も手がけていらっしゃいます。ハードとソフトの比率について教えていただけますか?

青木さん

ソフトウェア関連の比率の方が大きいですね。ソフトウェアと一言で言ってもクラウドのシステムなどWebに近いところもあればアプリの開発もありますし、Bluetoothのコントローラーのソフトウェアなどデバイスに近い部分の開発もあり、非常に広い範囲で事業を行っています。

編集部

受託事業としては、企業と共同で行うロボット開発のほかにどのようなものがありますか?

青木さん

ソフトウェアの開発のほか、デザインだけを受託することもあります。あと、研究開発のお手伝いをすることも多いですね。

エンジニアやデザイナーが協力しながらプロダクトを作り上げる

ユカイ工学株式会社の青木CEOと2名の役員が自社製品を持ちながら座る様子
▲白いクッション型の呼吸誘導型ロボット「fufuly」はJT・博報堂との共同開発製品。

編集部

ロボット製品では大手企業との共同開発も手がけていらっしゃいますね。

青木さん

最近ですと、JT様や博報堂様と共に開発した「fufuly(フフリー)」が2024年7月頃に出荷される予定です。fufulyは抱きかかえて使うクッション型ロボットで、呼吸するように膨らんだり縮んだりする動きが人間の深く自然な呼吸を誘導します。

■呼吸するクッション「fufuly」(フフリー)PV(ユカイ工学公式YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/fEwn2lsr0HI?si=Sj3RLn-xQKFONhqC

編集部

fufulyの製品化までの流れについてもお話しいただけますか?

青木さん

東京大学大学院新領域創成科学研究科の呼吸や休憩に関する研究をもとに、ロボット系の研究室出身の弊社のエンジニアがハード開発を担当しました。

商品化に向けたブラッシュアップの試作開発から弊社が加わり、デザインの一新、機械設計、電気設計やロボットの振る舞いを決めるソフトウェアの開発などを経て、今は中国の工場での生産に向けて準備しているところです。

クラウドファンディングなどを活用した商品化のノウハウも弊社の強みなので、その部分においても私たちがリードしました。

編集部

社内にエンジニアもデザイナーもいらっしゃると、製品化までの行程を全て自社で行うことができそうですね。

青木さん

そうですね。弊社はエンジニアとデザイナーの距離が近く、これが魅力的なものづくりを可能にする要因のひとつだと言えます。

「妄想会」や「メイカソン」を通じてアイディアを形に

ユカイ工学株式会社の社員らがメイカソンで発表を行う様子
▲年に1度、「メイカソン」というものづくりイベントを開催するユカイ工学株式会社。そこで作ったものが商品化されたことも。

編集部

ユカイ工学さんは社員の自由な「妄想」を製品づくりのカギと位置付けています。そのように考える理由はなんでしょうか?

青木さん

ユカイ工学という社名は、ソニー創業者の一人である井深大氏がまとめた設立趣意書にある「自由闊達にして愉快なる理想工場」を由来としています。アイディアを自由に出したり形にできたりする愉快な環境が、ものづくりにおいては一番大切だと思っています。

編集部

アイディアを自由に出し合えるような場としては、どのようなものがありますか?

青木さん

希望する社員が参加してアイディア出しをする「妄想会」を毎週開催しています。

また、ハッカソンのものづくり版である「メイカソン」も行っており、指を入れると甘噛みする癒やしロボット「甘噛みハムハム」や、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」はそこから誕生して量産化を実現しました。

■甘噛みハムハムを生み出したユカイな文化メイカソンとは(ユカイ工学公式note)
https://note.com/ux_xu/n/nc38b2d669ea0

編集部

妄想会では、何についてアイディア出しを行うのでしょうか?

同席の石原さん

毎回テーマを設定して、それに対して思いついたアイディアを出し合います。参加者がテーマを持ち込む場合もあれば、企業様からの依頼について考えることもあります。

エンジニアだけではなく営業やコーポレートのメンバーも参加し、それぞれのアイディアを組み合わせることで新しい発想を生み出しています。

編集部

メイカソンも職種に関係なく参加できるのでしょうか?

同席の石原さん

はい。全社員が各チームに分かれて約3ヶ月かけてものづくりを行います。成果発表会は年に1度の社員旅行も兼ねて合宿スタイルで行います。

編集部

妄想会やメイカソンを開催するうえで意識していることがあれば教えてください。

青木さん

アイディアの良し悪しは、実際に動かしてみるまで分かりません。だからこそ、アイディアだけで否定しないで、実際に試作して動かして検証するまでやってみる姿勢を大切にしています。

編集部

そのような姿勢は、アイディアを出しやすい雰囲気や、失敗を恐れず挑戦するカルチャーの醸成にもつながりそうですね。

青木さん

そうですね。アイディアを出し、それをすぐに形にしてみようという姿勢は日頃から強いと感じます。例えば、弊社が手がける感情表現豊かなコミュニケーションロボット「BOCCO emo」では、ソフトウェアエンジニアチームのメンバーの発案から、ChatGPTを活用してロボットがさまざまなキャラクターになりきって会話する新機能(変身エモちゃん)を開発するなど、数週間の短いスパンでどんどんアイディアを形にしています。

■BOCCO emo新機能「変身エモちゃん」リリースのお知らせ(BOCCO emo公式サイト)
https://www.bocco.me/news-entry/5109/

同席の石原さん

ユカイ工学は、妄想会やメイカソンの時だけでなく、日常的に雑談レベルでアイディアが飛び交う会社だと感じますね。

ユカイ工学ではインターンも自由な発想でユニークな製品を開発

インターンの参加者が部屋に集まる様子

編集部

ユカイ工学さんのインターンについてもご紹介いただけますでしょうか。

青木さん

弊社では春と夏に約2週間のインターンを実施しています。学生さんにはチームになってプロダクトの発案からプロトタイプづくりまで体験してもらいます。

開発は基本的には学生さんだけで行ってもらいますが、プロトタイピングができる自社開発キットを使うので、その使い方の説明などは弊社の社員が担当しています。

編集部

インターンの学生さんのアイディアで印象に残っているものはありますか?

青木さん

学生の発想力には毎回驚かされています。例えば、2023年夏のインターンで「夏休みに子どもが愉快になるプロダクト」をテーマにしたところ、ユニークなセミ型のロボットを作ったグループがありました。

セミを捕まえると、逃げようとして暴れますよね。その動きを再現して羽をバタバタさせたり音を出したりするロボットで、人が近づくと鳴き止み、離れるとまた鳴き始めるところもセンサーなどを用いて再現していました。

編集部

ユカイ工学さんだからこそ、インターンでも自由な発想でものづくりができるのかもしれませんね。インターンをきっかけに入社した例もあるのでしょうか?

青木さん

はい。インターンに参加した学生さんに新卒で入社してもらうケースは多いですね。

柔軟な働き方ができるユカイ工学では、社員同士の交流もさかん

ユカイ工学株式会社の社員がお花見する様子
▲ユカイ工学株式会社では、お花見など社員が交流できるイベントを積極的に企画している。

編集部

社内の雰囲気や職場環境についても特徴をお話しいただけますでしょうか?

青木さん

ものづくりが身近にある職場環境だと思います。作りかけのプロトタイプが社内のあちらこちらにありますし、3Dプリンターなどの機材も揃っています。

編集部

柔軟な働き方を可能にする在宅勤務などの制度はありますか?

青木さん

弊社では出社するメンバーが多いですが、在宅勤務やフレックスタイム制度を導入しているので、子育て中の社員でも働きやすい環境があると思います。

編集部

社員同士が交流できる取り組みもあれば教えてください。

同席の石原さん

忘年会やお花見といった季節のイベントのほか、部活動もさかんです。

忘年会でユカイ工学株式会社の代表が発表を行う様子
▲忘年会の場でも代表がものづくりについて語っている。

編集部

部活動にはどのようなものがありますか?

同席の石原さん

エンジニアが集まってプロダクトをつくる「ものづくり部」から、料理部、映画部、ゲーム部、筋トレ部など、さまざまな部活があります。

編集部

ものづくり部では、どのようなプロダクトに挑戦しているのでしょうか?

青木さん

弊社のプロダクトには移動ロボットがないので、そういった新しい分野をテーマにして、足の構造にこだわったプロダクトなどの開発に挑戦しています。ロボコン経験者が多いので、高速で向きを変えたり移動したりする動きには、みんな興味があるようです。

アイディアを形にしたいエンジニアを歓迎!

編集部

最後に、ユカイ工学さんのお仕事に興味を持つ読者の方にメッセージをお願いします。

青木さん

自分のアイディアを形にするチャンスを求めている方や、画面の中だけではなく画面の外の世界でも物を動かしてみたいソフトウェアエンジニアの方などに、弊社の仕事はマッチするのではないでしょうか。

私自身もそうでしたが、自分が作ったものがなかなかパソコン画面の外に出る機会がないことに物足りなさを感じているエンジニアの方もいると思います。弊社なら、人の触れ合いを生み出すようなインターフェースに関わるソフトウェアに触れることができると思います。

また、ユーザーさんの反応がダイレクトに見えることも、この仕事の楽しさにつながっていると思います。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひご応募ください。

編集部

人の心を豊かにするためのものづくりを行うユカイ工学さんは、社名の通り、エンジニアが楽しみながら愉快にものづくりができる会社だと感じました。

本日はありがとうございました。

■取材協力
ユカイ工学株式会社:https://www.ux-xu.com/
公式note:https://note.com/ux_xu/
採用ページ:https://www.ux-xu.com/recruit-ja