Z世代から注目の「FICC」で若手活躍の連鎖が生まれる理由とは

先進的な働き方や社内カルチャーで注目を浴びている企業の魅力や社内制度についてお届けする本企画。今回は、ブランドひとつひとつが持つ社会的意義を起点とした新たな市場創造を目指しトータルソリューションを提供する「株式会社エフアイシーシー(以下、FICC)」にお話を伺いました。

FICCとは

FICCは、「あらゆるブランドと人がパーパスによって未来を創り続けている世界の実現」というビジョンを掲げ、人の想いの共創を通じて、ブランドのビジネスを成功へ導くブランドマーケティングエージェンシーです。ブランドのパーパスによる新たな市場を創造する「ブランドマーケティング」の考えと、関わるすべての人たちの想いの共創により、ブランドの持続的な成長を支援しています。

会社名 株式会社エフアイシーシー(FICC)/ FICC inc.
住所 東京都港区赤坂3-17-1 いちご赤坂317ビル 3F
事業内容 ・ブランド戦略、ブランディング支援
・採用ブランディング、インナーブランディング支援
・新規事業・イノベーション支援
・マーケティング支援
・PR・プロモーション企画・実行
・クリエイティブソリューション
・イベント企画・運営
・地域創生、地域活性化支援
・教育機関活性化支援
設立 2004年2月3日
公式ページ https://www.ficc.jp/
働き方 フルフレックス
ハイブリッド勤務(週2日は出社)

ブランドのパーパスを軸としたマーケティングにより、ブランドに新たな市場価値を提案し続けるFICC。今回はそんな同社にて、若手社員のパフォーマンスとQOLの両方を高水準で維持している制度設計や社内カルチャー、同社が求める人材像について、コーポレートチームマネージャーの加田木さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
FICCのコーポレートチームマネージャーである加田木智也さん

FICC
コーポレートチーム
マネージャー

加田木 智也さん

ブランドの社会的意義に基づいて、新たな市場を創造する

FICCの掲げるビジョン
▲FICCさんの掲げるビジョン

編集部

最初に、FICCさんの事業内容について教えてください。

加田木さん

弊社の事業を一言で表すと「ブランドマーケティングエージェンシー」という形になります。元々Webデザイン会社としてスタートし、そこから徐々にマーケティングやブランディングといった領域まで事業内容を広げてきました。

事業領域を広げていった理由は、創業以来「クライアントに対する本当の価値提供とは何か」ということを考え続けた結果、制作という枠の中だけでは、本当の価値を提供しきれていないと感じたためです。

ブランディングとマーケティングは分けて考えられることが多い一方で、私たちは、ブランディングは「意味を創造すること」、マーケティングは「市場を創造すること」としており、その2つを分けずに捉えることが重要だと考えています。

クライアントの課題やニーズに対して、ブランドの独自の意味に基づいた、マーケティング戦略やプロモーション、クリエイティブを実現していくのが、FICCなんです。

編集部

「ブランディングとマーケティングは分けない方がいい」という考えに至った理由や背景をお聞かせいただけますか。

加田木さん

エージェンシーという第三者的立場から考えた時、両者を「分けない」ことで新しい市場を生み出すことが必要だと感じたためです。

ブランディングとマーケティングが切り離されることで、既存市場内での価格競争に走ってしまうというケースは、珍しいものではありません。

そういった既存のパイをどんどん刈り取るだけの消耗戦は、クライアントにとっても、生活者にとっても、持続的であるとは言えません。

そこで私たちは、エージェンシーという立場から、そのブランドだからこその社会的意義に基づいて新しい価値を生み出し、新たな市場を創造することが大事だと考え、「ブランドマーケティング」という形に至ったのです。

編集部

単にクライアントからの依頼にのみ応えるのではなく、その向こうにある本質的なニーズに応えていった結果が「ブランドマーケティング」という形だったのですね。

Z世代からの支持を集める「持続可能性のある」FICCのビジョン

編集部

FICCさんでは「あらゆるブランドと人がパーパスによって未来を作り続けている世界を実現」というビジョンを掲げていらっしゃいます。このビジョンの意味するところや目指すところについて教えてください。

加田木さん

まずこのビジョンの根底には、ブランドというものはその誕生から現在までに関わった全ての人たちの「想いの集合体」であるという考えがあり、FICCはこのようなブランドに関わる「人」の存在をとても大切にしているということがあります。

例えば、何百年も続くブランドであれば、多くの人が携わってきて、今日のブランドを作り上げています。このようなブランドを支えている人々が考えていること、大事にしていることや存在意義こそが、ブランドにとってとても大切な要素であると考えています。

そういった要素こそが、ブランドが社会とつながり、社会に対しての価値を生み出していく源泉となる。それこそが、FICCが目指す世界です。

編集部

ありがとうございます。FICCさんは、「Z世代の注目企業2022」にも選出されたり、代表の森様が東京大学のイベントで講演をされたりと、若い世代を中心に注目を集めていますよね。

その理由としてはやはり、ビジョンへの共感という部分が大きいとお考えですか?

加田木さん

「Z世代の注目企業2022」に選ばれたことには、正直とても驚きました。一般的にZ世代と呼ばれている方々に限らず、多くの方が興味関心を抱いている、ビジネスの社会的な価値や正当性、倫理性、持続可能性といったところと、FICCのビジョンがうまくマッチしたのかなと思います。

私たちは、本来ブランドというものは、社会の中で困っている人や課題となっていることに対して、「原因となっている課題を解決したい」「もっと社会を良くしたい」といった想いを起点に生まれているものだと思っています。

そのような視点から、ブランドの持つ社会的価値と経済的価値を両立してビジネスとして成り立たせていくという姿勢に対しても、興味を持ってもらえたのではないでしょうか。

平均年齢35歳。全ての社員が活躍できるカルチャー

FICCの全社定例会の様子
▲自由度が高くフランクな雰囲気の中でも、各々がブランドの新しい価値創造に全力で取り組んでいる

編集部

FICCさんでは20〜30代の社員さんがメインですが、若手が活躍しやすい雰囲気が社内にあるのでしょうか?

加田木さん

そうですね。まず平均年齢が35歳というところで、全体的に若い会社ですし、社員数も60名程度ですので、比較的早い段階でプロジェクトを任せられることが多いと思います。

ただ、「何歳だから」みたいな視点というのは全く持っていなくて、年齢などの属性に関係なく、全ての社員が活躍できるような会社を目指して組織と文化づくりを行っているというのが、正直なところです。

編集部

例えば、入社後数年というタイミングでプロジェクトリーダーに抜擢されることもあるんでしょうか?

加田木さん

ありますね。あるクライアントのプロジェクトリーダーは、入社して3年目の社員が担当していました。

FICCでは、1つのプロジェクトチームが大体3〜4名で作られることが多いので、その中で個々人がしっかりと責任を持ってプロジェクトを推進していく役割が与えられます。

経験を積んで、できることを増やしていきながら、「次はこれもやってみようか」という感じで徐々に視野を広げていく。そしてブランド全体を担当するという具合に、どんどん成長していくことができるんです。

1人のメンバーの「コスメ愛と違和感」から生まれたイノベーションの種

FICCと株式会社モーンガータの共創プロジェクト
▲FICCさんと株式会社モーンガータさんの共創プロジェクト『COLOR Again』

編集部

加田木さんが印象に残っている若手社員さんのエピソードがあれば、教えてください。

加田木さん

新卒で入社した社員が、自分の「好き」と「違和感」をきっかけにプロジェクトが始まり、大きく成長したというケースがあります。

これは「COLOR Again」という共創プロジェクトなんですが、入社して4年目に始まったもので、2023年で3期目に入る取り組みなんですよ。

編集部

その社員の方の想いからプロジェクトが始まった経緯について、ぜひお聞かせいただきたいです。

加田木さん

元々化粧品業界のクライアントを担当し、コスメブランドが持つ世界観が好きだった彼女は、毎シーズン新製品を楽しみにして消費者として購入する一方で、使いきれずに捨ててしまうコスメがたくさんあることや、「自己表現の手段である化粧が自分らしさを抑制する面もあるのではないか?」というジレンマに向き合っていました。

「どうにかできないかな。アートに変えて社会的なメッセージとして表現できたら素敵だろうな」という想いを抱えながら半年経ったころ、SNSを通じて、後にプロジェクトのパートナーとなるモーンガータさんの存在を知ったんです。

モーンガータさんは、元々廃棄されてしまうコスメを色材(※)にアップサイクルする取り組みを通じて、人々へ新たな楽しみを提供されていたんですが、FICCとの共創プロジェクトであるCOLOR Againを一緒に始めることで「多様性を享受し合い、より自然な自己表現を大切にする」という新たな社会的価値が生まれました。
(※)色材:色をつけるための原料で、カラーリング材や着色剤、色素などとも呼ばれる。

COLOR Againでは感性を切り口としたワークショップを行っていて、様々な体験を通じて自身の感性で感じたことを表現し、他の方と対話をすることで自分なりの美を再発見する取り組みを行っています。

自身の感性を意識する時間を持つことで、個々人の色を取り戻し、そこから社会との繋がりや個性を尊重し合える社会を目指しているこのプロジェクトは、FICCが目指しているVISIONを体現している取り組みだと思います。

編集部

「コスメが好き」という想いと行動力でここまで大きなことが成し遂げられるなんて、すごいですね。

加田木さん

おっしゃる通りなんです。会社としてはクライアントワークももちろん大事なのですが、こういった社員一人ひとりの「やりたいこと」「実現したいこと」から新しい価値を生み出していく取り組みを、FICCの環境を活用して叶えていってほしいと思っています。

編集部

自分のフィルターを通して社会を見て、課題の解決を自分ごと化するというFICCさんの考えが、若手社員が自発的に成長していくモチベーションになっていると感じられるエピソードですね。

■プロジェクト「COLOR Again」の概要はこちらから!
https://workmill.jp/jp/webzine/coloragain-cosmetics-creaticity-20230118/

次のステップへと導く「現在」と「未来」2つの視点

FICC社内の1on1の様子
▲FICCさんでは社員本人のビジョンから長期的な目標や目指す姿をどのような形で実現していくかを、アドバイザーと一緒に考えていく

編集部

ここまで、FICCさんで活躍されている若手の方のお話を伺ってきました。責任ある仕事や役割を任せるかどうか、どのくらいのレベル感の仕事を任せてみるかといったことを判断するうえで、何か目安となるものを設けられているのでしょうか?

加田木さん

目安としては2つ設けていて、1つが本人の職務等級です。そしてもう1つが本人の設定している長期的なビジョンや目標となります。

職務等級については、「アシスタント」「アソシエイト」「シニア」という区分に分かれていて、さらに「アシスタント」の中でもABCとランクが設定されています。

年2回の評価タイミングで、「アシスタント」から「アソシエイト」へという具合に等級が上がったら、その時に次に任せる仕事を決めていくというのが1つの目安となっています。

編集部

もうひとつの目安は、どのようなものでしょうか。

加田木さん

現在地点を評価するのと同時に、長期的な視点も今どのような仕事を任せるかを決める重要な目安となっています。

FICCでは、年度の初めに本人の成長目標を設定しているのですが、その年度の目標だけではなく、長期的な個人の目標やビジョンまで描いてもらいます。

この個人の目標である「自分が何を目指していきたいか」という点と、先ほどの職務等級の2つの視点から、次のステップを設定し、その経験を積むことができるプロジェクトにアサインしています。

ワンチームで作るオーダーメイド育成プログラム

FICC社内での対話の様子
▲FICCさんでは、一人ひとりの個性を大切にしているからこそ、メンバー同士のコミュニケーションを積極的に行っている。採用面接から入社後に活躍するまで、たくさんのメンバーが伴走しながら成長をサポートしている

編集部

社員が成長しやすい環境という部分では、何か育成制度やサポート制度を設けられていますか?

加田木さん

まずオンボーディングのところで工夫して進めている部分なのですが、入社後3ヶ月間のトレーニング期間には、FICCのメンバー同士が協働できるように全員同じ共通知識を学んでいきます。

これは、入社する人のポジションや経歴にかかわらず、全員がブランドマーケティングというものに対して同じ土台を持った状態で仕事を進めていくためです。

トレーニングプログラムは、社内で使用しているフレームワークの考え方・使い方、マーケティングの基礎プログラムなど、本当に色々なプログラムが用意されていて、基本的には現場の社員が教えるようなプログラムになっています。

入社から1ヶ月前後でOJTと座学が同時進行となっていくので、プログラムで学んだフレームワークや共通言語がどのように実際の現場で使われているかを一緒に体験しながら身につけていくことができる点も、会社に対する理解を深めるうえで役立っています。

編集部

他にも意識的に取り組まれていることはございますか?

加田木さん

採用の流れの中で、一番最初にお会いする時からその方が実際に入社して活躍されるまでの間は、なるべく一貫した体験ができるように気をつけています。

例えば入社が決定した際には、様々な手続きでコンタクトを取る労務担当者や総務担当者とも、面接時の印象や今後のキャリアプランなどの情報を共有します。

入社してくる人がどういう人かを共有して、準備内容や注意事項、コミュニケーションの取り方など、どうやってオンボーディングを成功させるかというプログラムを、みんなで協力してオーダーメイドで組み立てていくんです。

編集部

入社する人に合わせたオーダーメイド型プログラムというのはすごいですね。具体的にはどのようなことをされるのですか?

加田木さん

必ず行うのは、入社される方に対してFICCが期待する役割や働きといった部分を、きっちりと言語化することです。

役員と事業部長によって言語化された、その人だけのメッセージをもとに、オファーレターの内容や入社後のトレーニングプログラムの内容をゼロから組み立てていっています。また、業務に関するハードな部分だけでなく、チームビルディングや他事業部・チームとのコミュニケーションの促進などのソフトな部分にも配慮をしています。

これは、入社される方全員に行っていることですので、時には完全マンツーマントレーニングのようになる場合もありますが、その人だけのオリジナルプログラムでオンボーディングやその後の活躍までの時間を最短にするという部分には、とても力を入れて取り組んでいます。

編集部

FICCさんのメンバーとなる方1人1人に「活躍してもらいたい」「成長してもらいたい」という想いの強さを感じますね。

お互いのライフイベントを尊重し合う仕事の進め方

FICCの京都チームのワーケーションの様子
▲FICCさんでは、地域の人との出会いや対話から新たな可能性を見出していくワーケーションにも取り組んでいる

編集部

FICCさんでは、みなさんどのような働き方をされているのですか?

加田木さん

働き方はフルフレックスのハイブリッド勤務です。弊社事業はクライアントワークがメインなので、対外的な営業時間としては10時〜19時と設定していますが、周囲に迷惑を掛けないことを大前提に、働く時間は自己責任のもとで柔軟に調整できる文化があります。

出社頻度は「週2回出社」というルールを設けてはいますが、基本的には個人の裁量の中で働くという仕組みにしているので、自分で働く場所や時間は選べるようになっています。

編集部

産休・育休の取得状況はいかがでしょうか?

加田木さん

お子さんがいる社員はけっこう多くて、徐々に増えてきているなと感じています。

約3年前ぐらいに男性社員が1人取得したのを皮切りに、その後も1年間取得する社員や、私自身も2022年に子供が生まれて半年間育休を取っていました。女性社員だけでなく、男性社員の長期的な育休取得も増えてきています。

とはいえ、まだ平均年齢も若いので、これからそういったライフステージに入ってくる社員も多く、男女関係なく取得しやすい環境になってきていると思います。

編集部

ありがとうございます。加田木さんご自身も育休を取得されたとのことですが、その時に会社に対して感じたことやエピソードがあればお聞かせください。

加田木さん

働き方としては、復帰後も育休前と変わりなく働けているなという感覚です。ただし、復帰後は営業時間よりも少し早めに働き始めています。

これは子どもに合わせた生活になったためで、以前は10〜19時で働いていましたが、子供がいると早寝早起き生活になりますし、日中の接する時間が減ってしまった分、夜は一緒にお風呂に入ったり、子どもが寝る前にスキンシップをする時間を確保したかったため、現在(2023年5月取材時点)では8〜18時の間で調整をしながら働いています。

私だけでなく、他のメンバーも自分の状況をチーム内でいつも共有しているので、お互いの状況を理解し、その中で各自がサポートし合いながら働き方を調整しているという感じですね。

「脱・属人化」体制で、メンバー誰しもが働き続けられる環境を実現

FICCの社員
▲FICCさんの社内では、互いのライフイベントや事情を共有し合うことで、互いにサポートし合う体制が自然に構築されている

編集部

FICCさんでは育休前後であまり変わらずに働けているというお話がありましたが、取得前と復帰後のギャップに戸惑うという声は世間では珍しくありません。そのようなギャップが生まれず、スムーズに復帰することができたことには、どのような背景があるのでしょうか?

加田木さん

普段から属人化しないような仕事の進め方をしていて、何事もチームで進めていくという文化が根付いていたおかげかなと思います。

お互いのやっている仕事だったり、進捗だったりを常に他のメンバーが見える状態にしているので、僕が抜けても、そしてしばらくして戻ってきても、チームはその都度柔軟にお互いがカバーしサポートし合うことができるようになっています。

育休中はいっさいメールやSlackを見ることもなかったんですが、そういった体制のおかげで、僕も戻ってきた時にはすぐにキャッチアップができて、みんなが今何をしていて、自分が何をするべきなのかということはすぐにつかむことができました。

編集部

半年間、完全に育児に集中した後に復帰1週間でキャッチアップできる職場というのはなかなかないと思うのですが、属人化をなくすために工夫されていることはありますか?

加田木さん

誰でも情報にアクセスできて、情報の動きを追うことができるところかなと思います。

FICCではテキストコミュニケーションを大事にしていて、業務に関するやり取りは、オフィスで口頭で話した内容もSlackで共有する文化が根付いています。なので、リモートで働いているメンバーもSlackを見ればどこで何が起きているのかをすぐにキャッチアップすることができます。

加えて、社内の共有ストレージにはGoogleドライブをメインに使用していますが、こちらも基本的に全ての社員がほぼ全ての情報にアクセスすることが可能です。

ですので会議の議事録やその会議に紐づく資料などをどんどん読み返していけば、「あぁこういう状況になっているんだな」とすぐに理解が追いつきます。

このようなキャッチアップのしやすい環境という部分も、短期・長期の休暇を気兼ねなく取れる風土を育む重要な要素なのだと思います。

編集部

実際に育休を取得した方からの「取りやすかった・戻りやすかった」というお話を伺って、本当に取得しやすい雰囲気が社内に浸透しているんだなと感じました。

人の想い、人の可能性を信じるリベラルアーツ経営

FICC代表取締役の森啓子さん
▲FICCさんの代表取締役である森氏は、「リベラルアーツ」をFICCの経営軸に置く

編集部

FICCさんの代表である森様(代表取締役の森啓子さん)が、アメリカで学ばれたリベラルアーツを経営に取り入れているという記事を拝読しました。その方針がよく伝わるような取り組みや制度を教えてください。

加田木さん

社内の本当に色々なところにリベラルアーツの考えが散りばめられているんですが、最も特徴的な取り組みというと、毎月1回開催している「クロスシンク(CROSS- THINK)」という形のワークショップですね。

このワークショップは、固定観念や既成概念から自由になって、自分自身の「興味」や「想い」といった個人的なフィルターを通して、様々な角度から社会を自由に思考してみる。そしてそこから社会に対する問いを生み出していき、イノベーションにつながる価値を創造する取り組みとして企画しました。

このような「問い」を立てる力を養うことこそ、新しい価値創造に不可欠であるという考え方に、FICCが軸とする「リベラルアーツ」の考えが反映されています。

社員1人1人の「ときめき」がイノベーションの源泉

FICCのワークショップ「クロスシンク」の様子
▲FICCさんのワークショップ「クロスシンク」では、様々な意見が活発に交わされる

編集部

「クロスシンク」のワークショップではどのようなことを行うのですか?

加田木さん

「クロスシンク」ワークショップでは毎回与えられたテーマに対して、自分たちの「SPARK JOY(スパークジョイ)」をチームで掘り下げていくことを行います。ちなみに「スパークジョイ」ってご存知ですか?

編集部

こんまりさん(※)の「SPARK JOY」を思い浮かべました。
(※)こんまり:世界的大ベストセラー「人生がときめく片付けの魔法」の著者である近藤麻理恵さんの愛称。同氏のキーワードである「ときめき」の英訳「SPARK JOY」は、当時欧米を中心にバズワードとなった

加田木さん

その通りです。FICCでは、「スパークジョイ」つまりは「心のときめき」を仕事をするうえでも大事にしていこうという想いを持っています。

ワークショップでは、テーマに対してそれぞれが「スパークジョイ」を軸に自由に思考しながら、1つのテーマに対して複数の異なる視点・考え方をチーム内でクロスさせていきます。

自分とは異なる視点を持っている人と向き合い、その人が何を大事にしていて、何に対してどのような課題意識を抱いているのかという部分を互いにクロスさせていくことで、イノベーションにつながる新しい気づきや価値が創造されるのです。

そこで生まれた気づきやイノベーションの種を社内に蓄積し、実際の提案時にも活用して、価値に変えていく。そういった循環を「クロスシンク」のワークショップを軸に実施しています。

編集部

自分のときめきフィルターから社会を見るという試みはとても興味深いですね。実際のワークショップで与えられるテーマとは、どのようなものなのですか?

加田木さん

このワークショップ自体がテーマに対して答えを出すことが目的ではなく、その問い自体にみんなで向かい合い、それぞれの視点から意見を交わすことで、新しい気づきを得ることが目的です。なので、与えられるテーマは「答えのないもの」ばかりです。

例えば「(SDGsで掲げられている)つくる責任の範囲はどこまでなのか」という問いが出されたとしても、スタート地点から「ファッション業界なら」や「食品業界なら」など、本当にそれぞれの興味を軸とした視点で意見を出していくんです。

けれど異なる視点の意見を交わすことで、共通点や法則を見つけられるようになり、最終的にはまったく新しい考え方に行き着くことができたり、自分たちでも想像していなかったような新しい価値を創造することができます。

編集部

答えのない問答を繰り返すことで、ものごとの本質を深掘りしていく。FICCさん独自のワークショップを重ねていくことで、表層的ではないブランドマーケティングが実現するんですね。

「世の中を良くしたい」という想いのために学び続けられる人を募集中

FICCのコーポレートチームマネージャーである加田木智也さん
▲インタビューに応えてくださった加田木さんも、FICCのビジョンに惹かれて異業種から転職した中途採用組

編集部

FICCさんで働かれている方は、どのような方が多いのですか?前職などの特徴があれば教えてください。

加田木さん

FICCメンバーの特徴としては、本当に「多種多様」の一言に尽きます。ここ数年の採用活動は、基本的に新卒ではなく中途採用のみに絞ってきましたが、これまでの経歴や職歴で区切るということはしていません。

最低限の経験として、「マーケティングに関わったことがある」や「クライアントとの交渉・折衷の経験がある」といったところは求めていますが、中には完全なる未経験で入社したメンバーもいます。僕自身も前職はマーケティングというよりは営業に近い仕事だったので、採用の枠としてはかなり幅広いと思います。

またFICCは、本当に人を大事にしている会社なので、社内はとてもフランクで温かい雰囲気です。

もちろん、マーケティングのナレッジやフレームワークなどを使用して、しっかりとロジックでクライアントに価値を提供することを大切にしていますが、常にチームワークを大前提にみんなで進んでいこうという精神が根付いています。

編集部

ありがとうございます。それでは最後に、本記事を見てFICCさんで働くことに興味を持たれた方に対してメッセージをお願いします。

加田木さん

社会に対して何かモヤモヤした想いや「どうにかしたい」という気持ちがあっても、1人では何もできないと感じたり、どこから手を付けていいのか分からないことの方が多いと思います。

けれど、「こうなったら世の中はもっと良くなる!」という大きな気持ちに対して、お互いに学び、助け合いながら取り組んでいくという文化がFICCにはあります。

クライアントに対する価値提供はもちろん大切ですが、私たちFICCが目指しているのは、社員一人ひとりの興味や学びを価値に変え、社会に貢献することです。

もしも自分の中の「スパークジョイ」に気付いたら、ぜひ一度お話を聞かせてください。TwitterのDMでもなんでも、気軽に連絡していただければと思います。

編集部

FICCさんは、社員の皆さんのことをとても大切にしている会社であることが、インタビューの随所から感じることができました。

本日は、たくさんの貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました!

■取材協力
株式会社エフアイシーシー(FICC):https://www.ficc.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/ficc