企業の魅力を若手や女性活躍の視点で探るこの企画。今回は国内最大規模の社労士事務所、SATO社会保険労務士法人を取材しました。
国内最大規模の社労士事務所SATO社会保険労務士法人
SATO社会保険労務士法人は、1,000名以上の従業員を抱える全国の大手企業を中心に、さまざまな社会保険関連の代行サービスを提供している企業です。
雇用保険や労災保険、健康保険や厚生年金保険といった社会・労働保険業務に特化したサービスをワンストップで行う「社会保険BPO」を主力に、イレギュラーな手続きが必要になった時だけ業務範囲を絞って依頼ができる「スポット業務」、助成金・給付金などの申請を代行する「SATO助成金センター」、自治体向けBPOサービスを提供する「自治体向けOS」の4つのサービスを展開しています。
| 会社名 | SATO社会保険労務士法人 |
|---|---|
| 住所 | 北海道札幌市東区北5条東8-1-33 |
| 事業内容 | ・労務管理(社会・労働保険手続き)全般および労務相談業務 ・助成金申請に関する手続き全般 |
| 設立 | 2003年4月 (創業1979年8月) |
| 公式ページ | https://www.sato-group-sr.jp/ |
札幌をはじめ東京・大阪など全国9ヶ所に拠点を置くSATO社会保険労務士法人には1157名の社員が在籍。国内の社会保険労務士事務所の中で最大規模の事務所となっており、5,600社を超えるクライアント企業を社員一丸となって支えています。
今回は管理部次長の鈴木さん、総務課課長の西海さん、総務課主任の藤原さんに、女性活躍を支えるカルチャーや風土、活躍する若手社員の特徴についてお話をお聞きしました。
全社員の7割が女性のSATO社会保険労務士法人
編集部
SATO社会保険労務士法人さんの職員の男女比は3対7となっており、多くの女性社員が活躍されていると伺っております。この数字を裏付ける背景についてお聞かせいただけますでしょうか。
鈴木さん
当社の女性活躍の背景には、社員第一号である山鹿という女性社員の存在が大きく影響しています。グループ代表の佐藤良雄が立ち上げた個人行政書士事務所からスタートした当社は、その後、業務が増えて行政書士としては北海道で大きくなったため、社員を募集しました。
その時に入社したのが山鹿です。以来、佐藤の右腕として会社を守り立て、グループ内の労働保険事務組合や、グループ会社である人材サービス会社、給与計算会社の立ち上げに携わってきました。
現在、71歳の山鹿は入社以来、女性の社会進出に尽力し、自身がロールモデルとなるために経験を積み、現在も部門長として勤務しております。この山鹿の活躍が当社の女性活躍に大きく貢献していると分析します。加えて、職種の多くが事務職であることも、女性が長く続けられる要因だと思います。
編集部
なるほど。女性の社員数に比例し、SATO社会保険労務士法人さんでは女性管理職の割合も高いのでしょうか。
鈴木さん
女性の管理職は全体の4割となっており、数字としては一般的には高い割合と思われます。しかし、社員数のベース自体が女性が7割であるのに対して、役職者は比例していないので、当社としても課題意識を持ち、改善に取り組む方針です。
ロールモデルがあることでキャリアパスを明確に描くことができる
編集部
女性活躍のロールモデルとなっている社員の存在や、事務職が多いことなど、女性が活躍できるカルチャーが根付いているSATO社会保険労務士法人さんですが、活躍を後押しする制度などはありますか？
鈴木さん
やはり、先ほど紹介した山鹿の存在が大きいと感じます。管理職をみても出産、育児休暇を経て復職した者が多いです。育休取得などは法定通りで、特別な施策はしていませんが、山鹿がロールモデルとして活躍していることで、子育てをしながら働くキャリアパスを明確に描くことができると思われます。
時短勤務＆在宅勤務で子育て世代の働き方をサポート
編集部
子育て世代の方も多く在籍しているSATO社会保険労務士法人さんでは、時短勤務や在宅勤務など、活用できる制度はありますか？
鈴木さん
育休復帰後は本人の希望に合わせて時短勤務での働き方ができます。また、担当業務によっては在宅勤務も可能です。例えば、コロナ禍での事例ですが、夫が在宅勤務のときに妻が出社勤務、またはその逆を交代でしている社員がいました。会社が違う共働き夫婦でも家庭環境に合わせて働き方を変える者もいました。
編集部
育児休暇や時短勤務、在宅勤務を活用することで子育てと仕事を両立することができますね。
保育園の呼び出し電話は直接会社に。周囲はすぐに理解し、フォロー
編集部
子供が小さいうちは、発熱など保育園からの呼び出しもあると思われます。そのような場合はどのようなフォロー体制が敷かれているのでしょう。
鈴木さん
個人情報保護の関係で写真撮影ができる機器の持ち込み、使用を禁止している当社では、子供の体調不良で保育園から呼び出しがかかると、オフィスに直接電話がかかってきます。そのため、上司や同僚も状況をすぐに理解し、早退を促したり業務の引き継ぎをしたりなど、フォローしやすい雰囲気があるように感じます。
編集部
個人の携帯に呼び出しの電話が入るとなかなか言い出せないこともありますが、会社に連絡が入ることで早退しやすいという側面は確かにあると感じました。
同好会でつながる出会いが、相談しやすい環境を作っている
編集部
女性が働くとなると、出産や子育てなどライフステージの変化によって、働き方そのものを変えなければいけないことがあるかもしれません。そのような場合、SATO社会保険労務士法人さんの女性社員は、どのように解決されているのでしょう。
鈴木さん
パートさんも含め、さまざまな年代の女性が在籍する当社では、子育て以外にも親の介護や妊娠中の体調の変化など、個人毎にそれぞれ事情が違う為、相談しやすい風土が根付いています。
編集部
それは心強いですね！同じ境遇の方達が、情報交換をする場などもあるのでしょうか。
鈴木さん
レクリエーションや同好会制度があります。同好会は必ず違う部署の社員を5人以上含めることがルールとして定められています。バドミントンや登山、お酒を飲む会など自分の趣味嗜好にあった会に参加することで、自然に情報交換ができる仕組みになっています。
このように、部署や役職の垣根を超えた交流ができることで、横のつながりができ、相談しやすい環境が整っていると感じます。
編集部
同好会の活動を、会社としてはどのように推奨しているのでしょう。同好会の活動事例を含め、ご紹介いただけますでしょうか。
鈴木さん
活動にかかった経費の一部を助成しています。一例ですが、自社ビルのオフィスの隣にある畑では、じゃがいもを栽培しており、収穫をすると収穫祭と題して社員に振る舞っています。同好会は必ずしも全社員が参加する決まりはありませんが、会のメンバー以外の者にも気軽に声をかけることで、円滑なコミュニケーションが図られていると感じます。
編集部
社内交流が盛んなことでつながりが生まれ、仕事のことはもちろん、子育てや介護などを相談しやすい環境が、SATO社会保険労務士法人さんに根付いていることがよくわかりました。
全事業所をオンラインでつなぐ朝礼を毎日実施
編集部
全国に事業所があるSATO社会保険労務士法人さんでは、事業所間のコミュニケーションはどのように図られているのでしょうか。
鈴木さん
毎日の朝礼をオンラインでつないでいます。各組織が持ち回りで発表する時間を設けており、その時の事例や受けた研修内容の共有などを行っています。
勉強会で法律の専門知識を身につけることができる
編集部
労務など、法律の知識を要するSATO社会保険労務士法人さんの業務ですが、専門的な知識の習得やスキルアップなどを目的とした制度があればお聞かせください。
鈴木さん
制度というほど堅い内容ではありませんが、年に6回、社内で社会保険労務士の資格を持っている者が講師を務める法律の基礎知識の勉強会を開催しています。
それ以外にも、グループで最も大きい組織であるSATO社会保険労務士法人では、入社時には2週間の集合研修を行っています。法律に関する勉強会は、法律の法改正があればまたさらに追加でも行われます。
新入社員向けのマナー研修、パソコンスキル向上の勉強会も実施
編集部
法律の知識習得以外での研修や、勉強会などはありますか？
鈴木さん
役員が講師として指導にあたる、新入社員向けのマナー研修や、階層別に全国の主任係長クラスの社員と、課長クラスによるオンライン勉強会を実施しています。
また、パソコンスキルの向上を目的とした勉強会では、電子申請の義務化など、ペーパーレスが推奨される昨今の状況に合わせ、デジタルが苦手な世代を対象としたExcel、Wordなどの講習会も年に6回ほど開催しています。
編集部
経験や年次に合わせ、詳細なスキルアップ支援をされているのですね。外部セミナーなど、SATO社会保険労務士法人さんだからこそ参加できる講習会などがあればぜひ、ご紹介ください。
藤原さん
エンタープライズ企業のお客様が多い当社では、毎月外部セミナーとしてオープンセミナーを企画しており、例えば全国にチェーン展開をしている「鳥貴族」の創業者様のお話を外部セミナーとして聴講出来るようにしました。
また、代表の佐藤の人脈をたどり、WBCでヘッドコーチをやっていた方からもチームマネジメントにおける講話をいただきました。通常、お金を払っても聞けないようなことが聞けることも当社のセミナーの特徴です。
編集部
まさにSATO社会保険労務士法人さんならではの独自性のあるセミナーですね！
グローバル化のきっかけは日本企業の中国進出
編集部
SATO社会保険労務士法人さんには外国籍の方や留学生も在籍されていると伺っております。どのような経緯で採用し、入社に至ったのかをお聞かせいただけますでしょうか。
鈴木さん
当時、中国に進出している企業様の労務管理を担うため、上海に事務所を構えていました。領域としては行政書士ですが、ビザの申請や日本国籍の社員を中国に出向する際の手続きなどのニーズが増えたことで、グローバルに活躍できる社員の募集をかけたことがきっかけです。
北海道大学法学部出身の中国からの留学生の応募があり、非常に能力が高かったことが採用の決め手になりました。現在は上海からは撤退しましたが、外資系企業や日本で働く外国人向けに英語等日本語以外の言語での対応を求められることも増えてきたため専門のチームを設けたり、人手不足解消のためわれわれがファクトリーと呼ぶ拠点を海外へ設けたり、処理能力向上を図ることを検討しています。
外資系企業への対応強化を目的に、英語・中国語などに長けた人材を強化
編集部
事務処理能力の工場の他、SATO社会保険労務士法人さんがグローバル化を進める理由があればぜひ、お聞かせください。
鈴木さん
日本にある外資系の企業様を見ると、社内の公用語を英語とする企業様が増えています。しかし、社会保険は日本の制度なので、手続きは社会保険労務士が担います。そのため、労務関係や給与計算をグローバル対応できる会社に委託するケースが増えています。
このような実情を受け、当社でも英語での対応力を高めることに注力し、語学に長けている人材など、グローバルに活躍できる人材を増やしていく方針です。
編集部
なるほど。現在在籍している社員の中には、業務の中で英語や中国語など外国語で対応されている方はいるのでしょうか。
鈴木さん
英語に長けた者は英語専門チームに所属し、現在、3〜4名が在籍しています。チームメンバーはまだ社歴が浅いので、まずは実務を覚えることに注力し、そのなかで社内の公用語が英語のクライアント様に対応しています。
また、家族で中国から日本に移住している方は、本人は日本語を話すことができても、家族は話せないケースもあるので、中国語を話せる社員が通訳することもあります。グローバル化においてはまだ初期段階にあるため、今後採用を強化し、対応力を高めていきたいと考えています。
編集部
日本の法律に関わる労務管理を英語で対応することで、グローバル化に貢献すると共に、SATO社会保険労務士法人さんの事業拡大にもつながっていくのですね。
「東川ファクトリー」では外国人留学生が活躍中
編集部
SATO社会保険労務士法人さんでは現在、外国籍の方は在籍されているのでしょうか。
藤原さん
北海道東川町にある旭川福祉専門学校内に「東川ファクトリー」を設置し、日本語を学ぶ外国人留学生が当社の業務を手伝っています。
また、創業者の佐藤良雄が所有する人材会社のキャリアバンクでも外国籍の方の採用を行っています。日本語学校の運営にも携わった経験がある当社では、グローバル化が根付いており、留学生や外国籍の方の採用には寛容な環境となっています。
入社2年で主任職に就くことができる
編集部
続いて、SATO社会保険労務士法人さんの若手社員について伺います。御社ではどのような評価指標で役職に就くことができるのでしょうか。
西海さん
当社は基本的に実力主義となっており、年功序列ではありません。2021年に新卒入社した者は能力が評価され、現在は主任職で10名ほどのチームを束ねています。これは当社として決して珍しいことではなく、中途入社者でも優秀であれば2年ほどで主任に昇格することが頻繁にあります。
未経験から入社する者がほとんどですが誰にでもチャンスがあり、キャリアを積めるのが、当社の特徴です。
人間力が高く、向上心がある若手が飛躍している
編集部
若手で役職に就いている社員に、共通する特徴などはありますか？
西海さん
私が見て感じるのは、成長に対して貪欲であることです。また、基本的なことですが、あいさつなど社会人としてきちんとしている者、上司のアドバイスを吸収し、素直に実践できる者が伸びていくように感じます。
鈴木さん
「人間力」という言葉を大切にしている当社は、西海が話したように、社会人としての自覚を持ち、行動することを重視しています。若手で活躍している社員には、人間力が高いことが共通してあるように思われます。
総合職で新卒入社した3年目の社員は現在、主任として活躍していますが、リクルーティングの段階で人間力を高めることを伝え、3年後は主任になってこのような仕事を担うことを示してきました。そのため、入社時すでに目指す目標を持っていることも、意欲の高さにつながっていると感じます。
編集部
入社前から目標を掲げ、そこに向かって経験を重ねることで、成長する方がリーダーとして活躍しているというわけですね。
万人に与えられたチャンスを掴むことが成長要因のカギ
編集部
社歴の浅い若手社員が役職に就くには豊富な知識と経験が必要と思われます。社員の成長を促すため、SATO社会保険労務士法人さんではどのようなフォローをされているのでしょう。
西海さん
若手の役職者が早く出る要因は、当社で最も大きな領域である大企業様向けの労務管理にチームで携わり、メンバー全員にチャンスを与えながら、素質のある者を見出していることが挙げられます。
毎月のように新しいクライアント様を受注し、取引が拡大する当社では、それに伴って人員が必要になります。1人の管理者が統率できる人数には限界があり、自ずとして新たなリーダーが必要となります。リーダーに相応しい若手を集中的に教育し、役職者に育てています。
編集部
リーダー育成のための教育方法はどのようになっているのでしょう。
西海さん
役職の階層はピラミッド構造になっており、10名ほどのチームを束ねる主任格のリーダーの上には、数チームを束ねる係長がいて、その上に係長数人を束ねる課長がいます。役職に就いた若手はこのピラミッド構造の上の層の役職者が集中してフォローをする体制になっています。
能力がある者が昇進したとはいえ、役職に就いたからと言って仕事ができるというわけではありません。上層階にいるものはしっかりフォローをし、役職に就くことで成長することを重視しています。
編集部
立場が人を成長させるという言葉がありますが、SATO社会保険労務士法人さんではまさにそれを実践されているのですね。
社会保険や労務士の概要を理解できるインターンシップ制度
編集部
SATO社会保険労務士法人さんではインターンシップ制度を導入されていると伺っております。期間についてお聞かせください。
鈴木さん
期間は受け入れ拠点のキャパシティによって異なりますが、だいたい3日から1週間となっています。外国籍の方やアルバイト的なインターンを希望する方には相談のうえ、期間を長く設けることもあります。
編集部
インターン生はどのような業務を経験できるのでしょうか。
鈴木さん
5日間の場合ですと、基本的な会社の理解や、社会保険労務士の概要、社会保険の手続きの仕方などを簡単に説明した後に、簡単なデータ入力やデータの精査、加工など一部の業務を、申請の機材を使って体験していただきます。3日間の場合は研修の一部を体験していただきます。
編集部
SATO社会保険労務士法人さんのインターンシップに参加することで、どのような経験が得られると思われますか？
鈴木さん
社会保険によって自分はどのような恩恵を受けられるのか、制度を知ることができるのが一番大きいと思います。
社会人になると、社会保険は絶対に関わることになりますが、学生のうちはその仕組みを知らない方がほとんどです。一番言われるのが、「社会人になると、給与からこんなにお金が引かれるんだな」ということです。反対に、育児休業や介護休業を申請した際の給付金制度なども知ることができます。
その次に挙げられるのが社会保険労務士という職業の理解です。どのように企業と個人の間に関わり、役に立つことができるかを知ることで、社会保険労務士に興味を持っていただけたら幸いです。
人間力が高く、目標に向かって努力する方を歓迎
編集部
この記事を読み、SATO社会保険労務士法人さんの業務内容や女性活躍、グローバルに活躍できる環境に感銘を受けた読者は多いと思われます。最後に、御社が求める人物像について、採用におけるメッセージをお願いします。
鈴木さん
総合職も一般職も、「人間力」を求めています。素直さや笑顔、身だしなみなど基本的なことを実践できる方を歓迎します。
総合職は管理職候補として採用しますが、面接では社会保険労務士という仕事をなぜ選択したのか、他の業種と比較し、なぜ自分に相応しいと思ったか、数ある社会保険労務士の事務所があるなかでなぜ当社を志望したのかなど、上手に話せなくてもいいので、自分の気持ちを伝えられることを重視しています。
入社時に自分の意思を確認することで、目標設定ができ、それに向かって努力をすることができます。自分の言葉で物事を説明できるというのは、お客様への説明にも役立つので、ぜひ、そのスキルを当社で発揮していただきたいと思います。
編集部
女性活躍の指標となる方が多く在籍しているSATO社会保険労務士法人さんのカルチャーや風土、誰にでもチャンスを与える人材育成は、仕事へのモチベーションにもつながると感じました。また、グローバル社会において、語学力を活かし、企業の労務管理に貢献できることに魅力を感じた読者も多いと思われます。
本日はありがとうございました。
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SATO社会保険労務士法人：https://www.sato-group-sr.jp/
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