アスリート人材をエンジニアに育成。アーシャルデザインが目指す社会課題解決とは

さまざまな企業の新しい働き方やユニークな福利厚生などを紹介する企画。今回はアスリート・体育会系に特化した人材紹介・就職支援サービスなどを行う株式会社アーシャルデザインさんを取材させていただきました。

サービスに「アスリート人材×ITエンジニア」を導入した経緯や、社会課題を解決することで事業を拡大する思いについてもお聞きすることができましたので、ぜひご覧になってください。

株式会社アーシャルデザインとは

株式会社アーシャルデザインは「スポーツのちからで⼈の可能性(Life)を拡げ、世の中を改善(Hack)していく事業を創造」するスポーツライフハックカンパニーです。

アスリートに特化した人材サービスを展開しているほか、実業団駅伝チームを立ち上げたり、サッカー漫画とコラボするなど、活動の幅を広げながら創造を続けています。

会社名 株式会社アーシャルデザイン
住所 東京都渋谷区神宮前2丁目4−11 Daiwa神宮前ビル3階
事業内容 体育会学生/アスリート×HRサービス「Athlete Agent」
アスリート人材×IT/DX支援「AthleteAgent-TECH」
IT/DXエンジニア教育システム「FALCON」
設立 2014年10⽉
公式ページ https://www.a-cial.com/

今回は、企業理念や特徴的なカルチャーなどについて、株式会社アーシャルデザイン代表取締役・小園翔太さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社アーシャルデザイン・代表取締役の小園翔太さん

株式会社アーシャルデザイン
代表取締役

小園翔太さん

アスリートに特化した人材支援サービスを提供

アーシャルデザインの主⼒事業

編集部

Webサイトを拝見したところ、アーシャルデザインさんは自社のことを「スポーツライフハックカンパニー」だと定義されています。スポーツとビジネスを掛け合わせた人材の方向性としてすごく特徴的なサービスを展開されていると感じたのですが、事業内容についてご説明いただけますか。

小園さん

おっしゃるように、私たちはスポーツコンテンツをメインの事業としている企業です。創業時から、引退したアスリートにビジネス面での教育を提供して企業に紹介する「AthleteAgent(アスリートエージェント)」というサービスを行っています。

そこから展開したものとして、アスリート人材にプログラミング教育を提供し、エンジニアとしてIT企業にスキルシェアする「AthleteAgent-TECH(アスリートエージェントテック)」という事業が急成長しており、今では主力事業になっています。

実は、アスリートはエンジニアに向いている

編集部

「元アスリートに学習の機会を提供して人材不足を解決する」というアーシャルデザインさんのサービスは非常に特徴的だと感じましたが、周囲の反応はどうだったのでしょうか。

小園さん

はじめは周囲から「スポーツ経験者がエンジニアになるのは難しいんじゃないの」と反対されました。ただ、以前から「アスリートエージェント」のサービスで適性検査をしていたのですが、その結果、アスリートの適職としてITエンジニアが上位となったのですね。

ITエンジニアの仕事は現場でチームが組まれ、それぞれが担当の工程を任されて期日までにプロジェクトを完了させることになります。担当分野のスキルを自分で磨き、チームで結果を出すという点では、アスリートとエンジニアで近い部分があるので、そのような結果が出たのだと思います。

2030年にはIT人材不足が80万人に達するといわれており、一方で、引退後のアスリートのキャリアも近年問題になっていました。アスリートエージェントテックのサービスは、その両方を結びつけて解決する方法だと直感しましたので、「社会に必要とされるサービスならば絶対に伸びる」と信じてチャレンジしました。

編集部

アスリートや元アスリートの方々がエンジニアとして派遣されている企業からの反応をみて「自分は間違ってなかった」と感じられたということですね。

小園さん

そうです。事実ベースでいうと、アスリートエージェントテックの事業は2年半で9412%成長しています。派遣したエンジニアの全員が元アスリートの方たちで構成されており、IT業界にちゃんとフィットできることを証明したことになると思っています。手ごたえは強く感じていますね。

「ソーシャルスタートアップ」の考え方は会社の風土

アーシャルデザインの企業イメージ(テニスラケット)

編集部

元アスリートの方にキャリアの選択肢を提供できるということは、働きがいや経済成長という観点から、SDGsの目標達成にも関わってくるかと思います。そうした社会課題は以前から感じていらしたのですか。

小園さん

アーシャルデザインを設立したきっかけは、私自身がプロのアスリートを目指していて、残念ながら挫折してしまったことでした。その経験があり、引退したアスリートのキャリアに興味を持ったことから、この事業を立ち上げました。

私たちはいわゆるソーシャルスタートアップ(※)で、「社会課題を解決することによって事業を大きくしていく企業だ」ということは創業以来ずっと伝え続けています。「儲かるからやる」ではなく「社会に必要なサービスだから、その事業にチャレンジする」というのは会社の風土といえますね。
(※)ソーシャルスタートアップ:ビジネスを通して社会課題を解決しようとする企業

ただ、私はキング牧師の「愛なき力は暴力で、力なき愛は無力である」という言葉が好きで、同じように「理念だけでもダメで、売り上げだけでもダメだ」と思っています。いくら壮大なビジョンを掲げても実績がついてこなければ「何言ってるの」という感じになって周りはついてこないんですよ。だから、IPO(株式上場)を目指して経営方針も変えていったんです。

編集部

アーシャルデザインさんの将来的なビジョンについてもうかがいたいです。ご自身がテニスでプロを目指しておられた小園さんだからこそ、スポーツの可能性を信じていて、さらに広いジャンルにも手を伸ばそうとお考えなのでしょうか?

小園さん

社外的にはあまり話していないのですが、誰もが知っているスポーツカンパニーにしていくという意味ではナイキ、アディダスと並ぶような企業にしたいですね。

弊社はずっと「スポーツライフハックカンパニー」にこだわってきました。スポーツと成長マーケットを掛け算して、単一のスポーツビジネスではなく様々なスポーツコンテンツを保有している企業を目指していくのが我々のビジョンだと思っています。

今はアスリート人材の専門店みたいなイメージが強いですが、そこで終わるつもりは全くありません。「アーシャルデザイン」を物語にたとえればまだ第一章ぐらいです。

独自の教育システムでアスリートのスキルアップを実感

アーシャルデザインのオフィスで仕事する社員

編集部

アーシャルデザインさんのサービスについて、もう少しお聞きしたいです。適性があるといっても、元アスリートの方がエンジニアになるには努力や工夫が必要かと思うのですが、そのあたりについてお教えいただけますでしょうか。

小園さん

アーシャルデザインでは、自社開発した教育システムを使っていただくことで、効率的に学習できるよう仕組みを整えています。個人によってバラツキはありますが、このシステムを使って学習することで、基本的には6ヶ月後にはエンジニアになれる知識を得ることができます。

編集部

プロのプレーヤーだったアスリートの方が、今はこのように活躍しているといった事例がありましたらお聞かせ願えますか。

小園さん

アスリートの競技レベルはさまざまですが、そのなかでもサッカーの名門高校出身で、単身セルビア・モンテネグロに渡ってプロのプレーヤーとして活躍した吉田というエンジニアがいます。

吉田は学生時代からWebのプログラミングを少し勉強していたらしく、引退のタイミングでネット検索して「アーシャルデザイン」を見つけたそうです。今やアスリートエンジニアのなかでも代表的な存在になっています。

ほかにも海外でプレーしていた者はけっこういて、さまざまな経歴を持っていますね。国体出場とかインハイ・インカレ出場ぐらいだと「へえ」で流すレベルなので、私が社内でうかつに「プロを目指してました」と言うのも申し訳ない感じです(笑)。

イキイキ働いている人の共通点。キーワードは「当事者意識」

アーシャルデザインのオフィスでの勤務風景

編集部

続いて、アーシャルデザインさんのメンバーの働き方についてお教えいただけますでしょうか。

小園さん

300人程度の社員のうち、本部スタッフが60名強で、残りのメンバーはエンジニアです。基本的にはクライアント先で勤務していて、なかにはリモートで働いている者も多いです。

編集部

そうやって働かれている方々はアーシャルデザインさんの事業に大きな可能性を感じて入られたと思うのですが、やはりアスリートや元アスリートの方が多いわけですよね。

小園さん

弊社のエンジニアは、基本的に元競技者以外は受け入れていません。本部スタッフの場合はばらつきがあり、国体や世界大会に出場した本格的なアスリートから、スポーツの経験はないもののスポーツビジネスに興味があって入社したケースもあります。スポーツ自体に関心があったほうが適しているとは言えるかもしれません。

編集部

競技経験やスポーツへの関心以外では、メンバーの皆さんに共通する性質のようなものはあるのでしょうか。

小園さん

メンバーの学歴や経歴、境遇などは幅広いですが、イキイキと働いてくれている人の共通点は「当事者意識」を持っていることですね。やはり、チームにおける主人公は自分だと思える人が活躍しています。

弊社の採用方針としても「当事者意識」は一つのキーワードになっていて、そこをどのような視点で捉えようかと考えています。

元アスリートならでは?独自イベント「キシャビンピック」とは

アーシャルデザインの開催イベント「キシャビンピック」のようす
▲キシャビンピック(エンジニアの帰社日を活用した取り組み)の一幕。

編集部

アーシャルデザインさんが独自に設定している制度があればお教えください。

小園さん

他のIT企業と異なるところでは、社員のほぼ全員がスポーツ経験者なので、3ヶ月に1回、運動会みたいなことをやっています。エンジニアには帰社日(※)がありますが、それをもじって「キシャビンピック」と名付けています。
(※)IT企業では客先常駐している社員が定期的に自社に集まる日を設定していることがあり、一般的に帰社日と呼ばれている。

エンジニアは毎月1日が入社日なので、同期同士はたいてい仲が良くなります。ただ、入社したタイミングが違うと同期を越えて交流することが少ないため、キシャビンピックではチームをバラバラに分けて入社日が違うエンジニア同士も仲がよくなるように工夫しています。

編集部

アーシャルデザインさんの運動会だと、レベルがすごく高そうですね。

小園さん

はい。見ていてちょっと引くレベルかもしれないですね(笑)。

その他の制度についてお話ししますと、飲み会などの交流も奨励しています。エンジニアと聞くと落ち着いてるイメージが強いと思うのですが、弊社のエンジニアはアスリート系だけに明るい性格の者が多いので、コミュニケーションも活発ですね。

アーシャルデザインの開催イベント「キシャビンピック」の看板

理念共感型採用から理念コミット型採用に。情熱を持ってやれるかが重要

アーシャルデザインのオフィス内観

編集部

採用に関して、アーシャルデザインさんの方針を伺えればと思います。

小園さん

これまでは理念共感型採用でやっていたのですが、今は「理念コミット型採用」に変えています。

私たちのことをビジョナリー(将来を見通した展望を持つ)な会社だと共感してやってくる学生の方も多く、それ自体はすごくいいことですが、理念というのはあくまできっかけにすぎません。その理念について、自分の言葉で「僕はこういうふうにコミットします」と話せることがより大切だと思っています。

例えば、サイバーエージェントさんがすごく伸びたのは「21世紀を代表する会社を作る」というビジョンに対して全員がコミットできたからではないでしょうか。弊社も、共感は当たり前で、そこからさらにコミットしていくことを採用の方針にしています。

編集部

アスリートの方も結果が求められる世界だったと思うので、ただ目標を掲げるだけではなくて、「どのような練習やプロセスを踏んで結果を出すか」ということにこだわっている方が多いと思います。そういった人材が多く集まっているということですね。

社長として採用面接で重視していること

アーシャルデザインのオフィスで会話をする社員

編集部

代表自ら、いろいろな方と面談されることがあると思うのですが、理念にコミットすること以外に重視しているポイントはありますか?

小園さん

やはり、先ほどお伝えした当事者意識は重要だと思っています。自分の人生に当事者意識を持って生きてきたかどうかを、面接では見極めるようにしてますね。

スポーツでも、監督から推薦で「ここに行け」といわれたまま進路を決めるといった、自分の人生なのに自分がオーナーじゃないようなケースはけっこうありますよね。何か壁にぶつかったときに、自分で考えて行動したか否かを、採用面接のときにはしっかり見ています。

編集部

アーシャルデザインさんならではの視点ですね。入社後にミスマッチが発生するのを防ぎたいということでしょうか。

小園さん

はい。単に優秀な方がほしいというわけではなく、弊社の価値観を同じように大切にしてくれる人にやっぱり来てほしいんです。だから、面接をして優秀だと感じても「自分で考えている部分が少ないかも」という場合は、採用を見送ることもあります。

20代前半が重要。当事者意識と情熱が将来に活きる

編集部

最後になりますが、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

小園さん

若い世代の方は特に「当事者意識」が全てで、情熱を持ってやれることが何よりも重要だと思ってます。ただ、言葉にするのは簡単ですが、実はけっこう難しいところがあります。

社会に出ると、学生時代と違って結婚をはじめ様々なライフイベントがあり、人々との関わりが増えていくので、自分の情熱を注ごうとするのは大変です。でもその中で自分が情熱を注いだものは、それが仕事であれ別の何かであれ、いろいろな局面でプラスに働いていくと思うのです。

僕自身、学生時代はほとんどの時間をテニスに費やし、情熱を持ってやった結果、そこで培ったいろんな考え方や習慣とか、頭の使い方などが、起業したときにすごく活きました。

個人的には、20代前半で社会人におけるフォームが決まると思っています。どのように働くかがビジネスや自分の人生をどれだけ充実させるかに作用すると考えているので、そういうところを意識するとよいのではないかと思います。

そして、もしアーシャルデザインに興味を持ってご自分の情熱を注いでいただけるのであれば、ぜひ応募してください。

編集部

特に若い世代の方に刺さるメッセージだと思います。本日はお時間をいただき本当にありがとうございました。

■取材協力
株式会社アーシャルデザイン:https://www.a-cial.com/
採用ページ:https://a-cial-recruit.com/