グローバルにビジネスを展開すると同時に、若手でも活躍できる環境を整え成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、株式会社EARTHBRAINにお話を伺いました。
株式会社EARTHBRAINは、建設業界のIoT化に長年取り組んできたコマツと、NTTコミュニケーションズ・ソニー・野村総合研究所によるスタートアップ企業です。
「建設生産プロセスをデジタル技術で最適化することで、生産性・安全性・環境適応性の飛躍的な向上を実現し、未来の現場を創造する」というビジョンを掲げ、日本国内だけでなく世界の工事現場のお客様に価値を提供できるソリューションを開発しています。
世界にサービスを展開するため、エンジニア組織は日本に主な拠点を置きつつ、北米やアジア等にも拠点を置いています。グローバルな開発体制のもと、多様な国籍のメンバーが日々議論を重ねながら開発プロジェクトを進める組織です。
特にグローバルな環境でお客様に必要なSmart Construction Dashboardの開発等を行っている3Dチームのエンジニアである、吉牟田さん、村上さん、セルヒオさんにグローバルな開発体制についてお話を伺いました。また、20代でテックリードを任されている吉牟田さんに、若手でも活躍できる環境について尋ねています。
若手でも早いうちに裁量を持って活躍していけるEARTHBRAIN
編集部
EARTHBRAINさんは、年齢関係なく仕事を任せてもらえる環境があるとお伺いしました。実際に若手で活躍されている吉牟田さんのお話をお聞かせいただければと思います。
吉牟田さん
私は2023年5月に中途入社して、現在は3Dのソフトウェア群のうち「Smart Construction Simulation」「Smart Construction Dashboard」というSaaSのソフトウェアを担当しています。
2024年1月から開発テックリードとしてチームを任せていただいてます。社会人としては4年目で、社歴としては2年目ですが、20代でもテックリードなど裁量をもって経験を積める環境です。
編集部
現在の業務についてもう少し詳しく教えていただけますか?
吉牟田さん
「Smart Construction Dashboard」は施工現場の情報の可視化を主に行うツールで、「Smart Construction Simulation」は施工を行う前の計画をサポートするツールです。建設現場の情報から最適な施工手順、工程をシミュレーションすることができる機能を提供しています。
編集部
吉牟田さんが御社に入社された経緯を教えていただけますか?
吉牟田さん
EARTHBRAINに入社を決めた理由は大きく3つあります。まず一つ目が「ソフトウェアで社会課題を解決したい」と考えていたこと、二つ目が「サービスをグローバル展開してる会社で活躍したい」という思いがあったからです。
最後は、年齢関係なく若いうちから活躍できるような会社に入りたいと考えていたからです。
編集部
実際にお仕事をされていて、どんなところにやりがいを感じていらっしゃいますか?
吉牟田さん
我々は、建設現場の問題をソフトウェアでの解決を目指しています。自分は工学部の建築専攻で、建設業にはいくばくかの知識は元々ありましたが、問題解決に向けては建設のドメイン知識をつけながら、難しい課題に取り組まなければなりません。もちろん大変さはありますが、非常にやりがいを感じています。
また、任せていただいて長くはないですが、テックリードという立場でチーム全体を意識しながら仕事が潤滑に回っていくように仕組み化を考えるところなどにやりがいを感じてます。
入社して1年でもテックリードを任された背景と推進するプロジェクトとは
編集部
吉牟田さんがテックリードをされているチームの組織体制はどのようなものなのでしょうか?
吉牟田さん
まず、日本とインド、アメリカで、6〜7人規模の3チームに分かれていて、そのうちの日本チームを自分がまとめています。今はチームごとに分業はしておらず、同じ作業を一緒に進めています。
編集部
リードとしての仕事がうまく回るように仕組み化を考えていらっしゃるとのことですが、実際にどういったことをされているのでしょうか?
吉牟田さん
新しいメンバーが増え、プロダクト開発のステージも変わってくると、新たに課題が見えてきました。
そこで開発プロセスを刷新して、スクラム開発のやり方を見直すプロジェクトを1月から進めています。これには、開発者とプロダクトチームが一緒に議論しながら、改善を進められる仕組みにするという大きな目的があります。
「Smart Construction Simulation」はまだ若いプロダクトで、改善要望も着々と出てきています。ただ、改善要望をきちんと精査して、優先付けして、戦略的なプロダクトの改善を図るところまで活かしきれていませんでした。
他のビジネスサイドとの議論や開発のしやすさを意識しながら、プロセスの見直しを進めています。すでにたくさん見直していますが、まだまだ改善の余地はあると感じています。
編集部
差し支えなければ、吉牟田さんがテックリードに抜擢された理由をお聞かせください。
吉牟田さん
プロダクト開発フェーズやチーム規模の変化に伴っての体制変更に加え元のテックリードの方が育休を取得されたことなどが理由かと考えています。あとは、組織体制の改善を提案したり、開発チーム全体としての課題を上長と相談したりしていたので、そういった課題解決をより主体的に進められるようにしてくださったのかもしれません。
村上さん
吉牟田さんはキャッチアップが早く、入社してすぐから自分のタスクを遜色なくこなされており、すごいと感じました。かつ、広い視野を持ってチーム全体をみて、プロダクトマネージャーやプロダクトオーナーも含めて組織の今後についてよく話していたんですね。
そのため、自分の仕事を落とさずにチームをうまく取りまとめることができる人だろう、と周りのみんなが思っていました。
チームを跨いだ社内勉強会を自主的に実施し、スキルアップを図っている
▲Smart Construction Simulationの使用画面
編集部
これまでの業務の中で印象的だったことや、大変だったことがあれば教えてください。
吉牟田さん
「Smart Construction Simulation」というプロダクトの上に、水流解析という雨が降ったときに現場のどこに水溜りができるか、現場のどこから外に水が漏れ出すかのシミュレーションを作成するプロジェクトがありました。
3D上に情報表示するプロダクトに関する深い知見があったわけではなかったので、技術的な面でチャレンジングだった思い出があります。
編集部
深い知見があったわけではないとのことでしたが、どのように学んだりカバーしたりされたのでしょうか?
吉牟田さん
村上さんをはじめとした先輩方に教えていただいたり、お客様のサポートをする部署にいる土木業務に詳しい方にリサーチしたりして進めました。他にも、プロダクトの企画をしている方に機能が必要となった背景などをお聞きしました。
EARTHBRAINには幅広い分野に詳しい方々がいて、わからないことに直面しても社内の誰かに聞けばわかる環境です。
村上さん
吉牟田さんの話したプロダクトには、普通のWeb開発に加えて、GISと呼ばれる地理情報システムが必要でした。これは緯度や経度をどうやって2次元に表示するか、地球を2次元にすると歪みが生じるのでその誤差をどう補正するかなど分析・判断する技術です。
私も最初はその知見を持ち合わせていませんでした。ただ社内には、実際の現場監督が肌感でわかっていることを把握している方やある程度体系的に理解されている方がいるので、そういった方々に社内勉強会のような形で講習会をお願いしました。
編集部
社内勉強会はよく実施されているのでしょうか?
村上さん
GISの勉強会をチーム内でやったり、他のチームの人の詳しい方にお願いしてチームを跨いで勉強会をしたり、実施の頻度は高めですね。
編集部
社内に各分野に詳しい方がいて、多様な知識や技術を会社として持っているので、社員同士で切磋琢磨しあえる環境があるのですね。
コマツのネットワークを活用し、グローバル展開を可能に
編集部
国内だけではなくて世界のお客様に価値をもたらすソリューション開発をされているそうですが、実際のサービスの展開先はどうなっているのでしょうか?
吉牟田さん
今携わっているプロダクトは、世界各国で使われています。北米からオーストラリア、欧州圏、東南アジアでも使われていますね。
編集部
御社のプロダクトがグローバル展開できている理由はなんでしょうか?
セルヒオさん
コマツの名前は世界で有名なので、受け入れてもらいやすいと感じています。また、サポートも様々な言語でできるのも大きいと思います。
村上さん
コマツは世界中に代理店があります。そのコマツの販売網を使って開発したサービスをお客様に直接届けることができるのは、EARTHBRAINの強みの一つですね。
三井さん
プロダクトとしてもグローバルに幅広く使われていますが、EARTHBRAINでは開発体制もグローバルです。
現在は日本の他にUSやインド、ベトナムなどに拠点をもち、グローバルに開発体制を組みながらソリューションを作っていく方針です。
日本のチームメンバーの中にも外国籍の社員も増えてきていて、今年の4月に吉牟田さんのチームにセルヒオも加わり、多様性のあるチームでプロダクト開発してます。
24時間体制での開発など、グローバルな開発体制だからこそできること
編集部
開発体制がグローバルであることの強みを教えてください。
吉牟田さん
まずは各地域の要望を集約しやすい点です。各地域のビジョンや要望は、やはりその地域に住んでる方のほうが受け取りやすいものです。日本だけよりも、要望の集約を格段に早くすることができています。
あと、グローバルだからこそ、24時間体制で開発できるときもあります。時差が障壁になることもありますが、日本側で昼間作ったものをUS側の仕事が始まった段階で引き渡して作っていくという、かなり効率がいい開発スタイルを取れるのも強みだと感じています。
村上さん
開発文化が偏らないのもいいですよね。文化の違うチームが2つあるような感じなので、お互いの意見によりフラットな開発文化を維持しやすいと感じています。
例えば、日本側では当たり前と思われている前提条件について、US側から深堀りが入ることがあり、結果良い仕様になることがあります。
このようなことがあるとPMやPOは背景や前提を深ぼった上で共有してくれるようになり、開発文化がよくなっている実感があります。
編集部
これまで違う目線が入ってきて、慣例的にやってたことを見直して、良い方向に向かうことができているということですね。
海外チームと働くことで、社員のスキルアップにもなっている
編集部
セルヒオさんにお聞きしたいのですが、実際に日本チームで働いてみていかがですか?
セルヒオさん
チームのみなさんは英語を話せるので、ちゃんと言葉が通じるので言葉の面で困ることはありませんね。
あとは社内には様々な国の方がいて、才能のある人が多いです。こうした方達からいろんなことを学ぶことができる、いい場所だと感じています。
編集部
セルヒオさんはとても日本語がお上手ですが、チーム内のやりとりは英語を使用されているのですか?
セルヒオさん
はい。開発体制もグローバルになってきているので、できるだけ英語でやり取りするようにしています。ただ、自分はもっと日本語を身につけたいので、日本語を使っています。
編集部
開発体制をグローバルにすることで、社員のスキルアップにも繋がるのでしょうか?
セルヒオさん
USのエンジニアと働くことでレベルアップしていると思います。それは技術面もですが、アプリケーションの使い方や働く上での考え方などを学ぶことができています。
例えば、これまでのやり方や指示された内容よりも、自分の方がもっといいアイディアを提案した時、USの方がより受け入れられることが多いです。良いものは着実に反映させていく考え方は、成長するために必要だと感じています。
村上さん
以前、同じチームメンバーが、3D地図で建設現場の土の量や2点間の距離を測った際の、新しい表示の仕方を追加する大規模なタスクを担当していました。
その際、アメリカ側に詳しいエンジニアの方がいたので、テキストベースはもちろん時差を合わせて打ち合わせなどを行って難しい作業を一緒に進めていました。社内だけではなく、国を超えて技術や知識を共有できるのは、グローバル開発の大きな強みであると実感しています。
出張やイベントなどで海外に行き、現地メンバーと顔を合わせる機会もある
▲イベント「Global Tech Meeting」の様子
編集部
海外に直接行く機会もあるのでしょうか?
村上さん
必要に応じて出張することはありますね。最近では、アメリカチームのメンバーが離任するので、知識の引き継ぎのために2週間ほどアメリカに出張しました。
どうしても時差があるので、直接会って話したほうが効率的だということになり、2週間ずっと話し合って無事引き継ぐことができました。
編集部
引き継ぎ以外にも収穫はありましたか?
村上さん
いままではプルリクエストやSlackで会話など行っていて、特に問題はないと感じていました。しかし、顔や性格がわかることによってお互いにコミュニケーションが取りやすくなりました。
吉牟田さん
「Global Tech Meeting」という会社のイベントがあります。2024年から始まった新しい取り組みで、主にUSと日本のエンジニアの技術的な交流を目的としたイベントです。
ゲストスピーカーを呼んで講演をしていただいたり、チームで開発や技術的なディスカッションしたりととても実りのあるイベントでした。日本側から10名程度のエンジニアが参加して、約1週間滞在しました。
前回は1月にUSのカリフォルニア州のサン・マテオで開催され、次回は9月に開催予定で、今後恒例イベントとなる見込みです(取材は2024年6月)。
編集部
よろしければ参加した感想をお聞かせください。
吉牟田さん
直接会うのは初めてのUS側のメンバーが多く、今後の仕事を円滑に進める上で一緒に働いている方の人となりを知ることができたのがよかったです。
また、実際に開発プロセスの改善に関する議論等を対面で行うことで、今までより建設的な議論ができ、とても収穫がありました。
編集部
海外ということで時差などの問題もあり、交流を図るのも大変だと思います。普段からテレビ会議やテキストベースでコミュニケーションを取られていると思いますが、実際に顔を合わせる機会があるとより円滑にコミュニケーションが取れますよね。
社会貢献したい、多様な技術に触れたい方にフィットする企業
編集部
では最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
村上さん
EARTHBRAINでは、GISや3DCG、最適化アルゴリズムを組み合わせた、難しいけれども、面白いプロダクトを開発しています。
現場での作業工程を大きく効率化できる可能性があるため、現実に与える影響は、、他のSaaSアプリケーションに比べると大きいと感じています。自分の仕事が、土木業界が抱える課題解決に貢献することができ、やりがいがあります。
吉牟田さん
ベンチャーの中でも業務領域が幅広い会社なので、自分の持ってるスキルを技術者としていろいろな分野に活かせるチャンスがある会社だと感じています。
私は3DのSaaSを作っていますが、社内では自動運転やハードウェアの最先端に携わっている方がいます。加えてグローバルな開発体制を組んでいるので、知識や技術の多様性があります。
「いろいろな技術に触ってみたい」「この技術を極めたい」という思いがある方にフィットするのではないでしょうか。
セルヒオさん
私は多様な考え方と出会い、「こういうやり方もあるのだ」と知ることが大事だと思っています。EARTHBRAINには、様々な人がいて色々な考え方に触れ、学ぶことができます。
また、社会に貢献できる仕事に携われるのも非常に魅力に感じています。チャレンジできる場所もたくさんあって、自分のスキルを成長できるいい場所だと思うので、興味がある方はぜひ来てください。
編集部
20代でもテックリードを任せてもらえるなど、若手でも裁量をもって経験を積める環境とのことで、新しいことにも積極的にチャレンジして成長したいという方にとっては、まさにフィットする環境ですよね。
また、グローバルな環境でエンジニアの仲間と切磋琢磨したい方には、とても魅力的な会社ではないかと感じました。
本日はありがとうございました!
株式会社EARTHBRAINの基本情報
住所 | 東京都港区六本木一丁目6番1号 泉ガーデンタワー 29階 |
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事業内容 | 建設業向けデジタルソリューション(現場可視化デバイス、プラットフォーム、アプリケーション)の開発、提供、保守など |
設立 | 2021年7月 |
公式ページ | https://www.earthbrain. com/ |
採用ページ | https://hrmos.co/pages/ earthbrain |