「いいヤツ」を求めている株式会社B4A。入社3年の若手を一線級に育てるノウハウとは?

若手メンバーの育成や抜擢、そして活躍状況などで注目すべき企業を紹介する本企画。今回は自由診療クリニックに特化したワンストップ型のDXツール「B4A(ビーフォーエー)」を提供している株式会社B4Aをご紹介します。わずか1年半ほどで、売上高が30倍近い伸び率を実現している急成長企業です。

株式会社B4A(ビーフォーエー)とは

2021年1月に設立された株式会社B4Aは、自由診療クリニックに特化したワンストップ型のDXツール「B4A」を提供しているスタートアップです。ビジョンには「テクノロジーを活用して、自由診療に誰もがアクセスできる場を創出し、心身共に健康で前向きな人を一人でも増やす」を掲げています。

創業者で代表取締役CEOを勤める植松正太郎さんはSBIホールディングスに新卒入社し、社長直轄で営業や経営企画などの広範囲な業務に従事しました。またエムスリーでは史上最年少でコア事業のディビジョンヘッドに就任し、グループ会社のCEO/COOなども担っていました。

会社名 株式会社B4A
住所 東京都港区西新橋1-7-1 虎ノ門セントラルビル8F(オフィスA)
事業内容 ・「B4A」の開発/販売
・医療機関向けコンサルティング
設立 2021年1月
公式ページ https://corp.b4a.co.jp/
働き方 フルリモート可

今回は株式会社B4A代表取締役CEOの植松正太郎さんに、売上高が急成長している要因や自社製品の強み、若手メンバーの活躍状況などを伺いました。またインターン採用の考え方や社長とメンバーとの距離感、社内の議論を深める「オフサイトミーティング」についてお聞きするとともに、採用に関するポイントや求めている人材をお伺いしています。

本日お話を伺った方
株式会社B4Aの代表取締役CEOを務める植松正太郎さん

株式会社B4A
代表取締役CEO

植松 正太郎さん

わずか1年半ほどで30倍近い売上高成長率を実現したB4A

株式会社B4Aが提供しているサービス「B4A」のイメージ画像
▲B4Aさんが提供しているサービス「B4A」のイメージ画像

編集部

B4Aさんが提供している「B4A」とは、どのようなサービスでしょうか。

植松さん

一言でいえば「自由診療クリニックに特化したワンストップ型のDXツール」ということになります。

編集部

B4Aさんの売上高は非常に好調な伸び率だと伺っています。どれぐらいのペースで成長しているのでしょうか。

植松さん

成長スピードに関しては、かなりのハイペースであることは確かです。例えば2022年の年初の売り上げを1とすれば、2023年8月現在では30近くにまで増えています。当然、クライアントさんの数も増えていますし、業務のフローも増えています。メンバーの早急な増強が急務という状況です。

編集部

業績の好調要因を教えてください。

植松さん

診療には自費と保険があり、保険診療向けのツールには多くの企業が参入しています。ただ、保険診療向けツールを自費の領域に転用するのは難しいんですね。自費と保険では、やはりオペレーションに大きな違いがあるんです。

そこで弊社は自由診療の市場に特化したプロダクトを開発・提供しています。競合は増えつつあるものの、保険に比べると自由診療はまだ限られたプレイヤーのみとなっています。その中で、徹底的にクライアントさんへのヒアリングを行い、ニーズにフィットしたプロダクトを作れていることが、業績好調の一番の要因だと思います。

また、もう1つの要因として、メンバーの技術力の高さがあります。弊社は昨年までリファラル主体の採用を行ってきました。技術力の高いスタッフが技術力の高い知人を紹介してくれるという好循環を継続してきたんです。結果として技術的優位性のあるプロダクト作りを、的確かつスピーディーに実践できました。このことも好調な業績に繋がっていると思います。

編集部

現在の社員数は約20名と伺いました。この1年でどれぐらい増やされたのですか。

植松さん

この1年で10名程度というところです。ただし、大半のメンバーは2022年に採用しており、2023年に入ってからジョインしたメンバーは2名ほどです。今年は資金調達を行ったため、調達前の段階では採用活動などのコストを絞ったからです。そして資金調達が一段落した今から、積極的に採用するフェーズにシフトします。

コンサル時代のノウハウを注ぎ込んで開発した「B4A」

編集部

DXツール「B4A」の強みは、どんなことでしょうか。

植松さん

お客様の経営課題にフィットしていることだと思います。私は過去に自由診療クリニックさんの経営コンサルティングをやらせていただきました。その時に課題や問題点を目の当たりにしたんです。そして、これを解決するためのデジタルツールの必要性を強く感じました。

「B4A」はこの時の経験やノウハウを注ぎ込んで開発したプロダクトです。ですから自由診療クリニックさんにとっては、本当に使いやすいのだと思います。

しかも「B4A」は、開発にかなりの時間をかけました。2021年1月の創業時から2021年10月までは、プロダクトの本格的なリリースを控えたんです。この期間はある特定のクライアントさんと組んで、徹底的にプロダクトを作り込んでいました。

編集部

販売までに万全の体制を敷いたのですね。

植松さん

そうです。そこまで徹底したので、プロダクトはかなり有用性の高いものになったという自負がありました。そして満を持して販売を開始したんです。クライアントさんへの案内を本格化して、そこから受注数が一気に増えたという状況です。

顧客のニーズにフィットした「クラウド」&「ワンストップサービス」

株式会社B4Aのセミナーの様子

編集部

では「B4A」のどんな機能が、クライアント様のニーズにフィットしたのでしょうか。

植松さん

1つは「B4A」がクラウド型の本格的なツールだということです。弊社はこれを早い段階で、自由診療クリニック業界に提案させていただきました。2021年の時点でこの業界には、クラウド型のツールがあまりなかったんです。院内にサーバを設置するオンプレミス型が主流でした。ソフトウェアも買い切り型でした。

これに対してクラウド型は料金が月額制ですし、初期導入費などがかなり抑えられます。また物理的なサーバのように、データの容量上限などもありません。しかも、常に最新状態のプロダクトをお使いいただけます。こういったクラウド型の優位性が、お客様のニーズにフィットしたんですね。

編集部

クラウド型の利便性を知ってしまうと、もうオンプレミス型には戻れませんよね。

植松さん

おっしゃる通りです。さらに2つ目は「B4A」がワンストップ型のDXツールであることです。この業界のツールは、それまでオンプレミス型であったと同時に、業務ごとにプロダクトがわかれていたんです。カルテならカルテ、予約なら予約、そして会計なら会計という感じでした。

しかし「B4A」はワンストップ型ですから、これさえ導入いただければクリニックの業務のほとんどをカバーできます。そして個々のツールを管理するという手間からも解放されます。これがお客様に受け入れていただけた、もう1つの大きな要因だと思います。

編集部

自由診療クリニック様への本格的な普及は、これからが本番という段階でしょうか。

植松さん

そうです。都心部の著名なクリニックさんであれば、「B4A」のようなDXツールを導入いただいているケースは多いと思います。しかし地方を含めた全国的な普及については、これからですね。しかも、クリニックさんの数は年間数百単位で増えています。今後ますますDX化が不可欠になると思います。

編集部

自由診療の市場規模は、どれぐらいあるのでしょうか。

植松さん

自由診療の領域はかなり広く、どこまで含めるのかによると思います。例えば美容外科、美容皮膚科、審美歯科など「見た目」に絞った市場だと7,500億円とされています。ここにオンライン診療や痩身、ひざ関節症の再生医療などを含めると2兆円まで拡大するといわれています。弊社は7,500億円をメインターゲットとしつつも、当然ながら2兆円市場も視野に入れています。

入社3年の若手を一線級に育てあげる独自のノウハウ

編集部

次に若手の活躍状況についてお聞かせください。

植松さん

B4Aは2021年の創業時から、インターンの方たちにご協力いただいて業務を進めてきました。当時のインターンで、そのまま新卒として2021年4月からジョインしてくれたメンバーがいます。彼はすでにB4Aの業務やプロダクトをあまねく理解してくれています。

そして今や「クライアントパートナー」として独り立ちしています。これは一般的な会社でいえばコンサルタントやアカウントセールスという感じでしょうか。クライアントさんの半分近くを担当してくれています。

しかもプロダクト開発会議やマーケティング改善の業務などにも取り組んでくれています。彼はまだ入社3年目の若手ですが、すでに社内の一線級メンバーとして業務をリードしてくれています。

編集部

そういった若い方の活躍を引き出すために、会社としてはどんなサポートをしているのですか。

植松さん

私は基本的に、やる気やキャッチアップする速度の速さ、そしてスキルセットがあれば、人は年齢やバックグラウンドに関係なくどんどんと伸びていくと思っています。

今は業務量が非常に増えてきているので、そういったものを次々に担っていただきたい。これらをキャッチアップして、スキルを向上させながらパフォーマンスを高めていただきたいんです。これは当然のことながら、プロモーション(昇進)にも繋がります。そのためにも、本人のやりたい業務をどんどんと融通するようにしています。

編集部

実力と実績次第でスピード昇進もあるわけですね。

植松さん

そうです。もちろん、スキルセットなどについては、細かに「スキルマトリクス」などのチェックシートを用いながら、定期的にフィードバックすることで自己認識と客観的な評価のギャップを洗い出し、強みや弱みを明確にするプロセスも入れています。

ちなみに、比較的フラットな組織形態にしているので、社内を役職だらけにするつもりはありません。少なくとも「これをやったら課長です」とか「それをクリアしたら部長です」という制度にはなっていません。それよりも、今は本人の成長機会をできる限り多く作ること、これを何よりも心がけています。

今後とも積極的に取り組むインターン採用

編集部

先ほどインターンから新卒入社されて、活躍している方の話を伺いました。インターンについては今後とも、よい方がいれば受け入れていくお考えですか。

植松さん

そう考えています。B4Aはインターンの受け入れには積極的な会社です。先ほどもお話したように、創業当初から5名ほどを受け入れていました。ところが彼らの卒業とともに途絶えてしまい、今は一時的にゼロという状況です。

しかし、本当にきてくださるのであれば、弊社としては積極的に受け入れさせていただきます。そうすることで、お互いの成長の場になればよいと思っています。興味のある方は、ぜひとも面接にきていただければ本当にうれしいです。

編集部

インターンの仕事内容は、どうやって決まるのでしょうか。

植松さん

インターン向けに、具体的な業務設計をしているわけではありません。きていただいた方のスキルセットや人数、あるいはその時の会社の状況などに応じて調整したいと思っています。逆にいうと、定型的な業務をひたすらこなし続けるということはまずありません。

そうではなく、例えばセールスやクライアントワークを希望するのであれば、そういった部署に配属させてさせていただきます。また事務や分析に特性があるということであれば、そちらをお任せします。基本的にはその人の特性に応じて、業務を設計するという形になります。

メンバーとはいつでも1on1で対話できる環境を用意

学会に参加した株式会社B4Aの社員たち

編集部

植松さんとメンバーの皆さんとの距離はいかがでしょうか。お話を伺っていて非常に近いのだろうなと感じました。

植松さん

そうありたいと常に心がけています。

編集部

例えば1on1などはやっておられるのですか。

植松さん

スキルや評価フィードバックの場を除き、逆にいえばいつでも1on1で対話できる環境にあります。例えば弊社では出社もリモートワークもOKです。そしてオフィスに出社したメンバーとは、顔を合わせてやり取りしています。個別の1on1で話す機会も多くなりますね。何か課題があったら、いつでも相談できる関係になっています。

編集部

1on1以外のコミュニケーション手法にはどんなものがありますか。

植松さん

例えばプライベートに近くなりますけれど、社内のメンバーで旅行にいったり、海や山にいったりという活動は活発だと思います。ですから、社内の風通しはいいですよ。人間関係についても、今3期目に突入したところですが、かなりいい方ではないかと思っています。

社内の議論を深める3〜6カ月ごとの「オフサイトミーティング」

編集部

旅行とはどんな旅行なのですか。

植松さん

本当にプライベートでいくこともあります。それとは別に定期的な「オフサイトミーティング」を開催しています。これは海や山に出かけて、社員間の交流をさらに活性化することを目的にしています。

編集部

直近のオフサイトミーティングは、どちらへ出向いて、どんなことをされたのですか。

植松さん

直近は二泊三日で千葉ですね。グランピング場やゴルフ場、プール、そして研修場などを備えた複合的な施設にいきました。そこで10時から19時までは議論を交わしあい、夜はバーベキューで社内の親睦を図りました。

編集部

そういう場所での議論は、普段とは違う内容になるのですか。

植松さん

そうです。普段はやはり足元1カ月から3カ月ぐらいの議論が多くなります。しかしオフサイトミーティングでは、それよりも中長期のことがテーマになります。弊社はセールスやカスタマーアクセス、マーケティングやプロダクト開発などにわかれています。それらのセクションごとにテーマを決めて、それぞれに関連するチームが仮説などを設定して議論します。

そして議論の結果問題がなさそうであれば、その内容を会社としてのKPI(重要業績評価指標)に組み込みます。こうしたミーティングを3〜6カ月ごとに開催しています。そして常に6カ月前を振り返り「これはいい。これはダメ」というものを洗い出し、また議論します。このサイクルを繰り返しています。

B4Aが面接で重視しているのは「いいヤツ」であること

編集部

では次に、採用時に重視しているポイントをお聞かせください。

植松さん

B4Aでは基本的にポテンシャル採用を実施しています。ですから過去の経歴や実績もプラスには見ますが、そういったものがなくても、地頭がよくてチャレンジ精神が旺盛な方であればウェルカムですね。

私はベンチャー企業では、チームワークが何より重要だと思っています。ですから、他のメンバーとやり取りして不快にならないし、不快にさせないこと。常に快の状態を保てる人がいいですね。端的にいうと「いいヤツ」ということです。「地頭」「やる気」、そして「いいヤツ」であること。それぐらいしか、私は見ていないんですよ。

編集部

面接で「いいヤツ」を、どうやって見分けているのですか。

植松さん

いろいろな質問を用意しています。例えば本人の強み・弱みをそれぞれ10個以上聞きます。あるいは「周囲からどんな人間に見られていますか」や「その見方をどう感じていますか」といった質問ですね。その人の志向性や価値観を把握するための問いかけを通じて、本当にいいヤツかどうかを見極めています。

もちろんこれに加えて「過去の実績は何か」や「今後はどういうキャリアを積みたいのか」という一般的な質問もします。しかし私自身、過去に様々な会社で採用活動を行ってきました。そこで痛感したのは、一番重要なことは人間性や志向性だということです。特にベンチャー企業やスタートアップは「人がすべて」です。より一層重視しなければいけないと思っています。

スタートアップはチャレンジ精神がある方の自分磨きの場

編集部

では最後に、記事を読んでB4Aさんに興味を持った読者へのメッセージをお願いします。

植松さん

弊社のようなスタートアップへの入職には、リスクを感じると思います。そういった側面は否定できません。ただし、若いうちだからこそできる経験は一生モノで、非常に貴重だと思います。例えば一般的な企業と比べてスタートアップの場合、1日のイベント数は5倍・10倍が当たり前です。

それはつまり、個々のスタッフの経験値も5倍・10倍になるということ。当然ながら成長速度も速まります。このことは将来的に、他のキャリアへ移行することになった場合でも、かなり有利な状況を作り出せると思います。そういうチャレンジ精神のある方は、スタートアップに飛び込んではいかがでしょうか。

特に自由診療クリニックの市場はポテンシャルが高く、すごい勢いで成長しています。実は面白いのは、入社時には自由診療のクリニックに行ったことのないスタッフが大半なのですが、入社後はもれなく個人的に通うようになるんです。自由診療はそれだけ満足度が高いサービスだと言えるでしょう。

しかも競合はいますが、レッドオーシャンではありません。ですから、いろいろと面白い選択肢があると思います。新規事業に携われる貴重な機会になるはずです。少しでも興味をお持ちになったら、ぜひ話を聞きにきていただければと思います。

編集部

採用のポイントはチャレンジ精神ですね。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社B4A:https://corp.b4a.co.jp/