日本初のブッラータを提供する株式会社nobiluのSDGsに見る、新たなチーズ文化の創造

成長著しい企業の魅力をSDGsの観点で探るこの企画。今回は都内に「CHEESE STAND」(※)、福岡には「ABURAYAMA CHEESE STAND」というチーズ専門店や「CHEESE STAND LAB.」という熟成チーズ工房を展開する株式会社nobiluを取材しました。
(*)都内にはレストラン「SHIBUYA CHEESE STAND」、セレクトショップ「& CHEESE STAND」、駅直結ショップ「JAPAN CHEESE STAND」もあります。

チーズ工房併設カフェレストランを展開する株式会社nobilu

株式会社nobiluが店舗で販売しているフレッシュチーズ
▲人気のブッラータ。これは福岡の「ABURAYAMA CHEESE STAND」の工房で作られたもの

株式会社nobiluは、コンセプトに“街に出来たてのチーズを”を掲げ、東京・渋谷、福岡・油山にチーズ工房併設カフェレストラン「CHEESE STAND」を展開するチーズメーカーです。

東京でフレッシュチーズを提供する同社は、日本初のブッラータ(※)の製造に成功。日本の新たなチーズ文化の先駆け的存在として注目されています。
(※)ブッラータ:イタリア原産の水牛、または牛の乳を原料とするフレッシュチーズ

会社名 株式会社nobilu
住所 東京都渋谷区神山町5-8 ステラハイム神山101
事業内容 チーズ専門店「SHIBUYA CHEESE STAND」「ABURAYAMA CHEESE STAND」、熟成チーズ工房「CHEESE STAND LAB.」、工房併設セレクトショップ「& CHEESE STAND」、直営レストラン「SHIBUYA CHEESE STAND」、駅直結ショップ「JAPAN CHEESE STAND」の運営
設立 2012年6月
公式ページ https://cheese-stand.com/

2012年の「SHIBUYA CHEESE STAND」オープン後、2016年には出来たてのフレッシュチーズの他、チーズにまつわる食材を集めたセレクトショップ「& CHEESE STAND」を 渋谷区富ヶ谷にオープン。2022年には世田谷区・尾山台で熟成チーズ工房「CHEESE STAND LAB.」をオープンするなど広がりを見せる株式会社nobiluの成長要因はどこにあるのでしょう。

そこで今回は、株式会社nobiluのチーズ作りへのこだわり、SDGsの取り組みなどについて、副代表・コーポレートコミュニケーションの米田望さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社nobilu副代表・コーポレートコミュニケーションの米田望さん

株式会社nobilu
副代表・コーポレートコミュニケーション

米田 望さん

東京・福岡に5店舗、売上は8倍に成長したnobilu

株式会社nobiluが店舗で提供しているピザ

編集部

2012年に東京・渋谷にてチーズ工房併設カフェレストラン「SHIBUYA CHEESE STAND」をオープンしたnobiluさんですが、創業から現在までの歩みについてお聞かせいただけますでしょうか。

米田さん

2012年に東京・渋谷に1号店となる「SHIBUYA CHEESE STAND」をオープンして以降、徐々に店舗数を増やし、2023年に福岡・油山にもオープンしました。2024年3月にオープンした店舗を含め、現在は5店舗を展開しています。店舗以外ではチーズの工房とチーズケーキなどを製造する工房があり、こちらについても純増しています。

オープン時、スタッフ4名でスタートした当社は現在、社員11名、アルバイトを含めると約15名で店舗・工房を運営しています。(アルバイトを含めると合計で25名になります。)売上においても、創業時と比較すると8倍ほどになっています。

日本初・ブッラータ製造・商品化が成長のカギ

編集部

店舗数、社員数、売り上げ共に成長著しいnobiluさんですが、その要因はどこにあると思われますか?

米田さん

起爆剤になったのは、日本初のブッラータの製造・商品化です。当社はこれまで輸入ものがほとんどだったブッラータを、国内の自社工房で製造販売することに成功しました。このことが話題を呼び、認知拡大や売上につながったと分析します。

2012年のオープン当初は、チーズを日常に取り入れる文化がまだ日本には定着していなかったので、まずは食べやすく、日本人の口に馴染みやすいフレッシュチーズや、低価格の商品を中心に展開したことも、成長の要因になったと思われます。

チーズなどの乳製品は、酪農が盛んな北海道などが有名ですが、美味しいチーズを東京・渋谷で製造し、販売していることも成長の大きな要因と分析します。都会で作りたてのチーズをお届けできる新しい価値を創出していることは、当社の強みでもあります。

編集部

なるほど。鮮度が重要なブッラータを国内で製造・販売することは、先駆的なことだったのですね。

九州に拠点を設け、配送問題を解決。地産地消への取り組み

編集部

福岡・油山に出店したのには、どのような狙いがあったのでしょう。

米田さん

1つは九州に拠点を作るためです。地方発送の場合、東京からでは2日ほどかかってしまうので、どうしても出来たてのチーズが届けられない。福岡に工房を作ることで作りたてのチーズを福岡をはじめ、九州各地の方にお届けすることができます。

また、5大都市圏の1つである福岡は都会的な要素に加え、観光牧場などがある自然豊かな地域です。この地域性を活かし、食育などを体感できることができればという狙いから、オープンしました。地産地消を目指している当社は福岡では福岡市内のミルクを使ってチーズの他、飲むヨーグルトなども販売しています。

自社オウンドメディアやイベントでチーズ文化を発信

株式会社nobiluのメンバーによる調理場の撮影風景

編集部

チーズの製造、販売の他に、nobiluさん独自のブランディングや取り組みなどがあればぜひ、お聞かせください。

米田さん

当社はチーズ屋ではありますが、自社運営のオウンドメディアや、コラボイベントなどを積極的に行っています。

大きなイベントはコロナ禍の影響で現在は止まっていますが、現在は繋がりのあるチーズ工房さんとコラボしたディナーの提供や、10周年を記念し、青山ファーマーズマーケットで当社と関わりのある生産者さんや、名だたる有名店と一緒にイベントを開催しました。

また、オウンドメディア「CHEESE STAND Media」更新は頻繁に行い、豆知識や美味しい食べ方、レシピなど、チーズにまつわる情報を発信しています。

■株式会社nobiluのオウンドメディアはこちら
https://cheese-media.net/

編集部

自社でオウンドメディアを運営することには、どのような狙いがあるのでしょう。

米田さん

「街に出来たてのチーズを」をコンセプトに掲げる当社は、チーズを文化として発信していきたい思いがあります。単に商品としてチーズを製造、販売するのでなく、酪農の現場や環境のことも含めた文化発信基地になることを目指している当社では、その一環としてWeb連載絵本「モッツァーマン」を制作、配信、書籍としても販売しています

■Web連載絵本「モッツァーマン」はこちら
https://cheese-stand.com/story

オウンドメディアによる発信は、お客様にチーズの魅力を伝えたいことに加え、スタッフに向けたコンテンツもあるんです。自分たちが作っているチーズは店舗販売だけではなく、有名シェフやホテルに卸していることをインタビュー記事として発信したり、スタッフにフォーカスしたシリーズの記事なども配信しています。

編集部

とても可愛らしいイラストですね!オウンドメディアやWeb連載絵本を通し、チーズをより身近に楽しんでほしいという、nobiluさんの思いを感じます。

チーズを愛し、藤川代表の思いに共感したメンバーが活躍

株式会社nobiluがイベントに出展した際の藤川さんと米田さん
▲イベント出展時の米田さんと代表の藤川さん。代表始め「チーズ愛」にあふれるメンバーが揃う

編集部

続いて、nobiluさんのカルチャーについて伺います。プロダクトからもチーズへの愛を強く感じますが、御社ではどのような方が活躍されているのでしょう。

米田さん

チーズ職人はやはりチーズが好きなメンバーばかりです。また、飲食業界で長く働くなかで、チーズを作ってみたい思いからジョインした者、酪農業からチーズ職人に転身した者などさまざまです。なかにはこれまでチーズはあまり食べてこなかったけれど、代表の藤川が「CHEESE STAND note」で発信している思いに共感し、入社した者もいます。

■藤川代表が運営する「CHEESE STAND note」はこちら
https://note.com/cheesestand

編集部

さまざまなバックグラウンドの方が活躍されているnobiluさんでは、スタッフの皆さんはどのようなことにやりがいを感じていると思われますか?

米田さん

「美味しい」というお客様の声を聞けた時が一番嬉しいという声をよく耳にします。特にチーズ職人はお客様の反応が一番やりがいにつながっていると感じます。

積極的にコミュニケーションを図り、情報を共有

株式会社nobiluのオンラインミーティング風景
▲オンラインミーティング風景。オフィスと店舗、工房で距離が離れていても連携はバッチリ

編集部

ショップの他、カフェレストラン、工房と異なる業態の店舗を複数展開しているnobiluさんでは、スタッフのコミュニケーションはどのように図っているのでしょう。

米田さん

早朝出勤でチーズを作る職人と、ショップやカフェレストランのスタッフとでは勤務時間が異なる当社は、スタッフ間のコミュニケーションが取りにくいことが課題となっていました。

課題解決のため、最近は社内でしっかり連絡を取り合い、情報をシェアするよう努めています。人数が少ないため、マルチタスクをこなすこともありますが、みんな頑張ってくれています。

また、各部門のトップが密に連絡を取り、会社の方針などをしっかり伝えるようにしています。少数ということもありますが、社員は家族ぐるみで仲が良いことも当社の特徴です。

嬉しいこと、楽しいことはどんどん共有。モチベーションアップに!

株式会社nobiluのSlackのスクリーンショット
▲情報共有や雑談など、Slack上でのコミュニケーションも活発

編集部

コミュニケーションを円滑にするにあたって、工夫されていることはありますか?

米田さん

社内の連絡ツールは、Slackを活用しています。また、スタッフの誕生日にはスタンプを送り合ったり、お客様からいただいた嬉しい言葉を共有するチャンネルもあります。

お客様の声の中には、厳しい意見があることもありますが、それだけではギスギスしてしまうので、例え些細なことでも楽しいこと、嬉しいこともシェアするようにしています。

編集部

どのような意見がシェアされているのか、差し支えなければいくつかご紹介いただけると幸いです。

米田さん

オンラインショップで購入したお客様からの「美味しかった」という声や、期間限定のあの商品をぜひ今年も販売してほしいなどの声をシェアしています。DMの他、SNSでも発信してくださるお客様も多く、その声は販売時期の調整などにも役立っています。

マルチタスクを経験することで成長できるnobilu

編集部

チーズ職人、接客といくつか職種があると思われますが、nobiluさんのスタッフはさまざまな業務を経験することができるのでしょうか。

米田さん

工房と店舗が同じ空間にある場合は、工房での業務が終わったら接客に回るシフトを作ることがあります。また、月に1回の商品開発の場には、代表、工房長、シェフ、社員代表の私などが参加し、商品を企画しています。

他にも、2023年にオープンした福岡・油山の店舗スタッフが東京の店舗で研修をしたり、反対に東京の工房スタッフが福岡に出向したりなど、さまざまな業務を担っています。

編集部

業務を属人化せず、社員、アルバイトを含めたスタッフがさまざまな業務を担うことは、円滑なコミュニケーションにもつながると感じました。

これからの10年のために刷新したバリューと10の行動指針

編集部

nobiluさんはオープン10周年を機に、ビジョンと行動指針を新たに掲げられたと伺っております。どのような思いが込められているのでしょう。

米田さん

ビジョンや行動指針には、私たちの大切な思いが込められています。スタッフの意見を取り入れながら半年以上かけて見直し、スタッフは行動指針を常に意識しながら日々の業務にあたっています。

■株式会社nobiluのビジョンと行動指針はこちら
https://www.wantedly.com/companies/cheese-stand/post_articles/74866

例えば、行動指針6つ目の“プロフェッショナルであること / Be professional.”は、商品作りだけではなく、パッケージのスタンプが滲んではいないかなど、細部に至るまで妥協しないことを掲げています。

適量生産・適量消費でフードロスに貢献

編集部

nobiluさんでは10の行動指針の1つに、“サステナブルであること / Be sustainable.”を掲げていらっしゃいます。SDGsにも関連すると思われますが、具体的にどのような取り組みをされているのでしょう。

米田さん

国産チーズは工房数、消費量共に10年前と比較すると増加しています。そのような上昇気流にあるなか、当社が成長できたのは、小売だけではなく、レストランを併設することで破棄をなくすフードロスへの取り組みが大きいと思われます。

具体的には適量生産・適量消費を常に心がけています。フレッシュチーズは消費期限が短く、受注生産に近い製造方法なので、ご注文いただいた量のミルクを酪農家さんから直接購入をし、生産しています。

編集部

なるほど。SDGs目標12の「つくる責任・つかう責任」への取り組みにもつながっているのですね。

廃棄されてきた「ホエイ」を活用し、新たなチーズ文化を創造

編集部

食品を扱う場合、製造過程でどうしても破棄される食品もあると思われますが、その対策などはありますか?

米田さん

チーズを作る過程で大量に出るホエイは、これまで副産物として捨てられてしまうことが多かったのですが、どうにか利用できないかとさまざまな施策を打っています。リコッタチーズ(※)を作る他、東京・高円寺にある銭湯「小杉湯」さんにホエイを提供し、月に1回、「ホエイの湯」を開催していただいたり、この他にも店舗でホエイを使ったドリンクの提供、取引のあるお客様からホエイの活用方法を提案いただくこともあります。
(※)リコッタ:チーズ生成過程で生じたホエイを再加熱して作った乳製品

編集部

本来、廃棄されていたホエイを活用することで、新たなチーズ文化が生まれているのですね。

米田さん

おっしゃる通りです。オープン10周年を迎えた年には、熟成チーズ工房「CHEESE STAND LAB.」を東京・尾山台に開店し、ホエイを使用したブラウンチーズを製造・販売しました。

「東京ブラウンチーズ」という商品名のこちらは、ブラウンチーズ発祥の地・ノルウェーで行われたWORLD CHEESE AWARD2023で、世界43カ国、4502商品の中からスーパーゴールドを受賞することができました。

ホエイの活用は自己満足な部分もあったのですが、新たな商品の企画や、国際コンクールで結果を残すことで、チーズメーカーとして酪農家さんからいただいた大切なミルクを余すことなく活用する方法はまだまだあると感じています。

プラスチック容器削減を目指し、各店舗が環境問題に向き合っている

編集部

フードロスの他、SDGsに関連した取り組みがあればぜひ、お聞かせください。

米田さん

可能な限りプラスチック容器を使用しないよう努めています。フレッシュチーズの場合、その性質からどうしてもプラスチック容器に頼る面はあるのですが、会社全体で意識し、施策を練ることが重要だと思っています。

代表や私が環境への配慮を常にスタッフに伝え続けた結果、新商品を開発する際に、再利用できるパッケージなどがスタッフ側からアイデアとしてあげられることもあり、徐々に店舗全体に環境保護の意識が根付いているように感じます。

編集部

再利用できるパッケージのように、店舗ごとにSDGsへの取り組みやアイデアがあがることは多いのでしょうか。

米田さん

ピザをテイクアウトで購入されるお客様が多い福岡・油山の店舗では使い捨ての紙の容器だけではなく、お皿のデポジットをいただき、返却時に返金する取り組みをしています。運営側からの提案ではなく、店舗で話し合い、このようなシステムを導入したことにとても驚きましたが、オープン後すぐに自主的に取り組んでくれたので、とても頼もしいです。

編集部

プラスチック容器の削減は、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にもつながり、さまざまなアプローチでnobiluさんが環境に配慮されていることがわかりました。

自主的に行動し、“チーズの新しい道を創る”ことに共感できる方を歓迎

株式会社nobiluの米田さん

編集部

店舗数やスタッフ数の純増から見えるnobiluさんの企業成長や、チーズへのこだわり、環境への配慮に感銘を受けた読者は多いと思われます。最後に、転職を希望する読者に向け、メッセージをお願いします。

米田さん

当社は経営理念に、“素材と人に真摯に向き合い、良質な商品を創造し、社会に新しい価値を提供する。そして、スタッフを含めすべての人々の生活を豊かにする”を掲げています。当社のビジョン“チーズの新しい道を創る”や、10の行動指針にビビッと来た方にぜひ、ジョインいただければ嬉しいです。

また、小さな会社なので、言われたことだけをやるということではなく、自主的に行動できる方を歓迎します。共にチーズの新しい可能性や価値を追求し、日常にチーズがある食文化を創造しましょう!

編集部

今回の取材で、チーズを主軸、食に新しい価値を創出し続けているnobiluさんには、新鮮で美味しいチーズを消費者に提供するだけではなく、SDGsへの取り組みや、社員の円滑なコミュニケーションにも積極的に取り組んでいることを知ることができました。

その企業姿勢こそが、御社の社名の由来でもある「伸びる(nobilu)」につながり、成長要因になっていると感じます。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社nobilu:https://cheese-stand.com/
採用ページ:https://cheese-stand.com/recruit