企業の先進的な働き方や独自のカルチャーについて深掘りする本企画。今回は、佐川急便をはじめとする総合物流企業グループのSGホールディングスグループにおいて、IT統括事業を行うSGシステム株式会社にお話を伺いました。
SGホールディングスのIT領域を担当するSGシステム株式会社
▲SGシステム株式会社の4つの事業領域(採用ページから引用)
SGシステム株式会社は、佐川急便を中核として、デリバリー事業やロジスティクス事業、不動産事業などを展開しているSGホールディングスグループの一員です。同社は、グループ全体のシステム設計・開発・運用・保守を手掛けており、私たちの生活に欠かせない物流をIT・デジタルで支えています。
例えば、発送した荷物の追跡機能なども、SGシステムが手掛ける物流システムのひとつです。他にも、物流に関する課題解決に向けたコンサルティングやソリューションを提供するLIS事業(※1)や、クライアントのビジネスプロセスを最適化するBPO事業(※2)、ショップ運営事業者やBtoBビジネス向けに多様な決済サービスを提供する決済事業などを展開しています。
(※1)LIS:Logistics IT Solutionの略。SGホールディングスグループが結集し、クライアントの物流業務を最適化すること。
(※2)BPO:Business Process Outsourcingの略。企業や自治体の業務プロセスを外部に委託すること。
会社名 | SGシステム株式会社 |
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住所 | 京都市南区上鳥羽角田町25 |
事業内容 | 情報システムのコンサルティング、設計・開発・運用・保守 |
設立 | 1983年2月17日 |
公式ページ | https://www.sg-systems.co.jp/ |
働き方 | リモートと出社のハイブリッド |
今回は、女性を含めた多様な人材が活躍されているSGシステム株式会社の環境や、柔軟にリモートで働けるワークスタイルについて、管理部人材開発ユニットの和田さん、田中さん、北村さんにお話を伺いました。
佐川急便等のシステムを開発・保守。AIを活用した効率化も実施
▲SGホールディングスグループの一員として、物流とITを掛け合わせた分野をリードしている(公式サイトから引用)
編集部
はじめに、SGシステムさんの事業内容について教えてください。
和田さん
弊社は、佐川急便をはじめとするSGホールディングスグループの一員です。主な事業としては、佐川急便で24時間365日稼働している物流系の基幹システムなどの設計・開発・保守・運用や、AIなどの先端テクノロジーを活用した新しいサービスの提案などが挙げられます。
わかりやすくご説明すると、発送した荷物の問い合わせ番号を入力すると今どのあたりにあるのかが分かるシステムや、LINEで荷物の配達状況の確認や配達日時の変更ができるシステムなども、弊社が手掛けていますね。
また、SGホールディングスのグループ企業だけではなく、お客さまに対してもサービスをご提供しています。弊社の知見や経験を活かし、さまざまな領域でITによる課題解決のお手伝いをさせていただいています。
▲グループの各企業の力を活かしたトータルプロデュースや、先端技術を取り入れる姿勢、高い技術力が強み(公式サイトから引用)
編集部
どのような点が御社の強みであり特徴だとお考えでしょうか。
和田さん
やはり、SGホールディングスグループが手掛けている事業が多岐にわたるので、それらの業務をITの領域で支えてきた私たちの経験や技術力は、グループ各社や多くのお客さまに対しても発揮できているのではないかと思います。
物流業務の課題解決だけでなく、バックオフィス業務の効率化や決済サービスの提供もおこなっていますし、AIなどの先端技術を取り入れたシステムの研究・開発も実施しています。
一例としては、配送伝票の手書き文字を認識するAI-OCR(※)を開発することで、これまで人が行っていた入力業務を自動化しました。これにより、グループ全体の作業時間を年間約10万時間短縮できています。
(※)AI-OCR:画像データからテキストを読み取って文字データに変換する「OCR」を、AIの学習能力等を活用して実施すること。
編集部
SGシステムさんは、私たちの生活に欠かせない物流分野をシステム面で支えているほか、その技術力を多くのお客さまにも提供されているのですね。
社員3,000人中、女性ほぼ100%・男性57.8%が育休を取得
編集部
SGシステムさんは、女性が活躍できる環境づくりに対する取り組みが評価され、2019年には「えるぼし(※)」の認定を受けています。女性活躍の視点で、現状についてお教えいただけますか?
(※)えるぼし:女性活躍推進法に基づく取り組みが優良な企業を、厚生労働省が認定する制度。SGシステム株式会社は、2019年に最高位(3つ星)の認定を受けている。
北村さん
まず、データ面からお話しします。2023年4月末時点で、正社員の女性の比率は36.5%となっています。管理職比率でいうと、女性の管理職は12.7%です。
弊社では、育休に関しても社員に積極的な取得を呼びかけています。統計の都合上、100%になっていないのですが、実質的には対象となる女性のほぼ全員が育休を取得していると考えていただいてよいと思います。なお、男性も育休取得率は57.8%と、半数以上が取得しています。
また、おっしゃるとおり弊社は厚生労働省から「えるぼし」の最高ランクである3つ星の認定をいただいています。これは「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」のすべての基準を満たす必要があるため、女性が働きやすい環境は高いレベルで実現できているのではないでしょうか。
編集部
SGシステムさんは社員数が3,000人を超えていらっしゃる規模にもかかわらず、産休・育休の高い取得率を誇るほか、国からも働きやすい職場環境が認められているんですね。IT業界はどうしても男性が多いというイメージがあるだけに、そのすごさが際立ちます。
■SGシステムさんの「えるぼし」取得のニュースリリースはこちら
https://www.sg-systems.co.jp/news/20190628/
社員の声から生まれた産休・育休取得のためのガイドブック
編集部
SGシステムさんの高い産休・育休取得率について伺いましたが、社員に対して会社からサポートしていることはあるのでしょうか。
北村さん
SGホールディングスグループが独自におこなっている取り組みとして、「ワーキングパパ&ママ・ガイド」「パパの育休ハンドブック」というガイドブックを社員向けに発信しています。
妊娠・出産や育児を初めて迎える方は、いざ直面するとやらなければならないことがたくさんあります。「どうやって産休や育休を申請すればいいのかわからない」といった悩みを解消するため、制度の概要や手続き方法をまとめています。
編集部
情報がまとまっているだけで、産休や育休取得の心理的ハードルが下がりますから、とてもすばらしい取り組みだと感じました。こうした情報発信を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
田中さん
SGホールディングスグループ横断のプロジェクトとして「わくわくダイバーシティ委員会」というものがあり、ガイドブックはその一環として作成したものです。
このプロジェクトでは、グループ内の各部署の女性社員が意見を出し合い、「どんなサポートがあればより働きやすくなるのか」をディスカッションしています。実際に育児をしている方、育児を控えている方などそれぞれの意見が反映されているので、使いやすいものになっていると思います。
「社内FA」など、ライフプランに沿ってキャリアを構築できる制度あり
編集部
出産・育児などのライフステージを迎える社員の方も多いかと思いますが、特に女性はキャリア構築の面で大変だという声をよく聞きます。SGシステムさんでは、どのような取り組みをされているのでしょうか。
北村さん
女性の活躍を推進するための取り組みとして、弊社で行っている施策は主に3つあります。1つ目は、定期的に1on1のキャリア面談を実施していることです。これは女性社員に限ったものではありませんが、今後のキャリアやプライベートな相談も含めて、上司とコミュニケーションをとっていける制度です。
2つ目は、異動に関する制度を充実させていることですね。社内の部署異動というと、会社側から「この部署に移ってください」と言われるケースもあると思うのですが、私たちは「本人の希望を起点とした異動制度」を整えています。
制度としては、パターン別に「社内FA」「社内公募」「社内出向」などの分け方をしていますが、いずれも「この部署で働きたい」という社員の希望に対して、希望部署との合意のもと、異動や出向が実現できるようにしています。自分のキャリアや働き方を、会社側が一方的に決めるだけではない、というところがポイントです。
編集部
子育てが始まったので残業がない部署で働きたいという要望や、反対に子育てがひと段落したからバリバリ頑張りたいというような、働く人の気持ちに沿った人事制度なのですね。最後の取り組みは何なのでしょうか?
北村さん
3つ目は、研修制度の充実です。主任や係長クラスの女性社員を対象に設定した「女性キャリア支援研修」というものを開講し、キャリア意識を醸成するとともに、今後活躍できるキャリアを考えてもらえるような支援を実施しています。
編集部
SGシステムさんは、いろいろな切り口で女性が活躍しやすい環境づくりをされていることが伝わってきました。出産や子育てを理由にキャリアをあきらめることのないよう、ライフステージが変わっても働き続けられる環境を整えているのですね。
1on1実施など、リモート環境でも心理的な距離を縮めるSGシステム
編集部
続いて、SGシステムさんの働き方について伺いたいです。現在、リモートによる勤務も可能なのでしょうか?
田中さん
もちろんです。テレワークに関しては、特に出社日数などの規則を作っているわけではありません。というのも、各部署で業務内容が異なりますので、現場で柔軟にテレワークを活用してもらいたいという狙いがあるからです。
社内の働き方改革として、生産性を高めるだけでなく長く働ける環境づくりをしたいということで、2017年に在宅で働ける仕組みを導入しました。2020年頃からの社会情勢の変化もあって制度の利用者は拡大し、リモートが可能な人は実施しているという状況が今も続いています。
編集部
テレワークで働く上で、工夫されていることはありますか?
田中さん
SGシステムはIT系の企業なので、いろいろなICTツールを活用し、お互いにコミュニケーションをとっていくようにしています。日々のコミュニケーションはWeb会議やチャットをメインにしているほか、1on1面談も定期的に実施しています。
特に新入社員や中途社員、異動してきた社員などは、まだまだメンバーのことも業務のこともわからないと思いますので、成長・育成を目的に最低月1回は実施するように働きかけを行っています。
また、私たちは採用業務も担当していますが、Web面接が以前より増えましたね。制度が変わった当初は「画面越しで何をどう話せば良いのか」という戸惑いが少しあったかもしれませんが、大局的には大きく変わらず仕事ができているという印象です。
和田さん
出社しているとメンバーの顔を見ながら状況を把握できていたのが、リモートだとそれが難しいということはありました。1on1面談をしっかり定着させていくことでオンラインでも距離を縮め、心理的安全性を確保して働けるようになったと感じています。
チームの一員として、物流業界をITで支えていきたい人を歓迎
編集部
SGシステムさんに共通しているカルチャーや考え方などがあれば、お聞かせください。
和田さん
私は現場上がりで、基幹システムの開発をしていたのですが、SGシステムの仕事はチームワークが求められる仕事だと強く感じています。ガツガツ数字を取っていく個人プレーの会社というよりは、チームで理想の環境や目標を掲げて一緒に頑張っていくというマインドが強いですね。
編集部
なるほど。採用においても、そういったマインドを持っている方のほうがフィットするのでしょうか。
和田さん
そうですね。SGシステムでは「チームで成果を出す」ということを求められますので、チームとして周囲と協力しながら会社全体に貢献していくことにやりがいを感じてくれる方は、向いているのではないかと思います。
また、必要なスキルや知識などは現場ごとに異なりますが、どのポジションでも共通しているのは主体性を持ち自分で考えて行動を起こすのが重要だということです。システムの知識や経験は、後からでも磨けますし、主体性があればより強く磨かれていくはずです。
SGシステムで働く醍醐味は、物流をメインとした大きなインフラ領域を支える中で、新たな技術を検証できて、実用化に繋げられることです。すごく意義のある仕事だと確信していますので、興味を持った人はぜひご応募いただきたいです。
編集部
物流インフラをシステム面で支え、その他幅広い領域に向けて事業を展開しているSGシステムさんで活躍するには、チームとして働く意識や自律して動く姿勢が大事なんですね。本日は、貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力
SGシステム株式会社:https://www.sg-systems.co.jp/
採用ページ:https://www.sg-systems.co.jp/recruit/