渋谷発の3人制バスケチーム「TOKYO DIME」にインターン希望者が殺到する理由

人材の育成を大切に考え、インターンの受け入れにも積極的な企業をインタビューする本企画。今回は、渋谷を拠点に活動する3人制プロバスケットボールチーム「TOKYO DIME」にお話を伺いました。

TOKYO DIMEとは

TOKYO DIMEの選手と対戦チームの選手が一列に並ぶ様子

TOKYO DIMEは、渋谷を拠点に活動する3人制バスケットボール「3x3」のプロチームです。競技誕生から間もない3x3の普及と発展を目指し、「渋谷から世界へ!」をスローガンに国際大会などで精力的にプレーしています。

会社名 株式会社東京ダイム
住所 東京都渋谷区神宮前6-23-4 桑野ビル2階
事業内容 ・3x3プロチームTOKYO DIMEの運営
・バスケットボールスクールの運営
設立 2021年12月
公式ページ https://dime-3x3.com/

TOKYO DIMEは社会貢献活動にも意欲的で、ファンを巻き込んだSDGsの取り組みを行っています。また、積極的にインターンを受け入れており、SNSの運用を全面的に任せるなど学生の成長を本気で考えたプログラムを提供しています。

今回は、TOKYO DIMEのオーナーで現役のBリーグプレイヤーでもある岡田優介さんに、SDGsやインターンの取り組みと、そこに込める思いについて伺いました。

本日お話を伺った方
TOKYO DIMEオーナーの岡田優介さん

TOKYO DIME
オーナー

岡田 優介さん

バスケの聖地・渋谷から「3x3」の世界一を目指す

TOKYO DIMEの公式サイトに掲載された目標
▲TOKYO DIMEは、「世界一」と「五輪選手の輩出」を2大目標として活動する(公式サイトから引用)

編集部

まずはじめに、TOKYO DIMEさんについて教えてください。

岡田さん

TOKYO DIMEは、3人制バスケットボール「3x3(スリー・エックス・スリー)」のプロチームで、渋谷区を拠点としながら東京全域で活動しています。

「世界一を目指し、常に勝利に拘る」をチーム理念のひとつに掲げており、国際バスケットボール連盟(FIBA)承認のトップリーグ「3x3.EXE PREMIER」や、世界一のチームを決める「FIBA 3x3 World Tour Masters」などに参戦しています。

編集部

3x3は東京オリンピックから正式種目となり、認知が拡大したように感じます。

岡田さん

そうですね、TOKYO DIMEも「オリンピック選手を輩出すること」を目標のひとつにして精力的に活動しています。

3x3はDJによる音楽やMC、ダンスパフォーマンスといったエンターテインメント性をあわせ持つスポーツなので、これからより多くの方に観戦を楽しんでもらいたいと思っています。

TOKYO DIMEの男子選手4名が集まる様子
▲TOKYO DIMEには男子チームと女子チームがあり、勝利にこだわった戦いを展開している。

編集部

渋谷を本拠地とする狙いは何ですか?

岡田さん

渋谷には、1964年の東京オリンピックのバスケットボール会場として使用され、数々のバスケ大会の主要会場にもなっている「代々木第二体育館」があります。2011年にはセンター街に「バスケットボールストリート」も誕生しました。

そんな「バスケの聖地」とも言える渋谷から、世界一を目指したいと思っています。

編集部

渋谷は日本の都市を象徴する街として世界的に知られた場所なので、世界一を目指すTOKYO DIMEさんの活動と通じるものがありますね。

運営会社はキッズ向けのバスケスクールも展開

バスケスクールで現役選手2名がコーチとなって子どもたちに指導する様子

編集部

TOKYO DIMEの運営会社である「株式会社東京ダイム」としては、ほかにどのような事業を行っていますか?

岡田さん

小中学生を対象にしたバスケットボールスクールの運営を行っています。「DIME Basketball School」という名前で、TOKYO DIMEに所属する現役選手などがコーチとして教えています。

現在、約300人の生徒さんが参加してくれており、TOKYO DIMEの運営に次ぐ事業の柱となっています。

イベントで現役選手が子どもにバスケを教える様子

編集部

東京ダイムさんは、バスケに関する事業に集中しているのですね。

岡田さん

はい。スポーツチームを持つ企業の多くは、全く別の本業をもち、その収入をもとにチーム運営をしています。しかし、私たちは完全にバスケットボール事業だけで生計を立てています。

ファンの皆様からのチケット収入や法人スポンサー収入、グッズ収入、そしてバスケスクールの収入が私たちの活動を支えています。

SDGsを推進。TOKYO DIMEがファンと取り組む社会貢献

TOKYO DIMEの清掃活動に参加する人
▲TOKYO DIMEは、チーム創設当時から渋谷で清掃活動を行っている。

編集部

TOKYO DIMEさんは、SDGsや社会貢献に関する取り組みに力を入れていると伺いました。

岡田さん

はい。スポーツチームの中でもいち早く社会貢献を意識した活動に乗り出し、2014年のチーム創設当初から渋谷区内での地域清掃や難民支援などを行っていました。

2020年には、よりSDGsを意識した社会貢献活動を行いたいという思いで、チーム独自の推進活動「DIME GREEN SDGs」をスタートさせました。

編集部

「DIME GREEN SDGs」では、どのような活動をしているのでしょうか?

岡田さん

代表的なものに「SDGsシュートチャレンジ」という企画があります。制限時間を決めてフリースローを行い、1本シュートが入るごとに100円や1,000円をTOKYO DIMEから慈善団体などに寄付するものです。

編集部

楽しみながら、SDGsについて知ったり考えたりすることができますね。

岡田さん

はい。試合やバスケ関連のイベントに合わせて実施していますが、毎回子どもたちに大人気です。

TOKYO DIMEのシュートチャレンジに参加した人がボールを投げる様子
▲シュートチャレンジには、毎回多くの挑戦者が参加する。

編集部

シュートチャレンジで集めた寄付金は、どのように使われているのでしょうか。

岡田さん

寄付先の団体は様々で、例えば福祉団体にお渡ししてハンディキャップを持つ方の支援にあててもらったり、自動車関連の会社とコラボ開催したシュートチャレンジでは、神奈川県警に交通事故防止のための反射板の購入費として使っていただきました。

編集部

ほかにも取り組みがありましたら教えてください。

岡田さん

「持続可能な消費と生産」というSDGs目標を意識した取り組みとして、廃棄される花を活用したドライフラワー「エシカルフラワー」づくりの体験や、環境負荷が少ないシリコーン素材について知ってもらうイベントなどを実施しています。

エシカルフラワーづくりに参加する親子
▲TOKYO DIMEは、ものづくりを通じてSDGsについて考えるイベントを多数企画している。

岡田さん

私たちはスポンサー企業様などと協力してイベントを行っているので、毎回さまざまなテーマを扱うことができます。

編集部

趣向を凝らした様々な企画を行っているということで、参加するたびに新しい発見やSDGsに関する知識を得られそうです。

スポーツチームと企業が組むことで大きな効果が生まれる

TOKYO DIMEの清掃活動に参加する人たち

編集部

チーム全体でSDGsに取り組もうと思ったきっかけは何でしょうか?

岡田さん

スポーツチームと企業がパートナーを組んでSDGsに取り組むことで、効果を最大化できると考えたからです。

編集部

それぞれの強みを掛け合わせるということでしょうか。

岡田さん

そうです。まず、スポーツチームの強みは、声を聞いてくれる「ファン」がいることです。SDGsに関心を持っていなかったとしても、「自分が応援しているチームが取り組んでいるから」という理由で興味を持ってくれるかもしれません。

一方、企業には、社会問題を解決する「素晴らしい技術やノウハウ」があります。しかし、それを企業単体でアピールしようとしても、関心をひくことが難しいという現状もあります。そこで、スポーツチームと組んでファンを巻き込み、より多くの人に伝えることで、効果的なSDGs活動を実現できるのです。

編集部

スポーツチームの「ファン」と、企業の「技術」を掛け合わせることで、相乗効果が生まれるのですね。

岡田さん

はい。イベントの反響を見た別の企業から「私たちもイベントをやりたいです」とか、「こういうイベントを一緒にやりませんか?」とお声がけいただくこともあり、手応えを感じています。

私たちの規模の会社では莫大なお金をかけて製品を作ったり、大きな取り組みをしたりできるわけではありません。しかし、私たちには「伝えることができる」という強みがあるので、簡単なことでもいいので多くの人を巻き込んでSDGsにチャレンジしたいと思っています。

エシカルフラワーづくりを体験する人たち

編集部

活動に参加するメンバーは、取り組みについてどのように関わっていますか?

岡田さん

みんな活動に共感し、積極的に関わってくれます。新しいことへのチャレンジを楽しめるメンバーが多いので、一緒に活動するパートナーを探してきてくれたり、イベントの企画運営を自発的に行ったりしてくれます。

編集部

企業とコラボするなど、戦略をもってSDGsに取り組む様子から、TOKYO DIMEさんが真剣に社会貢献を考えていることが伝わってきました。

TOKYO DIMEのインターンに参加希望者が殺到する理由

TOKYO DIMEのインターンに参加する学生4人が食事を取りながら会話する様子

編集部

TOKYO DIMEさんは、インターンの受け入れに積極的だと伺いました。

岡田さん

はい、現在4名のインターンが参加しています。

以前はもっと多く受け入れており、10名いた時もあったのですが、全員としっかり向き合うためには人数を絞る必要があると感じ、今は5名前後を基本としています。

編集部

インターンでは具体的にどのようなお仕事を経験するのでしょうか?

岡田さん

経営者の視点を持ってチームの運営や戦略に関わる「フロント」の仕事を経験してもらっています。

スポーツチームを運営する大手企業には、インターンを販売スタッフや設営の手伝いなどの「人手」とみなすところもありますが、私はインターン生に「アウトプット」をしてもらうことを意識しています。

編集部

参加者は、具体的にどのようなアウトプットをしていますか?

岡田さん

例えば、TOKYO DIMEはSNSに力を入れているのですが、インターン生がSNSの投稿文を考えたり、画像や動画を自ら撮影・編集したりします。

悩みながら作った文章や動画が世に出て、どのような反響があり、それがチームにどのような効果をもたらすのか、一つのプロジェクトとして全て任せることで多くの学びと手応えを得てもらいます。

自分の作品が世に出るような仕事に携われる点を、インターン生も魅力に感じてくれていると思います。

編集部

自分がTOKYO DIMEの発展を担っていると感じられるような、刺激的なお仕事を経験できるのですね。インターンでこのような業務に携われるのは貴重だと感じます。

インターンがnoteで「奮闘記」を発信

TOKYO DIMEの運営メンバーやインターンがオンライン会議を行う様子
▲TOKYO DIMEのインターンは、オンライン参加も可能。

編集部

TOKYO DIMEさんのインターンに興味を持つ人は多いのではないでしょうか?

岡田さん

はい。公式noteで「インターン奮闘記」という、インターン生による連載をしているのですが、記事を読んでTOKYO DIMEのインターンの内容を知り、参加を希望してくれる人が毎年たくさんいます。

編集部

「インターン奮闘記」では、どのような発信をしているのですか?

岡田さん

これもアウトプットの一環としてお任せしているもので、「自分達がどんな仕事をしたいのか、しっかり世に発信する」というコンセプトで書いてもらっています。

例えば、公式インスタグラムの運用改善までの道のりをまとめた記事などがあります。数値分析や、エンゲージメント向上やフォロワー獲得のために試行錯誤したことなどを分かりやすく書いたもので、文章からは生き生きと働いている様子が伝わってきました。

編集部

参加者の成長をしっかりと考えた、面白い取り組みですね。記事を読んで「自分も同じように活躍したい」と触発される学生さんがたくさんいそうです。

エース級インターンは卒業発表会を担当

TOKYO DIMEの運営メンバー4名が会議する様子

編集部

ほかにもユニークな取り組みがありましたら、教えてください。

岡田さん

TOKYO DIMEの業務に大きくコミットしてくれたエース級のインターン生による「卒業発表会」を開催しています。

これは、インターンの卒業前に、今まで自分がやってきたことや学んだことをプレゼンしてもらう企画で、TOKYO DIMEのメンバーだけでなく、チームのファンやインターンに興味がある学生など、希望すれば誰でも参加できるのが特徴です。

編集部

インターン生の成長の過程を「アウトプット」してもらうのですね。

岡田さん

告知バナーをしっかり作り込んで、SNSなどで広くお知らせし、オンラインで1時間くらい話してもらっています。

TOKYO DIMEのインターン生は、真剣に取り組んでくれる人ばかりで、卒業する頃には代わりがいないくらいの戦力になってくれる人もいます。だからこそ、その頑張りをしっかり称えるような企画をしたいと考えました。

編集部

TOKYO DIMEのインターンに参加する人は、みなさん卒業するのが惜しいくらいの成長を見せてくれるのですね。

本気の育成で目指すのは「社会人3年目レベル」

編集部

インターン生を教育するうえで、意識していることはありますか?

岡田さん

インターンが終了する頃には「社会人3年目です」と言っても通用するレベルに成長していることを目指して育成しています。というのも、私たちのもとでインターンを経験した人が新卒入社した企業で「君は社会人3年目ぐらいの落ち着きがあるね」と言われたそうなんです。

それ以来、「社会人3年目」を目標にビジネスマナーも含めて教育しており、1年ほどしっかり参加してくれたインターン生は全員そのレベルまで成長しています。

編集部

急成長したい学生には、TOKYO DIMEさんをお勧めしたいです。インターンを受け入れることになった経緯についても教えていただけますか?

岡田さん

「こういう方がいるんですけど、どうですか」と紹介いただいたのがきっかけです。お付き合いのある映像関係の会社でインターンをしていた人で、現場に出てみたいという希望があるということだったのでTOKYO DIMEで受け入れました。

映像関連のスキルがあったのでSNSの動画や画像づくりも上手で、どんどん任せたら大きな戦力になってくれました。最終的には、チームの海外遠征に責任者として帯同するほどになりました。

編集部

社会人3年目を超える成長ぶりですね。

岡田さん

はい。その子のお母さんからも、「重大な役割を担わせてくれて、ありがとうございます」というお礼のメッセージをいただき、とても嬉しい気持ちになりました。

インターン生にお金より価値のある「成長」を提供したい

TOKYO DIMEオーナーである岡田優介さんとバスケを教わる子どもたち
▲TOKYO DIMEオーナーの岡田優介さんは、インターンの成長を第一に考えたプログラムを提供している。

編集部

インターンの指導法やプログラムに悩む企業も多いですが、TOKYO DIMEさんは成功例ともいえる取り組みを行っていると感じます。

岡田さん

優秀なインターンの人に来てほしいと願うクラブは多いですが、なかなか人が集まらないという現状もあり、「どうしたらそんなに来てくれるのか、教えてほしい」とお願いされることもあります。

私たちには、受け入れを続けてきたことで蓄積した研修ノウハウがありますし、大学生がインターンに何を求めているのかも分かってきました。つまり、労働力として消費されるのではなく、社会に出て叶えたいことがそれぞれあって、それが実現するような経験を求めているということです。それにしっかり応えることが、インターンの満足につながります。

編集部

インターンは無給ですか?

岡田さん

はい。小さな組織なので交通費しかお支払いできませんが、その代わり代表である私自身が講師となり、手取り足取り丁寧に教えることで、成長という大きな価値を提供したいと思っています。

業務に対して、ひとつひとつ「なぜこれをする必要があると思う?」と質問したり、「この作業にはこのような意図がある」と説明したりするので、とても時間がかかりますが、だからこそ満足度も高く、優秀なインターン生が集まってくれるのだと思います。

編集部

お金には代えられない価値を求めて参加するのですね。

岡田さん

はい。お互いが良いバランスでギブアンドテイクになるような仕組みにしたいので多少は雑用をお願いすることもありますが、成長につながるような仕事をメインに経験してもらう考えはこの先も大切にし続けます。

ベンチャー精神で3x3の発展に挑戦したい人を歓迎!

バスケスクールで現役選手でもあるコーチが子どもたちに教える様子

編集部

最後に、この記事を読んでTOKYO DIMEさんで働くことに興味を持った方に向けて、メッセージをお願いします。

岡田さん

バスケットボールは世界的にとても人気のある競技ですが、TOKYO DIMEがプレーする3x3は誕生から10年ほどしか経っていない歴史の浅い種目です。これから自分たちで市場を作っていかなくてはならない大変さもありますが、伸びしろも大きいと言えます。

バスケットボール市場が巨大であることを考えると、3x3にも潜在的な競技者や観戦者、ファンがたくさんいることは間違いないので、5年後、10年後の可能性にワクワクしながら働けるベンチャースピリットのある方、市場を創出することに興味がある方と、ぜひ一緒に働きたいです。

編集部

インターンも引き続き積極採用中ですか?

岡田さん

はい。新卒や中途の方をたくさん採用する力はまだ私たちにないのですが、インターンは積極的に募集しています。

SNSやnoteを通じた情報発信にも力を入れているクラブなので、そちらもチェックして雰囲気などを感じていただき、フィーリングが合いそうだと思ったらご連絡いただきたいです。

編集部

3x3の競技普及に全力で挑むだけでなく、SDGsやインターンに対しても本気で取り組むTOKYO DIMEさんの、今後の活動が楽しみです。

本日は、ありがとうございました。

■取材協力
TOKYO DIME:https://dime-3x3.com/