フルリモート&自由度の高い環境で社会づくりを!むすびえのこども食堂支援事業

組織づくりや人事制度、そして働き方などで独自性を発揮している企業や組織をインタビューする本企画。

今回は、こども食堂の全国的な支援による「誰も取りこぼさない社会」の実現を目指す、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに、オープンな組織運営、そしてフレックス制とフルリモートワークを駆使した働き方などをお聞きしました。

さらには「社会を良くしたいという志を抱く若い世代からキャリアを積んだ世代までの、就職先・転職先として選択肢になるNPO」を目指す独自の体制づくりや、こども食堂支援を通じて得られる働きがいなどについて伺いました。

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえとは

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえのビジョンとミッション
▲認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえのビジョンとミッション(公式ページから引用)

こども食堂が「みんなを包み込む場所」になっていることに感銘を受けた社会活動家の湯浅誠氏が、2018年に立ち上げたのがNPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)です。「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」をビジョンに掲げて活動を続け、2021年には認定NPO法人を取得しています。

こども食堂とは「子どもが一人でも安心して行ける無料または低額の食堂」を指します。2012年に先駆けとなるこども食堂が東京都大田区で立ち上がり、その後10年間でその数は全国で増加しています。

全国各地でこども食堂を支える地域ネットワーク団体とともに行った調査では、こども食堂は全国に少なくとも7,363箇所ある(2022年度)ことがわかっています。2018年の時点では全国に2,286箇所あることを確認していたため、こども食堂の数はこの4年で3.2倍になりました。新型コロナウイルス感染症の流行の波がなかなか収まらなかった3年間でも、毎年1,000箇所以上のペースで増え続けています。

こども食堂は、子どもの貧困対策のためにあるというイメージを持たれがちですが、「貧困家庭の子どもを対象に食事を提供する」こども食堂は、数で言えば少数派です。調査によると、参加者に条件を付さず、どんな子どもでも参加できるこども食堂が約8割ということです。地域を活性化させる「地域交流拠点」と「子どもの貧困対策」が、全体としてのこども食堂の二本柱になっています。

団体名 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(理事長・湯浅誠)
住所 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5 リンクスクエア新宿16F
事業内容 ・こども食堂の普及を図るための地域ネットワーク団体支援事業
・こども食堂の運営強化と認知拡大に向けた企業・団体との協働事業(資金や物資の支援、ボランティア受け入れなど)
・こども食堂が社会の「あたりまえ」となり、より多くの子どもたちがアクセスできるようになるために行う調査・研究事業
設立 2018年(2021年:認定NPO法人取得)
公式ページ https://musubie.org/
働き方 フレックス制、原則リモートワーク

「働く場所」としてのむすびえは、「あたたかく、やさしい社会をつくる仕事」であることを大切に考えており、そういった志を持つ多くの仲間に参画してほしいという思いから、むすびえでは多様な働き方を尊重しているということです。

今回のインタビューでは、むすびえの特徴であるフラットな組織運営、そしてリモートワークとフレックスの機動性を駆使した働き方のメリットなどを伺うとともに、採用試験へのチャレンジを考えている読者に向けたメッセージをお聞きしました。

本日お話を伺った方
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの人事担当者 杉田様

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
人事担当者

杉田さん

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえのプロジェクトリーダー山角様

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
プロジェクトリーダー

山角さん

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの小島様

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

小島さん

こども食堂を「全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける居場所」に

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ提供:「こども食堂」の準備風景
▲「こども食堂」の準備風景(画像提供:むすびえ)

編集部

最初に、むすびえさんの事業内容の説明からお願いいたします。

杉田さん

まず「こども食堂」の定義をご説明しますと、こども食堂とは「子どもが一人で行ける無料または低額の食堂やコミュニティスペース」のことです。そしてむすびえは「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」をビジョンに掲げて活動しています。

具体的には、こども食堂では、県や市町村のエリアごとに食堂関係者らの情報交換・発信や意見交換のハブ的な役割を担う「地域ネットワーク団体(中間支援団体)」が結成されており、むすびえは地域ネットワーク団体の立上げ・運営支援を行い、こども食堂の普及を図っています。

むすびえは、地域ネットワーク団体の皆さんを支援することで、すべての地域住民がこども食堂のような地域の居場所にアクセスできる状態の実現を目指しています。つまり、こども食堂を全国各地に増やしていく後押しをしているんです。

また、企業等からの寄付仲介などを行い、こども食堂の運営強化と認知拡大も図っています。国内唯一となる、こども食堂箇所数調査等の調査研究事業も行なっており、こうした活動を通じて、すべての地域住民がこども食堂のような地域の居場所にアクセスできる状態の実現を目指しています。

編集部

こども食堂は、社会の中でどんな役割を果たしているのですか?

杉田さん

こども食堂というと、貧困対策という捉え方をされることもありますが、それだけではありません。実は多くのこども食堂は、子どもや高齢者、そして障がいのある方など、誰もが集うことのできる場所になっているんです。

社会の分断が進む中で、こども食堂は、インクルーシブ(包括的)な社会につながる大きな可能性を秘めています。商店街がさびれたり、学校が統廃合されたりして地域がさびしくなる中、こども食堂は、民間発の自主的・自発的な取組みとして「地域のにぎわいづくり」に一役買っており、居場所としての機能を果たしているのではないかと考えています。

編集部

食を通じた地域の交流拠点になっているということでしょうか?

杉田さん

そうですね。地域の交流拠点と、子どもの困りごと対策という二つの側面を持ちあわせています。何より重要なことは、国などからいわれてやっているのではないことです。

あくまでも自発的かつ同時多発的に生まれてきたものであり、それが全国で急速に広がってきているという状況に、とても大きな可能性を感じています。

「フレックス制」&「フルリモート」の働き方

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ提供:「こども食堂」の食事メニューの例
▲「こども食堂」の食事メニューの例(画像提供:むすびえ)

編集部

むすびえさんの勤務体系は「フレックス制・フルリモートワーク」となっています。プロジェクトリーダーを務めておられる山角さんも、この勤務体系で働いているのですか?

山角さん

はい。フルリモート、そして完全フレックスで仕事をしています。自分にとっては、非常に働きやすい環境だと思っています。

前職では毎日出勤しており、それはそれでメンバーと毎日顔を合わせられるメリットもありました。ただやはり物理的な障害というか、1日でこなせる動きや仕事の量に限界がありました。

今の働き方はフルリモートなので、普段は自宅からオンラインで全国の誰とでもすぐにつながることができます。これはとても大きなメリットだと思います。同時に、出張で日本全国どこにでも行くことができるので、リアルならではの対面による気づきが得られます。こうした自由度の高さが、むすびえの魅力だと思います。

編集部

フルリモートということであれば、メンバーの皆さんは居住地を自由に選べるということでしょうか?

杉田さん

はい。メンバーの多くは関東甲信地域に住んでいますが、それ以外にも新潟や山形、広島、福岡まで幅広い地域にわたります。

当団体に参画してくださる方々が多くなれば、さらに居住地の多様性は増すでしょうから、これをむすびえの事業である全国各地のこども食堂のネットワーク支援などの活動に生かしたいという思いがあります。個々のメンバーが、自分の住んでいる地域との繋がりをさらに密にするような活動を構想しているところです。

編集部

フルリモートということは、リアルの活動は実施していないのでしょうか?

杉田さん

いえ、リアルの活動もしています。組織の働き方としてはフルリモートワークなので、これまでオンラインの場合が多かったのですが、地域ネットワーク団体のみなさんや、こども食堂のみなさんとの対話の場などでは、積極的にリアルで交流する場を持つようにしています。

こども食堂の運営者の方とは日々オンラインで繋がってはいますが、それとは別にリアルに会って、「対面しながら話をしたい」という気運が出てきているんです。リアルに対面してお話しすることで、オンラインだけでは感じることが難しかった、それぞれの方の熱意や情熱、人となりなどが伝わってきますから。オンラインとリアルのそれぞれのよさを生かした対話方法を模索しています。

2022年からは、新たにリアルで語り合う場を定期的に設けています。一例としては、全国の各地域でこども食堂を開かれている方々と、こども食堂でのエピソードを語り合う「公開ワークショップ話そう!広めよう!」があり、2022年度には、6つの地域(青森県・岩手県・埼玉県・徳島県・島根県・愛知県)で開催されました。2023年度にも香川県・北海道・宮崎県などで開く予定です。

これはこども食堂の運営者の方たちにご参加いただき、食堂で実際に起こったエピソードを発表して参加者全員で対話するものです。2024年までの3年間で、47都道府県すべてで開催する計画を立てています。

編集部

なるほど。状況に応じたオンラインとリアルのハイブリッドが、今後の流れになりそうですね。

最大の喜びは、食堂運営者からの感謝の言葉

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ提供:「こども食堂」の準備風景
▲「こども食堂」の準備風景(画像提供:むすびえ)

編集部

むすびえさんで働くメンバーの皆さんには、共通している思いなどがあるのでしょうか?

山角さん

むすびえは、全国各地にあるこども食堂の活動を応援している団体で、「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる」ということを共通のビジョンとして持っています。

むすびえのメンバーに共通するのは、実際に運営している方々の行動力やパワーに魅了されていることだと思います。「こういう方たちが社会を変えていくのだろう」ということを感じるからこそ、むすびえで働いているのだと思います。

そして運営している方から、「活動がしやすくなった」「子どもたちにこんなに喜んでもらった」「クリスマスなどのイベントを開催し、子どもたちに素敵なプレゼントを渡すことができた」といった感謝の言葉をいただくことができた時には、本当にうれしく感じます。

編集部

子どもたちの喜んでいる顔が思い浮かぶでしょうね。

山角さん

その通りです。これはこども食堂のつながりをつくっている地域ネットワーク団体の方々とのやり取りでも同様です。「こんなこども食堂がうちの地域にできたよ」「こんなに面白い取り組みを考えているよ」といった声を全国各地からいただけることが、私たちにとって大きな励みになっています。

実際、地域ネットワーク団体の皆さんの奮闘ぶりには目を見張るものがあります。たとえば、島根県内のこども食堂の数は2020年度の調査では18箇所でしたが、この結果に「衝撃を受けた」という島根県社会福祉協議会の皆さんは、県からの委託を受けて「子ども食堂サポート事業」など、こども食堂の取り組みを推進するための対策を取りました。この結果、島根県のこども食堂の数は大幅に増え、2022年度の調査で増加率が全国1位となったのです。

多くの出席者を勇気づけた対面での交流会

編集部

こども食堂の方からは、具体的にどのような感謝の声がありましたか?

山角さん

例えば、2023年3月末に対面でのイベントを開催しました。午前中に2022年度の事業報告会を行い、午後は交流会を実施しました。こども食堂や地域ネットワーク団体の方って、お話が好きな方が多いんですよ。皆さん、すごく熱い思いにあふれています。

ですからこの日は、「どんどん自由に発言してください」という場にしたんですけれども、皆さん、こども食堂を開催する大変さから周囲の人々に理解してもらうことの難しさ、これから活動を広げていきたいといった思いまで、熱く語ってくださいました。

全国の方々が「私も同じことを思ってました!」などと共感しあう場ができて、皆さん晴れ晴れとした笑顔になっていきました。そして最後に「思いのすべてを話せる場をつくってくれてありがとう。とてもありがたかった」と言ってもらえました。これは本当にうれしいお言葉でしたね。

心から共感するビジョンがやりがいの源泉

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ提供:「こども食堂」に参加した子どもの食事風景
▲「こども食堂」に参加した子どもの食事風景(画像提供:むすびえ)

編集部

小島さんは、2023年春にむすびえさんに入職されたそうですね。今はどんなお仕事をされているのですか?

小島さん

地域ネットワーク団体の皆さんと協力して、むすびえが中間支援機能の役割を果たすことができるよう、資金的支援に加えて非資金的な伴走支援をするプロジェクトに主に関わっています。

具体的には、農家やスーパーなどで余った食材の配布や地元企業の寄付付きキャンペーン事業などを通じて地域内の資源をうまく循環する仕組みを整えたり、地域の子どもたちが自分の足で歩いていけるよう、よりアクセスしやすいこども食堂の環境を整えたりという活動を行っています。

編集部

守備範囲の広そうなお仕事ですね。その分やりがいも大きいのではないですか?

小島さん

はい。とてもやりがいを感じています。私は大学時代から、学校や家庭という場以外での『居場所』が豊かな社会づくりには欠かせないのではないか、という思いがあり、子どもに関する社会的なインパクトを残せる事業に関わりたいと、子どもの居場所づくり事業を実施してきました。

むすびえに入職後は、これまでの思いを生かしながら、それぞれの地域の未来に向けて、こども食堂の運営者や地域住民の皆さまに対してどのような価値を提供できるかを追求することにやりがいを感じています。

むすびえのすべての事業は、ビジョンである「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」の実現を目指しています。そして、そのビジョンは私が抱き続けてきた思いと一致しているんです。ですから、むすびえで仕事をすること自体が、私にとってはすごく意味のある有意義な時間になっています。これがマクロの視点で見たやりがいです。

そしてもう一つ、ミクロの現場レベルでいうと、現地で日々活動をしている人たちと直接向き会って、お話を聞く機会の多さも大きな喜びになっています。現地の生の空気を感じながら、いろいろと伺うことが刺激になり、こども食堂が持っている可能性にいつも感動させられています。

編集部

具体的に、感動したエピソードをお聞かせいただけますか?

小島さん

「こども食堂」と聞くと「子どもだけが対象になるのではないか」と思う方も多いと思います。しかし、こども食堂にはさまざまな保護者も訪れますから、それぞれの事情でご苦労されていることを気が付きやすい場所にもなるのです。

私がとても感動したのは、あるこども食堂の運営者から伺った話です。そのこども食堂にはシングルマザーの方もいらっしゃって、ある日「しんどい」という思いを運営者に吐露されたそうです。そこで、運営に携わる皆さんが話し合い、お母さんたちが主役になる「ママさん食堂」を思いつきました。

そのような場ができたことで、これまでこども食堂に頼ることが多かったシングルマザーの方が「頼る側」から「頼られる側」に立つことが増え、いきいきとした様子を見せてくださったそうです。

そして、それがきっかけになって、新しいプログラムが次々と生まれ、その地域のこども食堂事業はさらに大きく発展したんです。そのような切り口で事業が伸びるという話を聞いて、私は本当に感動しました。こども食堂は大きな可能性を秘めた事業だということを再認識させられたのです。

地方に出向き現場の声を聞くことの重要性

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが実施した合宿の風景写真

編集部

今までのお話を伺って、小島さんも山角さんも現場の声を大切にされていると感じました。それだけ地方出張の機会も多いのでしょうね。

杉田さん

プロジェクトやそのメンバーの役割にもよりますけれど、山角と小島の二人は特に多いですね。山角はもう既にあちこちに出向いていますし、小島はこれから全国行脚が始まります。月に2回とか3回、あるいはもっと多いかもしれませんね。

編集部

こども食堂の現場の声から、新たなプロジェクトなどのきっかけが生まれる、という感じでしょうか?

山角さん

そうです。私も小島もプロジェクトでこども食堂を支援していますので、行ったことがないのでは仕事になりません。しかも、こども食堂は地域によって事情が違い、1カ所だけではなく何カ所も見ることが必要ですので、月に何回かは出向くことになります。

むすびえが目指す「社会づくりと働きやすさの両立」

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが実施した合宿の風景写真

編集部

では最後に、むすびえさんでの仕事に興味を持った読者に向けたメッセージをお願いします。

杉田さん

「ソーシャルセクターは給与が低く魅力的な労働環境とはいえない」というイメージをもたれる方も多いかと思いますが、むすびえはNPO法人で社会的に意義のある活動をしていくことと、そこで活動する人がしっかりと自分や家族の暮らしを守りながら存分に力を発揮できるようにすることの両立を目指しています。

そのための人事制度も、今まさに整備している最中です。「一緒に組織を作りましょう」というフェーズなので、そういったことに興味ある方は、ぜひご応募いただければと思います。

そもそもむすびえの活動は、地域の賑わいを取り戻そうというものなので、日本に住んでいるすべての方が当事者なんです。そこにコミットして良くなっていくことを感じながら、可能性を信じて、仲間と一緒に仕事をできることがむすびえの良さだと思います。

むすびえは、全国の地域ネットワーク団体を応援しており、俯瞰して日本全体を見ているところに面白みがあります。広い視野で、日本全体を変えていきたいという思いを持った方に、ぜひチャレンジしていただきたいです。

山角さん

私にとって、むすびえには自分たちでやりたいプロジェクトを立案でき、それを実現していくという楽しさがあります。その分、責任も伴いますし、プロジェクトを遂行する力も必要です。でも、むすびえはその力が試せるすごくいい場所だと思っています。

プロジェクトを立ち上げて進めていく過程では、多くのメンバーと議論を重ねます。時には耳の痛い助言もありますが、これは人を批判するためのものではなく、「どうすればもっとよくなるか」についての助言ですので、ありがたく受け止めています。こうして、応援してくれる組織風土があるからこそ、自分の力を試すチャンスを多く得ることができます。

編集部

小島さんはいかがでしょうか?

小島さん

むすびえには、こども食堂をもっと普及させて社会のインフラとして整備していきたいという思いが強くあります。むすびえ自体も組織として、さらに体制を強化しなければいけない段階にあり、志のあるメンバーを求めています。こういうことを一緒にやってみたいという方でしたら大歓迎です。お待ちしています。

2023年秋には新たな人事制度をリリース予定

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが実施した合宿の風景写真

編集部

一般企業の方からは、NPO法人の待遇や人事制度について多く質問を聞くことがあります。杉田さんは、そうした質問に人事担当者としてどう答えますか。

杉田さん

むすびえの特徴でもあり、強みでもあるのは「フラットな組織運営」です。この良さは今後も生かしながら、しっかりとした人事制度を構築する必要があります。

現在、新たな人事制度の構築に取りかかっており、2023年秋にスタートさせる予定です。組織の中心機能はしっかりとありつつも役職の上下にとらわれず、「社会を変えたい」という思いを持ったさまざまなアクターが「むすびえ」という舞台に立ち、共創するような組織を作りたいと考えています。

編集部

「フラットな組織運営」とは、どのようなものでしょうか?

杉田さん

むすびえには部長や課長、室長といった職制がありません。基本的にはプロジェクト単位で、そのリーダーが責任を持って業務を遂行しています。

階級がないので若手の方でも手を挙げて、予算的な裏付けも含めてプロジェクトをきちんと説明できれば抜擢されます。その自由度の高さが、むすびえの大きな魅力です。ただしその分責任も重くなります。それがむすびえの厳しさでもありますが、人が育っていく源泉にもなっています。

編集部

チャレンジ精神が旺盛な方は、面白い仕事ができそうですね。

杉田さん

その通りです。評価制度にしても、当期の達成状況を単に上司が評価するようなものにはしません。フラットでありながら、自分の現在地や今後の伸びしろなどを確認できるような評価制度にしたいと考えています。

また評価制度を作るに当たり、人事担当者だけではなく、メンバーと一緒に考えながらやっていく計画で、むすびえならではのオープンな場での制度設計を進めていきたいと考えています。ぜひとも注目していただければと思います。

編集部

こども食堂の普及・拡大を通して社会を良くしていきたいという志を持った方が集まっているむすびえさんは、組織としてもメンバーが活躍しやすい環境を整えるため変化を続けていかれるのですね。本当に今後が楽しみだと感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ https://musubie.org/
採用ページ https://recruit.musubie.org/