フィールドワーカーをクリエイティブに。UPWARD株式会社が大切にする「プロダクトへの誇り」とは

独自のビジネスを展開し、働きやすい環境を作りながら成長を続けている企業にインタビューする本企画。

今回は外回り・訪問営業のDXとして、訪問営業、保守点検、店舗巡回などの移動を中心とするフィールドワーカーの業務を最適化するモバイルアプリ「UPWARD」を展開するUPWARD株式会社にお話を伺いました。 

フィールドワーカーの業務を最適化するアプリ「UPWARD」を展開

UPWARD株式会社のオフィス風景
▲UPWARD株式会社が掲げるビジョン「Go smarter, anywhereどこでも快適に働ける世界をつくる」

「Inspiring upward creativity フィールドワーカーの創造性を引き出し、企業と社会の成長を加速させる」をパーパスに掲げるUPWARD株式会社は、2016年に設立されました。

会社名 UPWARD株式会社
住所 東京都港区西新橋1-1-1 WeWork日比谷FORT TOWER
事業内容 フィールドワーカー向けSales Engagement「UPWARD」の開発・提供
設立 2002年3月
公式ページ https://www.upward.jp/

現在、大手企業を中心に400社以上に「UPWARD」が導入されており、UPWARD株式会社の社員数は2018年から2023年にかけて約3倍になりました。ビジョンである「Go Smarter , Anywhere どこでも快適に働ける世界をつくる」を自ら体現するために、リモートワークを推奨し、首都圏以外に在住する人材や、外国籍人材なども採用して多様な人材を受け入れることで成長を続けているのです。

同社の成長の理由や働き方について、執行役員ピープル&カルチャー本部長の下野弘雅さん、同本部の佐々木爽さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
UPWARD株式会社の下野さん

UPWARD株式会社
ピープル&カルチャー本部 執行役員

下野 弘雅さん

UPWARD株式会社の佐々木さん

UPWARD株式会社
ピープル&カルチャー本部

佐々木 爽さん

熊本豪雨の際の自治体業務の支援にも活用された「UPWARD」

UPWARD株式会社が展開している「UPWARD」のイメージ画像
▲地図上にお客様の情報を表示するなど、UPWARDにはフィールドワーカーの戦略的な訪問活動に結び付く機能が備えられている(公式ページより)

編集部

初めに、UPWARDさんの事業内容について伺わせてください。

佐々木さん

UPWARDは、訪問営業や保守点検などをされるような、実際に現場に赴いて業務をされているフィールドワーカーの業務を最適化するアプリ「UPWARD」を開発、提供しています。

「UPWARD」の特徴は、位置情報とCRM(※)を掛け合わせたプロダクトであるという点です。
(※)Customer Relationship Managementの略語で、「顧客関係管理」という意味。顧客情報や社員と顧客の関係性を管理するためのツールを指す。

地図上にお客様の位置情報を反映して優先度を可視化する機能に加え、どのお客様に訪問したのか、そのお客様とどれくらいの時間会っていたかなどの情報を自動でCRMに記録する機能が備わっています。

この滞在記録を自動で検知するという技術で、「UPWARD」は特許を取得しております。

編集部

特許技術が備わっているアプリとはすごいですね。「UPWARD」は実際にどのような使われ方をしているのでしょうか?

佐々木さん

「UPWARD」は決済サービス会社さんにも使用いただいておりますが、決済サービス会社さんの営業においては、実際に新規開拓先に赴いて「弊社の決済サービスを導入しませんか」とお話ししていくことになります。

「UPWARD」を導入することで、どの新規営業先や既存取引先を優先して訪問していけばいいかというのが一目でわかりますので、戦略的な訪問活動に結び付くでしょう。

また、「UPWARD」は自治体さんにも取り入れていただいております。2020年の熊本豪雨の際の現地調査にも活用いただきました。

豪雨によって被害を受けた方には給付金などの支援制度があるのですが、制度に申請する際は被害状況などを証明する罹災証明書が必要になります。

では、罹災証明書はどのように発行されるかというと、自治体の職員さんが現地に行って被害状況を確かめたうえで発行しているのです。その現地調査において、「UPWARD」が活用されました。

編集部

企業のみならず、自治体にも「UPWARD」の輪が広がっているのですね。

熊本豪雨の際に活用されたUPWARD株式会社の「UPWARD」の画面
▲熊本豪雨の際にも「UPWARD」が活用された

社員数は5年で約3倍、成長の要因は「お客様の共感」

UPWARD株式会社の「UPWARD」イメージ画像

編集部

著名な企業や自治体での「UPWARD」の活用が広がっていますが、UPWARDさんの成長スピードがわかる事例を伺わせてください。

佐々木さん

UPWARDの2023年9月時点の社員数は96名ですが、2018年の社員数は29名と、5年で約3倍に増加しております。

フィールドワーカーの戦略的な訪問活動というとなかなか難しい部分ではあるのですが、その難しい部分に取り組んでいることで、多くのお客様に共感いただけているのかなと思います。

編集部

コロナ禍によってこれまでの営業手法が見直されたことで、UPWARDさんのサービスにも影響があったのではないかと考えられますが、その点はいかがでしょうか?

佐々木さん

コロナ禍ではカスタマーサクセスにより力を入れたため、2020〜2021年も契約継続率は約99%でした。コロナ禍をきっかけにオンラインでの営業というのが広がってきてはいると思いますが、状況が収束するにつれて対面での営業の価値が見直されていると感じています。オフラインの価値が見直されているなかで、その価値を最大化させるのが「UPWARD」です。

さきほどお客様の共感というお話をいたしましたが、パーパスである「フィールドワーカーの創造性を引き出し、企業と社会の成長を加速させる」という点もお客様に共感いただけているポイントだと自負しています。

編集部

オンラインでは提供できない現場での空気感というのがオフラインの価値のように思います。そんなオフラインの魅力をさらに引き上げるサービスを提供されているからこそ、ここまで成長されているのですね。

営業活動の報告、情報の正確さを担保する特許技術が「UPWARD」の強み

UPWARD株式会社が提供する「UPWARD」の特許技術解説画像
▲「UPWARD」には滞在先での滞在記録を自動検知する特許技術が備わっている(公式ページより)

編集部

UPWARDさんが提供されている「UPWARD」について特許技術を備えているという点は大きな強みだといえるのではないかと思いますが、その点について詳しく伺わせてください。

佐々木さん

CRMを導入している企業は今や数多くありますが、導入後に発生しがちな課題が「入力作業が面倒」「使い方がよくわからない」というものだと思います。その点、「UPWARD」ではどのお客様を訪問したか、お客様のもとでの滞在時間などを自動的に「UPWARD」が認識し、報告ボタンを押すだけで簡単にCRMへ連携できます。

報告作業の自動化を実現するので、その分フィールドワーカーはお客様との関係性を深めるためのクリエイティブな作業に時間を割くことができるのです。

下野さん

「UPWARD」をインストールしているスマートフォンをポケットに入れてさえいれば、訪問情報が「UPWARD」に認識されます。加えて、詳しい商談内容についてはアプリに声などで入力し報告ボタンを押すと、訪問情報とともにCRMに記録されていくのです。

これらをいちいち手作業で記録していくとなると、膨大な時間がかかってしまうでしょう。報告業務に時間がかかってしまうと、例えCRMを導入してもうまく活用できないのです。

あまり望ましい状況ではありませんが、あまりに報告に手間がかかるため適当な情報を入力してしまう可能性も考えられます。

そもそも正しいデータをCRMに記録していないと、正しく業務改善をすることもできません。正しいデータをCRMに蓄積し、正しいデータをもとに分析し営業戦略を立てていく。「UPWARD」は、そのような良いサイクルを作り出す手助けをしているのです。

編集部

情報の正確さを担保するというのも「UPWARD」の強みだといえそうですね。

下野さん

情報の正確さという観点では、滞在検知の技術を「UPWARD」の強みとして持っています。「UPWARD」は特許を取得した滞在検知の技術により訪問活動の正確な検知を実現しています。

位置情報で数百メートルの誤差が出てしまうと、訪問したお客様を正しく検知することができません。正確なセールス活動のデータを取得するためにも、位置情報の正確さは重要になります。

訪問介護・医療や空き家対策。支援の手を自治体にも広げていく

熊本豪雨でUPWARD株式会社の「UPWARD」が活用されている様子
▲熊本豪雨の現場でも「UPWARD」が活用された。今後も自治体との連携を強めていく方針だという

編集部

自治体のなかにも「UPWARD」を活用されている例がありましたが、会社として社会に貢献していきたいという思いをお持ちなのでしょうか?

下野さん

UPWARD CEOの金木(竜介さん)はもともと社会貢献活動に取り組んでいきたいという想いを持っています。熊本豪雨のほかに、熊本地震の際にも「UPWARD」が活用されました。

編集部

今後も自治体との連携を強化していく方針でしょうか?

下野さん

UPWARDとしては、今後も自治体との連携を強めていきます。今まさに自治体さんや関係省庁さんとお話ししており、さまざまなアイデアをいただいている段階です。

空き家の状況把握や、自治体が管理するインフラ設備・施設の整備・更新状況、訪問介護・医療の巡回など、多岐にわたる用途に対応できると考えています。

このような分野で、「UPWARD」に可能性を感じている自治体さんが多くいらっしゃるのです。

編集部

どこの自治体でも当たり前のように「UPWARD」が導入されているという未来も近そうだと感じました。

チームによっては年1出社も、多様な人材が集まる環境

UPWARD株式会社の働く環境を説明したイメージ図
▲社員は全国に在籍しており、基本的にリモートワークで業務に当たっている(公式ページより)

編集部

UPWARDさんの働き方についてお教えください。

佐々木さん

UPWARDは基本的にはリモートワークで業務にあたってもらっていますが、出社奨励日を設けてオフラインのコラボレーションを意識した運営を行っているチームもあります。また、午前11時から午後3時までのコアタイムとしたうえで、フレックス勤務制を採用しています。

編集部

各チームでそれぞれ違うと思いますが、社員さんはどれぐらいの頻度で出社されているのでしょうか?

佐々木さん

UPWARDの社員の出社頻度は、平均すると週1~2日程度だと思います。

編集部

基本的にはリモートワークということで、社員さんは全国にいらっしゃるのでしょうか?

佐々木さん

UPWARDの社員は北は北海道、南は熊本まで在籍しています。また、日本在住の外国籍の社員の方も10名います。外国籍の方は主にテクノロジー部門に在籍しています。

下野さん

弊社はUI/UXには非常にこだわっており、「UPWARD」についてデザインの統一性のようなユーザーからみた視認性や使い心地の良さというのにもこだわっています。

デザイナーにも外国籍の社員がおり、デザインを含めたUI/UXへのこだわりに魅力を感じていただけているのだと思います。

編集部

UPWARDのプロダクトへの共感以外にも、社員の働く環境にも配慮していらっしゃるからこそ、多様な人材が入社してくるのですね。

リモートワーク中でも隣で一緒に仕事をしているような環境を作ることを意識

編集部

リモートワークでは社内での情報共有が課題となりがちですが、UPWARDさんはその点どのような取り組みをされているでしょうか?

佐々木さん

UPWARDではSlackを活用して社内コミュニケーションを取っています。チャットルームはいくつか設けているのですが、基本的にはルームはオープンになっていて誰でも見られるような状態になっています。

それぞれ違う部門のやり取りを見ることが可能ですので、会社として今どのような動きをしているのか全社員が把握できるような状態になっております。

編集部

社内でのコミュニケーションも基本的にはチャットで完結する形となっているのでしょうか?

下野さん

チャットでコミュニケーションを取ることはもちろん、UPWARDではSlackのハドルミーティングという機能を活用しています。

これはすぐに音声でコミュニケーションが取れる機能ですが、例えばテクノロジー部門のあるエンジニアチームでは、1日中ハドルミーティングの機能をオンにして会話をしながら業務を進めています。

リモートではあるものの、すぐ隣で仕事をしているような状況を作っているのです。

編集部

気軽に音声でコミュニケーションが取れる状況を作っているのですね。部門を超えたコミュニケーションの場もございますでしょうか?

佐々木さん

UPWARDでは月に2度、全社ミーティングをオンラインで開催しております。全社ミーティングは会社の目標やそれぞれのチームが取り組んでいることを共有し、社長の現在の考えを聞く場となっています。

直近ではオフラインイベントも開催、社内でもオフラインの価値を大切にしていく

UPWARD株式会社のイベント「UPWARD100」の様子
▲社員が間もなく100名に達するというタイミングでオフラインイベント「UPWARD100」を開催した

編集部

オンラインでのコミュニケーションについて伺ってきましたが、オフラインイベントについてもお教えください。

下野さん

UPWARDの社員数がもうすぐ100名に到達するということで、2023年9月に「UPWARD100」というオフラインイベントを開催しました。

「最初の100人がその会社の事業を決める」といわれることもありますので、ここからUPWARDの歴史を作っていくんだという思いを込めたイベントとなりました。

コロナ禍でなかなか集まることができなかったですし、売上も節目の数字になってきたということで、お祝いも込めて開催させていただきましたね。入社して1~2年経つのにリアルの場でお会いしたことのなかったメンバーもいましたので、とても良い機会になりました。

編集部

今後もオフラインで集まる機会は作っていく予定でしょうか?

下野さん

UPWARDは出社とリモートワークを合わせたハイブリッド勤務制を続けていきますが、オフラインの価値についても大切にしていきたいと考えています。先ほども申し上げた通り、オフラインに価値を感じているからこそ「UPWARD」を展開しているのです。

今後は、もっとオフィスを活用した働き方を実施していくことも考えています。引き続き人材の採用を進めているため、新たに入社した人材が早期に活躍できるよう、オフラインでのチームビルディングや部門間で連携を取る場合の出社が当然必要になると思いますので、何かしらオフラインで議論する場というのは積極的に作っていければと思います。

編集部

オンラインとオフラインそれぞれの価値を大切にしながら働く環境を作っていくということですね。

社員が自社プロダクトに誇りを持って働いている

UPWARD株式会社のオフィス内観

編集部

UPWARDさんの社員さんはどういった動機で入社される場合が多いでしょうか?

佐々木さん

UPWARDの社員は、やはり「UPWARD」というプロダクトに可能性を感じて入社するケースが多いですね。実際に前職で訪問営業をされていた方もいらっしゃいますし、実体験をもとに「UPWARD」に魅力を感じて入社される方が多いように思います。

編集部

社内の雰囲気を一言でいうと何といえるでしょうか?

佐々木さん

UPWARDは「オープンでフラットな組織」といえるでしょう。先ほども申し上げた通り、チャットでフラットにコミュニケーションを取っていますし、私たちは「お客様の成功を約束する」というところをバリューの一つとしておりますので、柔らかい雰囲気の中に熱いものを持っている性格の社員が多いと感じます。

下野さん

「お客様の成功を約束する」について補足をすると、UPWARDの社員は実際にフィールドワーカーとして働いた経験を持つ者も多いです。ですので、現場に徹底して寄り添うというところはプロダクト開発において強く意識している会社だといえます。

全社員が「UPWARD」というプロダクトに誇りを持っていますし、自信を持ちながら気持ちよく働いています。リモートワークで社員同士が場所を同じにしているわけではないのですが、同じ方向性を向いてサービスを提供していると胸を張っていえます。

編集部

社員さんが本当に自社のプロダクトを愛しているからこそ、お客様もその情熱に共鳴するのですね。

求めるのは「UPWARDへの共感力」「挑戦力」「自走力」

UPWARD株式会社の佐々木さん
▲「UPWARDの3つの求める人材像の要素を持っている方と働きたい」と話す佐々木さん

編集部

最後に、UPWARDさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。

佐々木さん

UPWARDは求める人材像について3つ挙げております。まずは弊社のミッションやプロダクトに共感して可能性を感じていただける方、次に成長したいという挑戦心を持っている方、最後に自分の頭で考えてお客様の課題発掘のために行動できるような自走力を持っている方です。

これらの要素を持っている方と一緒に働きたいと考えております。

UPWARD株式会社の下野さん
▲「私たちに共感いただいて、わくわくできるような方と一緒に働きたい」と話す下野さん

下野さん

UPWARDで働く上では、やはりサービスや考え方に共感いただけるかという点が一番大切になってくるでしょう。私たちに共感いただいて、わくわくできるような方と一緒に働ければと考えております。

編集部

自分の仕事に誇りを持って働ける、やりがいがあふれる職場だと感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
UPWARD株式会社:https://www.upward.jp/
採用ページ:https://www.upward.jp/recruit