Qiita株式会社が運営するエンジニアコミュニティ『Qiita』を支える”挑戦”カルチャーとは

企業の成長の背景にある要因や、若手スタッフの活躍を紹介するこの企画。今回は日本最大級(※1)のエンジニアコミュニティ『Qiita(キータ)』を主軸に、3つの事業を展開するQiita株式会社を取材しました。
(※1)「最大級」という表現は、エンジニアが集うオンラインコミュニティの市場に関して、IT人材白書(2020年版)とQiita株式会社の登録会員数・UU数の比較をもとにしたものです。

エンジニアの開発効率の向上に貢献するQiita株式会社

Qiita株式会社は、エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス『Qiita』の企画、開発、運営までを担う企業です。

前身であるIncrements株式会社創業から約11年間に渡って日本最大級のエンジニアコミュニティ『Qiita』を運営する同社は、2017年に株式会社エイチームの傘下となり、エンジニアの開発効率向上に貢献してきました。

会社名 Qiita株式会社
住所 名古屋市中村区名駅三丁目28番12号大名古屋ビルヂング32F
事業内容 ・エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス「Qiita」の企画・開発・運営
・ドキュメントコラボレーションサービス「Qiita Team」の企画・開発・運営
・エンジニアと企業のマッチングサービス「Qiita Jobs」の企画・開発・運営
設立 2012年2月
公式ページ https://corp.qiita.com/

『Qiita』の運用開始以来、社会を支えるソフトウェアの開発や、それを支えるエンジニアの開発効率の向上に貢献することを通して、社会の変化、世界の進化を加速させることを目指し続けているQiita株式会社には、どのようなカルチャーが浸透しているのでしょうか。

会員数100万人以上と国内エンジニアの大半が活用する『Qiita』の成長要因や若手活躍の背景にあるカルチャーを探るべく、事業開発部アカウントセールスグループマネージャーの鈴木琢人さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方

Qiita株式会社
事業開発部 アカウントセールスグループ マネージャー

鈴木 琢人さん

日本最大級のエンジニアコミュニティ『Qiita』を主軸に3つの事業を展開

Qiita株式会社が運営する『Qiita』の概要

編集部

はじめに、Qiitaさんの業務内容についてお聞かせください。

鈴木さん

“エンジニアを最高に幸せにする”をミッションに掲げる当社は、エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス『Qiita』、誰でも簡単に読みやすい記事が書ける、社内向け情報共有サービス『Qiita Team』、エンジニアと企業のマッチングサービス『Qiita Jobs』の3つの事業を展開しています。

2017年にスマートフォンゲームアプリやWebメディア・ECサイトの企画・開発・運営など、幅広い事業を展開している総合IT企業、株式会社エイチームの傘下となり、エンジニアに関連する各種サービスを通じて企業とユーザー双方にとって価値のある接点を提供し、プラットフォーム活用の可能性を広げています。

編集部

エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス『Qiita』の特徴をご紹介いただけますでしょうか。

鈴木さん

エンジニアのための技術情報共有サイト『Qiita』は、当社のメインプロダクトとなっているサービスです。

エンジニアが記事を書くことを通し、読む側・書く側それぞれがお互いに関わり合いを持ち、情報をみんなで育てていくことで今後同じようなことを学んだり、悩んだりするエンジニアの労力を軽減し、エンジニアの成長や生産性をスピードアップさせることを目的としています。

『Qiita』のユーザーはプログラミング言語などのキーワードを選択することで、キーワードに関する情報がフィードとよばれる自分のページに表示され、最新の情報を得ることができます。

開発中に自分の得た技術に関する情報を投稿することで、他のエンジニアから自分の投稿に対する適切な評価やフィードバックをもらうことも可能です。

また、月間ユニークユーザー数600万人超えの日本最大級のエンジニアコミュニティ「Qiita」は広告によるプロモーションにも活用することができるため、エンジニアと接点を持ちたい企業様にもご利用いただいております。

Qiita株式会社が運営する『Qiita』が目指すビジョン

▲『Qiita』を中心とした各種サービスをもとに、ITエンジニアと企業・教育機関の結びつきを促進させていく

社内向け情報共有サービス『Qiita Team』とエンジニアと企業のマッチングサービス『Qiita Jobs』

編集部

次に、社内向け情報共有サービス『Qiita Team』のサービス内容についてお聞かせください。

鈴木さん

『Qiita Team』は、企業やチーム内の情報共有をSaaSでスムーズに行えるサービスです。シンプルでわかりやすいUI(※2)UX(※3)設計とテンプレート機能により、日報や議事録、マニュアルなど、社内向けに蓄積しておきたいデータ情報を記事として投稿することができます。
(※2) UI:User Interface。ユーザーと製品やサービスとの接点
(※3)UX:User Experience。製品、システム、サービスなどの利用を通じて ユーザーが得る経験

投稿された記事はタグ付けやグループ分けをすることで簡単に検索ができるため、必要な情報にすぐにたどり着くことができるのがポイントです。『Qiita Team』を通じて情報共有の効率化を推進することで、生産性向上につながると共に、業務の暗黙知をなくし、信頼感のあるチームを作るための場を提供します。

編集部

チャットツールではすぐに流れてしまう情報も、記事が蓄積されることでいつでも閲覧できるというわけですね。『Qiita Jobs』についてもご説明いただけますか?

鈴木さん

『Qiita Jobs』は、採用に限らず様々なコミュニケーションのやりとりをすることができる、エンジニアと企業とのマッチングサービスです

もともとは企業側がチャット開設をリクエストするメッセージを送り、企業様とエンジニアの方が直接やり取りをするダイレクト・リクルーティングによって面接や選考に進めていたのですが、チャットでの対話からいきなり選考は少しハードルが高いという声がありました。

そこで、選考の前にまずはエンジニア同士で気軽に相談や情報交換などができる「Devトーク」という機能を実装することで、採用を目的としないカジュアルなつながりの場を作り、会話による同期的かつ双方向でのコミュニケーションを行うことが可能となりました。

編集部

Qiitaさんの3つの事業に共通するエンジニア同士の新たなつながりの場の提供は、エンジニアの方々の可能性をさらに広げていくことにつながるのですね。

会員数100万人突破、月間UU数600万人のエンジニアコミュニティ『Qiita』

Qiita株式会社の東京メンバーのミーティング風景

編集部

プラットフォーム『Qiita』のサービスを開始したきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木さん

創業者自身がエンジニアで、エンジニアの困り事を解決するQ&Aに特化した、共有のWeb掲示板の必要性を感じ、サービスを始めたことがきっかけです。投稿された内容を見ると、エンジニアが開発をする過程にはエラーなど同じような困難にぶつかる方が多いことがわかりました。

困り事を誰かがクリアしたのであれば、その内容をオープンにし、開発リソースとして使用することで、開発効率を上げることができます。

結果、より良いプロダクトやサービスの開発につながり、世界の進化を加速させていけるのではという気づきがあり、日本初のエンジニアのための技術情報共有サイト『Qiita』のサービス運用を開始しました。

編集部

『Qiita』はサービス運用開始から11年となりますが、成長を実感できる具体的な数字などがあればぜひ、お聞きしたいです。

鈴木さん

『Qiita』は、おかげさまで会員数、UU(※4)数共に右肩上がりで増えています。例えば、120万人と言われている国内のエンジニア数に対し、「Qiita」の会員数は100万人超え、UU数は600万人となっています。この数字は国内のほとんどのエンジニアにQiitaをご利用いただいていることを表しています。
(※4)UU:Unique User。計測期間内にWebサイトを訪問したユーザー数

編集部

具体的な数字を知ることで、『Qiita』が国内で活躍するエンジニアにとって欠かせないツールとなっていることがわかりました。

エンジニアの課題解決提供と、BtoBサービスの拡充が企業成長を後押し

編集部

日本最大級のエンジニアコミュニティを提供されているQiitaさんですが、成長の要因はどこにあるとお考えですか?

鈴木さん

『Qiita』が技術情報共有サイトとして成長した背景には、サービスを運営開始した11年前はインターネットがどんどん普及する中にあっても、エンジニアが情報を共有する場がなかったことが挙げられます。

エンジニアの課題感を敏感にキャッチし、マッチした解決策を『Qiita』の運営で提供できたことがエンジニアにとって不可欠なプラットフォームの確立につながったと分析します。

『Qiita』の認知が広がると同時に、新たな価値提供の必要性を感じ、記事投稿以外の接点として『Qiita Team』や『Qiita Jobs 』などのBtoB領域の拡充に着手したことも成長要因の1つです。

また、エンジニアを目指している初心者や学生にもわかりやすい記事が増えたことで、より多くのユーザーにご利用いただけるようになったことも、会員数やUU数の増加につながっていると感じます。

世界のソフトウェア開発に関わる全ての人々にとって唯一無二の存在に

Qiita株式会社が開催したイベントの風景

編集部

進化し続けているQiitaさんが今後取り組むべきと感じている課題や展望、目標についてお聞かせください。

鈴木さん

当社は企業とのタイアップ記事の制作やイベントを通し、ユーザー同士のつながりをさまざまなかたちで提供する、エンジニアにとって必要不可欠なサービスを目指しています。

そのための事例としては、コロナ禍によって自粛を余儀なくされた中、著名なゲストや企業の方々を招いた当社主催の無料ウェビナー(※5)を開催したことがあげられます。
(※5)ウェビナー:インターネットを通じてオンラインで行うセミナー

企業の方々には、自社のプロモーションはもちろん、エンジニアの方と接点ができる場としての価値を感じていただき、ユーザーはさまざまな情報に触れながら学びの機会を得ることができたと、多くの喜びの声をいただきました。

同様のイベントを合わせると、これまでで延べ数万人の方々が参加され、企業の皆さまからも多くの協賛をいただいていますが、事業としてさらに発展するためにはコミュニティの活性化が重要だと考えています。

当社が提供するサービスが“三方良し”を実現し、世界のソフトウェア開発に関わる全ての人々にとって、唯一無二の存在であり続けることが目標です。

業務拡大につき人員を増加。20〜30代を中心としたチーム構成

Qiita株式会社の東京執務スペースにいるメンバー3名

編集部

Qiitaさんの現在のスタッフ数、最も多く在籍する年代についてお聞かせください。

鈴木さん

現在45名ほどのスタッフが在籍しており、年代のボリュームゾーンとしては20代から30代前半が最も多くなっています。

編集部

会員数の純増など、成長著しいQiitaさんですが、スタッフ数など組織としても成長を実感されることはありますか?

鈴木さん

利益向上に伴い、人員を増加していることに組織としての成長を感じます。株式会社エイチームの傘下に入ったことによる人員の入れ替わりもありましたが、『Qiita Jobs』など新たな事業に着手したこともあり、グループ内での異動がQiita関連の事業に寄せられたと同時に、採用も強化されました。

M&A以前の当社の広告事業は、『Qiita』の広告バナーやタイアップ記事、『Qiita Team』のSaaS事業のみでしたが、エイチームのグループになったことを機にさまざまな広告事業に着手するようになったことがその理由です。

また、先ほど紹介したイベントも全て内製運営となっていることに加え、プロダクトの新機能の開発やリリースも行っていることが、スタッフ数増加につながっていると分析します。

編集部

エイチームさんのグループの一員になったことで、企業としても新たなフェーズに入られているということですね。

ベンチャー気質を楽しみ、日本最大級の『Qiita』に携われることがやりがい

編集部

若手が多く在籍するQiitaさんでは、どのような方が活躍されているのでしょう。

鈴木さん

100万人以上のユーザーにご利用いただいている『Qiita』は名実ともに国内ナンバーワンのプラットフォームだと自負しています。このプロジェクトに携わることにやりがいを感じている者が多いように感じます。

前身のIncrementsのベンチャー気質が良い意味で残るQiitaには、カオスな部分もありますが、それすらも楽しんでいるスタッフが多いのが特徴です。イレギュラーなことに対しても臨機応変に対応できる者、挑戦することが好きな者、また、テクノロジーが好きでQiitaに集まっている者が活躍しています。

編集部

鈴木さんは親会社であるエイチームさんからQiitaさんのアカウントセールスグループに異動された後、Qiita社内の年間MVPを受賞されたと伺っております。受賞の要因をどのように分析されますか?

鈴木さん

任された仕事をきっちりやってきた結果がMVP賞受賞につながったと自負します。自分としても成果を残したかったので、他のスタッフよりも仕事を頑張ったことが評価され、大きな仕事を任せてもらえました。

当社の営業職は受注したら終わりではなく、運用やデリバリーまで、クライアントと伴走しながら最後まで責任を持って完遂することが求められます。その過程で同じチームの上司はもちろん、他部署の者の支援があったおかげで、トラブルなくやり切ることができました。

成長意欲を後押しするQiitaの“挑戦”カルチャー

Qiita株式会社の名古屋オフィスの各スペース
▲株式会社エイチームのグループ会社でもあるQiita。本社オフィスにはさまざまな設備が整っている

編集部

鈴木さんのように成長意欲のある方を支援する制度やカルチャーなどがあれば、ぜひご紹介いただけますか?

鈴木さん

年齢や社歴に関わらず、裁量を持って手を挙げてアイデアを出し合い、実装まで行うカルチャーが根付く当社は、インパクトのあることを実行できるベンチャー気質が残っています。

事業責任者として任せてもらえるチャンスはもちろんありますし、開発のメンバーであればプロダクトマネージャーを任せることもあります。チャレンジできる環境は整っているので、挑戦意欲や成長意欲のある方にとっては、自分の実力を発揮できる会社だと感じます。

編集部

グループ間での異動など、Qiitaさんでの業務を軸にしつつ、アイデアを積極的に出し、採用されれば若手でも中長期的に活躍できる環境があるのですね。

コミュニケーションツールは常にオープン。グループ間の交流も盛ん

編集部

Qiitaさんのスタッフは、どのようにコミュニケーションを図っているのでしょう。

鈴木さん

所属する部署に関わらずコミュニケーションツールはSlackをメインに使っています。チャンネルは基本、オープンになっているので他部署の動きが把握できる他、自由に会話に入ることもできます。

Zoomも常に開いた状態なので、他部署のミーティングルームに入って相談をしたりフラットな会話や雑談をしたりすることも可能です。

Slackはグループ全社とつながっているので、グループをまたいでのコミュニケーションもスムーズです。私の場合はもともとエイチームに所属していたので、メンバーをよく知っておりSlackで連絡を取って飲みに行くこともあります。グループ全体を見ても、風通しの良い会社だと感じています。

実践的な業務を経験できるQiitaのインターンシップ制度

編集部

Qiitaさんにはインターン生が在籍していると伺っております。インターンシップ制度導入の理由や、インターン生の業務内容についてお聞かせください。

鈴木さん

親会社であるエイチームの内定者などが、入社までに企業理解を深めることを目的に就業型インターンとしてQiitaにジョインしています。

エンジニアの中には社員と変わらない業務を任せることもありますが、どのような状況においてもしっかりサポートをすることを大切にしています。

“会社づくり”に積極的に取り組み、共に成長できる方を歓迎

編集部

今回の記事を通し、Qiitaさんの事業やカルチャーに興味を持った読者は多いと思われます。最後に、転職を検討する読者に向け、メッセージをお願いします。

鈴木さん

日本最大級のエンジニアコミュニティ『Qiita』のプロジェクトの拡張に携わることができるのが、当社にジョインする最大の魅力と感じます。さらなる成長フェーズにある当社では、エンジニアをはじめ、セールスやクリエイティブ部門でも人材を求めています。

上場企業のグループ会社でありながらも、ベンチャー気質が残るQiitaでは、20代、30代の若手スタッフが裁量を与えられながら会社づくりをしています。そのような環境下で自主性を持って働ける方を歓迎します。

フォローやサポート体制はしっかりさせていただくので、当社の業務やカルチャーに興味がある方はぜひ、ジョインいただければ幸いです。

編集部

国内のエンジニアなら誰もが知るプラットフォーム『Qiita』の開発に携われることは、IT人材の創出による会貢献にもつながる価値ある仕事だと感じました。また、若手の活躍を後押しする御社のカルチャーによって、成長できる環境も素晴らしいと感じます。

本日はありがとうございました。

■取材協力
Qiita株式会社:https://corp.qiita.com/
採用ページ:https://corp.qiita.com/jobs/