スタートアップ投資を民主化する。イークラウド株式会社の「TRY FIRST」精神

成長企業や若手が活躍する企業を紹介していく本企画。今回は、株式投資型クラウドファンディングプラットフォームを提供する「イークラウド株式会社」をご紹介します。

イークラウド株式会社とは?

社内で話すイークラウド株式会社社員

イークラウド株式会社は、非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から資金を集める株式投資型クラウドファンディングプラットフォーム「イークラウド」を運営する企業です。株式投資型クラウドファンディングは、2015年の金融商品取引法改正に伴って可能となった、新しい資金調達手段です。

代表取締役の波多江直彦さんは、サイバーエージェントやXTech Venturesでの経験を経て、2018年7月にイークラウド株式会社を設立。IT・VC(ベンチャーキャピタル)で培ってきた経験・ノウハウを融合し、スタートアップ企業の資金調達を支援するパートナーとして「イークラウド」を運営しています。

「イークラウド」を使えば、個人ユーザーはプロが厳選したスタートアップ企業に投資できます。また、起業家にとっては複数の個人から出資を募ることができ、新たな資金調達方法として注目を集めています。

■「イークラウド」サービスサイト
https://ecrowd.co.jp/

会社名 イークラウド株式会社
住所 東京都中央区八重洲1-5-20 東京建物八重洲さくら通りビル3F
事業内容 株式投資型クラウドファンディングの運営
設立 2018年7月
公式ページ https://corp.ecrowd.co.jp/

今回は、同社のサービスや若手が活躍できる組織について、広報・CX部の井上さんに伺いました。

本日お話を伺った方
イークラウド株式会社の井上ちひろさん

イークラウド株式会社
広報・CX部(カスタマーエクスペリエンス部)

井上ちひろさん

個人とスタートアップをつなぐ投資プラットフォームを運営

「イークラウド」のサービスページトップ画面
▲個人がスタートアップ企業に投資できるプラットフォーム「イークラウド」のサービスページ

編集部

イークラウドさんは株式投資型クラウドファンディングプラットフォームを運営していらっしゃいます。どのようなサービスなのか教えていただけますか?

井上さん

株式投資型クラウドファンディングとは、個人投資家の方がウェブサイトで非上場のスタートアップ企業に出資できるサービスです。これまで日本のスタートアップ投資はVCやエンジェル投資家などに機会が限られていましたが、私たちの「イークラウド」を使うことで、個人が適切な情報を得たうえでスタートアップ企業に投資できます。

代表の波多江は、元々サイバーエージェント・ベンチャーズ(現サイバーエージェント・キャピタル)やXTech Venturesでキャピタリスト(投資担当者)としてスタートアップに投資をしていました。そこで、「こんなにも夢があり、面白い世界がプロだけに閉ざされているのはおかしい」と感じたのがきっかけで、スタートアップ投資の世界を民主化しようと起業しました。

編集部

スタートアップ投資へのハードルを下げたいと思われたのですね。つまり、「イークラウド」は”より多くの方がエンジェル投資家になれる場”と言えるのでしょうか?

井上さん

そうです。これまでエンジェル投資するためには、起業家コミュニティとつながりがある方、まとまった金額をポンと出せる方、といった条件の揃った人でないと難しく、ご自身で起業経験や売却経験のある方などに限られていました。

しかし、「イークラウド」は普通の会社員の方や、弁護士・税理士・会計士などの士業の方、中小企業の経営者の方、仕事を定年退職された方など、幅広い方々にご利用いただいています。

編集部

一般の方が利用されているのですね。クラウドファンディングというのは企業や個人の思いや夢をかなえるために利用され、よく知られるようになったと思います。その中でも株式投資型クラウドファンディングにはどのような特長があるのでしょうか?

井上さん

クラウドファンディングには、支援者に対する返礼として商品やサービスを提供する購入型、支援者にお礼を述べる寄付型、出資額に合わせて金銭的なリターンを受ける投資型があり、株式投資型クラウドファンディングは投資型に当たります。法律で、この方法で企業が調達できる金額は1年間に1億円未満、個人投資家が投資できる金額は1社に対して1年間に50万円以下(※)と決まっています。
(※)1社に対して1年間に50万円以下:特定投資家を除く

編集部

たくさんの人から少額ずつ資金を集めて支援してもらう仕組みなのですね。投資する個人にとってはどのようなメリットがありますか?

井上さん

個人にとっては投資先企業の業績が向上し、株式公開(IPO)や売却(M&A)に至った場合に数十倍・数百倍のリターンを得られる可能性があります。すべての企業がIPOやM&Aに至るわけではありませんので、ハイリスク・ハイリターンの世界です。しかし、これまで一般の個人には閉ざされていた世界を、誰でも参加できるように開いたという点は1つの価値だと思っています。

イークラウドは平均調達額と目標達成率で業界首位に

ミーティングをするイークラウド株式会社の社員たち

編集部

続いて、イークラウドさんの事業成長について伺います。市場や案件数の伸びについて教えていただけますか?

井上さん

現在、国内の株式投資型クラウドファンディングに関わる事業者は5社あります。これらのプラットフォームをすべて集めた案件数は、右肩上がりに増えてきています。「イークラウド」ではこれまでに案件数は26件、計8億円以上の調達支援に成功しています。

5社の中では最後発としての参入であるため、案件数が多い他社もありますが、「イークラウド」は平均調達額などの指標で市場No.1となっています。

2023年7月には国内最高調達額9,990万円に到達

編集部

平均調達額が大きいというお話がありましたが、1社でどのくらいの調達実績例があるのでしょうか?

井上さん

実は最近、お申込み額が国内の最高調達額9,990万円に到達した例があります。定額制の多拠点居住プラットフォーム「ADDress」を運営する株式会社アドレスさんの案件で、およそ3日間で国内最高額が集まりました。

■国内最高額到達に関する株式会社アドレスのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000040352.html

編集部

サービスサイトを拝見すると、500人を超える個人投資家が集まっていますね。「イークラウド」さんが平均調達額や目標達成率、また最高調達額のような実績を上げられた要因はどこにあるとお考えですか?

井上さん

投資家に質の高い案件を届けていくことを重視しているからだと思います。株式投資型クラウドファンディング市場はまだ黎明期であり、今は量を求めるのではなく、質の高い案件を届けることでしっかりリターンを出してもらえるようにと考えています。これにより、株式投資型クラウドファンディングは良いものだという認識を得たいと思っています。

背景には、われわれプラットフォームの「SUSTAINABLE GROWTH (持続的三方良し)」という思想があります。三方とは投資家、企業、プラットフォームである弊社を指しており、その三方良しの状態を中長期で未来の時間軸でも実現したいと考えています。そのために、案件を厳選しています。

編集部

「SUSTAINABLE GROWTH」という考え方は、御社のバリューの1つになっていますね。持続的三方良しを追求した先に、どんな未来を描いていらっしゃいますか?

井上さん

日本の個人の金融資産は2,100兆円と言われています。このうち1%でもスタートアップ投資資金となるきっかけを作ることができれば、20兆円以上のリスクマネーが市場に循環することになります。これが実現できれば社会問題の解決につながるのではないか、日本は再び活力を取り戻せるのではないか、とわれわれは信じています。

20代若手活躍の裏には「頼れるシニア社員」の存在あり

活躍する若手社員の1人、井上ちひろさんの仕事風景
▲活躍する若手社員の井上さん。バリューの1つ「TRY FIRST(機動的挑戦)」を大切にしている

編集部

ここからは話題を変えて、イークラウド社員さんの働き方や若手活躍についてお聞きします。さまざまな職種で若手社員が活躍されていると思いますが、そのお1人として井上さんの仕事内容やご自身の成長について教えていただけますか?

井上さん

2020年2月に入社し、現在は3年目、29歳です。カスタマーエクスペリエンス部という部署で、クラウドファンディング案件のコンテンツ制作や投資家向けの情報提供を行っています。前職はIT企業で、金融とはまったく関係のない職種からの転職でしたので、入社後は日々挑戦でした。

私は現在、クラウドファンディング案件のインフォグラフィック(※)を担当しているのですが、入社当初はデザインソフトを触ったこともなく、ゼロから覚えました。少しずつデザインができるようになり、動画編集ができるようになり、という感じで、できることが増えていきました。
(※)インフォグラフィック:図や表、イラストなどを用いることによって情報を視覚的・直感的に分かりやすく伝える方法

編集部

どんどんミッションが加わり、現在は会社の広報も兼任されているのですね。新しいことに挑戦する中で、悩んだり失敗したりすることがあったかもしれません。井上さんはどのように乗り越えられましたか?

井上さん

弊社のバリューの1つに「TRY FIRST(機動的挑戦)」というものがあり、私も変化や失敗を恐れずチャレンジしようと思ってきました。また、周囲のメンバーも挑戦する仲間を本気で応援してくれます。それに、頼りがいのあるシニア社員がいるので、私はいつも相談しながら仕事を進めています。

編集部

シニアの社員さんがいらっしゃるのですか?

井上さん

はい。これは弊社のユニークなところなんですが、60代以上のシニアが複数名活躍しています。大手証券会社で活躍した取締役をはじめ、金融業界出身のメンバーが在籍しています。

編集部

そうなんですね。井上さんがシニア社員さんに助けられたエピソードがあれば、教えていただけますか?

井上さん

弊社のサービスはまだ世に知られていないことから、ある時、私がマンガにする案を提案したことがあります。自社のnoteや広告で「マンガでわかる株式投資型クラウドファンディング」というコンテンツを作ってはどうかと会議に諮ったところ、「とりあえずやってみよう」と決定したんです。

しかし、私たちは金融機関であり、金融商品取引法に違反しないかなど審査を行う必要があるため、好き勝手に書くことはできません。そこで、証券業界での経験が長いコンプライアンス部のシニア社員に相談しました。「40年業界にいて、こんな仕事をするのは初めてだよ」と言いながら監修をしてくれ、おかげでコンテンツを世に出すことができました。

イークラウド株式会社の漫画広告の一部
▲井上さんの発案、シニアの社員の方の監修で完成した漫画広告の一部

編集部

相談できるプロフェッショナルが社内にいるのは心強いですね。そして、井上さんの行動も、シニア社員さんの支援も「TRY FIRST(機動的挑戦)」と言えそうですね。

井上さん

はい。社内のSlackにはバリュースタンプがあり、会社のバリューを体現した人を称えるようなチャンネルもあります。元々、メンバーにはVC出身、大手新聞社出身など、専門性もバックグラウンドもさまざまな人が揃っており、互いの違いを尊重し敬意を表する社風があります

イークラウド株式会社の社内会議風景
▲イークラウド株式会社には20代から60代まで専門性やバックグラウンドの異なるメンバーが集まっている

柔軟な働き方ができるイークラウド。インドでワーケーションも

ミーティングをするイークラウド株式会社の若手社員たち
▲柔軟な働き方をしながら自律的に働く若手社員たち

編集部

イークラウドさんでは若手メンバーも自律的に働かれていると思います。普段はみなさん、どのようなワークスタイルなのでしょうか?

井上さん

現在、半数近くのメンバーはフルリモート勤務をしています。2児のママで、時短勤務をしながら働くメンバーもいます。代表の波多江自身も3人の父親です。

編集部

子育てと両立中の方も多く、30代~60代までいろんな年代のロールモデルがいらっしゃるのですね。若手の井上さんが感じる働きやすさはどんな点ですか?

井上さん

柔軟な働き方ができる点です。実は私自身、実家で介護をしながら働いたり、2023年5月にはインドでワーケーション(※)をしたりしました。
(※)ワーケーション:リゾート地などで休暇を取りながら、必要に応じて仕事をすること

インドには、学生時代、沢木耕太郎さんの旅文学「深夜特急」を読んで以来ずっと行きたいと思っていたのですが、コロナ禍で断念していました。それが今の会社に入り、「リモート勤務できるなら、もしかしてインドにも行けるのでは」と思い立って上司に相談したところ、「いいよ」と言ってもらいました。

編集部

夢がワーケーションという形で実現したんですね。どのような過ごし方でしたか?

井上さん

インドには3週間ほど滞在し、週のうち3分の2くらい働いていました。インドで仕事ができたので、今はもう世界中どこでも仕事できると思っています(笑)。

編集部

イークラウドさんでは働き方の面でも「TRY FIRST(機動的挑戦)」を後押しする文化があるんだなと感じました。ライフステージや希望に合わせた働き方がかなうことは、メンバーの働く意欲向上にもつながりそうですね。

会社を成長させ、市場を切り拓く仲間を募集

イークラウド株式会社の若手社員
▲1人ひとりの裁量が大きく、挑戦できる環境がある

編集部

最後に、イークラウドさんに興味を持った方に向けてメッセージをいただければと思います。どのような方がイークラウドさんにジョインしたら活躍できそうでしょうか?

井上さん

まずは「理想の未来に挑戦できる社会へ」というビジョンに共感してくださる方です。ビジョンには、起業家はスタートアップでの事業を通じて理想の未来に挑戦し、個人は投資を通じてそのイノベーションや社会貢献を支援する、という意味が込められています。

また、私たちのサービス「イークラウド」だけでなく、「株式投資型クラウドファンディング」という市場自体の認知もまだまだ足りていない状況ですので、市場を切り拓いていく気概のある方だと活躍できると思います。

イークラウド株式会社のHPに掲げられたビジョン
▲イークラウド株式会社のビジョン「理想の未来に挑戦できる社会へ」(同社HPより)

編集部

市場をつくる担い手としてやりがいがありそうですね。お1人おひとりの裁量は大きいのでしょうか?

井上さん

はい。社員数も少ないため、裁量が大きいです。自分で挑戦する対象を見つけ、それにわくわくするような方だと楽しめると思います。これから加速的に拡大していくフェーズなので、個人的にはずっと文化祭の前夜みたいな環境だと思っています。

編集部

井上さん、本日はありがとうございました!
イークラウドさんでは営業、事業開発、編集、エンジニアなどさまざまなポジションで積極採用をしています。気になった方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

■取材協力
イークラウド株式会社:https://corp.ecrowd.co.jp/
採用ページ:https://ecrowd.notion.site/6554353d887d45c290aa2de4f25bf84a