経験がアイデアに変わる!芦別スターライトホテルの若手社員が輝く働き方

先進的な働き方を取り入れていたり、若手社員がいきいきと活躍する企業の取り組みを紹介するこの企画。今回は北海道芦別市(あしべつし)で「芦別温泉スターライトホテル」「芦別温泉おふろcafe星遊館」「芦別スターグランピング」を運営する、株式会社芦別スターライトホテルにお話を伺いました。

株式会社芦別スターライトホテルとは

株式会社芦別スターライトホテルは、北海道芦別市で「星と炭鉱と芦別の自然」をコンセプトに掲げ、リゾートホテル等を運営しています。2019年12月には「芦別温泉スターライトホテル」と「星遊館」という2つの施設をリニューアルオープンし、さらに2022年には手ぶらでラグジュアリーなキャンプ体験ができる「芦別スターグランピング」を新たにオープンしました。

会社名 株式会社芦別スターライトホテル
住所 北海道芦別市旭町油谷1番地
事業内容 芦別温泉スターライトホテル・芦別温泉おふろcafe星遊館・芦別スターグランピングの運営
設立 2020年11月
公式ページ https://ofurocafe-seiyukan.com/

今回は、若い世代を中心に多くの方が活躍する株式会社芦別スターライトホテルならではの強みや、若手社員のアイデアを活かしていくための取り組みなどについて、代表取締役の田中さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社芦別スターライトホテル代表取締役の田中さん

株式会社芦別スターライトホテル
代表取締役

田中さん

芦別の魅力を活かし、「ここでしか味わえない特別な体験」を提供する

芦別スターライトホテルのフロント
▲高級感漂う「芦別温泉スターライトホテル」と「星遊館」のフロント

編集部

最初に、芦別スターライトホテルさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。

田中さん

芦別スターライトホテルは「星と炭鉱と芦別の自然」をコンセプトに、きれいな星空と泉質の良い温泉、炭鉱の歴史という芦別市の良さを活かした施設を運営しています。

当社のミッションは、芦別市の特徴を料理や空間で表現し、お客様にここでしか味わえない特別な体験をしてもらうことです。たくさんの人に施設へ訪れてもらうことで、芦別市というまちの活性化にもつなげていければと考えています。

運営施設をご紹介すると、リゾートホテルの「芦別温泉スターライトホテル」と、日帰り入浴もできるまったり空間「芦別温泉おふろcafe星遊館」のほか、新たに「芦別スターグランピング」もスタートしました。

編集部

「芦別温泉スターライトホテル」と「芦別温泉おふろcafe星遊館」は2019年にリニューアルオープンされたとのことですが、ちょうど社会情勢に大きな変化があったタイミングですよね。集客などへの影響もあったのではないでしょうか。

田中さん

そうですね、リニューアルの勢いをそがれた部分はありました。ですが、芦別スターライトホテルの施設に来ると、館内に温泉もあり、漫画もたくさんあり、泊まることもできるんですよね。遊びに行く場所が1か所で良いということ、また人里離れた山奥にあるという立地が世間のニーズとちょうどマッチして、比較的早く集客は回復しました。その後もずっと過去最高を更新しています。

稼働率で言うと、8割〜9割の稼働率になっていると思います。全国的に旅行の機運が下がっていた状況下でもそのくらいは維持していました。

編集部

すごいですね!通常運転のときでもなかなかない好数字だと思います。厳しい状況下での旅行ニーズを満たすことができたからこその数字ですね。

芦別スターライトホテルの館内の様子
▲温泉もあり漫画も豊富に取り揃えており、1日中ゆったりと寛ぐことができる

メインターゲットは若い世代!流行を取り入れ効果的な発信で心を掴む

芦別スターライトホテルの館内の様子
▲写真映えするおしゃれな雰囲気で若い人に訴求

編集部

旅行への制限がある中での世間のニーズとちょうどマッチしたとのことですが、旅行への規制が緩和された後も芦別スターライトホテルさんは過去最高を更新され続けているんですよね。芦別スターライトホテルが人気を集める上での強みは何だとお考えですか?

田中さん

リニューアル後の芦別スターライトホテルが、若い人に照準を合わせているという点は大きいと思います。もちろん星目的でいらっしゃるお客様の中にはいろいろな年代の方もいるため、ファミリー向けの施設整備もしています。「ウェルカムベビーのお宿」(※)の認定も実は取っているんですよ。
※ウェルカムベビーのお宿…ミキハウスが実施している、赤ちゃんと一緒に泊まれるホテルや旅館を「ウェルカムベビーのお宿」として認定する取り組みのこと。

ただし、ブランディングという点から見るとちょっと目立っているくらいの施設でないと勝ち抜けないなと思っています。そのため、メインターゲットは若い方に絞って訴求しています。

編集部

実際に芦別スターライトホテルさんを利用されるのは、若いお客様が多いのでしょうか。

田中さん

はい、20代の学生の方や社会人の方が多いですね。

編集部

若い方を中心に集客を進めるためにどのような工夫をされていますか?

田中さん

オープン当初はTikTokerやインスタグラマーなど、インフルエンサーによる集客も行っていましたね。今でも自社でのInstagramでの発信は続けています。

しかし、それ以上に大切なのは、「飽きさせないための工夫」だと思います。どうしても軌道に乗ると安定志向になってしまいますが、調子が良いならさらにその先に進むという意識を持っています。

北海道ってどうしても、東京などの都会よりも流行が遅れてくる部分があるのですが、本州で流行しているものをいち早く取り入れています。例えば流行りのスイーツやおしゃれなドリンクをつくってみるとかですね。

そういうものは必ずしも売れるわけではありません。しかし、業績につながらなくても、いろいろなことを早く取り入れているんだという発信ができることが重要だと思います。

編集部

芦別スターライトホテルさんが新しい流行を取り入れているというのはもちろん、それを積極的に発信しているからこそ、特に若い世代に刺さる施設になっているんですね。

若手のパワーとアイデアを大切に!20代でも重要ポストに就く社員多数

芦別スターライトホテルの社員様の写真
▲若手社員がいきいきと活躍!

編集部

芦別スターライトホテルさんの若手活躍の秘訣についてお伺いします。2023年度にも3名の新入社員が入社されたとお聞きしましたが、やはり若い方をターゲットにしているからこそ、若手社員の採用に力を入れられているのでしょうか。

田中さん

その通りです。若い世代へのサービスを考える上で、自分たちのアイデアをどんどん現場の運営に活かしてほしいという思いで、若い方の採用に力を入れています。

それに、ある程度年齢を重ねると、どうしても新しいことに挑戦する意欲は下がってくる傾向がありますよね。そういう意味でも、若い方たちの元気のあるパワーとアイデアは大切にしたいなと思っています。

編集部

芦別スターライトホテルさんで実際に活躍されている若手社員の方はいらっしゃいますか?

田中さん

芦別スターライトホテルではフロントのマネジャーも20代ですし、キッチンの係長も20代社員です。

編集部

若手社員の方が活躍するために、芦別スターライトホテルさんではどのようなことを意識していますか。

田中さん

意識的に若手のためのポストをあけるようにしています。

例えば新しくできたグランピング施設も若手に一任しようかなと考えていたりもします。支配人も20代の社員を登用できたらと考えているところです。

「失敗を恐れない」カルチャーが新しいアイデアを生む

芦別スターライトホテルの社員様の写真

編集部

芦別スターライトホテルさんではどのようにアイデアを出し、それを実現につなげているのでしょうか。

田中さん

若手のリーダーを集めた会議を週に1回行っており、そこでアイデアを出したり検討したりしています。でも日常的に雑談も含めていろいろな話をしているため、「こんなの面白いんじゃないか」という話が出てきたら、「やってみたら?」というような感じにしていますね。

編集部

そのときの田中さんのジャッジ規準というのはどこにあるのですか?

田中さん

「ターゲットがぶれていないか」は確認しています。先ほども言った通り、メインターゲットがぶれるとブランディングの点からも良くありません。

ただし、基本的には「やりたいことはやらせよう」というスタンスですね。「失敗を恐れない」というのが芦別スターライトホテルのカルチャーでもあります。もしシニア向けのアイデアだったとしても、実際にやってみたら若い人に受ける可能性もあります。やってみないと分からないため、ものすごく経費がかかるものでなければ、とりあえずやってみようという選択をしています。

編集部

実際に芦別スターライトホテルさんで、若手の方のアイデアから生まれた取り組みはありますか?

田中さん

大きなプロジェクトというよりは、日替わりで焚いているアロマの匂いとか、お風呂場に置いている泥パックの選定とか、本当に小さなことも含めて現場スタッフにある程度お任せしています。お客様に対してワークショップをやるとなっても、内容も運営もすべて現場に一任していますね。

編集部

現場に任せるというのも、ある種勇気のいることですよね。

田中さん

そうですね、ただ私も実は前の職場では20代で施設責任者になり、そこでいろいろなことを経験させてもらいました。上から言われてやる仕事よりも、自分で考えてやって、それで成果を出す方が楽しかったという自分の思いもあり、積極的にお任せしています。

編集部

確かに、任せてもらえるからこそ生まれる工夫やアイデアもありますね。ご自身のご経験から「任せる」ことを大切にし、それに現場も「失敗を恐れない」という姿勢で応えているのだなと感じました。

年齢や役職は関係なし。フラットなコミュニケーションが若手活躍につながる

芦別スターライトホテルの社員様の写真
▲和気あいあいとしたフラットな関係で、意見を言いやすい環境がある芦別スターライトホテルさん

編集部

芦別スターライトホテルさんで若手社員の方が活躍するための取り組みには、他にどのようなものがありますか?

田中さん

自由なアイデアを出してもらうにあたって、意見を言いづらい雰囲気があるのは良くないですよね。だからこそ、芦別スターライトホテルではフランクなコミュニケーションを取るようにしています。私も支配人も40代で、他のスタッフと歳は離れていますが、こちらから積極的にコミュニケーションを取っています。

私自身、役職が社長なだけであって、ひとりの人間であることには変わりません。立場や年齢に関係なく、フラットに接することで、意見の出しやすい良い雰囲気が生まれるのではないかと考えています。

編集部

フラットなコミュニケーションがスタッフ間でも意見を言いやすくなり、それが芦別スターライトホテルさん全体の良い雰囲気につながっているんですね。

アイデアに必要なのは「経験」!旅行補助で社員の経験をサポート

芦別スターライトホテルの接客の様子
▲お客様に感動を届けるため、社員自身の「経験」を大切に

編集部

芦別スターライトホテルでは社員の方のアイデアを育むために「自分自身が消費者になる」ことを大切にされているとお聞きしたのですが、これはどのような取り組みなのでしょうか。

田中さん

旅行に対する補助を行っています。例えばどこか気になるホテルに泊まりに行きたいという場合、それが芦別スターライトホテルの運営に役立ちそうなものであれば、宿泊補助を出すという取り組みです。1万5,000円を上限に、宿泊費の半額を補助しています。

この業界で働いている人というのは、自分たちでまず体験することが大切です。だから私は「旅行に行け、遊びに行け」というのは常に伝えるようにしています。私自身も、最低月に1回はどこかに旅行に行っていますよ。

編集部

田中さん自ら実践していらっしゃるんですね。芦別スターライトホテルの皆さまは実際に利用されてどこか旅行に行かれているのでしょうか。

田中さん

これまでに何人か利用はあります。ゴールデンウィークに休みを取ってこの制度を使って旅行に行った社員もいますね。

編集部

でも、ゴールデンウィークは芦別スターライトホテルさんも忙しい時期ですよね。

田中さん

そうですね。でもゴールデンウィークの忙しい時期に「お客様側」として忙しい施設を体験するというのは、必要なことだと私は思っているんです。

閑散期や暇な時期に旅行をするのではなく、逆に忙しい時期に行くことで、どのように上手くオペレーションを回しているのかを見ることもできますよね。それも含めて、いろいろな体験をしてもらうための補助制度になっています。

「休みが取れない」「拘束時間が長い」ホテル業界の常識を変革する働き方

編集部

芦別スターライトホテルさんの働き方についてお聞きします。先ほどもゴールデンウィークなどの忙しい時期に休みを取って旅行できるというお話がありましたが、休みの取得も含めた働きやすい環境づくりについて会社として取り組まれていることはありますか?

田中さん

ホテル業界全体で、休みが取りづらい、労働時間が長いという課題があります。私は昔からこの業界にいるのですが、朝から出てきて、少し休憩時間はあるものの、夜終わるまで、拘束時間で言うと15時間くらいになってしまうというのが当たり前になっていたんですね。

でも若い人たちに長く活躍してもらうためには、拘束時間やお休みの問題を解決しながら、効率の良い経営をしていく視点に切り替えていくことが大切だと思います。

例えば芦別スターライトホテルでは、一つの職種に捉われず、すべてのスタッフがいろいろな業務に対応できるようマルチタスク化を進め、業務を覚える程評価されるような仕組みにしています。マルチタスク化することで少人数で業務を回すことができ、結果的に拘束時間の短縮や休みを取りやすくなるというメリットがあるんです。

他にも今年から、3か月に1回ホテルの定休日を設けて、館内の整備に充てるという取り組みを始めました。今は3か月に1回ですが、上手くいくようであれば、ゆくゆくは毎月定休日を設けるところまで持っていきたいなと考えています。

これをすることで、館内の環境維持はもちろん、アイデアを形にするための時間も生まれます。そしてスタッフが休みを取れるようにもなりますよね。

将来的には有給消化も含め、年間115~120日の休日を最初から加味した採用計画を立てて、皆が休めるような環境を整備していきたいです。役職者の業務改善も含めて働きやすい環境をつくることが、若手社員が安心して働き続け、活躍をしてもらうために大切なことだと思っています。

編集部

私も祖父母が旅館を経営していたので、朝早く夜遅いのが当たり前だと思っていました。業界全体から見ても、大変革新的な取り組みだと思います。

評価基準は「マルチタスク」。頑張りや成果が反映される評価システムに

編集部

マルチタスク化のところで評価のお話が少し出ましたが、改めて芦別スターライトホテルさんの評価体制を教えていただけますか?

田中さん

できる業務が増えれば増えるほど、その分だけ評価に反映させるシステムにしています。

現在、芦別スターライトホテルだけでなく、子会社も含めグループ全体で評価制度を整備している最中です。基本的には今お話した通り、自分ができるスキルが増えれば増える程、ちゃんと評価が上がっていくシステムにするというのが、最終的な着地点です。

現時点でも、本人ができる業務量に応じて、その分だけ査定に反映させるようにしています。

編集部

「マルチタスク」が社内全体の働きやすさにも、個人の評価にもつながる仕組みを整えていらっしゃるんですね。

頑張りたい人にチャンスとポストを!やりがいのある環境で成長できる

株式会社芦別スターライトホテル代表取締役の田中さん
▲「挑戦したい人にはとてもやりがいがある環境」と話していただいた田中さん

編集部

最後に、記事を読んで芦別スターライトホテルさんに興味を持った読者の方に向けて、メッセージをお願いできますでしょうか。

田中さん

芦別スターライトホテルにはチャレンジできる環境があり、頑張りたい人にはチャンスとポストを積極的に渡していきたいと思っています。自分でいろいろ挑戦してみたい方にとっては、とてもやりがいがある環境です。

一方で、一人ではできない仕事であるため、チームワークをとても大切にしています。その点で言うと、若くしてリーダー職に就くことで、どうしても目上の方に指示を出さなくてはならないという難しい局面も出てきます。

それでも、若くしていろいろな経験ができることは将来的にとても役に立つことだと考えています。もし芦別スターライトホテルに興味を持っていただいたのであれば、まずは気軽にご連絡をいただければと思います。

編集部

若い方でも積極的にアイデアを出し、それを後押ししてくれる環境がある芦別スターライトホテルさんであれば、自分のためになる経験をたくさん積むことができるはずです。本日はありがとうございました!

■取材協力
株式会社芦別スターライトホテル:https://ofurocafe-seiyukan.com/
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