住まいづくりのプロ・株式会社サンプロの成長を支える特殊建築事業の参入と女性活躍への取り組み

企業の成長を支える女性活躍やワークライフバランスへの取り組みを紹介するこの企画。今回は長野県塩尻市に本社を置く、新築住宅・リフォーム・不動産などを主軸とした住生活事業を展開する株式会社サンプロを取材しました。

「地域ブランドビルダーNo.1戦略」を掲げる株式会社サンプロ

株式会社サンプロののオフィス内風景

1996年の創業以来、増収を続ける株式会社サンプロは、「地域No.1ブランドビルダー戦略」を掲げる住生活事業を展開する企業です。

2017年に企業ブランドをリニューアルした同社は、スローガンを「信州のくらしをデザインする」に一新。住生活に関わるモノ・ハードの提供から、信州に笑顔あふれるくらし・ソフトの提供を目指し、地方都市の住生活事業会社という枠を突破しようとしています。

会社名 株式会社サンプロ
住所 長野県塩尻市広丘吉田662-9
事業内容
  • 新築住宅/設計・施工
  • 住宅リフォーム/設計・施工
  • 店舗・オフィス/設計・施工
  • 古民家再生/設計・施工
  • 特殊建築物/設計・施工
  • 医療・福祉施設/設計・施工
  • マンション事業/設計・施工
  • ガーデニング/設計・施工
  • ハウスクリーニング
  • 住宅店舗設備機器販売
  • 建物総合管理
  • 不動産売買
設立 創業:1996年6月
設立:2000年1月
公式ページ https://sunpro36.co.jp/
働き方 ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク)

志を持ったブランド企業として着実に進化を遂げる株式会社サンプロ。今回は成長のカギを握る新規事業や、女性メンバーの活躍などについて、取締役専務の安部賢治さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社サンプロの取締役専務である安部賢治さん

株式会社サンプロ
取締役専務

安部賢治さん

長野県リフォーム実績13期連続売上No.1を誇る技術集団「サンプロ」

株式会社サンプロのショールーム内観

編集部

サンプロさんが展開するリフォーム事業は、長野県内において13期連続で売上No.1を獲得していると伺っております(取材は2024年6月実施)。御社の沿革と成長要因についてお聞かせください。

安部さん

内装業を中心とした工務店「サンプロジェクト」を1996年に創業した当社は、2000年に法人化、社名を「サンプロ」と改めてから24年目を迎えました。

人口減少や資材の高騰など住宅業界には厳しい市況が続くなか、当社が右肩上がりで成長し続ける要因のひとつに、サンプロジェクト時代から大切にしている「技術を持ったサービス業」を徹底し続けていることがあげられます。

編集部

「技術を持ったサービス業」とはどのような取り組みなのでしょう。具体的エピソードなどがあればぜひ、お聞かせください。

安部さん

もともとクロス職人だった代表取締役の青栁は、さまざまな会社から仕事を請け負うなかで、施主様から直接「青栁さん、こういうリフォームをやってくれないか」という相談を受けるようになったそうです。

とはいえ、当時のサンプロジェクトは社員数人の小さな内装業専門の工務店だったことから、家を建てた住宅メーカーへの依頼を勧めたところ、建設中や家の引き渡し後の関係性があまり良くないことから、できれば別な会社に頼みたいとのことでした。

そのような相談を多く受けるようになり、家づくりの過程やアフターフォローに不満を抱いているお客様が非常に多いことがわかりました。それを受け、内装業である以前に、自分たちは技術を持ったサービス業であることを社員が認識し、お客様に真摯に対応すれば、競争が激しい住生活事業に参入しても商機があると考え、起業を決意したそうです。

編集部

内装の下請けとして建設現場に入る青栁社長の真摯な仕事ぶりを、施主さんはしっかり見ていたからこそ、多くの相談が寄せられたのですね。

売上70億円、社員数200名規模の会社に成長

編集部

社員数名の小さな工務店が、どのような経緯で現在のサンプロに発展していったのでしょう。

安部さん

当初はトイレやユニットバスといった設備工事の契約をもらうだけで大喜びするような会社だったのですが、技術職、設計職、施工管理職の人材を積極的に採用したことで、大掛かりなリフォーム案件や新築事業も手がけられるまでになりました。

また、青栁自身、技術はもとより、お客様への対応力やコミュニケーション力が非常に高く、リフォームを手がけたお客様がリピーターになっていただたり、ご紹介をいただいたりすることで徐々に地域の中で評価が高まったことも成長要因のひとつと分析します。その積み重ねが売上70億円、社員数200名を超える現在の地位確立につながったと思われます。

自社専属のインテリアコーディネーターが“サンプロブランド”を確立

株式会社サンプロのショールーム内観

編集部

代表の青栁さんはブランド経営の手腕に定評があると伺っております。“サンプロブランド”の確立に至った背景についてもお聞かせいただけますでしょうか。

安部さん

サンプロとしてのブランドが確立したきっかけは、2000年代はじめにインテリアコーディネーターを工務店としていち早く、自社専属で抱えたことにあります。現在は30名ほどのインテリアコーディネーターが在籍しています。

2010年以前、工務店や建設会社にインテリアコーディネーターがいるのはとても珍しい状況でした。また、ハウスメーカーとの仕事でインテリアコーディネーターとご一緒することはあっても、そのほとんどが外注でした。

当時のインテリアコーディネーターの仕事は、会社で用意したカタログの中からクロスの柄やフローリングを決めることが主であり、本来のコーディネートとはほど遠いものがほとんどでした。それに対し、当社のインテリアコーディネーターは、住宅を丸ごとコーディネートします。

編集部

住宅を丸ごとコーディネートするということは、設計領域における知識も求められるのでしょうか?

安部さん

おっしゃる通りです。クロスやフローリングなどの内装だけではなく、キッチンやユニットバス、トイレなどの設備、家具や照明、備え付けの収納なども含めトータルでコーディネートする当社のインテリアコーディネーターは、設計の分野に近い仕事をするのが特徴です。

さらなる飛躍のきっかけは女性目線の提案スタイル

編集部

自社でインテリアコーディネーターを抱えたことにより、どのような成果が得られたのでしょう。

安部さん

建物の構造に関わる設計領域は、圧倒的に男性の設計士が多い業界です。ハード面を得意とする男性に対し、生活動線や間取り、インテリアなどのソフト面は、女性の目線や意見が活かされる分野です。その特性を活かすため、当社のインテリアコーディネーターは女性が担っています。

打ち合わせの場に設計士とインテリアコーディネーターがセットで同席する当社は、家を切り盛りする奥様と近い視点の女性インテリアコーディネーターがプランを提案することで、女性のお客様の満足度を上げることができました。この、女性目線での提案スタイルが、売上や事業の飛躍につながったと分析します。

編集部

設計士とインテリアコーディネーターが、ご夫婦それぞれの立場から提案するのがサンプロブランドなのですね。

安部さん

施主様がご夫婦の場合、予算をご主人が握っていることが多く、その場合、どうしてもご主人は耐震や断熱などハード面に予算を割く傾向にあります。しかし、快適な住まいを実現するには、使い勝手やデザイン、インテリアなども重要な要素になるため、女性のインテリアコーディネーターが奥様の希望を代弁するかたちでご主人を説得することもあります。

もちろん、性能面においても長野県内屈指である当社は、男性のお客様にも十分ご支持いただいております。

編集部

住まいに備えるべき機能をハード面、ソフト面で実現していることが、現在のサンプロさんの飛躍につながっていることがわかりました。

売上200億円達成のカギは特殊建築と新築・リフォーム・不動産のシェア拡大

編集部

リフォーム事業を主軸に発展してきたサンプロさんが新築や不動産業を手掛けるようになったのは、どのような理由からなのでしょう。

安部さん

リフォームを手がけさせていただいたお客様から、ぜひ、新築もお願いしたいという声が多く寄せられたことを受け、新築事業に着手しました。新築となると、土地探しから依頼を受けることが多いため、ほぼ同時期に不動産事業を専門とするサンプロ不動産を立ち上げました。

編集部

サンプロさんでは2031年に売上200億円達成を目標にされていると伺っております。今後の方針や展望についてお聞かせください。

安部さん

まず、キーになるのは新たに展開しているソリューション事業です。オフィスや商業施設、工場、倉庫、医療・福祉施設などの特殊建築を手掛けるBtoBのこの事業は、地域や社会が抱えるさまざまな課題をニーズとして捉え、当社が信州の家づくりで培ってきたデザインカ、企画力、提案力、地域力、事業性をもって課題解決へと導きます。

受注単価としても住宅が一棟あたり2500万から3000万に対し、特殊建築はその3倍ほどが平均であり、1億円規模の受注も珍しくないため、ソリューション事業をフックに増益を目指す方針です。

また、新築、リフォーム、不動産に関しては本社がある塩尻市の他、松本市、長野市、上田市、伊那市を拠点にシェア率を上げることと同時に、さらに拠点を増やす事業計画を立てています。

意見の相違、マイノリティを恐れないサンプロのカルチャー

株式会社サンプロの社員の勤務風景

編集部

続いて、サンプロさんのカルチャーについて伺います。御社の公式サイトの採用ページには、「ネガティブな批判や否定はしない」、「マイノリティを恐れず自由に挑戦できる」という言葉が掲げられています。こちらについて詳しく教えていただけますでしょうか。

安部さん

意見の相違やハレーションをネガティブとして捉えるのではなく、向き合い、お互いをリスペクトすることを大切にすることが、「ネガティブな批判や否定はしない」、「マイノリティを恐れず自由に挑戦できる」という2つのメッセージに込められています。

どの会社でもあることですが、意見の相違や部署間でのハレーションが起きることがあります。われわれの業界はお客様に近いポジション順に営業、設計、インテリアコーディネーター、施工管理があり、分業体制になっています。そのため、情報共有がうまくいかなかったり、他の部署からの指摘は日常的にあります。

それは見方を変えると、お客様のために自身の仕事を全うしている証です。それぞれの仕事を一生懸命やっているからこそ、ハレーションは起きると考えます。それを乗り越えるエネルギーが全体のパフォーマンスを上げていくことが、サンプロの原動力です。

編集部

なるほど。意見の相違があったとしても、それをポジティブな方向に消化できる雰囲気がサンプロさんにはあるというわけですね。

安部さん

入社間もない社員から「休憩時間に仕事の愚痴や不満を口にする人が全くいないのに驚きました」と言われたことがあります。他の会社からの転職者には、珍しく映るようです。

編集部

サンプロさんが大切にしてきたカルチャーが社員一人一人にしっかり浸透している証拠ですね。

新規プロジェクトには若手メンバーを必ず招集。成長を後押し

編集部

これまでのお話から、サンプロさんの風通しの良い社風が伺えます。若手社員は、自分の意見を発信しやすい空気があるのでしょうか?

安部さん

設計などの技術職は経験値に圧倒的な差があるので、10年、20年と長く業界で働いている社員と、入社1年、2年目の社員が同じ土壌で意見を述べるのは難しいでしょう。

一方、商品開発などのプロジェクトチームに必ず若手メンバーをを入れる当社は、若者らしい斬新な意見を積極的に取り入れています。中堅社員はフォローし、意見を取り入れ、プロジェクトに活かすことで若手の成長を後押ししています。

全社員の約半数が女性。住宅営業で活躍するサンプロの女性社員

株式会社サンプロのショールーム内観

編集部

次に、サンプロさんで活躍する女性社員について伺います。社員の男女比はどのようになっているのでしょう。

安部さん

グループ全体で男性53.5%、女性46.5%という比率になっており、ほぼ半々となっています。これは業界においてもかなり女性の比率が高いと言えます。

編集部

ほぼ半数という比率に驚きました。先ほどのお話から、御社には女性のインテリアコーディネートが活躍されているとのことですが、他の部署での女性活躍についてもお聞かせいただけますでしょうか。

安部さん

一般的にハードとされる住宅業界の営業職ですが、当社ではリフォーム、新築、不動産の各事業部に女性の営業社員が在籍、活躍しています。その背景には、インテリアコーディネーター同様、女性であることでお客様が抱く安心感があると思われます。

例えば、男性の設計士が1人で考えたプランと、女性のインテリアコーディネーターが加わったプランは間違いなく大きく異なり、後者の方がお客様の支持を得ることがほとんどです。住宅を購入される方はその多くがご家族なので、子育てや両親との同居の可能性など、男性では想像しづらい将来設計を女性は現実問題として考える傾向にあります。

それに対し、女性は自分に置き換えて提案することができます。このように、お客様から共感を得られやすいことが女性営業の強みであり、活躍できる要因と思われます。

家庭の状況に合わせて出社と在宅を選択できるフレキシブルな働き方

編集部

約半数を女性社員が占めるサンプロさんでは、ライフステージの変化を受けやすい女性社員のワークライフバランスはどのようになっているのでしょう。施策や取り組みなどがあればぜひ、ご紹介いただけますでしょうか。

安部さん

社員同様、パートさんも重要な戦力である当社には約30名の女性パートさんがフルタイムで働いています。

建築士の有資格者や、もともと建築業界で働いていたなど当社の事業と親和性が高いバックグラウンドを持っている方が、結婚や子育てを機に第一線を離れ、パートとして復職していることが多く、なかにはまだ子供が小さく保育園に預けている者もいます。

急な体調不良や保育園や学校行事で欠勤や早退などが発生した場合、雇用形態に関係なくカバーし合うようにしています。また、基本的には出社勤務ですが、状況に応じて在宅ワークも可能となっています。

編集部

家庭の状況に合わせて、フレキシブルな働き方を選択できるというわけですね。

安部さん

おっしゃる通りです。台風などの影響で交通機関がストップし、外出を控えた方が良いと判断した際は、会社から在宅ワークを推奨することもあります。コロナ禍がきっかけで導入が進んだ在宅ワークを現在も継続しているかたちになっています。

子供が何歳でも希望する期間で時短勤務ができる

編集部

産休・育児休暇明けの社員は、どのような勤務形態で復職される方が多いのでしょうか?

安部さん

国の基準では育休から復職した際の時短勤務は、子供が3歳未満となっており、当社もそれに準じていましたが、2024年度からは子供が中学校に入学するまでは、本人が希望する限り時短社員として働くことができる制度に改定しました。このような柔軟な制度を設けた理由は、子育てを理由に優秀な社員が離職せざる得ない状況を回避するためです。

子供に姉妹、兄弟がいる場合は下のお子さんが育つまでは時短勤務を継続することができ、正社員、パートさん含め、離職せずとも無理のない働き方でキャリアを積むことができます。もちろん、子育てがひと段落したらフルタイムに復職することもできます。

編集部

子供が3歳になってからの復職となるとブランクを感じる方も多いなか、期間を設けない時短勤務なら、自分のペースで復職ができますね。女性の理想の働き方に寄り添った、すばらしい制度だと感じました。

サンプロの一員であることを誇りに、地域社会に貢献をしたい方を歓迎

株式会社サンプロの取締役専務である安部賢治さんの勤務風景

編集部

長野県を拠点に事業を展開するサンプロさんですが、地域社会への貢献についてはどのようなお考えを持っているのでしょうか。

安部さん

地域経済の発展を握るのは、地方の活性化だと考えます。地域の方々にいかに必要とされる存在になるかが企業の存在価値です。会社としてしっかりとした経営基盤を築き、売上を上げることももちろん重要ですが、社員がサンプロの一員であることを誇りに思い、家族や友人に胸を張れる会社でありたいと思っています。

例えば、進学などを理由に長野を離れた方が、長野には魅力的な企業があるから戻りたいと思っていただける会社のひとつでありたいと考えます。そのような会社が地方に増えていくことで、日本という国全体の経済の活性化にもつながると思います。

編集部

競争化が進む住生活業界において、目覚ましい成長を遂げられているサンプロさんですが、最後に、転職を検討している読者に向け、メッセージをお願いします。

安部さん

サンプロの「プロ」とは、プロフェッショナルという意味を持ちます。どの分野においてもプロとしての誇りを持ち、向上心のある方を歓迎します。そのようなマインドを持った社員を、われわれは「ちょっとトガったモンスター」と、親しみを込めて呼んでいます。

尖っているとは性格上のことではなく、うちに秘めた思いを指します。自分がとても大事にしていることを実現したいという、内面的な「トガり」です。この分野が得意で力を発揮できる、その力を活かしてお客様に貢献したい、幸せを届けたいなどといった気持ちを持っている方からの応募をお待ちしています。

現メンバーと力を合わせ、地域をいかに活性化することに尽力し、地域のみなさまに必要とされる企業を共に目指しましょう!

編集部

大企業でも施策が難しい女性活躍やワークライフバランスの取り組みに積極的に取り組んでいるサンプロさんの素晴らしい企業姿勢に感銘を受けた読者は多いと思われます。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社サンプロ:https://sunpro36.co.jp/
採用ページ:https://newgrad-join.sunpro36.co.jp/