注目企業の躍進の理由や新しい働き方などについてインタビューをしていくこの企画。今回は、Webセキュリティサービスを全世界に向けて提供している企業、株式会社サイバーセキュリティクラウドにお話を伺いました。
株式会社サイバーセキュリティクラウドとは
株式会社サイバーセキュリティクラウドは「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、Webセキュリティサービスをサブスクリプションで提供している企業です。メインプロダクトであるクラウド型WAF(※)「攻撃遮断くん」は、外部からのサイバー攻撃を遮断し、Webサイトを守ります。
※WAFとは「Web Application Firewall」の略で、Webサイト上のアプリケーションへの攻撃を防ぐセキュリティ対策の一種。
会社名 | 株式会社サイバーセキュリティクラウド |
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住所 | 東京都品川区上大崎3-1-1 JR東急目黒ビル13階 |
事業内容 | AI技術を活用したWebセキュリティサービスの開発、サイバー攻撃の研究及びリサーチ、AI技術の研究開発、脆弱性診断および管理サービスの提供 |
設立 | 2010年8月 |
公式ページ | https://www.cscloud.co.jp/ |
働き方 | テレワーク、スーパーフレックスタイム制 |
今回は、株式会社サイバーセキュリティクラウドの倉田さんと下村さんのお二人に、国内トップシェアを誇り業績を伸ばし続けられている理由や、テレワークやスーパフレックスによる柔軟な働き方についてお話を聞かせていただきました。
成長性が高いマーケットで、Webセキュリティサービスを提供
編集部
まず、サイバーセキュリティクラウドさんの事業内容についてご説明をお願いいたします。
倉田さん
サイバーセキュリティクラウドは、WebサイトやWebサーバを守るセキュリティサービスをサブスクリプションで提供しています。
弊社がメインで扱っているプロダクトであるクラウド型WAF「攻撃遮断くん」は、外部からのサイバー攻撃を可視化・遮断し、情報漏洩やサービス停止、改ざんなどからWebサイトを守るWebセキュリティサービスです。業種・業態や企業規模を問わず幅広くご利用いただいており、国内シェアNo.1(※)です。
(※)日本マーケティングリサーチ機構調べ調査概要:2021年10月期の実績調査
弊社の特徴としては、まず成長性の高い領域のマーケットで事業を展開していることが挙げられます。我々が事業を行っているサイバーセキュリティ市場は、2027年には34兆円になると予測されている、ポテンシャルの高い市場です。その中で年率30%以上という高いARR成長率があり、国内シェアNo.1という業界トップの実績、および90カ国以上での利用実績があります。
編集部
成長性が高いマーケットで事業展開をされているとのことですが、マーケット環境についてもう少し詳しいお話を聞かせていただけますか?
倉田さん
オンライン化やDXが進んだことにより、あらゆるサービスがインターネットを通じて提供され、サイバー攻撃数は毎年増え続けています。
PCのウイルス対策ソフトは8割以上の企業に普及していますが、Webサイトを守るための「Webセキュリティ」領域はまだまだ浸透していないのが現状です。弊社がメインとしている「WAF」は、日本全体で見てもまだ1割程度しか導入が進んでおらず、Webセキュリティ対策の必要性が認識されていないのです。
毎日のように報道されている情報漏洩などのなかには、Webセキュリティ対策を怠っているから発生したものが多く存在します。でも、なかなかその事実も認識されず、不正アクセスによる被害が後を絶たないんです。
私たちはWebセキュリティに対しての普及啓発を行い、日本のセキュリティ対策をより高い水準に持っていくためにさまざまなフォローアップをしております。まだまだ伸びしろがある領域で、かつ他のITサービスと比べてもニーズが増え続けることが間違いないといわれる、とても面白い業界だと思います。
数少ない、国産プロダクトを自社開発自社運用する企業
編集部
御社が高い成長率を実現できているのは、マーケットの成長性が高いことも一つの理由とのことですが、他の理由についても教えていただけますか?
倉田さん
サイバーセキュリティクラウドは自社でプロダクトを開発・運用・販売まで行っていることに加えて、Webセキュリティの領域に特化しています。セキュリティ事業を行っている会社がたくさんある中で、当社は他社と異なるポジショニングをしていることが、高い成長率を実現している理由のひとつに挙げられます。
日本のセキュリティ市場では、自社でプロダクトを作らずに海外製品を用いてサービスコンサルを提供している会社が多いです。また、プロダクトを作っている会社でも、PC端末の監視やウイルス対策などの「社内向けセキュリティ」が多数です。
こうした中で、弊社は国産のWebセキュリティ製品を自社で開発から販売までしているのが特徴的です。全て自社で行っているので、顧客のニーズや問い合わせに、スピーディーかつ柔軟に対応したり、売りながらニーズや状況を踏まえて製品に反映させたりといったことが実現できます。
事業を始めた当初は、自社でプロダクトの開発・運用・販売までをオールインワンでやるのは難しく、専業としている企業はほとんどいませんでした。はじめのうちは赤字続きでしたが、根気強く続けたことでだんだんとお客様も増え、知名度・実績をあげることができました。企画から開発、運用、サポートまで全てのプロセスを内製化しているからこそ、同業他社と比べても大きく成長することができたのだと思っています。
編集部
差し支えなければ、御社の成長率について具体的なデータなどを教えていただけますでしょうか?
倉田さん
まず売上高でいうと、2017年から2022年までの5年で9.2倍に増加しています。また、従業員数も上場前から3倍超に増え、平均給与の増加率に関しては上場前の2019年から上場後の2022年でプラス20%の伸びとなっています。
オフィスも組織拡大に合わせて変更しており、2017年から3度移転しています。数字の伸び率やオフィスの移転頻度からも、弊社のスピード感や成長感を感じていただけるのではないでしょうか?
また、国内トップシェアのサービスをサブスクリプションで提供しているだけでなく、ストック収益が9割を超えるため、経営基盤の安定性は非常に高いと思っております。
編集部
成長性の高い市場の中でもメインとする領域が他者と違っていたり、国産のプロダクトを内製化していたりすることが、御社の成長の秘訣だということがわかりました。
生産性の高い働き方を模索中。週1日は出社しての対話を推奨
▲目黒駅直結のオフィス。オフィス内はフリーアドレスとなっている。
編集部
2021年からスーパーフレックス制度を始められていて、テレワークを併用して運用されているとお聞きしました。テレワークやスーパーフレックスを導入されている背景や実際の社員の皆さんの働き方についてお伺いしたいと思います。
下村さん
まずワークスタイルに関しては、ソフトウェアを作ってお客様に届けるために、1つのチームとして連携し、うまく協力し合って仕事をしなければならないという基本的な考え方が前提にあります。メンバー間がしっかりと意思疎通をはかり、チーム一丸となって成果を出すために必要な働き方は何かを、いろいろ模索している段階です。
現段階では、オフィスワークとテレワークの2つをうまく組み合わせて、チームや各個人の生産性が最も上げられる最適なバランスをとっていくことが、会社として大事にしている考え方です。
編集部
出社率は30%とのことですが、出社する日にちなどはチームで決めて運用されているのでしょうか?
下村さん
はい、今は部署ごとで出社する日や曜日を定めて、それ以外も必要あれば出社するといった形をとっています。週何回かは出社をし、上長や業務上関係が深いメンバーとは、少なくとも週1回対面での会話ができるようにしてもらっています。
オフィスワーク・テレワークはそれぞれ、作業や人によって向く向かないがあると思っています。オフィスワークは、複数人でディスカッションしてアイディア出しをする共同作業やナイーブな内容の対話をする面談に向いていると考えていますので、こうした作業や会話は出社してするようにしています。
一方で、テレワークは個人で集中して作業するのに向いていると思っておりますので、部門や個人の状況に応じて使い分けられるようにしています。
育児や自己学習などの時間も調整可能なワークスタイル
編集部
スーパーフレックス制を導入されているので勤務時間は自由度が高いと思うのですが、実際みなさんはどの時間帯に働かれているのでしょうか?
下村さん
人によってばらつきはありますが、オフィスアワーに近い時間帯で働いているメンバーが多いですね。朝は9時台から仕事を始める人もいれば、11時頃から始める人もいます。帰る時間も人によってさまざまです。
月間160時間を勤務していただければ問題ないので、1日当たりの勤務時間は柔軟に調整できます。中抜けすることもできるので、お子さんがいるメンバーだと保育園などのお迎えのために一旦中抜けして、戻ってきてから仕事を再開するというケースもあります。
編集部
今日は5時間働いて、明日は11時間働くといった働き方もできるということですね。子供の授業参観日や急病にも対応できるので、育児や介護との両立も叶えられる環境だと感じました。
編集部
勤務時間も自分で調整でき、さらに月の残業時間も21.7時間(1日あたり1時間程度)と比較的残業時間も短いので、ワークライフバランスも実現できそうだと思いました。実際社員のみなさんはプライベートはどうされているのでしょうか?
下村さん
残業時間もそれほど長くないですし、勤務時間も柔軟に調整できるので、自己学習の時間にあてているメンバーも多いように思います。社員の学びを支援する制度としては、資格取得支援制度や書籍購入補助制度があります。
書籍購入補助制度は2023年2月にリニューアルして、月に税込みで5,500円まで補助が出る形にしました。リニューアル以降で利用が増えて、現在では5割以上の社員が活用しています。
社員の交流を補助する、バーチャルオフィスと社内部活
編集部
テレワークを支えるものとして、バーチャルオフィスのoVice(オヴィス)を導入されているそうですが、導入の背景を教えていただけますか?
下村さん
2020年の秋頃は全員がテレワークをしていて、用がないとなかなか連絡しないような状況がありました。もっと雑談やちょっとした声かけをしやすい状況をリモート環境下でも作れないかということで、全社的に導入しました。
今は出社が増えていることもあって、雑談はオフィスでやりがちですが、テレワークが多いチームは、oVice(※)を有効活用してコミュニケーションをとっているようです。
(※)oVice社が提供するバーチャルオフィスツール。
編集部
社員さんのコミュニケーションを補完するものとして社内部活もあるそうですが、社員の皆さんはどのように参加されているのでしょうか?
下村さん
球戯部、ヨガ部といった運動系の部活もあれば、人狼ゲームをみんなで遊ぶ人狼部、フィットネスに関する情報交換などをするフィットネス部といった多種多様な部活動があります。特に活動内容を細かく規定しているわけではなく、興味のある人たちが集まって発起人が部活動として発足させれば、会社としては活動費を補助するようにしています。
業務の話だけですと社員同士の関係性も深まらないですし、互いに理解しあうのも難しいと思います。社内部活は、業務外での接点を持つ機会を創出するため、会社としてサポートする意味合いがあります。
編集部
テレワークやスーパーフレックスを導入されていると、社員さん同士のコミュニケーションが不足する部分も出てきてしまいますが、社内部活などで会社としても補助されながらうまく運用されているのですね。
役員を含め子育て世帯が多く、家族を優先するカルチャー
編集部
会社や社員さんの雰囲気についてのお話を伺えればと思います。社員さんの平均年齢が37歳とのことで、やはり子育て世帯の方も多いのでしょうか?
下村さん
そうですね。世代的にもちょうど出産や育児のイベントを迎える社員が多く、昨年は全社員の1割に子供が生まれました。今もまだ社内はベビーブームで、CFOの倉田や社長の小池のところにも子どもが生まれました。
そのため、家族の用事を尊重する文化があって、休みが取りやすい、融通が効きやすい雰囲気ですね。育児休暇を取得する男性社員も最近増えてきていて、直近の半年でも1ヶ月前後の休暇を取得した社員が2名ほどいます。
編集部
役員の方も同じように出産・育児をされている状況にあると、社員のみなさんも休暇の取得や中抜けもしやすいと思います。7割以上が男性社員とのことですが、男性もお休みを取りながら出産や育児などご家庭のことを優先し、周りもそれを尊重する雰囲気があるのですね。
来年から新卒メンバーも入社、組織として変革期にある
編集部
比較的平均年齢が高めだと思うのですが、基本的には中途採用をされているのでしょうか?
下村さん
現在は中途採用のメンバーのみですが、2024年度から新卒採用のメンバーが入社する予定です。新卒1期生としてエンジニア職7名、ビジネス職2名の計9名の入社を計画しています。
これからさらに組織としても大きくなり、様々なチャレンジ機会も増え、大きな変革期を迎えようとしています。
編集部
新卒社員の方が入社されると雰囲気も変わると思いますし、組織が拡大するにあたって第2成長期のような感じですね。
世界中の顧客に貢献するプロダクトに関わるやりがいを感じて
編集部
最後に、サイバーセキュリティクラウドさんに興味を持たれた読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
倉田さん
私たちは、「CSC Core Values」として「Customer」「Support」「Challenge」の3つを大事にしています。それぞれの頭文字をとったらCSCになるのですが、これは考えていたら偶然会社の略称になったんです。
Customerには、「安⼼安全を届けることが、私たちの存在意義である」という思いを込めています。弊社は理念として「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」を掲げていて、お客様のことをまず第一に考えて、お客様のサイバー攻撃被害をなくすことが事業のメインです。そのため、「Customer」は弊社が常に大事にしているポイントであり、バリューのこだわりとして1番最初に置いています。
「Support」にはさまざまなサポートの考え方がありますが、いろいろな制度を用いながら、社員みんなが働きやすい環境を整えるようにしています。また「Challenge」の観点では、自己啓発の1つの手段として書籍購入補助制度などを提供して、多くのチャレンジの機会を社員に提供していきたいと考えております。
▲サイバーセキュリティクラウドの掲げるバリュー。
下村さん
サイバーセキュリティクラウドは、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という理念を掲げ、セキュリティサービスを日本のみならず世界中の多くのユーザーに提供していくことを目標としています。こうした理念、目標を掲げている弊社だからこそ、感じていただけるやりがいや達成感があると思っています。
エンジニア職であれば、自分が日本で作ったプロダクトやサービスを世界中の方々に使っていただけるという、手応えややりがいを感じてもらえます。これからも開発したものを使っていただける機会は増えていくはずですので、自分が手掛けた仕事のインパクトの大きさを感じていただければ嬉しいです。
また、セールス・マーケティング職種に関しても、扱っているプロダクトは日本でトップシェアかつ世界中で提供しているプロダクトであると自信を持って、お客様に提供していくことができる点にやりがいを感じていただけると思います。
少しでもセキュリティに興味がある方、グローバルに実績を持つプロダクトに関わることに興味を持っていただける方であれば、ぜひとも仕事をご一緒したいです。興味を持ってくださったなら、カジュアル面談などをご検討いただければと思いますので、ご連絡をお待ちしています。
編集部
サイバーセキュリティクラウドさんは、設立から十数年で成長率も高く、今後も新卒採用を始められたりと、どんどん拡大されていくことが見込まれています。チャレンジングな部分もありつつも、平均年齢も比較的高めで落ち着いた雰囲気の中で、ワークライフバランスを実現しながら成長出来る環境だと感じました。
社会へのインパクトが大きい仕事がしたい、ワークライフバランスも叶えたいという気持ちを持った方にはぴったりな企業ですね。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社サイバーセキュリティクラウド:https://www.cscloud.co.jp/
採用ページ:https://www.cscloud.co.jp/recruit/