“面白い”を原動力に躍進する株式会社パルコ。新人事制度でさらに働きやすい企業へ

若手社員にスポットを当て、その活躍ぶりや、企業が取り組んでいるワークライフバランスについて紹介するこの企画。今回は商業施設運営をトータルでプロデュースする株式会社パルコを取材しました。

商業施設運営をトータルでプロデュースする株式会社パルコ

株式会社パルコは、「J.フロント リテイリンググループ」の一員として、主に商業施設の企画・運営を担う企業です。

商業デベロッパーとして小売業と不動産業のハイブリッド型ビジネスモデルを構築、展開する同社は、改装による新陳代謝や宣伝・販促活動による集客、きめ細やかなテナントサポートにより、各テナントの売上向上を目指すショッピングセンター「PARCO」の運営のほか、劇場、音楽、映画、出版など、さまざまなエンタテインメントコンテンツをプロデュースし、企業ブランドの向上に貢献しています。

また、新規事業の育成にも力を入れており、ワーキングスペース、ウェルネス、クラウドファンディング、ゲームなど、新たなカルチャーの創出にも尽力しています。

会社名 株式会社パルコ
住所 東京都渋谷区神泉町8-16渋谷ファーストプレイス
事業内容
  • SC事業(全国に17店舗あるショッピングセンター「PARCO」の運営)
  • コンテンツ事業(新規事業/エンタテインメント事業)
設立 1953年2月13日
公式ページ https://www.parco.co.jp/
働き方 ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク)
フレックスタイム制度

創業以来、ファッションを中心に、音楽やアート、演劇など先端のカルチャーを積極的に紹介し、新しいライフスタイルを提案してきた株式会社パルコでは、20代から30代の若手メンバーが中心となってプロジェクトを遂行する文化が根付いています。

そこで今回は、社員の原動力になっている同社のカルチャーや、ワークライフバランス、人事制度などについて、人事・総務部の木佐瑞紀さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社パルコの人事・総務部の木佐瑞紀さん

株式会社パルコ
人事・総務部

木佐瑞紀さん

さまざまなコンテンツを開発し、文化創造に尽力するパルコ

株式会社パルコの展覧会「パルコを広告する」のイメージ画像
▲渋谷PARCO開業50周年を記念した、パルコの広告表現を通覧できる展覧会「パルコを広告する」などの宣伝チラシ

編集部

ファッションをはじめ、音楽やアート、演劇などのカルチャーを紹介し、新しい日本文化の創造に尽力されているパルコさんですが、改めて、御社の事業内容についてお聞かせください。

木佐さん

次世代とともに新たな時代をつくる「感性で世界を切りさく」をパーパスに掲げる当社は、PARCO店舗という社会との接点を魅力的に充実させながら、演劇などの劇場運営、映画の配給、ライブハウス「CLUB QUATTRO」の運営、出版、展覧会などあらゆるエンタテインメントを網羅しているエンタテインメント事業を展開し、「コンテンツをプロデュースする能力」を磨き続けています。

具体的には、魅力的なテナントの誘致、話題性の高いPR活動、イベントの企画、テナントサポートと、商業施設をトータルでプロデュースしています。

編集部

SC事業、エンタテインメント事業以外にもさまざまな新規事業開発を手がけられていると伺っております。こちらについてもご紹介いただけますでしょうか。

木佐さん

パルコは、2021年にウェルネス領域の新規事業として医療モールの開発・運営事業に参入しました。

例えば大阪・心斎橋に展開している医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」は、単にクリニックを集めたゾーンのみならず、検診・検査等の予防・未病対策の医療から美容など「自分をケアする場所」として、日常的なセルフケアに役立つ商品やサービスを医療から食品まで幅広く展開しております。

また、株式会社CAMPFIRE様と共同運営する購入型クラウドファンディングサービス「BOOSTER(ブースター)」では新たな挑戦を志す人や組織が必要な資金をインターネット経由で個人から調達すると共に、PARCO店舗との連携による「ウェブとリアルの融合」によってプロジェクトの実現をサポートしています。

編集部

新規事業開発における最新のトピックをお聞かせいただけますでしょうか。

木佐さん

直近では2023年9月に、エンタテインメント事業部に「ゲームチーム」を発足。eスポーツエンタテインメントイベント「Hype Up(ハイプアップ)」を開催するなど当社の親会社のJ.フロント リテイリンググループでもあるeスポーツチーム「SCARZ」を運営する株式会社XENOZと共に、新しいコミュニケーションの創造を目指す方針です。

編集部

長きにわたって魅力的なカルチャーを創造するパルコさんの企画、運営力は、幅広い分野で活かされているのですね。

イベントの企画・運営は若手社員が担当し、成長していく

株式会社パルコの展覧会「パルコを広告する」のイメージ画像

編集部

さまざまな事業を展開するパルコさんに社員としてジョインした場合、どのようなフローで業務をマスターしていくのでしょう。

木佐さん

入社1年目の多くはまず、全国17店舗のいずれかに配属され、店舗業務を学びます。パルコ店舗での当社の業務は、宣伝系のプロモーションチームと、テナントを誘致するリーシング(※)チームに分かれており、各店舗や本部をローテーションしながら、さまざまな業務を覚える流れになっています。
※リーシング:賃料で収益を上げる商業用不動産の賃貸をサポートしてそのテナント価値も高める支援業務

プロモーションチームでは、店舗の宣伝の打ち出し方のほか、館内の装飾演出、パルコのSNSの更新、イベント企画などを若手スタッフが中心となってプロジェクトを回しています。

編集部

パルコさんでは若手スタッフに、どのような活躍を求めているのでしょう。

木佐さん

どの業務を担当するかによって異なりますが、担当する領域の中で自分で工夫をしていくことが求められます。各地方によってカラーが異なるパルコを、そのエリアに即した企画を立ち上げ盛り上げることを、若手発信で行っています。

最近では東北のサウナ施設を盛り上げる「仙台PARCO」でのイベントや、「心斎橋PARCO」では地元のカレー屋さんとのコラボによる新メニューの開発なども、若手社員が企画、発信しています。

サウナ好きの若手社員が立案した、東北6県を結ぶ地域密着型イベント

編集部

パルコでサウナイベントというのはかなり斬新です。どのような発想から生まれたのでしょう。

木佐さん

「超」がつくほどのサウナ好きの若手社員が発案しました。仙台PARCOは東北6県からお客様が来店するため、東北の広いエリアとの関わりが強い店舗というのが背景にあります。

店舗がある仙台エリアだけではなく、6県各地のサウナ施設を盛り上げたい思いがあり、イベントを企画したそうです。東北各県12施設の紹介や便利なサウナグッズを紹介するサウナマップを作成したり、東北を中心にサウナ愛好家で結成された「トウホグサウナ委員会」の協力を得てポップアップショップを展開するほか、ARを活用したサービスなどを行いました。

作成したサウナマップは各施設でも紹介され、地域密着型のイベントとして大盛況のうちに終えることができました。

編集部

「仙台PARCO」のサウナイベントのように、パルコさんの既存の枠組みにはないことをテーマとしたイベントを手がける目的や思いについてお聞かせください。

木佐さん

サウナのように、パルコにはない施設を、ポップアップショップで展開する動きは全国の店舗で行っています。販売だけを目的とするのではなく、面白いことや新しいことをしっかり発信する意識から、このようなイベントを開催しています。

編集部

入社当初から魅力的な仕事を任せてもらえることは、モチベーションアップにもつながりますね。また、ポップアップショップによる発信は、時代の先端を見つめ続けてきたパルコさんならではの発想だと感じます。

30代若手社員が手がけた「アイドルをテーマにしたTVアニメの展覧会」

編集部

「仙台PARCO」や「心斎橋PARCO」のように、他にも20代や30代の若手社員が活躍したエピソードがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

木佐さん

さまざまなジャンルの展覧会を開催するなか、ここ最近ヒットしたのが「アイドルをテーマにしたTVアニメの展覧会」です。

前売り券が完売という大盛況のこのイベントは、30代の社員が担当しました。イベント開催は一般的に広告代理店が仲介することが多いのですが、当社は出版社様などと直接やりとりをしています。そのため、出版社様がやりたいことをダイレクトに反映させることができ、結果、収益、集客共に成功を収めることができました。

編集部

大ヒットアニメということもあり、展覧会には大勢のファンが駆けつけたと思われますが、売り上げにつながった展覧会ならではの特典などがあればぜひ、お聞きしたいです。

木佐さん

音声ガイド付きチケットを購入すると、登場人物の展覧会オリジナル音声で展示を案内する、音声ガイドが人気を集めました。音声ガイドには、展覧会でしか聴けないオリジナルメッセージが録音された2種類が用意され、どちらも聞きたいファンが複数回訪れたことも売り上げにつながったと分析します。

「まずはやってみよう」。若手の挑戦を後押しするパルコのカルチャー

株式会社パルコのオフィス風景

編集部

魅力的な展覧会を開催されているパルコさんですが、展覧会における御社の強みについてお聞かせください。

木佐さん

パルコ独自の展覧会のあり方として、既存の枠にとらわれないテーマを設けることが当社の強みです。例えばZ世代に向けて流行に沿った企画を立ち上げるなど、「攻めた」内容にも挑戦することを意識しています。

編集部

Z世代の視点を取り入れた企画は、トレンドに対するアンテナや、ニーズのキャッチが必要と感じます。パルコさんが20代や30代の若手社員にイベント運営を任せるのは、このような理由からなのでしょうか。

木佐さん

おっしゃる通りです。20代後半から30代前半が中心のチームを組み、意見を出し合ったり優先順位を決めながら企画を運営しています。キャリア採用の社員は、企画に対する柔軟性と、若手社員の裁量権の大きさに驚くことが多いようです。

良い意味で“ぶっ飛んだ”ことをカルチャーとして行ってきた当社は、企画を採択する上司も若い時に裁量権を持ってさまざまなことを経験しています。もちろん、収益性などしっかりと検討していきますが、「まずはやってみよう」というチャレンジを後押しする文化が根付いているように感じます。

編集部

いつの時代も新しいカルチャーを創出し続けてきたパルコさんには、脈々と受け継がれるチャレンジング文化が根付いているのですね。

チューター制度によるフォロー体制で若手をサポート

編集部

パルコさんではイベントの企画を、ゼロの状態から若手社員が立案するのでしょうか。

木佐さん

基本的にはゼロの状態から若手が考え、運営まで行います。クリスマスやバレンタインなどの大きなシーズンイベントのほか、アートをテーマに全館企画を行ったり、最近ではSDGsやサステナブルを切り口としたイベントやポップアップショップを、若手チームがアイデアを出し合い、進めています。

編集部

経験が浅い若手社員が、イベント運営をゼロから考え、実行するのはやりがいと同時に大変なこともあると思われます。上司や先輩はどのようなかたちでフォローしているのでしょう。

木佐さん

入社1年目の社員には、先輩社員がOJTとして指導にあたるチューター制度を設けています。1から10まで仕事を教えるのではなく、やり方を教えつつ、自分で考える指導を行っており、そのうえでわからないことがあったらなんでも相談できるといったスタンスをとっています。

また、イベントにおいては中堅の社員が営業企画のヘッドとして年間の企画に対して装飾やSNS発信、告知する媒体を大まかに取りまとめ、若手社員は基本的にそれに沿ってイベントを企画、運営します。

最終的な決裁は先輩社員が上司に取りにいくなど、店舗の場合は入社1年目から幅広い社員が在籍しているので、日々の業務は先輩社員がフォローにあたっています。

スキルに応じた定期研修と、資格取得の費用を負担する自己啓発支援

編集部

チューター制度のほかに、人材育成に関する制度などがあればぜひ、お聞かせください。

木佐さん

配属が決まる約2ヶ月前に、本社での新入社員研修を実施しています。その後、配属先で実務に入りますが、半年後研修や1年後研修を行い、フォローアップをします。また、若手社員に限らず、全社員に対する自己啓発支援を行っています。

自己啓発の支援とは、不動産資格取得や宅地建物取引士(宅建)などの資格取得の受験料やスクールに通う費用を会社が負担する制度です。負担費用は資格によって異なりますが、宅建の場合は受験料やスクールの授業料、参考書の購入費用などほぼ全額を会社が負担します。

不動産に関わること以外でも、業務に密接に関わる資格や勉強であれば申請が可能です。

キャリアや悩みを相談できる自己申告制度で社員をサポート

株式会社パルコの人事・総務部の木佐瑞紀さん
▲人事・総務部の木佐瑞紀さんは、人事担当者として、社員のあらゆる相談に応じている

編集部

パルコさんにはキャリアサポートの一環として、自己申告制度があるとのことですが、こちらについて詳しくご紹介いただけますでしょうか。

木佐さん

自己申告制度とは、自身のキャリアに関することや悩んでいることを申告することができる制度です。申告書を元に全社員と行う面談では自身が描くキャリアパスや、職場での悩みをヒアリングし、その内容に応じて対応します。面談は人事・総務部の担当者が行うので、普段上司には言い難い悩みなども相談ができます。

また、結婚や出産の予定があり、転勤が難しいことなども申告することが可能です。申告書は2種類あり、上司も閲覧できるキャリアに関するものと、人事・総務部しか閲覧できないものがあります。後者についてはいつでも提出が可能です。

編集部

申告した内容は実際に人事異動に反映されるのでしょうか。

木佐さん

100%反映されるとは言えませんが、かなり柔軟に対応しております。

編集部

職場の上司や先輩だけでなく、会社全体として人事・総務部がサポートしてくれることで、社員の皆さんは安心して日々の業務に向き合うことができると感じました。

共有会で“感性”を磨く。副業もOKなパルコの働き方

株式会社パルコのオフィス内のフリースペース

編集部

これまでのお話から、パルコさんの社員は主体的に自身のスキルアップに取り組んでいることが伺えます。このような働き方はカルチャーとして御社に根付いているのでしょうか。

木佐さん

カルチャーとしてあるものでは、ランチの時間を利用した共有会を行っています。直近では副業をしている社員の話を聞く会を設けました。共有会を通してさまざまなコト、ヒト、モノに若手が触れることで、積極性が生まれているように感じます。

編集部

副業というワードが出ましたが、パルコさんでは正社員として働きながら副業が可能なんですね。

木佐さん

当社は以前から副業をOKとしており、休日を利用して副業をすることが可能です。「感性で世界を切りさく」をパーパスに掲げる当社は、知識や知見を広げることが重要であり、そこで磨かれた感性は、本業に活かされると考えます。

また、プライベートを充実させることにも注力しており、夏休みや冬休みなどの長期休暇もしっかり取ることができます。

編集部

プライベートでの経験が仕事に活かされるというわけですね。

旅先&帰省先から「ワーケーション」もできる!

編集部

パルコさんの社員はどのような休日を過ごされているのでしょう。

木佐さん

当社はワーケーションによる働き方ができるので、社員の中には「今日は沖縄で働きます」というように、旅先から仕事をする方や、出張のついでに翌日も滞在し、仕事をする方もいます。また、地方出身者や地方の大学出身者は、帰省先から仕事をすることも可能です。

北海道出身の私は、年末に帰省することがあります。2022年には雪の影響で飛行機が欠航となったので、そのまま実家に滞在して仕事をしました。

編集部

柔軟な働き方をすることで、プライベートをより充実させることができますね。

コアタイムを設けないフレックスタイム&テレワーク

編集部

副業やワーケーションなど、ワークライフバランスが非常に優れているパルコさんですが、勤務時間はどのようになっていますか?

木佐さん

当社はフレックスタイム制度を導入していますが、コアタイムはありません。そのため、家庭環境やライフスタイルに合わせ、自分で勤務時間を設定することができます。

例えば、子供がいる場合は、保育園の開園時間に合わせて8時に出勤をして早めに帰宅することが可能です。反対に、お昼の12時ごろに出社する方もいます。勤務時間は日々選択できるので、今日はライブがあるから15時に退社ということもできます。

このような柔軟な働き方は店舗でも導入されています。店舗の場合は閉店後の仕事が発生することもあるため、13時に出社、22時ごろまで働くといった選択をする方もいます。私が「仙台PARCO」に勤務していた時は、テレビの早朝ロケに対応するため、7時出社がありましたが、その日は15時には退社していました。

編集部

かなり柔軟な働き方ができるのですね。パルコさんではテレワークも導入されているとのことですが、出社勤務とのバランスはどのようになっていますか?

木佐さん

部門や業務によって異なりますが、私が在籍する人事・総務部では週の半分をテレワーク、それ以外を出社勤務としている方が多いように思われます。店舗勤務の社員はお客様やテナントへの対応があるので、出社率は高くなっています。

全社員が月1回利用できる「健康管理休暇」は多くの社員が活用

編集部

夏休みや冬休みのほか、特徴的な休暇制度はありますか?

木佐さん

社員の多くが活用しているのが月に1回を上限とした「健康管理休暇」です。従来の女性のみが使える生理休暇に代わるこの制度では、性別問わず、全ての社員が活用できます。体調不良はもちろん、通院、人間ドックなどにもあてることが可能です。

編集部

生理休暇を「健康管理休暇」と改めることで女性も休暇を取りやすくなりますね。何より、体調不良の際に有休を消化せずに特別休暇として利用できるのは、本当に素晴らしいと感じました。

育休からの復職率100%のパルコ。配属先は本人の希望を考慮

編集部

多くの女性社員が活躍しているパルコさんですが、出産、子育てに関するサポート制度などはありますか?

木佐さん

産休・育児休暇取得後の復職率が100%の当社は、子育て世代も働きやすい環境を整えています。

復職の際は本人との面談の上で配属先を決めています。産休明けはこの部署という固定のルートはないので、ご自身の事情に寄り添いながら一緒にキャリアを考えています。

また、男性社員が育児休暇を取るケースも増えています。

価値観や働き方の多様性を重視したパルコの新人事制度

株式会社パルコの人事・総務部の木佐瑞紀さん

編集部

続いて、パルコさんの働き方、評価の指標について伺います。御社ではどのような人事制度を導入されているのでしょう。

木佐さん

2025年度から新たな人事制度が導入され、等級、評価、報酬など全てが刷新されます。新たな人事制度は価値観や働き方など多様性を重視した内容となっており、それらを尊重しつつ、柔軟に挑戦を支援できる全体設計になっています。加えて、頑張った社員にしっかり報酬として還元される仕組みです。

編集部

働き方の多様性とは、具体的にどのような施策になるのでしょう。

木佐さん

当社は全国に転勤の可能性があるため、結婚や出産などライフステージが変わったタイミングでの転勤は難しいことがあります。そのような場合、これまでは個々の申告をベースとした勤務地域の選択制度はありましたが、給与カットが条件でした。

新たな人事制度では、入社から一定期間を超えると、勤務地域を選ぶことが可能となります。全国どこにでも転勤可能という方は、インセンティブが高くなり、働き方を自分で選べるようになっています。

社員の声が多く反映された新たな人事制度は、約3年という年月をかけて設計しました。一度は見送ったものの計画をさらにアップデートし、可決、導入に至りました。

編集部

新しい人事制度では、家庭環境など、パーソナルな部分に合わせて働き方を選べるようになっているのですね。

社員の声が反映された地方転勤待遇と賞与

編集部

新しい人事制度には、どのような社員の声が反映されているのでしょう。

木佐さん

人事異動に伴う転勤は社命なので、避けては通れないのが正直なところです。しかし、生活の変化など負担が大きい地方転勤と、居住地を変えることのない関東勤務の待遇が同じなのはどうなんだろうという声は社員からずっと上がっていました。今回、新たに設計した人事制度では社員の思いに寄り添った内容となっています。

編集部

新たな人事制度では、転勤のほか、社員目線で新たに組み込まれた制度はありますか?

木佐さん

評価において、これまでは部門長によって評価が異なっていたため、この部門の評価は高いけれど、この部分は低いといった差が生じていました。今後は評価する側の目線を合わせた評価会議などを設けることを考えています。

働くことを楽しみ、自らワークライフバランスをデザインするのがパルコ流

渋谷PARCOのレゴブロックで作られたジオラマ模型
▲2019年にリニューアルオープンした「渋谷PARCO」の模型。約180のショップを展開し、世界から人が集まる「唯一無二」の次世代型商業施設となっている

編集部

働き方を自分で選択し、デザインできるパルコさんですが、そこには自己管理能力が必要と感じます。社会経験が少ない若手社員も規律を持って活躍できるのは、どのような啓蒙をされているのでしょう。

木佐さん

特に会社から「こうあるべき」といったことを啓蒙することはありませんが、当社の若手社員を見ると、働くことを楽しんでいるように感じます。入社1年目に配属される店舗で業務をこなしながら、自分にとってのベストなワークライフバランスをデザインしているように思われます。

編集部

ルールでガチガチに管理するのではなく、大きな裁量権を持ったり、働き方に自由度があることで、パルコさんの若手社員は自らを律し、自分らしい働き方を見つけているのですね。

アルムナイとリファラルで、専門職のキャリア採用を強化

編集部

続いて、パルコさんの採用についてお聞きします。過去にパルコさんにジョインしていた方を再雇用するアルムナイ採用(※)を導入されているとのことですが、導入に至った背景についてお聞かせください。
※アルムナイ採用:企業を離職・退職した人とも継続的にコミュニケーションを取り、再び企業に招き入れる採用手法

木佐さん

当社には独自の社風や感覚、感性があり、それをマスターするには正直時間がかかります。当社のことをよく知っている方に改めて貢献いただけるよう、アルムナイ採用制度を2023年度から導入しました。

導入の背景には人材確保のほか、何らかの理由でパルコを卒業された方に、もう一度パルコで活躍していただきたいという思いがあります。

また、パルコという会社に愛着を持って働く社員が多い当社では、リファラル採用(※)も活発に行われており、特に専門職のキャリア採用は幅広く行っています。
※リファラル採用:自社で働いている社員から人材の紹介を受けたり、人材を推薦してもらったりして実施する採用活動

柔軟な対応力と、好きなことを原動力に邁進できる方を歓迎

株式会社パルコの人事・総務部の木佐瑞紀さん

編集部

パルコさんの若手活躍文化やワーケーション、テレワークなどの柔軟な働き方を知ることで、自分らしい生き方、働き方が御社なら実現できると思った読者は多いと思われます。パルコさんに興味を持った読者に向け、求める人物像やフィットする方の特徴などについて、メッセージをお願いします。

木佐さん

カルチャーを積極的に紹介し、新しいライフスタイルを提案してきた当社には、変化に柔軟に対応できる社員が多く在籍しています。災害やコロナ禍など、困難があったなか、当社のような商業施設は営業休止を余儀なくされたこともありましたが、そんな時こそパルコは何をすべきかを前向きに考えることができるのが、当社の社員の特徴です。

「“面白い”がパルコをつくる」という当社の採用キャッチコピーが表すように、自分が好きなことを原動力に、仕事を楽しんでいるメンバーがとても多い会社です。若手活躍で紹介した「仙台PARCO」のサウナイベントのように、自分の好きなことをパルコで表現したらどうなるかといったことを考え、かたちにしたいという方はぜひ、その行動力を当社で発揮いただけたら幸いです。

編集部

木佐さんのお話を伺い、御社の社員は本当にパルコさんが好きで、誇りを持って仕事に向き合っていると感じました。その原動力が私たち消費者に面白さや楽しさ、新しさを感じるカルチャーを提供しているのですね。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社パルコ:https://www.parco.co.jp/
採用ページ:https://www.parco.co.jp/jinji/