オーガニックベンチャーであるインユー(IN YOU)の働き方と「本当のワークライフバランス」とは?

新しい働き方を採用し、独自の企業理念を持っている企業にインタビューを実施するこの企画。今回は、オーガニックを通して世界中の人々に「本質的かつ心から楽しめる人生」を送ってもらうための事業を展開している株式会社インユーを取材させていただきました。

株式会社インユーとは

株式会社インユーが運営する「IN YOU MARKET」のロゴ

株式会社インユーは「すべての人にオーガニックな暮らしを。」というスローガンのもと、国内でも最も厳しい基準を目指す厳選された独自の商品ラインナップが特徴のECサイト「IN YOU MARKET」や、自社ブランド「Minery(ミネリー)」、また創業時から続けているオウンドメディア「IN YOU journal」の運営を軸に、さまざまな事業を展開しているオーガニック・ベンチャー企業です。

会社名株式会社インユー
住所東京都渋谷区渋谷2-2-5 クルスビル5F
事業内容・インターネットウェブサイト、ウェブコンテンツ等各種メディアIN YOUの企画運営
・ECサイト運営
・PR活動の企画、立案、実施及びコンサルティング
・イベント・キャンペーン・パーティー等の企画・運営ならびにそれらのコンサルティング
・マーケティング業務の代行
・各種商品の企画開発、制作、プロデュース及び販売
設立2016年2月
公式ページhttps://inyou.jp/
働き方基本的にフルリモートメインだが、必要に応じて月に数回程度出社することも。

今回は、株式会社インユーの事業内容やフルリモートをベースとしたフレキシブルな制度設定、またプロ意識を持ち楽しく働くためのポイントなどについて、代表取締役社長である松浦愛さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社インユー代表取締役社長の松浦愛さん

株式会社インユー 代表取締役社長

松浦 愛さん

ECサイトなどの事業を通してオーガニックを広める

株式会社インユーが運営するECストア「IN YOU MARKET」


編集部

最初に、インユーさんの事業についてお聞かせいただけますでしょうか。

松浦さん

インユーの代表的な事業としては、「IN YOU MARKET」というオーガニックマーケットプレイスを2016年後半から運営しています。

私たちは、元々本格的に事業を始める前からオーガニックに関するメディア「IN YOU journal」を運営していて、女性を中心とする多くの読者や、フォロワーを集めていたんです。健康であることやナチュラルな生活を好んでいたり、エシカルおよびサスティナブルという考え方にも賛同している方が多いです。

ちなみに現在はオンライン中心の活動ですが、その当時は社会情勢が変わる前だったこともあり、ヘルスコンシャスなユーザーを集めての食事イベントや、リアルイベントも活発に行っていました。当時はキュレーションメディアなども流行した時代でしたが、私たちは単なる情報の寄せ集めでなく、できる限りライター独自の視点や意見を大事にし、7,000件以上のオリジナル記事を発信してきました。

メディアを通じて多くのユーザーが当社の存在を知る中で、「おすすめの○○は何ですか?」という質問が相次ぐようになりました。私の身内もみんなIN YOUのサービスを利用してくれているのですが、両親などからも尋ねられるようになりまして…。

そこで、メディアを利用していたターゲットに向けて、本当に信頼できる商品だけをお届けできるよう厳しい審査基準を設け、独自のリサーチで選定したオーガニックアイテムだけを厳選販売したのがIN YOU MARKETです。現在は累計1,000社弱のベンダーさんにご参画いただき、数千点の食品、コスメ、サプリメント、生活用品、オーガニックコットン衣類などのアイテムが掲載されています。

IN YOU MARKETには毎週フレッシュなアイテムがどんどん入荷されるので「見ているだけで楽しい」というご意見もたくさん頂戴しています。ご自身やご家族など大切な人に、自信を持ってお薦めできる国内唯一無二のマーケットプレイスとしてご好評をいただいています。

編集部

オーガニックに関する情報発信から始まり、本当に薦められる商品を届けたいという思いからECサイトを始められたのですね。その他の事業についてはいかがでしょうか?

松浦さん

その他には、オーガニックメディア・サービスの運営で得た知見を活かして企業のプロモーション支援やコラボ商品開発のブランディング、デザイン、コンサルティング等のサポートをしたり、プライベートブランド「Minery(ミネリー)」のアイテムを開発・販売するなど、いくつかの事業を展開しています。

株式会社インユーのプライベートブランド「Minery」の製品「エッセンシャルコラーゲン」
▲インユーさんが独自開発したプライベートブランド「Minery」

松浦さん

また、私たちの考え方やユーザーの皆さんにお役立ていただける情報などは、InstagramやYouTubeを通しても発信しています。インユーのみならずオーガニック全般に関心をお持ちの方に、ぜひご覧いただきたいです。

株式会社インユーの公式インスタグラム「IN YOU Magazine」(インユーマガジン)
▲公式インスタグラム「IN YOU Magazine」(インユーマガジン)

株式会社インユーの公式YouTubeチャンネル「IN YOU Tube」(インユーチューブ)
▲公式YouTubeチャンネル「IN YOU Tube」(インユーチューブ)

多国籍な組織で、顧客の幸せを追求する

株式会社インユーのランチ会の風景
▲メンバーとのランチ会風景

編集部

インユーさんの組織の構成やカルチャーなどについてお教えいただけますか?

松浦さん

元々は正社員中心でしたが、最近ではアルバイトや業務委託など雇用形態はさまざまです。現在の主要なメンバーはおおよそ15人程度です。

メンバーの中には、プロジェクトベースで短期的に関わってくださる方もいます。年功序列の昔ながらの社風ではなく、変化の激しいフレキシブルな時代にマッチした固定観念にとらわれない形態をとっております。

特徴のひとつとしては、多国籍なことが挙げられると思っています。エンジニアやクリエイターには外国籍のメンバーもいますし、海外からの応募もかなり多いです。また、実際に海外からフルリモートで働いてくれている方もいて、言葉の壁も越えて色々な言語、生活環境の方が活躍しています。

別に全員が英語がペラペラというわけではないのですが、翻訳アプリなども使いながら問題なくコミュニケーションをとっていますね。

編集部

メンバーの皆様は、やはり御社のオーガニックに関する想いに共感してジョインされた方が多いのでしょうか?

松浦さん

前提として、サービスに対して共感はしている方が多いですが、とはいえその人によってオーガニックに関する知識や使用頻度、興味は異なります。

オーガニックが好きで子育てにもオーガニックを全面的に取り入れている社員もいれば、IN YOU MARKETを通じてオーガニック商品を買うようになった社員もいて、まちまちですね。まだまだ「オーガニックが大好き!」という方はグローバルレベルで見ても一部です。なので、それでいいと思っています。

ただ、私たちが掲げているミッションやビジョンは間違っていないと考えており、実際にユーザーの皆様の喜びの声も多く届いています。

全員がオーガニック専門家である必要はありませんが、働くうちに知見がたまり、プロフェッショナルになっていけばいいと思います。何よりも「事業を通して多くの人たちを幸せにしたい、笑顔になってほしい」という考え方は共通していると思いますし、そこにやりがいを感じてくれているメンバーが揃っています。

株式会社インユーのビジョン・ミッション・バリュー
▲インユーさんのビジョン・ミッション・バリュー

基本はフルリモート。プロとして成果を出すのが重要

株式会社インユー代表である松浦さんがメンバーからプレゼントされた品々
▲2023年に結婚した際には、メンバーからサプライズでレストランのギフトカードやスイーツをプレゼントされた。松浦さんは「リモートでもこうした交流があることは嬉しいです」と語っています。

編集部

続いて、インユーさんの働き方について伺いたいです。現在はリモートワークが中心なのでしょうか?

松浦さん

そうですね。最近は社会情勢も落ち着いてきましたので、オフィスで顔を合わせて働くメリットを唱えて出社を要求している企業さんもいらっしゃると思うのですが、弊社はいまだにフルリモートに近い形で全員が勤務しています。

もちろん必要に応じて、事務処理、撮影、面談などのために月数回だけ出社をお願いすることもありますが、強制的に「毎週何日以上、絶対出社してくださいね」というやり方は、今はとっていません。

その理由としては、勤務時間以外の「本質的でない時間帯」を減らしていきたいということと、個々のライフステージに合わせて、プロフェッショナルとして、プライベートも仕事もどちらも犠牲にせず働ける制度設定にしたいからです。

たとえば経営にも携わるコアメンバーだと、他のメンバーよりは多少勤務時間が長くなるケースもあります。しかし、その中で通勤を含めた移動時間で大事なリソースや、人生における貴重な勉強と趣味に使える時間、家族との時間などが奪われてしまうのは理不尽ですよね。

また、産休に入る前や子育てをしている方でも、リモートメインであれば都合にあわせて働き続けることが可能となります。

もちろん、この先何があってもフルリモートを続けるということではありません。ある程度の期間、この体制で働いてみて、問題が出てきたり業績に悪影響がある場合は柔軟にアレンジしていく予定です。

編集部

実際にリモートをベースとして働いてこられて、どのように感じていらっしゃいますか。

松浦さん

正直に言うと、「リモートに向いている人と向いていない人」というのは、やっぱり明確に存在するな、と思っています。

リモートに向いているのは、まずコミュニケーション能力に長けていて、チャットやオンラインツールをフル活用して報告・連絡・相談が自らできる方。また、業務形態問わずプロフェッショナルとして自分を律することができ、任されている案件に対してパフォーマンスを上げて成果を出していこうという考えを持っている方だと思います。

そういうメンタリティの方は、リモートだからということではなく、国内でフル出社だとしても海外から働いているのだとしても同様に結果を出せると思います。

逆に、与えられた環境に大きく左右されて自分を律することができなかったり、ついついダラダラしてしまい100%稼働できるところを手を抜いて60%くらいの力で働いてしまう人は、難しい点があると感じています。

平たく言うと「リモートだと何をしているかわからない」「相手の姿が見えないと、信頼できない」というケースが出てきてしまうんですね。そういったケースではまず話し合って、現状について詳しくヒアリングするようにしています。

その上で「成果を出せないのはどこに原因があるか」ということをお互いに考えて、良い方向に向かえるようにしていますね。また、働き方を無理に押し付けるという気持ちはまったくないので、当社だとプロフェッショナルな姿勢で働けない場合は、その人が自分を律することのできる適した管理体制の会社に移るというのも一つの方法だと思います。

ヒアリングの場面を設け、リアルの交流を増やすことも検討中

編集部

リモート中心の環境において、インユーさんではコミュニケーション面における工夫は何かされているのでしょうか。

松浦さん

検討中ではあるのですが、オフィスについてはいろいろと変えていこうと考えています。

たとえば、かつて使っていた渋谷のオフィスはリモートになってから今や使っていないので他の場所を確保して、メンバーが月に数回だけ集まるコミュニケーションの場にしたり、撮影スタジオを作ったり、というアイデアがあります。

また倉庫を新たにオープンして、倉庫とオフィスを掛け合わせた新しい場所を作るというアイデアもあります。やってみてわかることも多いので、プロコン(※)を考えながら時代に合う方法を身軽に試せる、そんな環境を作っていきたいと思っています。
(※)プロコン:「pros(賛成の)」と「cons(反対の)」の2つを組み合わせた言葉。メリットとデメリットなどの対極的な要素や、それをもとにした分析手法を指す。

リモート中心の方向性を大きく変えるというより、ランチの機会を作って気軽に話し合ったり、顔を合わせてミーティングをすることもできる範囲で再開していこうということです。

とはいえリモート環境に慣れつつあることで、現在業務は回っていて急ぐ必要はないので、メンバーや経営メンバーの意見を聞きながら進めていきたいですね。

編集部

どのようなタイミングでメンバーの皆さんと話し合っているのですか?

松浦さん

オンラインがメインではありますが、定期的には担当者が面談をして話を聞いています。「このテーマについて話したい!」と誰かが発案して1on1を行うこともありますね。また、私と密に働くメンバーが数名いて、そのメンバーとは週に数回は必ずオンラインミーティングを行うようにしています。

たとえばリモートの環境にストレスがあったり、抱えている案件でうまくいかないことがあったり、どうしてもそういうケースは出てきますよね。そういうときはアンケートをとって、再度面談を設定し、話し合って改善していきます。

編集部

リモートの環境では多くの企業様にとってコミュニケーションが問題になるとは思うのですが、インユーさんではできる限り意見を吸い上げる場を設けているということなんですね。

育児と仕事との両立など、自由度の高さを活かして働くメンバーも

株式会社インユーのCFOである郷古さんが山梨のキャンプ場にいるようす
▲キャンプにはまっているCFOの郷古さん(インユーさんのWantedlyより引用)

編集部

インユーさんにおいて「こんな制度がある」「こんな働き方をしているメンバーがいる」という事例やエピソードがあれば、お教えいただけますか?

松浦さん

いくつか例を挙げると、産休を取る前にリモートを活用しながら時間を調整して働いてくれた女性社員がいたり、送り迎えや食事の準備などもこなしながら育児と仕事を両立させているメンバーがいますね。

両方に共通しているのは、「仕事が好きだし、スキルやインユーでの勤務実績もあるので、自分の生活も業務も両方大事にしながらフルタイムで働き続けたい」という意志です。

一般的には、そういったライフステージであれば時短勤務に切り替えたり、あるいは退職するケースがあるかと思うのですが、弊社ではフレキシブルに働くことが可能なので、それまでとなるべく変わらないスタイルで、産休に入るギリギリまで勤務してくれました。

また、リモートで時間の都合もある程度は融通がきくため、業務を調整した上で一旦夜になる前に抜けて、子育てなどのために2時間程度時間を作り、夜間に仕事を再開するということもできます。1時間〜2時間抜けるからといって毎回欠勤になったり、有休を消化しないといけないということもありません。

もちろんその代わり、お互いの信頼関係は大事です。コミュニケーションが取れていない中で自由を主張してしまうとWin-Winにはなりません。前提として仕事に手を抜かないプロフェッショナルな姿勢が求められますが、家族との時間や人生を犠牲にせず働き続けられるのは、会社としても、メンバーとしても双方プラスになることだったと感じています。

編集部

周りのメンバーもそのような働き方を受け入れて、サポートしてくれるのでしょうか。

松浦さん

そうですね。もちろんチャットでの連絡やスケジュールの共有は欠かしていないので、「ここからここまでイレギュラーに1時間半くらい中抜けします」という情報は、全員が認識していてサポートし合っています。

もちろん「自由」だからといって、報告を怠って何でもしていいという「公私混同黙認ルール」ではありません。そして、仮に自由に甘んじて仕事に手を抜く人がいたら、厳しく指摘されます。それに、いつだって顧客は素直なので、社内のマネジメントにおいて気がつかなくてもメンバーが手抜きしていたらすぐ教えてくれます。だから結局はバレます(笑)。

けれど、どうしてもこの日だけは抜けなければならないということは誰にでもあります。そのときに、顧客に迷惑をかけずに同じかそれ以上のパフォーマンスを出せるなら、まったく問題ないはずです。

あと、結婚式の出席などでどうしても遠方に行かないといけない、けれど仕事のタスクがあると。そんなとき「セキュリティが確保されたサードプレイスから午後から夜まで勤務したい」といった特別な時差出勤ケースも、一部、認めています。もちろんその場合も、事前にご相談いただき、仕事に問題が起きないようコミットはしていただいています。

ただ、これって冷静に考えると人として当たり前のことなんです。「会社だから報告しないといけない」ということではなく、例えば、家族間や友人間でも当たり前のことですよね。「約束を守らない」「何も言わず次の日から一人で旅行へ行く」「何時に帰るのかを意図的に言わない」という独りよがりなコミュニケーションの仕方で、信頼関係が成り立つわけはありません。

勝手な自己主張しかしない人は、居場所を問わず、今後リモートワーカーとして生きていくことは難しくなると思います。

株式会社インユーのランチ会の風景
▲メンバーを招いたランチ会の風景

編集部

その他に、独自の制度は何かあるでしょうか。

松浦さん

独自の福利厚生でいうと、社割がありますね。自社商品でも他社のものでも、オーガニックなアイテムをかなり安く購入できます。たぶん、大手ECサイトを運営している企業さんよりも、多少値引率は高いと思います(笑)。

あとは、結婚されたメンバーに祝い金を支給していたり、ときどきリアルでランチに行ったりする際、会社から全額補助したりしています。

労働時間だけではない、本当のワークライフバランスとは

株式会社インユー代表取締役社長の松浦愛さん

編集部

私どもは働き方に関する情報を発信しているメディアで、企業様からいわゆる「ワークライフバランス」について伺うことも多いです。その点について松浦さんが思うことがありましたら、お聞かせいただければありがたいです。

松浦さん

ワークライフバランスというのは、人によっても意味は異なりますし、なかなか定義しにくい言葉ですよね。当然の権利のように言うのもちょっと違うと感じますし、「楽な仕事を選びたい」という意味で使われるケースもあり、悪い意味で揶揄されるケースもちらほら見受けられます。

私が考える本当の意味でのワークライフバランスは、自分が属している会社に対して、報酬以外の面で「良い環境で働けていて助かる、気に入っている」という感情を抱いていて、自分の時間を大事にしながらも会社に対して感謝の気持ちを抱き、きちんと給与以上の貢献をしたいという状態です。これが、健全かつWin-Winな関係だと思うんですね。

これは、リモートワークを全面的に認めている会社のケースでも同じだと思います。「リモートワークを週5でできることが当たり前」なのではなく、その会社が、たまたま時代背景的な事情と意図があって、ワーカーに提供している1つの福利厚生のようなものだと思っていて。

だから、声高々に「フルリモート」を主張するのではなく、家族との時間であったり、人生に使える自由時間であったり、目に見えない給料以外の大きな価値を手にしていることを忘れずに、仕事上ではプロとして成果を出すなどの当然の振る舞いをしていくことが、ワーカーには求められるのだと思うんです。

編集部

「ギブ&ギブ」ではなく、「ギブ&テイク」を基本にしてほしいということですね。これはワーカーだけではなく、雇用主である会社にも言えることでしょうか。

松浦さん

はい。私はメンバーに対しても、働く人すべてに対しても「仕事だけの人生にせず、自分の人生を大切にしてほしい」と思っています。働きすぎた結果、精神的に負担を感じてメンタルヘルスに支障が出るのは良くないですし、管理社会で馬車馬のように働き続けることによって燃え尽きてしまう方もいます。

実際、優秀な人材であってもハードすぎる働き方を続けていけば、そのうち鬱病や事故リスクも高まりますし、睡眠不足と慢性疲労が続けば、最悪の事態だってあり得ます。そうなったときに、会社は責任をとってくれません。

これまでの働き方についてふと振り返ったとき、すでに自分はすっかりボロボロで、家族や子どもとの時間や、色々な景色を楽しむ時間も全て犠牲にしたことがわかったとしても、後悔するのは本人ですから。

だからこそ、一人の人として自分の人生に尊厳を保ち、「仕事で稼いだそのお金をどういうことに使うのか?」「どういうことに時間とお金を使えば自分の人生が本当の意味で豊かになるのか?」ということを20代、30代のうちから真面目に考えた方がいいと思います。

会社は、働く環境と給料はくれても人生への責任まではとってくれないし、時間を巻き戻してもくれないということを念頭に、今働いているあなたの会社があなたを単なるコマとして見ていないかどうかを、一度考えていただきたいと思います。

会社の存在意義や、本当に良い働き方とはどういうものかというのは、経営者として時間をかけて考え続けたいですね。

株式会社インユーの松浦代表が家族に振る舞ったスイーツ
▲夜間の仕事がひと段落した際に、ご家族に振る舞った手作りの「フルーツあんみつ」的なスイーツ。「フル出社の生活スタイルでは、このようなことも一切できなかったと思います」(松浦さん)

編集部

ありがとうございます。働き方の観点でいうと、現在のインユーさんはどのような状況だとお考えでしょうか。

松浦さん

当然ながら、現在の状況に完全に満足しているということはありません。ベンチャーだからこそ、大手のように一人一人に対して十分なトレーニング期間を設けたり、ケアができないケースもあります。

人それぞれ考え方や価値観は異なるので、新しくジョインする人もいれば、価値観の相違で辞めていく人ももちろんいます。メンバー全員がどう思っているかは、本当のところはわかりません。

ただ、リモートワークを導入している現在の働き方自体には働き手サイドに利点が多いと感じていて、それについては、メンバーもかなり同感してくれると思います。無駄な時間が減らせる分、深夜に一人コンビニ弁当を買って帰るだけの食生活になったり、自炊が全然できなくて冷蔵庫のものが腐ったり、部屋の中がホコリだらけになったり、家族との時間が減ったり…そういったネガティブなことが確実に減るはずなのです。

株式会社インユー代表取締役社長の松浦愛さん
▲「ひと段落した週末、少しぼーっとする時間も好きです」(松浦さん)

松浦さん

リモートによって余裕が生まれれば、健康的な食品を選んでゆっくり時間をとって食事をしたり、家族や友人と楽しく語り合うことができたり、単純に余剰分を睡眠時間に充てられたりと、総合的にみたときに人生が良い方向に向かうはずです。

株式会社インユー代表取締役社長の松浦愛さんと自社ブランド「Minery」のサプリメント
▲自社ブランド「Minery」の飲むミネラル、エッセンシャルビタミンCとビタミンD3を飲んで翌日に向けて体調を整えるということです。

松浦さん

ワークライフバランスは、「1日の働く時間をできるだけ短くする」ということではないと考えていて、短期的には忙しい局面があったとしても、より健康的に長い期間、心身を壊さずに熱意を保ったまま働けるということだと思うので、これからもメンバーと話し合いながら良い環境を目指していきます。

また、リモートワークでも、自分を追い詰めるような働き方をしてしまう人は要注意だと思っていて、コントロールできないと鬱になるリスクは高まります。リモートワークだからこそ、移動時間や準備時間が減るわけなので、その1時間や2時間を、睡眠時間や自分の心が豊かになるようなことに使っていただきたいと考えています。

「与えられた時間で考えて結果を出せる人」を歓迎

株式会社インユー代表取締役社長の松浦愛さん

編集部

最後に、採用に関して伺えればと思います。インユーさんの理念や働き方にフィットするのは、どんな方なのでしょうか。

松浦さん

先ほどもお話ししたとおり、弊社はリモートワークを導入していてやり取りもオンラインが中心です。そのため、「与えられた時間で自走して成果を出す」という点にコミットできる方がマッチすると考えています。

近頃話題になっていますが、ChatGPTをはじめとしたAI関連の技術も急速に進化しています。つまりに、単に「8時間仕事をしたので高い報酬をください」」とか「一文字いくらで記事を書きます」という従来の考え方では雇用側からの需要がなくなるので、かなり厳しくなってくると思います。

記事作成も、事務作業も、クリエイティブなことも、AIが決してできないようなバリューを人間が出せるからこそそこに報酬が生まれるわけで、単純作業やプログラミングなどは、すぐにAIに取って代わられる時代が迫っているのではないでしょうか。そういうフェーズで求められるのは、他者と比べて優秀と思わせる「何か」がある人ですよね。

それはファンを作るような素晴らしい接客技術かもしれないし、圧倒的な営業力やコミュニケーション能力かもしれないし、AIができない心を動かす個性的な記事を書くことかもしれません。当社インユーが求めているのも、時代に合わせて自分をアップデートできる意識と能力がある方です。

会社としてはストレスをなくして働いてもらえるよう随時制度も改善しながらサポートしていくので、それに応えて成果を出すことにこだわっていただける方が望ましいです。

編集部

「リモートだから自由に、自分らしく働ける」という考えだけだと、難しいということですね。

松浦さん

おっしゃるとおりです。「自由」が与えられる限り、何をしてもいいと考えている方もいるかもしれないのですが、実際にはそれに応じた責任が発生するのは当然です。

リモートかつ比較的時間の制約が少ない環境の中で、自分の頭で考えて成果を出していくことが重要だと考えていますので、そこを目指していける方は、ぜひ私たちのミッションとビジョンを達成していくために協力していただければと思います。

編集部

オーガニックを通して人々を笑顔にしていくという事業内容や、インユーさんの働き方に対して共感できるという方は、まずは各サイトやメディアをご覧いただければと思います。本日はありがとうございました!

■取材協力
株式会社インユー:https://inyou.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/inyou_magazine/
公式YouTube:https://www.youtube.com/@inyoutube6784

■運営ストア・メディア
IN YOU MARKET:https://inyoumarket.com/
IN YOU journal:https://macrobiotic-daisuki.jp/