全社員リモートワークの株式会社サイバードが取り組む“ワークスタイル変革”

企業が取り組む新たな働き方を、ワークライフバランスの観点で紹介するこの企画。今回は全世界でシリーズ累計会員数4,000万人を誇る女性向け恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」などを提供する、株式会社サイバードを取材しました。

大人気恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」を提供する株式会社サイバード

株式会社サイバードが提供する恋愛ゲームブランド「イケメンシリーズ」のイメージ
▲ゲームのほかにもグッズ販売やリアルイベントなど幅広く展開している「イケメンシリーズ」

日本のモバイルインターネット黎明期に創業した株式会社サイバードは、数々のエンタテインメントサービスを提供する企業です。

現在は「イケメンシリーズ」をはじめとした各種ゲームやコンテンツを中心に、ファンサイト、グッズ、2.5次元舞台、ネットくじ、オンラインIP検定など、ゲームの枠を超えた多くのクロスメディアミックスを通じ、ファンとの交流を創出しています。

会社名 株式会社サイバード
住所 東京都渋谷区猿楽町10-1 マンサード代官山
事業内容 ・モバイルを軸としたコンテンツサービス/ゲームの提供
・コンテンツビジネス支援、クロスメディアソリューションの開発/提供
・モバイル/Webサイト構築
・eコマース、次世代プラットフォーム/テクノロジーの研究開発
設立 1998年9月
公式ページ https://www.cybird.co.jp/
働き方 リモートワーク勤務(出社+リモートワークのハイブリッド勤務も可)
フレックスタイム制度(コアタイム10:00-15:00)

創業時より、社員の心身の健康に取り組んできた株式会社サイバードは、優良な健康経営を実践している企業として、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に2年連続で認定されています。

2020年5月に“ワークスタイル変革”を掲げ、新たな働き方に取り組んでいる同社には、どのようなワークライフバランスへの施策が進められているのでしょう。

人事統括部コーポレートコミュニケーション部の川尻真由香さんと根本朋子さんに、同社の働き方や福利厚生、働きやすさを支えるカルチャーについてお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社サイバードの川尻さん

株式会社サイバード 人事統括部
コーポレートコミュニケーション部
採用 ER担当

川尻 真由香さん

株式会社サイバードの根本さん

株式会社サイバード 人事統括部
コーポレートコミュニケーション部
PR ER担当

根本 朋子さん

全社リモートワーク継続を決定したサイバード

株式会社サイバードのオフィス各所

編集部

「イケメンシリーズ」をはじめ、ファンサービスをサポートする「FaneX」を運営されているサイバードさんですが、スタッフのみなさんはどのような働き方をされているのでしょうか。

根本さん

当社の特徴として、全社員がフルリモートで勤務していることが挙げられます。創業時より、社員1人ひとりの心身の健康を推進してきた当社は、コロナ禍による措置としていち早くリモートワークを導入、2020年5月には新しい働き方への取り組み“ワークスタイル変革”として全社リモートワークの継続を決定しました。

リモートワークによって居住地が限定されないことから地方採用も増えており、働き方の多様化やワークライフバランスへの取り組みを積極的に行なっていることが、当社の特徴です。

編集部

サイバードさんは東京・代官山にオフィスを構えていますが、首都圏および、関東圏以外に在住しているスタッフはどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

川尻さん

割合としては全社員の1割程度が関東圏外に在住しています。エリアとしては九州から北海道と、さまざまです。

リモートワークを導入したことで地方在住者の採用が可能になったことに加え、既存の社員が関東圏外に移住することも増えています。地元に帰る者の他、住みたい町に移住する者もおり、それぞれがリモートワークを生かした生活基盤を整えながら業務にあたっています。

出社が必要な業務がある場合はハイブリッド勤務も可能

編集部

新卒採用の場合は研修などもあり、出社が必要なこともあるように思われます。この場合はどのような勤務形態になるのですか?

川尻さん

当社が研修に力を入れていることもあり、入社1年目はオフィスに通勤しやすいエリアに住み、2年目以降に自身の業務内容に合わせ、上司と相談しながら地方に移住する者もいます。実際に、出社頻度が低い業務を担当している社員の中には、入社2年目に関西に移住した者がいます。

業務によっては一部、出社が必要な場合もあるので、出社頻度に合わせて居住地を選び、出社とリモートのハイブリッド勤務をすることも可能です。業務指示によって出社する場合は、交通費が全額支給されます。

編集部

サイバードさん全体の出社とリモートの割合はどのようになっていますか?

根本さん

グループ会社を含め、約300名の社員がいる当社ですが、出社勤務の者は多くても1日20名と、1割にも満たないことが多く、ほとんどの社員がリモートワークを選択しています。

川尻や私のようなコーポレート部門の社員は他の者に比べて出社することが多いのですが、それでも月に3回程度となっています。

編集部

業務に合わせて勤務スタイルを選べるということですね。私もご縁があってサイバードさんのことはよく存じているのですが、新しいことを次々とされている御社の取り組みに、企業成長を強く感じます。

“社員による社員のための全社朝会”がサイバード流

グリーンバックの前で社員向けコンテンツを配信する株式会社サイバードの川尻さんと根本さん
▲社員向けのコンテンツを配信している風景。リモート下のコミュニケーションを大事にしているのがサイバード

編集部

リモートワークの最大の課題は、コミュニケーションかと思われます。サイバードさんではどのような工夫をされているのでしょうか。

根本さん

コミュニケーションに関する全社の取り組みとしては、「縦と横のコミュニケーション」を大事にしています。まず、経営層から社員に対して、経営メッセージを発信しています。また、事業部単位で全体会を実施する他、Employee Relations(※)的な要素が強い、社員による、社員のための情報発信を全社朝会という位置付けで開催しています。これらは全てオンラインで実施しています。
※Employee Relations:従業員と企業のコミュニケーションを円滑に図っていくことで健全な組織運営に繋げていく人事部門の機能

双方向のコミュニケーションを大切にしている当社では、グリーンバックと本格的なカメラを用意し、社員が楽しめるコンテンツ配信を毎月1回、約30分間実施しています。また、社員の新しい取り組みの発表の場としても活用しています。

編集部

トップダウンではなく、まさに社員による社員のための朝会なのですね。

新たな取り組みを発表する「ナレッジコンテスト」を実施

編集部

サイバードさんの全社朝会では具体的にはどのようなことが発表されるのでしょう。

根本さん

新しくリリースするサービスやコンテンツの詳細情報を担当社員から全社員に向けて発表する他、当社が掲げる挑戦・本質・愛のバリューを体現し、活躍した社員を半期に一度表彰するCYBIRD AWARDのうち、ナレッジコンテスト受賞者のトップ5が毎月1人ずつ登場し、ナレッジを発表します。また、新たにジョインした者を紹介する場としても活用しています。

編集部

CYBIRD AWARDは、具体的にどのような取り組みをした方が表彰されるのですか?

根本さん

当社が掲げるビジョン、ミッション、バリューに沿ったアイディアを出し、新しい取り組みをしたり、汎用性、売り上げ貢献度などを経営陣が総合的に審査し、該当者を表彰します。

直近では、当社の恋愛シミュレーションゲームのデータベースの改善を実践した者が表彰されました。

シリーズ化しているこのゲームは、シナリオなどのデータが膨大で、従来は担当者が変わるたびに1つずつ伝えるという非常に労力がかかる作業が必要でした。新たなデータベースは、誰でも間違えずに簡単に使えるシステムに再構築され、キャラクターの性格や話し方などを整理したことが評価されました。

再構築したスタッフはエンジニアではなく、データ分析の担当者や海外事業部所属、プランナーなどの業務を担う社員というのも特徴です。プログラミングの知識が特別あるというわけではなく、自分で調べながら作り上げたことも、評価ポイントになっています。

生産性向上にも効果があるナレッジコンテスト

編集部

ナレッジコンテストは評価の指標になると思われますが、導入に至った背景についてお聞かせください。

根本さん

ナレッジコンテストの導入には、生産性が関係していると思われます。目指しているのは「個人やチームの経験・知を、グループの資産に昇華させる」ことです。全員が出社勤務だった時は、隣にいる社員にアイディアを求めたり、質問ができる環境でしたが、リモートワークは意識的に共有をしないと業務が滞ってしまうことがあります。

経営の課題として解決策を模索する中、会社と社員が成長するためには、ナレッジという会社の資産の共有が不可欠であるという気づきがありました。しかし、新たに取り組んだことを自発的に発表するハードルを考え、コンテストとして発表する場を設けたことがナレッジコンテストの始まりです。

これにより、「こんな仕事をしていたんだ、こんなことができるんだ」という社員のスキルの発見にもつながりました。

編集部

リモートワークにシフトしたタイミングで「ナレッジをより共有していきましょう」ということから、ナレッジコンテストが生まれたのですね。

復職率100%のサイバードは役職付きの男性社員も長期育休を取得

株式会社サイバードの社名ロゴの飾り物

編集部

サイバードさんが実施している全社員のリモートワークは、お子さんがいる社員のワークライフバランスにも寄与していると思われます。育児休暇の取得率や、復職後の働き方についてお聞かせください。

根本さん

育児休暇からの復職率が100%という数字が示すように、リモートワークによって働きやすさが強化されたと自負しております。復職後の部署は基本的に育児休暇前と同じ部署になっており、ブランクを感じずに仕事ができるよう配慮しています。

最近は男性社員の育児休暇取得率も増えてきており、なかには役職がついている者でも6ヶ月の休暇を取得したケースもあります。役職がある者が長期間休むのは、不安もあるのではと本人に尋ねたところ、自分が不在中の仕事を部下に引き継がせて休暇に入ったところ、復職後に部下の成長を如実に感じたそうです。

役職の有無に関わらず、それぞれがサポートする体制が整っているので、われわれとしても男性が育児休暇を取ることに、社員が全く違和感を抱いていないことを肌で感じています。

女性社員の6割中、4割が管理職。キャリアを支えるスライドワーク

編集部

サイバードさんは女性管理職の比率も高いと伺っております。具体的な比率を教えていただけますか?

根本さん

全社員の6割が女性社員という当社は、そのうち4割が管理職に就いています。意識的に女性活躍のための施策は取っていませんが、女性向けのコンテンツが多い会社ということもあり、自然と女性社員が増えたことが背景にあります。

経営層も子育て世代が多く、育児休暇に対する考えを自分ごととして捉えています。このようなキャリアと育児を両立させるカルチャーに後押しされ、キャリアを積む女性社員が多い印象です。

編集部

小さなお子さんがいると、保育園や幼稚園の送迎、突然の体調不良など、リモートワークであっても勤務時間内に中抜けをすることもあると思われます。そのような場合の制度などはありますか?

根本さん

10時から19時が定時、10時から15時をコアタイムとしている当社では、一例として勤務時間を9時から18時とし、子供を早めに預けて、お迎えを早くするという調整をしているものもいます。

チーム内で調整を取ることができれば勤務時間はある程度自由に設定できるので、家族の介護など、期間限定でスライドワークをしている者もいます。

編集部

経営層が子育て世代であることは、子育て世代の働き方に理解があり、社員は安心してキャリアと子育てを両立しながら働くことができますね。

健全なプライドを持って仕事に取り組むサイバードの社員

株式会社サイバードの根本さんと川尻さんが25周年のTシャツを持っているようす

編集部

続いて、サイバードさんのカルチャーについて伺います。業務に関することではオンラインによる情報発信やナレッジコンテストなどが行われているとのことですが、業務以外のところで、スタッフ間のコミュニケーションを目的とした社内イベントなどは開催されていますか?

川尻さん

季節に応じたイベントなどを開催し、オンラインだけではなく、リアルで集まれるものはオフィスで楽しむかたちでハイブリッド型のコミュニケーションを図っています。

コミュニケーションについては試行錯誤をしながらブラッシュアップをし、生産性向上と効率化、そして社員が業務へ取り組む意欲の向上を目指していく方針です。

編集部

なるほど。コミュニケーションを積極的に図っているサイバードさんですが、社員から見て、面白いと感じるカルチャーはありますか?

川尻さん

さまざまな事業を展開している当社は、ゲーム制作を担う事業部もあれば、BtoB的なことを担う部署など、各セクションにプロフェッショナルがいることが面白いと感じます。カルチャーとしては設立記念日の「CYBIRD Day」に当社ならではの特徴があると感じます。

社員がグループになって、会社をどう発展させたいか、変えていきたいかなどを話し合い、全社員に共有するのですが、その中には、健全なプライドを持って仕事に取り組む社員がすごく多いという声が、社員から寄せられます。社員の声こそが、当社がどんな会社であるかを如実に語っていると思います。

編集部

働く社員の方が働きがいをもって仕事に向き合っていることがわかる、素敵なエピソードですね。根本さんはサイバードさんのカルチャーの特徴をどのように捉えていますか?

根本さん

社員に会社の良いところをヒアリングすると、「自分の意見を聞いてくれる」、「チャレンジさせてもらえる環境」など、ポジティブなメッセージを送る社員が多いことが当社の最大の魅力だと思います。

チャレンジできる環境がカルチャーとして根付いている当社は、設立25年を迎え、ゲームやIT系の業界では、老舗の部類に入ります。それに甘んじることなく、チャレンジングな精神を持ち続けていきたいと考えております。

新卒2年目の企画が採択されることも!エンジニアは自発的に勉強会を開催

編集部

社員がチャレンジをした結果、実績につながった事例などがあればぜひ、お聞かせください。

根本さん

業務に特化したものでは、新卒2年目でも新しく企画を提案、採択されることはよくあります。大きいプロジェクトの場合は、その中の1つの企画をやりたいと手を挙げると、その者が担当するといったスピード感があります。

業務外のコミュニケーションでのチャレンジは、AIやChatGPTなど新しい分野に対する勉強会を、エンジニアが主導となって開催しています。

編集部

自ら手を挙げやすいサイバードさんの環境があるからこそ、社員は積極的にチャレンジできるのですね。

挑戦できる環境のサイバードで、自分らしく働きたい方を歓迎

編集部

社員1人ひとりの活躍と生活の充実をサポートするための制度が充実しているサイバードさんの働き方やカルチャーに興味を持った読者は多いと思われます。最後に、転職を検討している読者に向け、メッセージをお願いします。

川尻さん

サイバードには意義があることに関して、手を挙げれば挑戦できる環境があります。実現したいことが明確にある方は、ぜひ、この環境を有意義に使っていただきたいと思います。

リモートワークやスライドワークなど、ワークライフバランスを整えやすい制度となっているので、自分らしい働き方を見つけることができるはずです。働きがいと働きやすさのバランスに優れたサイバードで、自分のスキルを思う存分発揮していただけたら幸いです。

編集部

社会環境の変化や個々のライフスタイルの変化に対し、働き方についても柔軟に対応しているサイバードさんの姿勢は、生産性や社員の意欲向上につながっているのですね。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社サイバード:https://www.cybird.co.jp/
採用ページ:https://www.cybird.co.jp/recruit/