建設DXで躍進する「BALLAS」。若い力で業界の未来を作る

成長企業や若手活躍などに力を入れている企業を紹介していくこの企画。今回は建設×ITスタートアップの株式会社BALLAS(バラス)をご紹介します。

株式会社BALLASとは?

建設部材調達システム「BALLAS」のキービジュアル
▲建設部材調達システム「BALLAS」のキービジュアル(株式会社BALLASリリースより)

株式会社BALLASは、総合商社「双日株式会社」出身の代表取締役・木村将之さんが「歴史ある産業に新たなテクノロジーを持ち込むことは社会的に大きな意義がある」と考え、製造業スタートアップを経て、2022年2月に創業した会社です。

BALLASは製造業の中でも「市場規模1,300兆円の巨大産業であるのに、過去20年の生産性成長率は1%(※)」といわれる建設業界に注目し、建設業における調達システムを開発しました。(※)世界の建設市場規模、BALLAS調べ

このシステムを使えば、施工会社は参考図面をアップロードするだけで概算見積もりが得られ、部材の図面作成や設計提案、制作までがワンストップで行えます。工数削減の効果としては、従来は施工図を作成した後、実際の部材制作に入るまでに1ヵ月かかっていた調達の工程を、1週間に短縮することができます(※)(※)300万円/案件におけるBALLAS社内実測値

「BALLAS」利用による時間削減効果イメージ図
▲「BALLAS」利用による時間削減効果イメージ(同社サービスページより)

会社名
株式会社BALLAS
住所
東京都中央区銀座一丁目22番11号 銀座大竹ビジデンス2階
事業内容
建設部材の設計開発、製造販売
設立
2022年2月1日
公式ページ
https://www.ballas.biz/
働き方フルリモート(会社指定のコワーキングスペースを利用可)

フレックスタイム制(コアタイム10:00~14:00)

「建設業を最適化し、人々を幸せに。」というミッションを掲げ、テクノロジーと若い力で躍進する株式会社BALLAS。今回は事業成長やそれを支える若い組織、求める人材像などについて、人事責任者の益田さんと技術責任者の田所さんに伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社BALLAS人事責任者の益田直輝さん

株式会社BALLAS
人事責任者

益田 直輝さん

株式会社BALLAS CTOの田所龍介さん

株式会社BALLAS
技術責任者(CTO)

田所 龍介さん

建設業界の調達にまつわる課題をテクノロジーで解決

株式会社BALLASメンバーの打ち合わせ風景

編集部

はじめに、BALLASさんの事業や強みについて、ご説明いただけますか?

益田さん

BALLASは建設業界の課題を、「調達」という領域からテクノロジーの力で解決していくITスタートアップです。調達とは、建設工事の現場に必要な部材を仕入れたり、納めたりするという工程です。部材としては、商業施設やホテル、店舗などの外装に使うパネル、内装に使う階段や手すり、窓のフレームなどの金属部材を取り扱っています。

こうした部材は1つひとつ特注のものが多く、従来は調達が非常に煩雑で、時間を要するものになっていました。BALLASのシステムではこの調達業務を、発注ボタン1つで完了できるようにしました。

編集部

BALLASさんでは調達業務をDX化するだけでなく、部材の製造まで行われるのですか?

益田さん

BALLASは自社工場を持たないファブレスメーカーです。施工会社さんが施工図を「BALLAS」のシステムにアップロードすると、われわれが必要な部材の製作図を作成して適切な工場さんへ発注し、部材を納めます。

このように、BALLASはメーカーとしての機能を持ちつつ、現場で出た課題をテクノロジーで効率化するプロダクトも持っていることが強みです。

調達のボトルネックになっていた「図面バラシ」に着目

編集部

これまで調達が煩雑になっていた理由はどこにあるのでしょうか?

益田さん

ボトルネックになっていたのが、業界で「図面バラシ」と呼ばれる工程です。従来は施工会社からの「こんな内装にしたい」という施工図を見て、工場側で「では、階段にはこういった部材が必要ですね」「椅子の脚にはこの部材が必要ですね」と1つひとつ部材の製作図面を書き起こしていました。

しかし、「図面バラシ」は専門的な知見がいる作業であり、施工会社と工場のコミュニケーションのズレから手戻りが生じたり、想定以上の時間がかかったりしていました。そこで、われわれが図面を起こす(バラす)というコアな業務を一括して代行した上で、最適な工場に依頼をする仕組みをつくりました。社名のBALLASは「バラす」に由来しています。

編集部

BALLASさんの名前はここから来ていたのですね!部材の図面を1つひとつ書き起こす工数がかかるだけでなく、両者のコミュニケーションに時間がかかるという課題もあったということでしょうか。

益田さん

その通りです。コミュニケーションがかなりのボトルネックで、調達に時間がかかる要因となっていました。結果として、施工会社は建設工事だけに集中できず、工場も物を作ることだけに集中できないという、生産性向上を妨げる現状がありました。

また、工場によって得意分野は異なります。BALLASは施工会社のやりたいこと(WILL)と、工場が作れるもの(CAN)をすりあわせる役割を担っています。

編集部

建設業界では原材料の高騰による調達難や人手不足が課題になっています。BALLASさんのシステムは生産性を上げる取り組みとして、注目されるのではないでしょうか。

創業から1年で11.6億円の資金調達を実施

編集部

BALLASさんは2022年2月の創業ですので、2023年4月現在は2期目に入られたところかと思います。これまでの実績や事業成長の現状について、教えてください。

益田さん

創業以来、「BALLAS」のシステムを介した取引は順調に増加しており、2022年12月末時点で単月1,000万円~2,000万円の売上をつくれるようになりました。今期は始まったばかりですが、さらに売上を伸ばしている状況です。

また、設立から3ヵ月後に1億円の資金調達をしたことに続き、2023年3月には11.6億円の資金調達を実施しました。

編集部

スタートアップとして、さらなる事業拡大を目指していくフェーズなのですね。急成長の要因はどこにあるとお考えですか?

益田さん

代表の木村が、商社や製造業スタートアップでの経験を踏まえ、事業をかなり確度の高いところまで検討して進めてきたので、会社設立当初からお客様とのお付き合いを始められたことが大きいです。現在はさらに新規のお取引先も増えており、全国から発注依頼が舞い込んでいる状況です。

田所さん

ペーパーレス化がなかなか進んでいなかった建設業界において、調達業務をDX化するプロダクトが他にないものだったという点もあります。現状、私たちの同業他社はおらず、BALLASが世の中に対して初めての提案をした形です。

編集部

ビジネスモデルとしてもプロダクト面でも、価値を感じてもらえるものであったということですね。

全ポジションで採用を強化。2023年末までに人員を倍増予定

株式会社BALLASメンバーの打ち合わせ風景
▲BALLASさんでは1年でメンバーが4人から30人に増え、今も組織規模を拡大中

編集部

BALLASさんでは、ここ1年、組織面での成長も著しいのでしょうか?

益田さん

はい。およそ10倍の規模になっています。創業時は代表と、大川という町工場出身の者、田所、私の4人でしたが、現時点では業務委託メンバーも含め30名を超えています。

われわれの解決しようとする「調達」の課題は、建設業全体でみるとややニッチなところではあるのですが、業界経験者からすると大変顕著な課題に感じられるものです。製造業に関わってきた人がBALLASのミッションやビジネスモデルに共感し、参画してくれることが増えてきました。

編集部

BALLASさんではこれから採用を強化されると思います。今後の組織面での展望について教えてください。

益田さん

マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、総務、財務、エンジニア、デザイナーなど、全ポジションで採用を強化しています。人数規模では、現在の30名規模を、2023年末までに60名~70名規模にまでしていきます。実際にこの5月、6月、7月も、毎月3名~5名の入社予定が決まっています。

また、事業エリアも拡大しており、2023年4月に大阪に営業拠点を設けました。関西に常駐し、エリア営業をするメンバーが参画しています。2023年中には中部地方にも拠点を出す予定です。その先は全国展開を見据えています。

製図のDX化、AI技術の導入など研究開発にも力を入れていく

株式会社BALLASメンバーの仕事風景

編集部

田所さんから、プロダクト面での展望について伺えますか?

田所さん

今回の調達資金の技術面での用途は、主に4つあります。

まずは、「BALLAS」を介した取引を増やしていくためにしっかりと頼れるシステムを作ること。2つめが、昨今のAI技術を「調達」の過程に持ち込むための研究開発。3つめが製図のDX化を進めるため、3Dを使った巨大なデータの集合群「BIM(※)」を活用した研究開発。そして、4つめが強い組織づくりのために必要なポジションの採用です。
(※)BIM:Building Information Modelingの略。コンピューター上に現実と同じ3Dモデルを再現し、設計図面や各種情報を一元的に管理して効率化を図る仕組み。

編集部

現在あるプロダクトの開発・改良だけでなく、研究開発にも重点を置かれているのですね。直近のプロダクトの開発目標は、例えばどこにあるのでしょうか?

田所さん

弊社はオーダーメイドの部材を扱っていますので、最初に「作りたいもの」「納品するもの」をしっかりと決めておく必要があります。そのために重要なのは、コミュニケーションです。「BALLAS」のシステムを使ってお互いに健全なコミュニケーションや取引ができることを、開発目標に置いています。

「BALLAS」が間に入ることによって、施工会社は施工に集中でき、工場はモノを作ることに集中できるようになるのが理想です。

編集部

システムを使うことでコミュニケーションコストが削減され、建設現場の生産性向上を実現させたいのですね。

平均年齢30歳。若いチームの「勢い」と「結束力」

株式会社BALLASメンバーの仕事風景
▲BALLASさんでは30歳前後の若いメンバーが中心となっている

編集部

続いて、BALLASさんのチームについて伺います。どのような年代やバックグラウンドの方が多いのでしょうか?

益田さん

メンバーは新卒に近い20代前半から、上は40代前半くらいまで在籍しています。1992年生まれの代表の木村をはじめ、ここにいる田所も私も30代前半で、この年代がちょうどボリュームゾーンですね。非常に若い組織であると言えます。

バックグラウンドとしては、業界経験者が多いです。ただ、建設業界だけに限らず、メーカーや専門商社、総合商社など、”ものづくりに携わってきた人”という広い意味での業界経験者です。

編集部

経験者と聞くとベテラン人材を想像しますが、BALLASさんにはこうした若い方が集まってくるのはなぜだと思われますか?

益田さん

まずは、BALLASのミッションやビジネスモデルに共感してもらったこと。そして、全員がリーダーシップを発揮し、若くても裁量権を持って働けるところに魅力を感じてもらえたからだと思います。

裏を返すと、製造業や建設業の大企業さんや歴史のある企業さんでは、若手がなかなか自分の能力を発揮しきれない現状があるのだと思います。実際に「あと10年ぐらい勤めないと、裁量権のある役職に就けない」「業界の負の部分が見えているが、今の会社では変えられない」といった声が聞かれます。そこで、BALLASという新しいことに挑戦しようとしている会社に期待してくれているのです。

編集部

業界の課題を感じながらも自分では解決できないもどかしさを感じていた若手の方が、BALLASさんでの挑戦を望まれたのですね。各部門のリーダーも若い方が務めているのでしょうか?

益田さん

そうですね。一方で、実はBALLASにはプロフェッショナル人材も揃っています。例えばセールス部門の責任者は、金融業界で15年以上経験を積んでいます。また、技術顧問としてスタートアップのCTO経験者が参画していたり、経理財務面では近くファイナンスのプロフェッショナル人材に参画いただきます。

こんなふうに、BALLASは若手が活躍しつつ、プロフェッショナル人材もいる環境です。若手がメンバーからさまざまな知見を吸収して成長しつつ、インプットしたものをすぐにアウトプットできるような組織作りをしているところです。

編集部

現在のBALLASメンバーの皆さんに共通する資質はありますか?

益田さん

共通するのはミッションへの共感で、本当に全員が業界やお客様のために実直に仕事に取り組んでいます。

また、私たちは「一個人では生み出せない規模の価値を発揮すること」が組織で働く意味だと考えており、企業理念として明文化しています。そのため、非常にコミュニケーションを大事にしており、「否定から入らない」「個々人の意見を尊重してチームの意思決定をする」という行動が定着しています。

編集部

1人ひとりが実直に取り組むとともに、チームの力を信じて結束する様子がうかがえます。

株式会社BALLASの企業理念
▲BALLASさんの企業理念。「一個人では生み出せない規模の価値を発揮すること」が組織で働く意味と考えている(同社採用ページより)

「建設業を最適化し、人々を幸せに。」に共感する仲間を募集

株式会社BALLAS人事責任者の益田直輝さん
▲「ミッションやビジョンに共感してくれる方と働きたい」と話す益田さん

編集部

最後に、採用についてお聞きします。こんな方に来てもらいたいという重視ポイントはありますか?

益田さん

BALLASの「建設業を最適化し、人々を幸せに。」というミッションや事業ビジョンに共感してくださる方、組織で自らの価値を最大化していきたいという思いをお持ちの方です。

編集部

応募は居住地を問わず可能でしょうか?

益田さん

はい。弊社は創業からフルリモート勤務してきましたので、全国からメンバーが参画しています。拠点拡大に伴い、利用できるコワーキングスペースも用意しており(※)、それぞれが一番力を発揮できる形で働けるようにしています。今後の事業展開によっては、柔軟に変えていきたいと思います。(※)2023年4月時点では東京と大阪

編集部

働きやすさの前提としてリモートワークを取り入れつつ、柔軟に対応していらっしゃるのですね。

ビジネス視点を持ったエンジニアを歓迎

株式会社BALLAS CTOの田所龍介さん
▲求める人材像について語るCTOの田所さん

編集部

田所さんからも、ぜひ求める人材像について教えてください。

田所さん

益田と同じく、大前提としては会社の想いに共感してくれる方です。そのうえで、エンジニアとしてはビジネス視点を持った方を歓迎します。

私たちは最新のモダンな技術を取り入れ、魅力ある開発環境を整えています。また、開発組織をゼロから作っていく経験も積むことができます。ただ、「BALLAS」は純粋に技術に特化したサービスというわけではなく、建設業を最適化するというミッションを持っています。

そのため、社内のビジネスサイドの人や外部の取引先など、さまざまなステークホルダーとやり取りをしながら、事業目標にコミットし、より良いプロダクトを作っていける方を求めています。

編集部

これから事業を急拡大させるフェーズにあるBALLASさんでは、どのポジションでも事業目標にコミットするためのスキルや経験を積むことができそうです。新しい価値を生み出すBALLASさんの挑戦に興味を持った方は、ぜひ益田さん、田所さんの熱いメッセージに応えていただきたいです。

益田さん、田所さん、本日はありがとうございました!

■取材協力
株式会社BALLAS:https://www.ballas.biz/
採用ページ:https://www.ballas.biz/recruit