建機の自動化に取り組む株式会社DeepX。最先端の分野に携わるエンジニアの働き方とは

事業の革新性や独自性、保有する技術力の高さなどで注目すべき企業をインタビューする本企画。今回は建設機械の自動化に取り組み、生産現場の革新を目指している株式会社DeepXをご紹介します。

株式会社DeepXとは

株式会社DeepXは、土木建築や製造業、農業などの幅広い分野における現場の課題を、人工知能をはじめとした様々なテクノロジーを駆使して解決するため、2016年4月に設立されました。その根底には「社会課題の解決に貢献したい」との強い思いがしっかりと根付いています。

特に建設現場において深刻化する働き手不足については、「早急にクリアすべき重大な課題」だとしています。その解決を目指し、ダンプへの積み込みを自動反復する油圧ショベルのシステムや、揺れを一定以下に抑えながら行うクレーン自動化技術などを開発しています。

会社名株式会社DeepX
住所東京都文京区湯島三丁目21番4号 第一三倉ビル3階
事業内容建設機械の自動化システムの開発
設立2016年4月
公式ページhttps://www.deepx.co.jp/ja/
働き方フレックス(コアタイム11:00-15:00)
ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク)

今回は株式会社DeepXの西村さんに、展開している事業の特徴、エンジニアの働く環境やサポート、採用において求めている人材などのお話を伺いました。

本日お話を伺った方
男性イラスト

株式会社DeepX
ソリューション部マネージャー

西村 弘平さん

生産現場の革新に向け建設機械の自動化に取り組む

株式会社DeepXのメンバー2名による現場の風景写真

編集部

初めにDeepXさんの事業内容について、ご説明をお願いいたします。

西村さん

弊社は、建設機械の自動化に取り組んでいる会社です。ミッションとしては「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する。」というものを掲げています。

自動化に取り組む背景には、建設現場の深刻な人手不足があります。労働人口の減少にともない、機械の自動化に対する需要が急速に高まっているんですね。ですから人がやっていた業務を、デジタルに置き換えることに挑戦しています。

編集部

今はどういった建設機械の自動化に取り組んでいるのですか。

西村さん

例えば「ケーソンショベルによる地盤掘削作業の自動化」があります。これは「ニューマチックケーソン工法」というやり方で用いられる地下を掘るためのショベルで、オペレーターが地下空間のカメラ映像を見ながら操作していたのを、自動運転システムに代替しようというものです。

他にも「バックホウ(油圧ショベル)によるダンプ積み込み作業」や、「移動式クレーンによる荷の運搬作業」の自動化に取り組んでいます。

編集部

自動化の開発は、どのレベルまで進んできているのですか。

西村さん

今は実証実験中というフェーズで、現場での完全運用という段階にまでは至っていません。ゼネコンや建設機械メーカーの皆様、また建設機械をユーザーとして利用している各企業と共同で取り組んでいる最中です。

プロジェクト数を増やし、より多くのお客様への価値提供を目指す

株式会社DeepXのメンバーによるミーティング風景

編集部

建設機械の自動化に対する需要は、どんなペースで伸びているのでしょうか。

西村さん

それをご説明するには、弊社が請け負っているプロジェクト数の推移をお話しするとわかりやすいと思います。

プロジェクト数は、2021年は5件でしたが、2022年には8件、2023年には10件というペースで伸びてきました。さらに2024年には16件、2025年には21件と、これまで以上のハイペースで拡大していく計画になっています。

建設機械の自動化というと、かつては夢物語でした。しかし今や建設現場において、本当に現実になりつつあるということを日々実感しています。

編集部

資料を拝見すると、DeepXさんは受託開発業務を短期・中期の柱としつつ、長期的には自社製品の販売を強化する方向なのですね。

西村さん

そうです。今は受託開発事業を行いながら、ここから得られる知見を蓄積しています。そして次の段階で、蓄積した技術を元にしたライセンス事業へ移行し、自社製品の販売による成長を計画しています。

自動化機能はもちろんですが、その技術的な要素である可視化や操作アシストなど、部分的な機能のライセンス事業も見据えています。

ソリューション部の社員は全員が建機の資格を取得

株式会社DeepXのメンバー3名によるミーティング風景

編集部

次にDeepXさんの、エンジニアに関するお話を伺います。今はどういった開発体制を敷いているのでしょうか。

西村さん

現在の総社員数は約40人で、その内エンジニアが占める割合は7割前後です。弊社ならではの特徴としては、私が所属しているソリューション部のすべてのメンバーが建設機械の資格を取得する決まりになっていることが挙げられます。

建設機械の資格に関してですが、「車両系建設機械」という技能講習を修了すると、油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダーなど複数の建設機械を動かすことができます。

編集部

エンジニアが資格を取得する狙いを教えてください。

西村さん

簡単に言うと「動かそうと思っているものを知りましょう」ということです。開発しているシステムや機械への理解を深める目的ですね。ソリューション部に関しては、取得を義務づける理由として「安全教育」があります。これは一番大事な部分なので、全員がきちんと取得することになっています。

編集部

顧客であるゼネコンさんや建設機械メーカーさんからの信頼も得られそうですね。

西村さん

おっしゃる通りです。きちんと資格を取得して開発に取り組んでいるので、クライアントの皆さんからは、やはり高く評価いただいています。

常に安定しながら開発を進められるため、プロジェクト増加にも対応できる

編集部

DeepXさんの受託プロジェクトの数が増えてきているのは、実用化がそれだけ近づいてきているということですか?

西村さん

自動化技術が成熟してきたことに加えて、組織体制が効率化してより多くのプロジェクトを開発できるようになってきたと考えています。今後、人員を補強して、よりプロジェクト数を増やしていきたいと思います。

編集部

御社の開発体制には、どんな特徴があるのですか。

西村さん

組織体制では、Vモデル(※)とアジャイルのハイブリッドモデルを採用しています。
(※)Vモデル:V字モデルともいう。開発の工程をV字で表したもので、テスト工程を明確にでき品質を高められることが特徴。

そもそも建設機械の自動化は技術的にも難しく、不確実性も高い開発になります。システム全体の開発・テストはVモデル開発で2〜3ヶ月のサイクルで行い、機能単位の開発サイクルはアジャイル開発によって2〜3週間単位で進めるといった形で、難易度の高い自動化システム開発に取り組んでいます。

建機自動化への取り組み経験がエンジニアにとって最大の価値

株式会社DeepXのオフィスにおける執務風景

編集部

DeepXさんのエンジニアにとって、「この会社に勤めているからこそ得られる経験」はどんなものがあると思いますか?

西村さん

建設機械の自動化にここまで取り組んでいる会社は、ほとんどないということです。それが何よりの経験であり、価値だと思います。

そもそも国内では、メーカーのごく一部を除けば我々しか取り組んでいない分野だと思います。世界を見ても、両手で数えられる程度です。ですから、建設機械の自動化という新たな領域に存分に挑戦できます。

しかもロボティクスという領域は、複数の技術が入り混じった、いわば総合格闘技のような側面があります。最先端のさまざまな技術に触れることができ、学ぶことができます。これもエンジニアにとっては大きな魅力だと思います。

外部会議への参加や書籍の購入などは柔軟にサポート

編集部

では、エンジニアがスキルを高めていくためのサポートとして、DeepXさんではどんな後押しをしているのでしょうか。

西村さん

もちろん内容や金額感にもよりますが、外部の会議への参加や書籍の購入を申請すると基本的に通ると思いますね。エンジニアが「これは大事」だと説明できるものは、たいていは費用面を負担しています。

編集部

定期的な勉強会の開催などによる支援はありますか。

西村さん

定期的なものは特にありません。ただし弊社の組織構造としては技術単位でチームになっており、チーム内での知見の共有は、かなり広く行われています。それによって勉強できることは、非常に多いと思います。

編集部

情報共有について、よりスムーズに行うための工夫などはございますか。

西村さん

基本的には業務に必要なタスクが、すべて1つのツールの中にまとまっています。そこから必要な情報を、たどれるようになっています。しかも他のメンバーが今、どんなタスクに取り組んでいるかということも、見えるようになっています。

編集部

情報をオープンにすることで、他のメンバーの業務も把握できますし、連携もスムーズになるわけですね。

「一定頻度の出社を推奨」する自由度の高いリモートワーク

株式会社DeepXの業務イメージ写真

編集部

では次に、働き方について伺います。エンジニアの方の勤務体制は、どんな状況でしょうか。

西村さん

コアタイムを11時から15時に設定したフレックスを導入しています。始業および終業時刻は、所定の時間を超えた労働時間を確保すれば自由に設定できるのも特徴です。

働く場所に関しては、リモートワークとオフィス出社を選択できるようにしています。これは、個人が思うベストな働き方を、自分で設計してもらうことが目的です。

リモート・出社の選択については、チームにより運用ルールが異なりますね。基本的には1週間〜2週間に1回出社をして、メンバー間でコミュニケーションを図るという方針が浸透しています。会社としては「一定頻度の出社を推奨」という伝え方をしているだけなので、自由度はかなり高いと思います。

編集部

チームで決められた出社日以外は、各人が必要に応じた出社をするという感じですか。

西村さん

そうです。ただし、ハードウェアを使う開発作業がありますので、その際は出社をして対応することになっています。

祝日に働いて有休を増やせる独自の福利厚生制度

編集部

DeepXさんの福利厚生制度について、特徴的なものはあるでしょうか。

西村さん

他社様であまり聞かないものとしては「祝日を通常業務日として、その分有休を追加付与する」という制度があります。

人によって捉え方はさまざまで、自分本位で予定を組みやすいというメンバーもいれば、家族の事情で暦通りの休みを取りたいという人もいます。当然ながら暦通りに有休を取得することもできるので、どちらでも選べるという意味では、便利で効率的な制度であることは確かだと思います。

編集部

ワークライフバランスの観点からも、柔軟に設定できるのはすごくありがたいという気がしました。

西村さん

そうですね。業務のタイミングとしてどうしても勤務が必要というケースでなければ、基本的にはメンバー全員が自由に休暇を取ることができています。

ハードを動かす「現場」重視の姿勢をバリューで明確化

株式会社DeepXの4つのバリュー
▲株式会社DeepXが掲げている4つのバリュー(公式ページより引用)

編集部

カルチャーについてもお聞かせください。DeepXさんは4つのバリューを掲げていると伺いましたが、どのような内容でしょうか。

西村さん

「現場」「前向き」「当事者意識」、そして「透明性」の4つです。

弊社はソフトウェアを開発している企業です。しかしその目的は、ハードウェアである建設機械を動かすことです。つまりは現場で役立つソフトウェアを追求しているのです。ですから実際に物が動く「現場」を、常に大切にして業務に取り組んでいます。

次の「前向き」とは、失敗から学び続ける組織を目指そうということです。弊社は常に難易度の高い技術に取り組んでおり、大きな失敗をすることが多々あります。たとえ失敗をしても、常に前向きに取り組んで前進し続ける会社でありたいと考えています。

また、弊社は個人の裁量を大きく認めつつ、同時に高い「当事者意識」を求めています。特に自発的なリーダーシップを歓迎しており、メンバーには常にそうした行動を求めています。

そして最後の「透明性」とは、タスクやコミュニケーションをオープンにして、公平な情報量の元で議論を行うということです。

外国籍メンバーにはビザ手続きや日本語研修などをサポート

株式会社DeepXのオフィスにおける執務風景

編集部

DeepXさんには外国籍のメンバーも多くいらっしゃいます。コミュニケーションの円滑化のために、特に工夫されていることはありますか。

西村さん

例えば日本のメンバーがレポートや書類などを書く時には、情報が正しく伝わるように基本的には英語を使っています。反対に外国籍のメンバーからは、日本語を理解しようと努力していることが、雰囲気として伝わってきていますね。お互いにコミュニケーションをうまく取れるように、歩み寄っているという感じです。

あとは文化交流的な行事も、よくあります。例えば、2022年の忘年会は屋形船で行いました。外国籍のメンバーに日本的な文化を伝える一環ですね。そういう行事は割と頻繁に開催しています。

編集部

外国籍メンバーには、どんなサポートが用意されているのですか。

西村さん

まずは「ビザサポート」ですね。これは就労ビザの手続きと、それにかかる費用の支援です。また「日英語学研修サポート」があります。これは、外国籍メンバーには日本語の研修機会を提供し、日本人には英語の研修機会を用意するものです。

さらに初来日の外国籍メンバーには、来日後1カ月間はウィークリーマンションを提供し、家賃を全額支援しています。

DeepXが求める人材は失敗しても前向きに取り組める方

株式会社DeepXのオフィス風景

編集部

最後に、採用についてお伺いします。DeepXさんが求めている人材は、どんな方でしょうか。

西村さん

私達がぜひきていただきたいと思う人材は、技術が大好きだという方です。しかも、うまくいかないことが多くても、前向きに取り組むことが大切だと考える方ですね。

さらに付け加えると、いろいろな人と話をすることが好きで、常に仕事にポジティブに取り組める方がいいですね。そういった方と、ぜひとも一緒に仕事をさせていただきたいと思います。

私が所属するソリューション部についてお話しすると、いろいろな先端技術に常に接していられることが一番の魅力です。開発部門としては最も日本人が多い部門でもあり、マネジメント的なポジションも担っています。

業務にはクライアントワークもあり、ビジネスと技術の両方を繋げることが重要になります。難しいですがやりがいがある仕事なので、この働き方に興味を持つ人にも、ぜひ応募いただきたいです。

編集部

トライアンドエラーを繰り返しても、常にめげずに前進できる方がフィットするのですね。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社DeepX:https://www.deepx.co.jp/ja/
採用ページ:https://www.deepx.co.jp/ja/joinus/