従業員の過半数以上が女性の株式会社トラントは女性DX人材育成でIT業界を改革する

企業が展開する魅力的な事業についてお話を聞く本企画。今回は、2004年の創業時から女性DX人材の育成やSES事業者の業務効率化・生産性向上に取り組むIT企業、株式会社トラントをご紹介します。

人材育成オンラインスクールをスタートした株式会社トラント

株式会社トラントは、システム受託開発や大規模プロジェクトのIT支援サービス、SES事業などを手掛けているIT企業です。

2023年11月より、IT未経験の文系女性でもIT人材になれるIT人材育成オンラインスクール「DXクリエイターズ」をスタート。スクールで学びDX人材に成長した女性たちの、その後の就職はもちろん、さらにその先のキャリアパス形成まで、IT業界直結の人材紹介サービスによりサポートしています。

会社名 株式会社トラント(TRENTE Inc.)
住所 東京都渋谷区恵比寿4丁目6-1
恵比寿MFビル8F
事業内容 ・ITコンサルティングサービス
・システムインテグレーションサービス
・インフラ構築、運用サービス
・キャリアスクールサービス
設立 2004年3月
公式ページ https://www.trente.jp/

今回は株式会社トラントがサービスをスタートさせたスクールの特徴や、IT業界での女性活躍に対する思い、また採用のポイントについて、代表取締役社長の小川直子さんにインタビューしました。

本日お話を伺った方
オフィス前でほほ笑む株式会社トラントで代表取締役社長を務める小川直子さん

株式会社トラント
代表取締役社長

小川 直子さん

女性DX人材を長期的にサポートする「DXクリエイターズ」

株式会社トラントが運営するIT人材育成オンラインスクール「DXクリエイターズ」を紹介する画面

編集部

最初にトラントさんがこの度、新しい事業としてスタートされるスクールについて説明をお願いいたします。

小川さん

2023年11月にスタートする「DXクリエイターズ」は、IT業界の慢性的な人材不足解消とDX推進を目指し、DX人材となる女性の育成に取り組むスクールです。私たちは元々IT業界で開発などを手掛けてきた会社ですので、スクール運営側の目線というよりは、IT業界側からの目線で人材育成をしています。

「DXクリエイターズ」は、スキルを身につけるためだけのスクールではありません。IT技術を習得した女性が、長くその技術を活かして仕事ができるような、キャリアパスの形成や就職支援も行います。

IT業界に今後必要とされるのはどのような人材か、どんなことができればIT業界で活躍していけるのか。私たちがIT業界で20年間培ってきたノウハウを活かして、女性たちが無駄なく勉強して将来のキャリアパスが描けるように導きます。

編集部

「DXクリエイターズ」の特徴を、もう少し詳しく伺えますか。

小川さん

スクールでは、ITに関連する知識や技術の習得をサポートするだけでなく、就職の支援まで行っています。

女性が活躍しやすい社会実現のため、多くの企業が職場づくりやルールの改定など、新しい取り組みを進める中、結婚や出産などのライフイベントを踏まえたキャリアパスをイメージしている女性は増えているはずです。

「DXクリエイターズ」は、そのような女性たちが自分らしく社会で活躍し、それぞれのキャリアパスを実現するために、ずっと学び続けられる場であればと思っています。

株式会社トラントが運営する「DXクリエイターズ」公式サイトのトップページ
▲「DXクリエイターズ」は文系、IT未経験の女性でも、DX人材へと成長させてくれるスクール(公式サイトより引用)

編集部

トラントさんはITを学んだ女性が、一人のエンジニアとして歩んでいくキャリアをずっと応援していくのですね。

小川さん

そうですね。就職、転職がゴールではなくて「DXクリエイターズ」でノウハウを習得した女性が、様々な選択肢を持って働けることを目指しています。

IT技術は身につけておけば今後、社会から必要とされるものであるし、高い報酬も望めます。インターネットが浸透した現代では、手元にPCさえあれば、その技術を活かしてどこでも働けます。

まだ日本では多くの方が認識しているわけではないのですが、ITエンジニアは、家事や育児と両立できる仕事としてたくさんのメリットがあるんですよ。

編集部

そうだったのですね。これからIT業界に挑戦して長く働きたい女性にとって「DXクリエイターズ」という存在は心強いですね。

時代は変わり、IT業界への女性進出はこれから加速する

株式会社トラントの女性スタッフが楽しそうに街を歩く様子
▲株式会社トラントではIT業界に挑戦したい女性を積極的に採用。入社後にノウハウを習得し、様々なIT関連の業務で活躍している先輩が多数いる。(公式サイトより引用)

編集部

小川さんは、トラントの立ち上げ以前からSEをされていて、長くIT業界にいらっしゃいますが、現在の業界の状況についてどのように思われていらっしゃいますか。

小川さん

人材不足が叫ばれるIT業界ですが、そもそも私の学生時代には、理系の一部の人を除いて、ITについて学ぶ機会さえありませんでした。多くの女性はITに触れる機会そのものがなかったんですよね。

プログラムを学ぶなら、専門学校に行くしかないような時代でしたが、ようやく「プログラミングは最低限、学校で学ぶべき」という風潮が変わってきています。ITに対する社会の見方が変わったのだと思います。

編集部

そうなんですね。これから、もっと女性のIT業界進出が増えていきそうですね。

小川さん

はい。実際、すでにIT業界に転職する女性の数が、最近の10年で4倍以上に増えている(※)という調査があります。しかし、転職できても定着はできていない状況です。現在、IT業界で女性の占める割合は2割程度で、その割合は20年前と変わっていません。
(※)IT業界に転職する女性の数がここ10年で4倍以上にも増えている。(2023年5月日経クロステックより引用)

編集部

女性がIT業界に定着できない理由は何なのでしょうか。

小川さん

女性がIT業界に定着できないのには、ふたつの理由があります。

まずひとつ目は、女性がプログラミングになじめないからです。女性の人材を多数採用すると、その中には文系出身者が多く含まれています。学校でITを学んできていない世代の文系出身者にとって、プログラミングは無理に勉強しても「難しくて好きになれない」と興味を持てないのです。

ふたつ目の理由は、ITに関連する仕事の労働時間が長いことです。結婚や出産、育児などライフイベントの到来を考慮し、忙しいIT業界の仕事は、最初から続けていく仕事としては選択肢に入れず、諦めるという人が多くいました。

しかし、近年は働き方が柔軟になって、在宅勤務やリモートワークが当たり前の時代です。またIT技術が進歩していることにより、女性がIT業界に定着できない理由はなくなりつつあるんですよ。

「リモート、クラウドツール、ノーコード」でIT業界が求める人材が変化

株式会社トラントのスタッフがPC作業をしている様子
▲slackやGoogle chatを使い、離れた勤務場所にいるスタッフ同士の情報共有を密にしている(公式サイトより引用)

編集部

コロナ禍の影響で社会全体が大きく変わって、IT業界にはどのような変化があったのでしょうか。

小川さん

IT業界では働き方が随分と変化しました。リモートワークでオフィスに縛られずに働くことができ、クラウドツールの導入で離れた場所にいるスタッフ同士で情報を共有できるようになりました。

プログラムをイチからつくらなくても、ノーコード・ローコード(※)で開発が可能にもなり、IT業界は理系でITを学んでいない人や家事や育児と仕事を両立したい女性にも、挑戦しやすいフィールドになってきていると思います。
(※)あらかじめ用意されたツールを使用することで、コーディングが不要、もしくは少ないコーディング作業のみで、アプリなどの開発ができる開発手法

編集部

IT業界はトラントさんが理想とされていた、女性が働きやすい環境に変化したのですね。他に変化したものはございますか。

小川さん

中小企業でのDX化を推進する案件が増えました。このような案件は規模が小さいため、短時間でプロジェクトを進められます。理系でITを専門に学んでいなくても取り組める内容のものが多く、女性のDX人材が担う仕事としてとてもマッチしているんです。

株式会社トラントの公式サイトがPCの画面にうつっている様子
▲実力や希望に沿って、ディレクション、開発、DXコーディネートなど様々な業務をスタッフに任せている(公式サイトより引用)

編集部

中小企業のDX化案件が女性にマッチする理由は、規模や時間の他にもあるのでしょうか。

小川さん

こういった規模の案件では、カスタマーサクセスがとても重要です。お客様から質問があったときにだけお答えするのではなく、お客様の課題解決やビジネスの成功に積極的に取り組む役割を、女性が担ってくれると考えています。

そもそもトラントでは、創業時から自身を「IT業界のサービス業です」と掲げています。カスタマーサクセスという言葉がよく聞かれるようになった現在の業界内に、これまで私たちが大切にしてきた姿勢が、浸透してきたように感じています。

プログラムの価値が優先されてきたIT業界の中で、コミュニケーション力や共感力、寄り添うようなサポート力が重要視されるようになっています。そのような力を備えた女性は多くいますので、IT業界は女性が活躍しやすい場所になったと思います。

編集部

女性DX人材のポジションが重要となる場面や案件が多くなっているのですね。

スタッフ50名の6割が女性。コーチングで目標を定めスキルアップ

明るいイメージの株式会社トラントのエントランス
▲オフィスには癒し効果抜群のグリーンがたくさんある(公式サイトより引用)

編集部

トラントさんで働く皆様の女性比率はどれくらいでしょうか。

小川さん

当社の女性比率は6割です。もともとは男性が多かったのですが、女性の採用に力を入れています。

もちろん、IT業界未経験だったという方も採用しており、スタッフたちは使い慣れないソフトをイチから学びながら、WordPressでサイトの編集ができるようになったり、SQLを使ったデータ管理ができるようになったり、ITエンジニアとして成長しています。

編集部

スタッフの皆様の成長を感じたエピソードをお教えください。

小川さん

今までで、スタッフの成長を感じて一番うれしかったのは、女性スタッフの「私にも目標ができました」という言葉を聞いたときです。

弊社では入社時にITの研修と並行で、月1回のコーチングを行っています。明確な目標を持って、そこに向かって走ってもらえるように、自分の価値観の深掘りや抱えている不安の落とし込み、これから成長したい姿を明確にするなど、丁寧に時間をかけて自己開示を行います。

不安を抱えたままだと、気持ちが消化できずに愚痴をこぼしてしまいがちになることがあります。それらをコーチングで全部吐き出して、クリアになったところからスタートしてもらうんです。

編集部

スタッフの皆様が抱えている、キャリアへの不安などを取り除くと、気持ちよく前に向けるということなのでしょうか。

小川さん

コーチングで「何でうまくいかないんだろう」というようなモヤモヤした部分を一つずつ紐解いて、不安を無くせるようにしています。

「目標ができました」と言ってくれたスタッフは、自身のキャリアパスがはっきり目標として明確になったそうです。「男性と同じ働き方じゃなくても、十分活躍できるんだ」「報酬もしっかり得られるんだ」というような話をしていましたね。

編集部

トラントさんでは、スタッフの皆様にとても丁寧なマネジメントをされていることが分かりました。一人ひとりを大切にしていらっしゃるのですね。

文系でもIT未経験でも大丈夫。お客様に寄り添う心の温かい人材を採用

スタッフと向き合ってほほ笑む株式会社トラントで代表取締役社長を務める小川直子さん
▲採用のポイント、一緒に働きたい人材について語ってくれた代表取締役社長の小川直子さん(公式サイトより引用)

編集部

最後に、トラントさんで求めている人材とはどのような方か教えていただけますか。

小川さん

仕事と長く向き合いたいと思っている方、もしくは仕事に対して不安があるという方、いずれの方にも活躍いただける場をご用意できると考えています。お客様のご要望や気持ちを汲み取ろうと働きかけができる方と一緒に働きたいですね。

IT業界は、エンジニアがプログラムを構築する時代から、理系文系にこだわらず、全くITに触れてこなかった方でも活躍できる時代へと変わっています。柔軟な発想力や豊かなコミュニケーション能力を発揮したい方に、ぜひご応募いただきたいです。

編集部

仕事を不安に思っている方でも大丈夫というお言葉に、トラントさんの懐の深さを感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社トラント:https://www.trente.jp/
DXクリエイターズ:https://dx-creators.jp/
採用ページ:https://www.trente.jp/recruit/