イベント運営など若手が躍動する千葉県木更津市の成長を促すアットホームな文化とは  

若手が活躍できる環境と働きやすい職場作りに力を入れている企業や自治体にインタビューする本企画。今回は千葉県木更津市にお話を伺いました。

千葉県木更津市とは

海や緑など自然にあふれる千葉県木更津市は、東京湾アクアラインが通るなど都心からのアクセスに優れています。「都心から一番近い田舎」をキャッチフレーズに掲げており、利便性と住居環境の良さを両立した街です。

東京湾岸に位置する同市は港町として栄えた歴史を持ち、再度港町を活性化させていこうと「パークベイプロジェクト」を進行しています。港の周辺にレストランや宿泊施設を作り、街の歴史を大切にしながら発展していこうとする動きが活発化しているのです。

自治体名 千葉県木更津市
住所 千葉県木更津市富士見1丁目2番1号
公式ページ https://www.city.kisarazu.lg.
jp/

同市には民間から転職してきた職員もいるなど、さまざまなバックグラウンドを持つ職員が活躍しています。職員の活躍を支える同市の働く環境について、総務部職員課主任主事の池田翔さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方

千葉県木更津市 総務部職員課主任主事

池田 翔さん

ワークライフバランスを考え民間から木更津市役所に転職

編集部

池田さんが木更津市役所に入庁された経緯について伺わせてください。

池田さん

私はもともとスポーツクラブにインストラクターとして勤めていまして、転職して木更津市役所に入庁しました。現在8年目で、総務部職員課に異動する前は財務部財政課に在籍して市の予算組等に関する業務を担当していましたね。

もともと親の実家が木更津市でして、小さいころから縁のある地でした。中学生のころに木更津に住み始めてスポーツクラブへの就職を機にいったん離れたのですが、やはり木更津が好きでしたので地元に戻る形で市役所に転職したことになります。

編集部

民間からかつ全く違う業界からの転職でしたが、なぜ市役所を転職先として選んだのでしょうか?

池田さん

スポーツインストラクターはとてもやりがいのある仕事だったのですが、どうしても拘束時間が長くなってしまい、なかなかワークライフバランスが取れない状況にありました。スポーツクラブは正社員が少なかったので、一人ひとりの負担量が多かったのです。

その点、自治体となると人手もいますので協力し合いながら仕事を進めることができます。勤務時間は前職と比べて減りましたし、休みも取りやすくなってプライベート時間を充実させることができていますね。

編集部

ワークライフバランスを考えて転職されて、実際にギャップもなく仕事に取り組めていらっしゃるのですね。

自治体の働く環境について伺いたいのですが、民間に比べてDXが進んでいないというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。その点はいかがでしょうか?

池田さん

木更津市役所は以前と比べて固定電話が大幅に削減されました。業務用スマートフォンを活用して、そこにビジネス用チャットツール「LoGoチャット」を導入しています。

基本はスマートフォンを使って社員同士で連絡を取り合っており、以前と比べて仕事の幅が広がったと感じていますね。

編集部

DXによってより働きやすい環境が作られているのですね。

男性の育休取得者が5年で5倍増、取得を促す啓発活動と制度設計

編集部

社会的に男性育休への関心が高まっていますが、木更津市役所ではどのような状況でしょうか?

池田さん

木更津市役所では年々、育休を取得する男性職員が増えています。育休を取得した男性職員は2019年度が3名、2020、2021年度がそれぞれ4名、2022、2023年度(取材日2024年1月30日時点)がそれぞれ11名です。

また取得期間についても初めは1カ月未満というケースが多かったのですが、今は9カ月や1年間取得する男性職員もいます。

9カ月取得した男性職員はお二人目のお子さんが出産されるタイミングで取得したのですが、取得にあたって壁になったこともなく、ご家族のみなさんと充実した期間を過ごせたとのことでした。

編集部

男性の育休取得者が増えている背景としては何が考えられるでしょうか?

池田さん

育休を取得する男性職員が増えた背景としては、啓発活動によって取得する雰囲気を作っているのと、取得しやすい制度を始めたことが挙げられると思います。

啓発活動については、育休を取得する上での制度を通知し、制度をまとめた冊子を配っています。また、通常の育休に加えてお子さんが生まれて8週間以内で2回、合計で最長4週間の育休を取得できる「産後パパ育休」という制度も運用しています。

通常の育休は子どもが満3歳になるまで最大2回取得できるのですが、産後パパ育休を利用することで最大4回の育休を取得することが可能です。

男性の場合は女性に比べてまだ育休が根付いていませんので、仕事に対する不安から長期の育休を取得するのにハードルを感じる場合もあるでしょう。産後パパ育休は、そんな男性職員のためにピンポイントで短期的に育休を取得することを促す制度となっています。

木更津市役所は男性の育休取得について理解が広がっていますが、いくら周囲が取得しても良いと考えていても本人の不安が消えなければ取得率を上げることはできません。ですので、こういった制度を設け、制度について啓発していくことが重要だと考えています。

編集部

育休取得にあたってのハードルを取り除いて初めて取得する雰囲気を作ることができるのですね。

新規採用や3年目の若手職員が市主催イベントの運営担う

イベントの準備を進める千葉県木更津市の職員のみなさん
▲新規採用職員がイベントの企画、準備、運営を全て担う「新規採用職員主催イベント」が毎年開催されている

編集部

木更津市役所では多くの若手の職員さんがご活躍されているとのことですが、若手の成長を促す取り組みはあるのでしょうか?

池田さん

木更津市役所では毎年、新規採用職員がみんなで一つの事業を担当し、企画から準備、運営まで全てを担う「新規採用職員主催イベント」を行っています。

2023年度については、地元の方に木更津の魅力を再発見していただくためにテーマを「地産地消」と置き、地元食材を使っているお店を巻き込んだスタンプラリーイベントを開催しました。同時に、地元食材を使った太巻き祭り寿司のワークショップも開催しましたね。

2023年度は30人ほど新規採用職員がいましたので、まずは自分たちの役割を決めてから準備を進めていました。最初は大変そうにしていましたが、この研修をきっかけに市役所で働く上で知らなければならないルールを覚えていき、終わった後は大きな達成感があるようです。

編集部

市役所内で活動が完結するのではなく、市民の方との交流も生まれているのですね。

池田さん

テーマについても新規採用の職員が決めているので毎年必ず地域の方と協力するというわけではないのですが、2023年度のイベントに関しては太巻き祭り寿司のワークショップをいつも開催している地元のサークル団体の方や、地元のお店の方に協力いただきました。

地元の方とのやり取りも全て新規採用の職員が担いましたので、大きな経験になったと思います。

編集部

1年目の職員さん以外でもこのようなイベントを開催する機会はあるのでしょうか?

池田さん

毎年市が主催となって開催する「オーガニックシティフェスティバル」という大きなイベントがあるのですが、そこでは入庁後3~4年目の職員が中心的な役割を担います。

ここでも1年目の経験が大きく生きてきて、新規採用職員主催イベントで課題となったところをクリアしながら開催していくことになります。

編集部

若手のうちからさまざまなイベントを運営する機会に恵まれているのですね。

千葉県木更津市が主催するオーガニックシティフェスティバルの様子
▲市が主催する大きなイベント「オーガニックシティフェスティバル」では3~4年目の職員が中心的な役割を担う

若手の成長を促すアットホームな環境、わからないことを聞きやすい雰囲気がある

千葉県木更津市の新規採用職員研修の様子

編集部

先ほどは若手活躍について全体的な動きのお話でしたが、実際にご活躍されている職員さんの事例を伺わせてください。

池田さん

一つの事例として、市民の国際交流を促す国際交流協会という組織があり、そこで事務局業務を担当している1年目の職員がいます。国際交流協会では毎年ニューイヤーパーティーというイベントを開催していたのですが、コロナ禍をきっかけに中断しており、今年度に4年ぶりに開催しました。

準備や運営についてはこの職員が担い、当日は200名以上の方に来場いただき、来場者からは「いつも以上に大盛況だった」という言葉をいただけたようです。

編集部

1年目の方がイベントの中心的な役割を担われているとはすごいですね。この職員さんが活躍できた要因は何でしょうか?

池田さん

本人の能力はもちろんですが、若手が業務でわからないことがあれば誰かに聞くことができるような雰囲気が作れていることが要因として挙げられると思います。

この職員の所属課は少人数ということもあり、アットホームな雰囲気で仕事に取り組めているようです。先ほど申し上げたチャットツールを活用しながら上司とコミュニケーションが取れているようで、些細なことでも質問できる環境があるとのことでした。

編集部

フランクにコミュニケーションが取れる環境があるのですね。

人との交流を大切にしてチャレンジできる人材を求める

編集部

木更津市役所に民間から転職される方もいらっしゃると思いますが、民間で得た知見を生かせる環境はあるのでしょうか?

池田さん

木更津市役所は現在、市の道路や公園、上下水道の整備や都市計画に関わる土木職、公共施設の設計や管理、建築物の確認調査を行う建築職など、技術職の採用に力を入れております。そういった技術職であれば特に民間での経験を生かせるのかなと思います。

編集部

最後に、木更津市役所に興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。

池田さん

木更津は自然豊かな場所であると同時に、商業施設もあって利便性の良い街です。港町を活性化させるパークベイプロジェクトも進んでおり、新しい街づくりに木更津に移住してきた方の新しい視点も取り入れたいと考えています。

ですので、これまで木更津と縁のなかった方もぜひ木更津に住んでほしいですね。

また、木更津市役所が提供しているのは行政というサービス業です。このサービス業は職員がいて初めて実現するので、職員こそが最大の経営資源だと考えています。

人と自然が調和した街づくりを地域の方と一体となって進めていこうと動いていますので、人とのつながりを大切にして自信を持って新しいことにチャレンジできる人材を求めています。

木更津市役所は正規職員が1000人ほどで、組織間で壁がないアットホームな雰囲気があります。持続可能な街づくりをしたいという意欲を持った方であれば活躍できる機会はたくさんあると思いますので、ぜひご応募いただければと思います。

編集部

職員さんと市民の方同士で化学反応を生みながら発展している街だからこそ、得難い経験を積むことができるのだと感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
千葉県木更津市:https://www.city.kisarazu.lg.jp/
採用ページ:https://www.city.kisarazu.lg.jp/gyoseijoho/jinji_shokuinsaiyo_kyuyo/shishokuinsaiyojoho/index.html