TOBから1年で黒字に。エキサイトホールディングスの変革と若手の躍動

企業の急成長の背景や、若手社員活躍の秘訣に迫るこの企画。今回は1997年創業の老舗IT企業で、2023年4月19日に東証スタンダードに上場したエキサイトホールディングス株式会社にインタビューを行いました。

エキサイトホールディングス株式会社とは

エキサイトホールディングスの会社ロゴ

エキサイトホールディングス株式会社の前身であるエキサイト株式会社は、アメリカのExcite Inc.の日本法人として1997年に設立されました。設立以来、インターネット広告や「エキサイト翻訳」などのサービス、女性をターゲットとしたポータルサイトの構築により順調に業績を拡大し、2004年に東証JASDAQに上場しました。

しかしその後徐々に苦戦するようになり、一時期は4期連続赤字になるなど売上が低迷してしまいます。

そんなエキサイト株式会社の転換点となったのは2018年。現代表取締役社長CEOの西條晋一氏率いるXTech HP社がTOB(※)を実施したことをきっかけに、組織改革や評価制度の見直しといった内部体質の改善、既存事業の改善や新規事業の立ち上げなど、さまざまな改革が進められた結果、業績はV字回復し黒字に転換します。
※TOB…Take-Over Bid(株式公開買付)の略。公開買付者が不特定多数に対し買付け期間や価格等を公告し、売主の株式を証券取引所を通さずに大量に買い付けること

2020年には純粋持ち株会社に移行し、「XTech HP」から「エキサイトホールディングス」への商号変更を行いました。そして2023年に東証スタンダードへの上場を果たしています。

会社名 エキサイトホールディングス株式会社
住所 東京都港区南麻布3丁目20-1 Daiwa麻布テラス4F
事業内容 ・プラットフォーム事業

・ブロードバンド事業

・SaaS・DX事業
設立 2018年7月(エキサイト株式会社:1997年8月)
公式ページ https://www.excite-holdings.co.jp/
働き方 ・リモートと出社のハイブリッド(原則月に8日出社)
・フレックスタイム(コアタイム:10時~15時)
・出産育児休業制度(産前産後・育児休業取得者復帰率100%)

今回は、業績の黒字化と大きな成長につながったエキサイトホールディングスの変革について、そしてエキサイトホールディングスの未来を担う若手社員の成長の秘訣などについてお話を伺いました。

本日お話を伺った方
エキサイトホールディングス株式会社経営管理室人事総務グループマネージャー橋本和馬さん

エキサイトホールディングス株式会社
経営管理室 人事総務グループマネージャー

橋本 和馬さん

BtoBのSaaS・DXにも注力!多角的なIT事業を展開

エキサイトホールディングスの事業概要
▲エキサイトホールディングスが取り組む事業の概要

編集部

エキサイトホールディングスは1997年から国内でさまざまなIT事業を提供されていますよね。私個人としても「エキサイト翻訳」にはかなりお世話になりました。エキサイト翻訳は2022年にサービス終了となったことがニュースになっていましたが、現在はどのような事業を展開されているのでしょうか?

橋本さん

エキサイトホールディングスでは2018年のTOBを1つの転換点として、新しい事業をどんどんと進めていっているところです。これまではBtoC向けサービスがメインでしたが、BtoB向けの新事業も含めて多角的に展開しています。

エキサイトホールディングスのサービスは大きく「プラットフォーム事業」「ブロードバンド事業」「SaaS・DX事業」の3つに分かれます。

まず「プラットフォーム事業」についてご説明します。「ウーマンエキサイト」「エキサイトニュース」「エキサイトブログ」といったメディアとカウンセリングサービスの主に女性をターゲットにした事業を運営しています。

カウンセリングサービスには20代から50代の女性をターゲットにした「エキサイト電話占い」「エキサイトお悩み相談室」があります。これらは弊社サービスの中でも柱になっているサービスの一つで、そこからスピンアウトして恋愛相談に特化した「恋ラボ」というサービスも展開しています。

「ブロードバンド事業」はその名の通りインターネットプロバイダーサービスで、大きく「BBエキサイト」と「エキサイトモバイル」の2つのサービスがあります。プロバイダの制限がある他社様と違い、弊社サービスは光回線とプロバイダの組み合わせが自由なので、臨機応変なプランを選択できるのが強みとなっています。

エキサイトホールディングスのサービスイメージ
▲「プラットフォーム事業」「ブロードバンド事業」「SaaS・DX事業」の各領域で幅広いサービスを展開

橋本さん

そして「SaaS・DX事業」は直近2年にできたBtoB事業です。「KUROTEN」は、売上実績や見通し、それに紐づく指標データなどの定量的な数字や定性的な情報を一元管理することができ、経営管理の業務効率化を実現するSaaSです。「FanGrowth」はインハウスでウェビナー施策を実行するための企画立案からタスク・スケジュール管理、共催企業探しを支援するウェビナー向けのPDCAクラウドです。

その他にもBtoB向けの後払い決済・請求代行サービス「SAISON INVOICE」、グループ会社のiXIT株式会社で実施しているDXコンサル事業などがあります。

自社の経験やノウハウを活かし、BtoB新事業を立ち上げ

編集部

BtoB事業は直近2年で始められたとのことですが、どのような経緯で立ち上げられたのでしょうか?

橋本さん

エキサイトホールディングスは2018年のXTech HPによるTOB実施後に経営陣が代わり、現CFOの石井を筆頭にまずは経営管理を見直していきました。見直しによる事業改善の成果もあってV字回復で黒字に転換した、そのノウハウをそのままプロダクト化したのが「KUROTEN」です。

エキサイトホールディングスの「KUROTEN」事業概要
▲業績のV字回復の一躍を担った経営管理ノウハウをプロダクト化した「KUROTEN」

そのKUROTENの営業活動を進めていく中で、ウェビナーという形でwebセミナーをやったことで、アポイントも取れるようになり受注にもつながるというスキームができあがってきたんです。他社様からも「どうやってウェビナーをやっているのか」とお問い合わせをいただくようになり、最初はウェビナーのコンサルタントという形で事業をはじめました。

ウェビナーというのは企業様とタイアップして共催で行うことが多いのですが、コンサルタントの業務を進めるうちに、ウェビナーの企画・集客やタスク管理に課題があるということが見えてきました。「ウェビナー施策をすべて1つのサービスの中でできたら楽だ」という話になり、そこで「FanGrowth」が生まれました。

エキサイトホールディングスの「FanGrowth」事業概要
▲ウェビナーコンサルタント業務の中での気づきを活かした「FanGrowth」

編集部

エキサイトホールディングスさんの成功体験や、業務の中での気づきをプロダクト化したものが、新規のBtoBサービスとなったんですね。

営業利益は前年比56.3%。V字回復につながった体質改善

エキサイトホールディングスの上場セレモニー当日の様子
▲2023年の再上場セレモニーの様子

編集部

先ほどのお話にもあった通り、2018年にTOBが実施されてからエキサイトホールディングスさんでは社内の状況が大きく変わり、一気に売上が上がっていったんですよね。売上はどのくらいの勢いで伸びているのか、教えていただけますか?

橋本さん

2018年のTOB後に非上場化し、そこからいろいろな改革を行ったことで1年で黒字化を達成、2023年には東証スタンダードに上場しました。2023年3月期の通期の決算は、前年比5.6%成長となっています。営業利益でいうと前年比56.3%の成長率です。

編集部

すごい数字で、本当に勢いを感じます!黒字化された背景には何があるのでしょうか?

橋本さん

いろいろあるのですが、1つは評価制度の見直しです。これまでは何十段階もレイヤーがあり、なかなか昇給や昇格が難しい部分がありました。それを他のスタートアップやメガベンチャーの標準に合わせ、抜擢人事を行ったことが、組織活性化、ひいては組織全体の成長につながったと思います。

もう1つは経営管理の見直しです。これによって、経営状況が見える化できたことで、コストカット、人材の再配置、予算策定の方法などを見直すことができ、結果的に売上や利益の改善に繋がりました。

“新規事業の立ち上げ”と“優秀な人材”が成長に大きく寄与

エキサイトホールディングスの社内風景

編集部

その他にも、エキサイトホールディングスさんの成長に寄与した要因はありますか?

橋本さん

既存事業の成長が最も大きいところですが、エキサイトホールディングスでは新しい事業をどんどん立ち上げているため、そうした新規事業の立ち上げも黒字化達成に貢献していますね。

編集部

新規事業は軌道に乗せるまでが大変ですよね。どのように成長させているのでしょうか?

橋本さん

その事業に合った優秀な人材を外部から採用できているということが大きいと思います。

例えば新規事業でBtoCサービスを立ち上げる際には、その分野で大きな成果を出されている他企業の方に参画していただきました。優秀な人材が加わることで育成の部分も活性化しています。

良い人材が集まり新規事業の成長を促進させる、さらにそれが良い人材の育成にもつながるという好循環が生まれていますね。

編集部

エキサイトホールディングスさんの事業そのものの力はもちろん、エキサイトホールディングスさんの人材の力が確かな成長を支えているんですね。

社内での新規事業立ち上げのノウハウを学生インターンにも展開

編集部

エキサイトホールディングスさんの新規事業の立ち上げはどのように進められているものなのでしょうか。

橋本さん

基本的には各社員がいろいろな方面にアンテナを張って事業案を考え、経営陣には随時壁打ちができる状況なのですが決まったものだと年に2回開催される「新規事業創出会議」で決議されたものを事業化しています。全社的な会議とは別に事業部ごとに新規事業イベントを開催することもありますね。

さらにエキサイトホールディングスでは、新規事業創出インターン「READY」という学生向けインターンも行っています。これもTOB後に始めた新たな取り組みで、夏と冬の年に2回の開催で、今年の夏で6回目の実施となります。

大学生、大学院生を対象に募集し、集まった学生の方はグループに分かれて事業案を考えます。最終的に代表の西條にプレゼンテーションを行い、その事業が投資に値するかどうかの判断をしてもらう、という内容のインターンです。このインターンをきっかけに、起業や新事業に興味を持つ若い方が増えると良いな、という想いをもって実施しています。

編集部

経営陣の方から直接評価をもらえるというのは学生の方にとっても貴重な体験になりますね。BtoBサービスもそうですが、エキサイトホールディングス様は自社のノウハウや知見を活かしながら新しい取り組みを進められているなと感じます。その姿勢が事業の幅を広げ、さらなる成長を生んでいるんですね。

若手活躍を生むエキサイトホールディングスの「抜擢文化」

エキサイトホールディングスの社内風景

編集部

エキサイトホールディングスさんの若手活躍についてお伺いします。現在エキサイトホールディングスさんには20代から30代前半のいわゆる「若手」と呼ばれる社員様はどのくらいの割合でいらっしゃいますか?

橋本さん

全体の2、3割程度です。近年では若手の方の採用に力を入れており、20代から30代くらいの中途社員が徐々に増えつつある状況ですね。

編集部

エキサイトホールディングスさんが若手社員の採用に力を入れているのはなぜなのでしょうか。

橋本さん

エキサイトホールディングスでは新しい事業がどんどん生まれてきているため、社会潮流やトレンドについていける若手の方の力が必要になっているんです。

新卒に関しては「幹部候補」という形で採用しています。新卒を採用するにあたっては、やはり活躍してもらう環境を提供する義務があると思っておりますので、新規事業や伸びのある事業を経験してもらい、実力や熱量があれば積極的に抜擢を行うようにしています。

編集部

実際に若くして重要な役職に抜擢された方はいらっしゃいますか?

橋本さん

年間で見ても数名は抜擢されています。今期で3年目になる男性社員で、事業責任者として新規事業の立ち上げを任されている社員がいますね。私自身も20代で人事の責任者を任せていただいているので、抜擢といえば抜擢かもしれません。

編集部

橋本さんご自身が抜擢されて活躍している社員様なのですね!橋本さんはもともと人事をされていたのでしょうか。

橋本さん

いえ、もともとは営業をやっていました。その行動力や対人力を評価していただいて、人事に向いているということで抜擢いただいたのではないかなと思います。

人事の業務自体は初めてですが、制度の企画などを経営陣にあてて壁打ちしていただいています。具体的に手掛けたのは新卒採用フローの変革ですね。

これまでの新卒採用では経営陣の理想像と人事の認識が一致していないところがありました。そのため会社として欲しい人物像を言語化し、そこに合わせたチャネルの選定や行動を変えるなど仕組みを整えています。

心理的安全性を重視した“深いコミュニケーション”で若手社員をサポート

エキサイトホールディングスの社内風景
▲深いコミュニケーションができる雰囲気づくりを重視するエキサイトホールディングスさん

編集部

エキサイトホールディングスさんでは、新卒社員は入社してどのくらいで活躍されていますか?

橋本さん

事業部によって差はありますが、大体1年くらいでもう活躍しているな、という印象です。経営会議などでも1年目から3年目の社員の活躍が話題になることが多いですね。

編集部

すごく成長スピードが速いんですね!エキサイトホールディングスさんにはどのようなフォロー体制があるのでしょうか?

橋本さん

入社後はメンターをつけ、そのメンターと二人三脚で成長してもらっています。一方でメンターに言えない悩みやキャリア相談などについては、適宜人事からも声をかけて1on1を行うという仕組みがあります。実務面に合わせて精神的なフォローも行いながら、キャリア形成も一緒に行う体制を取っています。

編集部

エキサイトホールディングスさんが社員のサポートにおいて大切にしていることは何ですか?

橋本さん

コミュニケーションを深く取るというのは、会社全体で意識するようにしています。悩んでいたらきちんと聞けるような心理的安全性を築くことを重要視しているため、その環境、雰囲気づくりについては努力していますね。とにかく困ったことがあればすぐに連絡して、状況によっては上長と1on1をして、解決策を導き出せるようにしています。

そして失敗を許容する環境づくりというのも大切にしています。失敗をしても「成功のための失敗なんだ」ということをコミュニケーションの中で伝え、臆することなく次のチャレンジができるようにしていますね。

編集部

エキサイトホールディングスさんの心理的安全性を重視したサポート体制が、若手の方の思い切ったチャレンジにつながっているのだということが良く分かりました。

頑張りが正当に評価される新たな評価制度が若手社員の刺激に

エキサイトホールディングスの社員総会の様子
▲成果をあげた社員を表彰する社員総会も実施している

編集部

先ほどエキサイトホールディングスさんの成長要因の1つとして「評価制度の見直し」も挙げられていましたよね。このことは若手社員の方の活躍にも寄与しているのでしょうか?

橋本さん

はい。従来の評価制度は40段階以上のレイヤーに分かれていて、決まったレンジでしか給与が上がっていきませんでした。1段階上がって数千円の昇給、という感じだったんですよ。若手社員にも「頑張ってもこれくらいしか上がらない」ということが見えてしまっていました。

編集部

少なからず、モチベーションに影響してしまう部分はありますよね。変更後の制度ではどのように変わったのでしょうか。

橋本さん

「成果を出した人をきちんと評価すること」を最大の目的とし、制度変更を行いました。40段階以上に分かれていたレイヤーも、今は5段階になっています。

また1段階上がることによる昇給額を弾力的にすることで、成果に応じてメリハリをつけた評価をできるようにしました。それによって、評価が給与面に目に見えて反映されるようになっています。新たな評価制度がモチベーションや刺激になって、若手社員の活躍につながっているなということは感じます。

編集部

個人の頑張りや成果に応じて正当な評価があることは会社への信頼感にもつながりますよね。若手社員の方が活躍できる土壌を、制度面からもしっかり整えていることが伝わりました。

デジタルネイティブの発想で新しい価値観を発信できる人を歓迎

エキサイトホールディングス株式会社経営管理室人事総務グループマネージャー橋本和馬さん
▲「新しいものが好きだったり、好奇心旺盛だったりする方とぜひ一緒に働きたい」と話してくれた橋本さん

編集部

最後に、この記事をご覧いただいている求職者へのメッセージをいただけますか?

橋本さん

エキサイトホールディングスでは、「デジタルネイティブ発想で心躍る未来を創る。」というミッションを掲げています。所謂「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代の方の発想を存分に活かし、活躍していただけるような会社でありたいと思っています。

エキサイトホールディングスの掲げるミッション
▲エキサイトホールディングスさんの掲げるミッション

エキサイトホールディングスは若い世代の方だからこそできるような新しい事業、新しい価値観を、日本並びに世界に向けて展開していける会社です。新しいものが好きだったり、好奇心旺盛だったりする方とぜひ一緒に働きたいなと思っています。興味をお持ちになったら、お気軽にお問い合わせください。

編集部

国内IT企業としてインターネット黎明期からの長い歴史を持ちながら、どんどん新しいことに挑戦され、成長を続けているエキサイトホールディングスさんには、本当にやりがいを感じながら活躍できる環境があると思います。

本日はたくさんの貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

■取材協力
エキサイトホールディングス株式会社:https://www.excite-holdings.co.jp/
採用ページ:https://excite-holdings.notion.site/excite-holdings/fb91ae8ddbe44e42ad7cd9a3cb3ea698