革新的な事業でグローバルに展開する企業を特集するこの企画。今回はさまざまな領域でダイレクトマッチングのプラットフォームを提供する、C2C Platform株式会社にお話を伺いました。
C2C Platform株式会社とは?
C2C Platform株式会社(以下、「C2C社」)は「サービスを提供する人」と「サービスを受ける人」をダイレクトにマッチングするためのプラットフォームを提供する企業です。ベトナムとシンガポールにも子会社を持つなどグローバルな開発体制を取り、日本との人材交流も行いながら業務展開をしています。
C2C社の開発事例は、出張セラピストとユーザーをつなぐマッチングアプリ「HOGUGU(ホググ)」や、学生と社長を食事会でつなぐ就活アプリ「社長メシ」など、業界を問わず多岐にわたります。また、プラットフォーム開発にとどまらず、戦略設計や資金調達のコンサルティング、グロースマーケティングなど、ビジネスの成長に関わるサポートを包括パッケージとして提供しているのも特徴です。
会社名 | C2C Platform株式会社 |
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住所 | 東京都千代田区九段南4-3-4Polar九段2階 |
事業内容 | ダイレクトマッチング事業に特化したシステム開発および事業支援 |
設立 | 2021年1月(前身となる現子会社C2C PTE. LTD.は2017年9月設立) |
公式ページ | https://c2c-platform.com/ |
今回は代表取締役社長の薛悠司(ソル ユサ)さんに、会社創業の背景や事業の特徴、成長の秘訣などについてお話を聞かせていただきました。
開発現場での違和感と、Uberの革新性への衝撃が創業のきっかけ
編集部
最初に、C2Cさんの創業の経緯を教えてください。
薛さん
元々私はベトナムにて、ラボ型オフショア開発の事業を展開していました。ラボ型オフショア開発というのは、システム開発やアプリケーションの開発・保守を海外拠点にアウトソーシングし、クライアント専属の開発チームを組織してクライアントの担当者と海外拠点にいる開発チームが直接コミュニケーションをとって業務を遂行していく開発手法です。
日本国内でのエンジニア人材不足や単価の高騰に煽りを受け、海外エンジニア人材へのニーズが拡大し、このスタイルの開発は脚光を浴びました。
その反面、実際の開発現場では「開発工程に無駄がある」と感じる局面が多くありました。例えば別々の会社から来た開発依頼に共通点が多い場合、当然一緒に作った方が工数を短縮できますが、別のラインで似たようなシステムの開発を同時に進めているんです。
もちろん情報秘匿性等によりやむを得ない部分もありますが、エンジニアの供給が不足している反面、現場では無駄の多い開発をしていることには矛盾を感じていました。
一方で、少し別の角度からの話になりますが、この会社の出張でアメリカを訪れた時に初めてUberのサービスを利用し、そのビジネスモデルの革新性に衝撃を受けました。その当時からUberやAirbnbなどのシェアリングエコノミーの潮流はありましたが、この体験を通して、あらゆる業界でさらに進んでいくのだろうという未来を強く感じました。
開発現場での違和感、そしてアメリカで感じたダイレクトマッチングサービスの可能性。この2つの事象が自分の中で結びついたんです。ダイレクトマッチングの枠組みはUberやAirbnbなどの巨大市場も含めて、今後さまざまな業界で展開されていくだろう。そうなると世界で同時多発的に、大量のエンジニアを投入して同じようなシステムをつくっていくことになります。
まだブルーオーシャンのこの市場で開発における共通項を仕組み化し、効率的に開発する仕組みを作ることができれば業界に対して他にない価値提供ができるのではないかと考えました。
このビジネスモデルを、全く新しい事業として、新しい会社で展開していきたいと思い、C2C社を立ち上げました。
編集部
もともと感じていた業界全般の課題と、シェアリングエコノミーの登場を肌で感じたことが、起業のきっかけになったのですね。
「パートナー」という立場でクライアント企業のビジネスを支援する
編集部
C2Cさんではサービス提供対象を「クライアント」ではなく「パートナー」と表現していらっしゃいますよね。そこにはどのような意図があるのでしょうか?
薛さん
C2C社では「パートナー様と一緒にサービスをつくりこんでいく」という立場を取っています。ダイレクトマッチングのプラットフォーム開発だけでなく、戦略設計や資金調達のコンサルティング、グロースマーケティング支援など包括的なサポートを通じて、企業の根幹となる事業を一緒に成長させていくというイメージです。
その姿勢は、「レベニューシェア」をC2C社の収益構造の中心に据えているという点にも表れています。レベニューシェアとは、企業同士で協力して事業を行い、その収益をシェアするという方法を指します。パートナーの事業が成長して収益を出さないと、C2C社も収益を得ることができないということです。
パートナーと一心同体で共に事業を成長させていくという決意を表すために、この収益構造を採用しています。
顧客獲得・売上拡大・資金調達をキーに成長
編集部
C2Cさんは現子会社であるC2C PTE. LTD.を2017年に創業して以来、多くの案件を手掛けてきていらっしゃいますよね。具体的な開発実績数を教えていただけますか?
薛さん
ローンチしている案件、ローンチ前の契約済みの案件含めて、2023年11月現在で約30件のプロダクトの開発を行っています。
編集部
C2Cさんが順調に実績を積み重ねることができている要因はどこにあるとお考えですか?
薛さん
要因としては、大きく3点が考えられます。
1つ目は、顧客獲得において、C2C社の提供するサービスには分かりやすい需要があったということがあげられます。ある業界で一定の成績を残している人の中で、その業界での1プレイヤーにとどまらずダイレクトマッチング型の事業を展開させていきたいという希望を持つ人が多くいたということです。
この方々に共通するのは「業界は熟知しているけれどダイレクトマッチングプラットフォームを作るテックの知見がない」という部分です。我々は逆にプラットフォームを作るプロなので、双方にとって足りない部分を補える関係性なんですね。
例えば「社長メシ」さんは、飽和状態の就活事業において、面接ではない形で企業と学生を繋ぐアプローチを検討していたところに、我々のマッチングプラットフォームの知見を掛け合わせ、学生と社長のダイレクトマッチング事業として誕生しました。アフターコロナの時流もあいまって、登録者は、企業・学生共に右肩上がりに増加しています。
つまり、お互いの得意分野を活かし合うビジネスモデルが、競合優位性を得るポイントとなっています。
編集部
どちらかといえばレガシー寄りの業界において実績を持つ企業が、先行してプラットフォームを作りたいというときに、C2Cさんの提供する価値と上手くマッチしたというわけですね。他にも成長要因はありますか。
薛さん
2つ目は、顧客獲得後の売上拡大です。C2C社ではレベニューシェアの形を取っている以上、パートナー企業の事業が成果を上げ収益を伸ばすことが必須となります。だからこそC2C社ではテック部分だけでなく、市場の特徴に合わせたビジネス展開の仕方まで含めて包括的なサービスを提供するという形で事業を展開してきました。
プラットフォームを提供して終わりではなく、それを活かしつつそれぞれの市場でどう優位性を発揮していくかをパートナー様と共に考える「伴走型支援」を行っているため、パートナーのビジネスの成長、売上にダイレクトにつなげていけているのだと思っています。
また、3つ目として、資金調達に強みを持っている点が挙げられます。
投資家の間では、エンジニアリングを外部に委託することで、事業サイド・開発サイドが同じベクトルで、ワンチームで取り組む体制を採ることが難しくなり、結果的にうまくいかないケースが散見される実態から、「自社でエンジニアを抱えていないテックスタートアップは伸びない」という定説があります。C2C社はまさにそういったスタートアップ企業をパートナーとしており、投資を受けるにあたってのハードルがありました。
しかしC2C社では、開発を私たちに任せてもらうことで、私たちが培ってきたノウハウを活かして効率的な開発ができるというメリットが生まれます。知財を共有化することで開発の効率性を高めつつ、業界や自社に合わせたオリジナルな部分もつくっていける、その良いとこ取りができるのです。
私たちは、このビジネスモデル特有のメリットを訴求し、ロジックを信じてくれる投資家を開拓していきました。我々の事業に勝ち筋を見出している投資家は、クライアントサイドへの投資意欲も高くなります。結果として、クライアントの資金調達にも寄与することができるようになりました。
編集部
なるほど。顧客獲得、売上拡大、投資の課題点を克服する方策を示してきたからこそ、今の成長につながっているんですね。
機会の多さと責任感の大きさ、良質なフィードバックが社員の成長のカギ
編集部
C2Cさんの成長においては、社員の方の活躍も欠かせないと思います。メンバーの成長を促すという視点では、代表として薛さんが意識されていることはありますか?
薛さん
「人材は育っていくものであって、育てるものではない」というのが私の哲学です。そして人材が自ら育っていくために必要なのが、良質な機会と、それに対するフィードバックです。
そういう意味でいうと、C2C社の環境は本当に成長機会の塊です。一つひとつの案件は、市場から事業内容まですべてが異なります。つまり、常に新規事業に取り組んでいるといっても良い程の経験ができるのです。
そして、その企業の根幹となるような重要な事業を、パートナー企業と一緒につくっていけるという責任感の大きさもポイントです。レベニューシェア(パートナー企業の売上の一部を手数料として受け取る収益モデルのこと)という形を取っている以上、パートナーの事業が成長していかないと自社にも収益を生むことができません。その点でも、責任感とやりがいの大きさを感じながら成長をしていけるのではないでしょうか。
編集部
まさに成長に必要な良い機会が揃っているんですね。それに対するフィードバックというのはどのように行われているのでしょうか。
薛さん
大きく成長する可能性のある企業に絞っている分、私自身、今契約している30社すべての全体像を把握しています。そのため、私自身が直接社員に対してフィードバックを行うことも多いです。
つまり、トップマネジメントと現場レイヤーまでの距離がすごく圧縮されているんですね。今言ったような難しいことに挑みつつ、現場に任せっきりにせずトップマネジメントも含めて一緒に動き、高度なフィードバックが行われているという環境が、C2C社の社員の一層の成長につながっているのだと考えます。
事業のグローバル展開を通じて、大きなイノベーションを起こすのが目標
編集部
C2Cさんの今後の目標を教えてください。
薛さん
我々は、創業当時から「ひとつひとつの市場は小さくても、Uberの10分の1のプロダクトを100個創れれば、理論上Uberの10倍以上の市場規模を押さえることができる」というコンセプトを持っていました。
プロジェクトを同時に複数展開していくこと、しかもその市場に精通している企業と一緒に仕掛けていくことで起こるイノベーションの総数は、もしかすると市場のビッグプレイヤーに勝ることもできるのではないかと考えています。
この構造を、日本国内だけでなくグローバルに広げていくことも見越しています。特に東南アジアや東アジアには十分に参入の余地があるのではないかと思います。事業範囲をグローバルに拡大しながら、大きなイノベーションを起こしていきたいというのがC2C社の目指すところです。
IPOも目標に掲げていますが、それは今言った目標を実現していくための手段の一つだと考えています。IPOの実現により世間的な信用を得ることや新たな資金調達を可能にしながら、ダイレクトマッチングプラットフォームの領域でグローバルなイノベーションを起こしていけたらと思います。
編集部
創業当初からのコンセプトをそのまま継続し、ハッキリとしたビジョンを持って将来像を描いていらっしゃるのですね。公式note掲載のインタビューでも語っておられたように、現在は「早く大きく勝つ」ために注力されているのだと感じました。
■薛代表のインタビュー(C2C Platform公式note)
https://note.com/ctoc/n/n119789d2c28c
充実の社内制度。海外勤務やスキルアップの機会が豊富
編集部
先ほど「人材は育っていくものであって、育てるものではない」とのお言葉がありましたが、これは「会社からのサポートがない」という意味ではありませんよね?
薛さん
もちろんです。C2C社では、メンバーが自主的に育っていくための環境を整えて成長を後押しするために、いろいろな取り組みを実施しています。
そのひとつがベトナム勤務制度です。我々はベトナムのホーチミンに開発拠点を持っていますので、そことの連携を強めてコミュニケーションの機会を提供することと、さらなる業務知識を得てもらうことを目的に、希望者が現地で一定期間就業できる制度を設けています。
渡航費用・滞在先も提供しているので、メンバーは安心して海外勤務に打ち込むことができます。2023年度は4名がこの制度を利用しています。
また、四半期に一度はベトナム拠点とのキックオフミーティングも実施しており、ベトナムのメンバーが来日する機会もあります。双方向で交流していて、懇親会などで話すことも多いので、グローバルな知見を得られると思います。
編集部
そのような環境だと英語などのスキルアップも求められると思うのですが、その点で支援はあるでしょうか?
薛さん
語学に関していうと、会社負担で毎日30分の英会話講習ができる制度があります。2022年からカウントすると、延べ20名以上が受講していますね。
他社と比べてもかなり充実している福利厚生というわけではありませんが、今後も自ら新しい体験・知識を得ようとするメンバーには、会社としても全力で様々なサポートをしていきたいと考えています。
「エンジニア」と「社長の右腕となるマネージャー」を募集
編集部
今おっしゃったようなビジョンを達成していくためには、当然人材も必要になってくるかと思います。C2Cさんでは現在どういった職種を募集されていますか?
薛さん
まずエンジニアについては、開発ができるということと、パートナー様と一緒に案件を進めていけるという2つの役割を担える人を求めています。
開発面では、自身で主導して開発を進めるというのはもちろんのこと、開発拠点であるベトナムのメンバーのマネジメントができることも必要です。なおかつビジネスサイドでは、顧客と一緒に戦略設計を行い、それを開発仕様に落とし込む役割を担うことになります。
編集部
エンジニア以外にも募集しているポジションはありますか?
薛さん
私の右腕となれるような事業戦略室の室長ポジションも募集しています。先ほども言ったように、現在私は全案件を把握し、現場に対してフィードバックをしています。それは一定規模以上までは続けていくつもりではありますが、やはり案件数が多くなるほど一つひとつの案件に自分のリソースを割くことが難しくなってきます。
そのため、より詳細かつ良質なフィードバックができる体制を整えるために、現場のプレイヤーを束ねるマネジメント人材を求めています。このポジションには、ポートフォリオの事業戦略のコントロールを期待しています。パートナー様とのプロダクトの立上げ・成長戦略はもちろん、自社の経営戦略にも関わっていただく予定です。
成果に報いる環境あり。主体性とプロフェッショナル意識を持つ方を歓迎
編集部
最後に、C2Cさんに興味を持った方に向けて、薛さんからメッセージをいただけますでしょうか。
薛さん
私たちは準備期間も含めたこの7年間で、事業の成功の道筋を描くことができました。この先の5年、10年は、ある程度の再現性が担保されたこの枠組みを、どれだけ早く大きく展開していけるかが鍵となります。
そのためには、社員一人ひとりの主体性やプロフェッショナルな意識が重要です。それらを持って一緒に頑張りたいというメンバーにジョインしてもらいたいと思います。
C2C社の事業に革新性を感じ、主体性を持って取り組んでいただける方は、ぜひお問い合わせください。
編集部
シェアリングエコノミー、ダイレクトマッチングの需要が世界的に増している中で、C2Cさんではその領域をリードしていくような革新的な事業を実施されていると感じました。企業に深く入り込む分大きな責任は伴いますが、その分やりがいと成長を感じられる環境があるのではないかと思います。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
C2C Platform株式会社:https://c2c-platform.com/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/company_7191452