働き方に特徴があったり、独自のカルチャーを持っている企業にインタビューしていくこの企画。今回は、新潟発のIT企業としてまさに「印象的」な活躍をされており、全社的に子育てサポートの取り組みを進めている株式会社インプレッシヴにお話を伺いました。
株式会社インプレッシヴとは
株式会社インプレッシヴは、ソフトウェアの開発やWebサイトの構築を中心に、クライアントのデジタル面のニーズに応えている企業です。要件定義からシステムの導入・保守まで一気通貫でおこなうのが特徴で、GIS(地理情報システム)関連など多くの実績を誇っています。
会社名 | 株式会社インプレッシヴ |
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住所 | 新潟県新潟市中央区米山4丁目1番31号 紫竹総合ビル5F |
事業内容 | ・システム開発業務 ・WEBサイト構築業務 ・SI業務 ・コンサルタント業務 |
設立 | 2006年8月25日 |
公式ページ | https://www.impressive.jp/ |
今回は、株式会社インプレッシヴの社員の働き方や、国が子育てサポート企業に認定する「くるみん」に関連する取り組みなどについて、代表取締役社長の佐藤さんにお話を聞かせていただきました。
■「くるみん」の概要についてはこちら!(厚生労働省ウェブサイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html
新潟を拠点に多くの地理情報・業務系システムを開発
▲インプレッシヴさんの業務内容(公式サイトから引用)
編集部
まず初めに、事業内容についてご説明いただいてもよろしいでしょうか?
佐藤さん
弊社インプレッシヴは、いわゆる受託システム開発をしている企業です。特にGIS(地理情報システム)に関連したシステム開発は10年以上携わっていて実績がありますので、そこが特徴になるのかなと思っています。
GISと一言で申し上げてもわかりづらいと思いますが、イメージとしては国土交通省が出しているハザードマップや、大きい意味ではGoogleマップも含まれます。たとえば台風など災害時の避難場所を探すときに役立ったりしていて、地域の防災や人々の生活を支援するためのシステム開発を多く手掛けています。
また、製造の現場で使われる操作盤や監視モニター、新潟市近郊の企業様を中心としたWebサイト制作、その他通信・制御系のシステムなど、多くのデジタル領域でお客様に喜んでいただけるような事業を実施しています。
編集部
インプレッシヴさんは、新潟を拠点とされているということでよいのでしょうか。
佐藤さん
そうですね。本社は新潟県新潟市で、新潟駅南口に近い場所にオフィスがあります。また、同じく新潟の長岡市、また東京にも営業所があります。地方発の企業ではありますが、常に先端技術を取り入れながら新しい分野にも展開していきたいですね。
8割がリモートワークを実施。リアルで交流する取り組みも
編集部
次に、インプレッシヴさんの働き方について伺えればと思います。現在の勤務体系はどのように設定されていますか?
佐藤さん
弊社は社員が50名強いるのですが、そのうち40名近く、おおよそ8割がテレワークを実施しています。出社の設定はチームに任せていて、「週に1回は出社して直接話して摺り合わせをしよう」と決めているケースもあります。
編集部
リモートの環境で働かれている方が多いと、コミュニケーション面で課題を抱える企業様も多いと思います。御社ではどのような工夫をされているのでしょうか?
佐藤さん
当然ながら、進行中のプロジェクトはチームでコミュニケーションを取りながら進める必要があります。そのため、Teamsによるテキストコミュニケーションやオンライン会議などは積極的におこなっていますね。
また、先ほどチームによっては定期的に出社日を決めているとお話ししましたが、リアルで話すことでちょっとした気付きを得られるケースも多いです。なので、特にルールを設定しているわけではありませんが、出社時は社員同士で自然と会話をしているようです。
ここ数年はリアルのコミュニケーションが減っていると感じた社員もいまして、月1回程度「カフェ部」というのを自主的に開いています。これはコーヒーが好きな社員が自ら焙煎して、豆を挽いて、美味しいコーヒーを振る舞うという集まりで、コーヒー豆は会社の経費で出しています(笑)。
編集部
社員の方が自主的に「こういう会を開いて集まりたいです」と提案して、それを会社として受け入れる文化ができているんですね。コミュニケーションも活性化されますし、すごく素敵ですね。
「くるみん」2期連続認定。産休育休からの復帰率も100%
編集部
続いて、インプレッシヴさんの子育て支援についてお話を伺えればと思います。子育て支援に積極的に取り組む企業に対して厚生労働省が認定する「くるみん」を取得されていますが、そのあたりについてお教えいただけますか?
佐藤さん
それでは、そもそもの経緯からお話しします。私は2021年8月に代表取締役になったのですが、創業者の渡辺(現会長の渡辺浩栄さん)が、くるみんの取得を目指しました。
渡辺に話を聞いたところ、以前から女性社員を見ていて育児と仕事の両立は大変だと感じていたことと、実際に渡辺の娘さんも同じように苦労していたということで、「女性に優しい職場にしたい」と考えていたそうです。
その中でいろいろな取り組みを進め、まずは2016年2月に新潟県が認定するハッピー・パートナー企業(新潟県男女共同参画推進企業)となりました。これもくるみんと同様、男女ともに仕事と家庭生活を両立できる企業に与えられるものです。その活動を継続して2019年にくるみんを取得、2021年には2回目の認定も受けています。
編集部
御社は男女比でいうと男性7割・女性3割と伺っていますし、IT企業ということでハードワークする文化もおそらくあったのではないかと思います。その中で子育てをサポートされるということに、社員の皆さんの理解は得られたのでしょうか。
佐藤さん
おっしゃるとおり、最初は前例がないということで、そこまで浸透していく雰囲気ではなかったと聞いています。もちろん反対するような人はいませんが、なかなか「男性もどんどん育児休業を取得しよう」ということにはなりませんでした。
あるとき、そのような状況で初めて男性が3ヶ月育休を取りました。それがきっかけでどんどん流れができてきて、今では男性の育休取得も当たり前になっているほか、産休・育休後の復帰率も100%です。
「休業中に仕事が溜まったらどうしよう」という声もあったのですが、みんなのサポートのおかげでスムーズに休み、復帰することができています。また、現在の管理職に子育てをしている者が多いので、苦労もわかりますし、その下の社員も言い出しやすい雰囲気ができています。
編集部
育児に理解のある職場環境ができているんですね。100%の復帰率ということは、産休・育休後に当たり前に戻ってくるという前提があるでしょうし、育児の体験談なども社内に気軽に話し合うことができそうです。
時間単位の有休や特別休暇の導入で社員をサポート
編集部
インプレッシヴさんの子育てサポートについてどのように取り組んでいったのか、また具体的な改善内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
佐藤さん
基本的には社員にアンケートを取るなどして意見を吸い上げて、そこで出てきた問題点について改善していくというやり方ですね。もちろん誰しもが完全に納得する制度というのはないと思いますが、随時社内で情報共有をしながら進めていきました。
具体的には、働き方や福利厚生の面でいろいろと変えていきました。たとえばテレワークを取り入れたこともそうですし、有給休暇を時間単位で取れるようにしたのも改善の結果です。以前は「子どもが熱を出して1時間だけ通院で抜けたい」というときも半日単位で有休を消化していたので、使いやすくなったという喜びの声も届いています。
あとは、子育てで使える特別休暇も設定しました。幼稚園や小学校などの行事は平日におこなわれるケースがあるので、そういったタイミングで使えるよう、有休に追加して休めるようにしました。やっぱり育児中の有休は病気など突発的な事態で消化することも多いので、現在の制度に変えてよかったと思っています。
編集部
時間単位の有休は、「1時間〜2時間だけ抜けられる制度があれば」と願っていたママ・パパにとってはすごくありがたい制度だったのではないかと想像します。会社が率先して働き方を良くしていってくれるので、社員の皆さんのロイヤリティも自然と上がっていったのではないでしょうか。
効率よく働き結果も出すための制度設定
編集部
くるみんの認定基準には、労働時間の上限なども含まれていると思います。御社の労働環境についてお聞かせいただけますか。
佐藤さん
具体的な数字でいいますと、弊社は残業時間が平均7.5時間で有給取得率は7割以上、また離職率も5%を切っています。そのなかで業績としては10期連続増収を果たしていますので、効率よく働いてもらっていると感じていますね。
社員には子育て世代も多いので、できるだけ残業せずに早く帰ってもらって家族との時間を作ってほしいという思いもあります。
編集部
どうやってその効率的に働ける環境を実現しているのでしょうか。
佐藤さん
何かすごい方法があるというわけではないのですが、「自分が一番働きやすい、生産性が高い方法をやってください」と、会社が選択肢を用意していることは要因のひとつかもしれませんね。それは先ほどお話ししたリモートワークもそうですし、時短勤務もそうですし。
あとは管理職、マネジメント層が頑張ってうまくチームをまとめていることは大きいと思います。ひとつのチームが多くても5〜6名程度ですが、そのチームリーダーが自由な環境と達成すべき目標をうまくコントロールしながら、遅れ気味なメンバーにもしっかりフォローしてくれています。
子どもと過ごす時間を増やすには「PTA活動がおすすめ」
編集部
具体的なビジネスの話題とは異なる質問なのですが、佐藤さんがこれまで仕事と子育てを並行してやってこられたなかで、感じていることはありますか?
佐藤さん
そうですね…。いま父親として働いている人にお伝えしたいし、社員にも常々伝えているのが「PTA役員をやってみたら?」ということです。
私はこのIT業界で働いて28年くらいになりますが、少し前まではやっぱりハードな環境でした。ときには徹夜で働いたりもして。2人の子どもの幼稚園や小学校の行事にも出た記憶があまりないので、正直なところ後悔の念があります。
そのような想いがある中で、子どもの高校生の入学式で「高校は子どもの教育に関わることができる最後の3年間なんです」と熱く語るPTA会長の言葉を聞いて「自分もやってみよう!!」と思い、入学式当日、担任の先生に「PTA役員をやります」と立候補しました。
もちろん子どもと関わる機会や共通の話題も増えましたし、先生や保護者、他の学校のPTAの方などと交流もできて、仕事以外でもこんなにも人との繋がりができるんだと感じました。とても貴重な経験ですね。
編集部
会社で忙しく働きながら、PTA役員として活動されているのはすごいですね。
佐藤さん
ありがとうございます。実は、3歳違いの息子と娘が同じ高校に入れ替わりで入学した関係で、計6年間PTA役員を務めることになり、副会長や「○○委員長」など、色々なお役目を頂きました(笑)。
私が積極的に学校のイベントに参加しているので、社員も良い影響を受けてくれていると思います。「明日は子どもの運動会なので休みます」と普通に言ってくれますし。仕事を少し休んだところで会社がつぶれるわけでもないので、子どもの行事などにはリアルに参加して記憶に残してほしいですね。一生に一回ですから。
編集部
すごく心に刺さるお話をいただけてありがたいです。代表である佐藤さん自らがそのスタンスで仕事をされているので、社員の皆様もメリハリをつけながら仕事も家族も大事にできているのではないかと感じました!
佐藤さんからのメッセージ
編集部
御社に入社した方のコメントを拝見すると、「社員の人柄に惹かれた」という声がすごく多かったです。
佐藤さん
ありがたいですね。なんとなく居やすい、落ち着くという話も聞きますし、最近言われる「心理的安全性」が高い職場なのかなと思います。お互いに助けあって、認めあいながら仕事を進めることはみんなが意識していることなので。
編集部
最後に、インプレッシヴさんに興味を持っていただいた方にぜひメッセージをお願いいたします。
佐藤さん
弊社はIT業界に身を置いていますが、それがどんな仕事であれ、一番大切なのは「人」だと考えています。
私たちの人生のおよそ3分の1はどうしても仕事に関わる時間なので、そこを充実させることが大切ですよね。そのためには、「あの人と一緒に働きたい」「あの人だったら信頼できる」「あの人に仕事を任せたい」と言われるようになることです。これは仕事に限った話ではなく、家族に対しても、そして地域のコミュニティなどでも同様です。
我々インプレッシヴは、社員がそういった幸せな人生を送ることができるよう、働き方の改善も含めて全力で取り組んでいます。出社する機会もありますので新潟市近郊の方が中心にはなるのですが、もし興味を持っていただけたなら、ぜひご連絡いただければと思います。
編集部
幸せな人生を送るためには、周りから頼られ信頼されるような「人」になることが大事ということですね。佐藤さんのお話をお聞きして、インプレッシヴさんでは個人を尊重する働き方を実現できているのだと改めて思いました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社インプレッシヴ:https://www.impressive.jp/
採用ページ:https://www.impressive.jp/recruit/