新しい働き方をテーマに、魅力ある企業の様々な取り組みを紹介しているこの企画。今回は、成熟企業のさらなる成長に向け「新規事業の創造」と「既存事業の活性化」の両立を支援するmichinaru株式会社(ミチナル)を紹介します。
michinaru株式会社とは
michinaru株式会社は、「成熟企業を両利き組織に変える」というミッションを掲げ、これまでの日本の経済成長を支えてきた成熟企業をサポートしています。
具体的には、既存事業の活性化を目指すリーダーシップ開発やチームビルディング支援、新規事業を生み出すイントレプレナー人材の育成や制度設計などを行っています。
会社名 | michinaru株式会社(ミチナル) |
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住所 | 東京都千代田区丸の内1-1-3 日本生命丸の内ガーデンタワー3F |
事業内容 | ・新事業創出 ・人材採用 ・リーダーシップ強化 ・キャリア自律促進 |
設立 | 2020年4⽉30日 |
公式ページ | https://michinaru.co.jp/ |
michinaruでは、会社のビジョンやミッションだけでなく、社員一人ひとりのライフビジョンを尊重・大切にしながら、役割や業務内容を定め、チーム全員で連携しながらお客様の事業創造を支援しています。
「人生を通じて探求したいテーマと仕事」や「家族とキャリア」など、「orではなくAndに向き合う」ことで相乗効果が生まれるという思想のもと、理想の会社創りに邁進するmichinaruの制度や組織施策についてお話を伺いました。
インタビューに応じてくださったのは、代表の菊池さんと、ベトナム在住で広報を務めている東さんです。
成熟企業の「新規事業の創造」と「既存事業の活性化」の両立を支援
▲michinaruの事業内容を説明する代表の菊池さん
編集部
まずは、michinaruのミッションと、そのために取り組んでいらっしゃる事業内容について教えてください。
菊池さん
弊社は、「成熟企業を両利き組織に変える」というミッションを掲げています。「両利き組織」とは何かというと、既存事業のさらなる磨き込みと新しい事業機会の探索という、二つの相反する組織能力が共存している組織のことです。
しかし、既存事業で長年利益を上げ続けてきた企業ほど、「今まで取り組んできたことの改善はできるが、新しい事業アイデアは生まれない」とか、「誰もやったことのない新しいことに挑戦する人材が社内にいない」ということで悩んでいます。
新しいことを生み出すことや変えていくことが苦手になっている人や組織に対して、どうアプローチすれば良いかを1社1社の課題に寄り添いながら、解決に向けて伴走しています。
また、弊社には事業創造やリーダーシップ開発に関する独自の人材育成プログラムがあり、それらをベースとして企業様ごとに数ヶ月や数年間での組織変革プロジェクトに取り組んでいます。
「プライベートと仕事どちらもメイン」の働き方を推奨
編集部
御社で掲げているOur Styleとして「Andに向き合う」というものがありました。こちらはどのような意味があるのでしょうか?
菊池さん
「Andに向き合う」というのは、大事な選択をする際に、どちらか一方を選ぶという「or」ではなく、“両立をさせよう”という「and」を推奨する私たちのポリシーです。
個人で言えば仕事と家庭、会社ですと理念と売上など、どちらも大切に追い求めたい時、多くの場合どちらかがメインでどちらかがサブという位置付けになってしまいがちです。しかし、私は「両方に力を注ぐことで、相乗効果を生み出せる」と考えています。
これをまさに体現しているのが若手社員の若林と東です。
若林は、大学時代からプロのミュージシャンとして活動しています。1日8時間、週40時間の勤務を合意した上で、1日の時間の使い方や勤務場所については、音楽との両立ができるよう柔軟性を持たせています。日中のリハーサルや夜のライブイベント、週末のレコーディング活動など、michinaruの仕事と音楽活動をうまく調整しながら仕事をしてくれています。
▲プロのミュージシャンとして活動する若林さん。2023年2月には2ndシングル「モノトーン」をリリースした。
菊池さん
東は、社会情勢の影響もありパートナーである旦那さんと2年ほど別々で暮らしていましたが、2022年4月に息子さんと海外移住し、現在はベトナムのホーチミンから仕事をしてくれています。
ライフワークである音楽活動や家族との生活を大事にしながら、仕事にも真剣に取り組んでくれており、まさにAndに向き合う「両利き人材」です。
編集部
東さんの視点からも「Andに向き合う」ということをどのように感じているのか、お伺いできますか。
東さん
私は、パートナーの転勤によって、3~5年に1度のスパンで生活拠点が変わるヤドカリ(転勤)族なんです。過去にもオーストラリアのシドニーに帯同した経験があります。
当時は、まだリモートワークという選択肢がなく「仕事を辞めてシドニーに行く」か「日本でのキャリアを続ける」という二者択一の選択を迫られ、泣く泣くキャリアを諦めました。そのため、今回、ベトナムへの移住を決断する際には、家族はもちろん「自分のやりたい仕事やキャリアも大事にしていきたい」と思っていました。
そんな時に、弊社のもう1人の共同創業者である横山が「フルリモートでもOKだから一緒に会社創りをしない?」と声をかけてくれ、今に至ります。お客様である成熟企業の方々に「両利きの組織」を標榜する私たちだからこそ「“or”ではなく“And”」でやることが、michinaruの事業や組織にとっても良い影響や相乗効果につながると思っています。
編集部
時差によるデメリットや問題はありませんか。
東さん
ベトナムと日本との時差は2時間です。現在は、日本時間の10時から15時をコアタイムとして業務をさせてもらっています。2時間なので、それほどコミュニケーションや業務に支障はありませんが、メンバーとの飲み会に参加できないことは、問題だと感じています(笑)。
「ワークライフバランス」ではなく「ワークライフブレンド」を通じて得られる相乗効果
▲2022年に入社した若林さんと代表の菊池さん
編集部
「Andに向き合う」ことで生まれた相乗効果はありますか?
東さん
ベトナムでの生活で見聞きすることや子育てを通じて得られた経験は、自身の業務やmichinaruが取り組む「新規事業創造」に関するアイデアにもつながっていると思います。
例えば、オウンドメディアの「michinaruラジオ」で、日本とベトナムをはじめとした東南アジア諸国の文化や商習慣の違いなどをコンテンツとして配信したこともあります。
▲「事業を創る人と組織を探索する」をコンセプトに同社が運営する「michinaruラジオ」
東さん
また、息子が夏休みの自由研究として「手裏剣を売ってみたい」と言い出し、2日間限定の手裏剣屋台を開店したのですが、実際に多国籍のお客様とのやりとりを通じてトライ&エラーを繰り返し、最終的には10名以上のお客様が息子の作った手裏剣を喜んで購入くださいました。
「誰なら手裏剣に興味をもってくれそう?」「どこでなら売れると思う?」「値段はいくらがいいかね〜」とビジネスプランを考えてアクションする息子の姿から、事業創造の難しさや面白さなどの一端を見せてもらった気がして。もちろん全く次元の異なる話ですが、実際に自分の頭と足を使って、稼ぐという事業創造の基本を教えてもらった気がします。
そんな母子の七転八倒エピソードに興味を持ってくださったメディアの方がいらして、記事にも取り上げていただき、広報担当としては思いがけない成果につながりました(笑)。
編集部
若林さんについてはいかがでしょうか?
菊池さん
若林の仕事ぶりを見ていても「ミュージシャンとしての経験やスキルが、ビジネスでも活かせている」と感じています。
若林はバンド内でミュージシャンたちの調整を図るポジションも担っています。それぞれの良さや強みを融合させて一つの音楽を作りあげるわけですが、これを叶えるには全体を統括・調整するマネジメント能力も必要になります。
若林は、このマネジメントスキルがmichinaruの仕事や業務でも活きると考え、自身の経験をもとに仮説を立てて検証しているようです。
また逆に、michinaruの仕事で得た知識や経験を、音楽活動でも活かしているようです。例えば、私たちは定期的に仕事の振り返りをするのですが、これを参考に「アーティスト活動や音楽活動の中でも振り返りをするようになった」と言っていました。
東も若林も、michinaruでミッションと自分が大切にしたいことを両立していると感じています。彼らのワークライフブレンドな活動を、これからもmichinaruというフィールドを使って表現・実現していってほしいですね。
編集部
「Andに向き合う」とは、「ワークライフバランス」ではなく「ワークライフブレンド」ということなのですね。プライベートと仕事のバランスを取るに留まらず、お互いに良い影響を与えあって相乗効果を生み出す。今後、私たちが目指すべきライフワークバランスの発展型だと感じました。
ビジネス経験が浅くても大丈夫!リアルなケーススタディで若手社員を育成
編集部
若林さんは社会人経験が少ない中でしっかり活躍されているそうですが、それを支える取り組みなどはありますか?
菊池さん
NewsPicksの「デューデリだん!」(※)という動画番組があり、それを活用しています。
(※)デューデリだん!:旬の企業の経営トップにインタビューする企画番組
若林は、まだビジネス経験も浅いので「業界や職種についての理解が足りない」という自覚があったようです。私たちのお客様は、業界・業種など多岐に渡るとともにやり取りをさせていただくご担当者の職種もさまざまなので、ビジネスの基本的な知識や幅広い業界の知識に関して、前提の知識や理解を持っているという前提で話が進むことも多くあります。
これらの問題を解決したいと思った際、書籍やインターネットで業界研究をするよりも、リアルなケーススタディから学んだ方が面白いだろうと考え、「デューデリだん!」という番組を題材に勉強会を始めたのがきっかけです。
2週間に1回のペースで実施をしており、若林が番組から得た気づきや考え、疑問を発表し、それについて私たちがフィードバックするという流れです。
編集部
実際やってみて効果はいかがでしょうか。
菊池さん
「デューデリだん!」で回転寿司チェーンのスシローが紹介された回があったのですが、「お客の立場では気づかなかったことが、企業に関する数字を見ることで、スシローという会社のことを多面的に理解できるようになった」と言っていました。
今では、ホームページで従業員数・アルバイト比率・売上などを見ることで、「なるほどスシローさんはアルバイトを軸にしながら店舗運営をするビジネスモデルなのだな」とか、「多くの店舗展開をすることによってコストを下げているのかな」など、仮説を立てられるようになったそうです。
勉強会を通して、企業を理解するために必要な視点が得られたのだと思います。
制約があってもチャレンジしたい意欲ある方を歓迎
編集部
どういう方がmichinaruにフィットすると思いますか?
東さん
弊社は「未知なる扉を開ける挑戦者で溢れる世の中に」というビジョンを掲げているということもあり、「制約があっても、面白くてチャレンジングな仕事をしたい」という意欲のある方々を歓迎しています。
菊池さん
就労時間や場所において、何らかの制約があり、フルタイム勤務や出社出勤といった通常の働き方ができないものの、独自のスキルや知識・経験を持ち、働く意欲のある方にぜひ応募をしていただきたいと思っています。
これまで、スキルや経験、意欲があっても、時間や場所などの制約で働き方の選択肢が狭まってしまい、結果としてキャリアチャレンジに消極的になってしまう方々の声を多く耳にしてきました。そんな方々の働く意欲やスキル、経験を活かせるようなミッションや役割をひとつの選択肢として、弊社が提案、提供できればと思っています。
編集部
制約があったとしても、会社として寄り添える環境があるということですね。
東さん
michinaruにとっても、能力や経験を持った方が来ていただくことで、会社の成長発展に繋がると思いますし、「働きがい」「生きがい」を持った人たちが増えることは社会にとってもプラスだと考えています。結果的に、その方にも弊社にも社会にとっても嬉しい「三方よし」を実現したいですね。
実は、今回新たに「ワケあり人材採用」という採用活動を行っています。(2023年2月末時点)
「ワケあり人材採用」とは、たとえ制約があっても、面白くてチャレンジングな仕事をしたいという意志や情熱を持った方に、ご自身の新たなキャリアに挑戦するきっかけになればという思いを込めてスタートしました。
定型化された仕事や役割をこなすことに不完全燃焼感を感じていらっしゃる方や、新たな仕事や役割に挑戦をしたいけど「制約があるから」とおよび腰になっている方など、ぜひ多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
michinaru(ミチナル)から求職者へのメッセージ
編集部
最後に、michinaruに興味をもっている求職者の方にメッセージいただけますでしょうか。
菊池さん
michinaruは、「Hatch Our Potential !」というスローガンを掲げています。「Hatch」とは「卵が孵化する」「何かを企てる」ことを指します。
私たちは、それぞれが持っているポテンシャル、つまり「人材一人ひとりの底力」を引き出したいという思いがあります。それは人やお客さんの組織もそうですが、同時にここで働いているメンバーも含めて、自分たちの底力を引き出すような組織にしたいという意味です。
底力をなかなか発揮できずにウズウズしている人たちは、実はすごく強い原動力を持っているのではないかと思っています。そういった方々にぜひ来てもらいたいですし、michinaruが持つフィールドを使って、存分に楽しみながら活躍いただけると期待しています。
ご興味を持ってくださった方は、ぜひ一度ご連絡をいただけると嬉しいです。
編集部
本日はお忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。
■取材協力
michinaru(ミチナル)株式会社:https://michinaru.co.jp/
採用ページ:https://michinaru.co.jp/news/saiyou2303/