今の職場環境が働きづらく、「転職をするなら、働きやすい環境のホワイト企業が良い」と考えている人も多いのではないでしょうか?
ですが、何を持ってホワイト企業と言えるのか、その特徴や見分け方が難しいと感じることもあるかもしれません。
このページでは、ホワイト企業の特徴や見分け方、そしてホワイト企業に関する国の認定制度などについて解説します。
30秒でできるホワイト企業診断
勤めている企業や気になっている企業がホワイト企業と言えるのかどうか、30秒でできる「ホワイト企業診断」をしてみましょう。
項目に当てはまった数が多いほど、「ホワイト企業レベルが高い」ということになります。
□ | 1.残業時間が20時間未満 |
---|---|
□ | 2.年間休日が120日以上 |
□ | 3.有休の取得率が60%以上 |
□ | 4.基本給が業界の平均より高い |
□ | 5.福利厚生が充実している |
□ | 6.「テレワーク」「時短勤務」など柔軟な働き方ができる |
□ | 7.研修制度が充実している |
□ | 8.業績好調・将来性がある |
7〜8個 | ホワイト度 100% |
超ホワイト |
---|---|---|
5〜6個 | ホワイト度 75% |
ホワイト |
3〜4個 | ホワイト度 50% |
ややホワイト |
0〜2個 | ホワイト度 0〜25% |
ホワイトとは言い難い |
現職のホワイト度が低い場合、転職も一つの選択肢かもしれません。転職を検討する場合、次の記事を参考にしてください。
ホワイト企業の特徴13個
ここからは、ホワイト企業の特徴について解説します。
ホワイト企業には明確な定義はありませんが、一般的には「従業員のことを考えている企業」と言うことができるでしょう。
それでは、具体的にどのような特徴があるのでしょうか?一つ一つ見ていきましょう。
1.残業時間が少ない
残業時間が月に20時間以内、1日1時間程度であれば少ないと言うことができるでしょう。
※厚生労働省の勤労統計調査によると、フルタイム勤務の人の月の平均残業時間は14.6時間
ホワイト企業は基本的には定時に退勤することができます。
また、仕事の効率化が徹底されており、社員に負担がかかり健康を損なうことがないよう対策が行われているのです。
2.サービス残業がない
「サービス残業」とは、労働に対して賃金が支払われない残業のことです。
当たり前のことではありますが、企業は労働に対して適切な賃金を支払わなければなりません。
ホワイト企業は、サービス残業が発生しないよう対策をしているため、万が一、残業することがあっても、労働者に適切に賃金が支払われるようになっているのです。
3.有休の取得率が高い
「有休」とは「有給休暇」を指し、労働基準法で定められている給与が出る休暇のことです。
「入社後6ヵ月勤務している」また「労働日の8割以上勤務している」労働者に対して、企業は年間10日間の有休を与える義務があります。
ホワイト企業では、社員が有休を取りやすい環境を作っており、企業側が有休取得を促しています。
ですが、従業員のことを考えていない企業では、「有休を申請しづらい雰囲気がある」もしくは、「有休を取ることに対してなかなか許可が下りないこと」もあります。
※厚生労働省の就労条件総合調査によると平均取得日数は10日程度
4.福利厚生が充実している
福利厚生とは、企業が従業員に対して支払う賃金に加えて支給する報酬やサービスのことで、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」に分けられます。
法定福利厚生 | 法律により義務付けられたもの 健康保険や厚生年金保険、雇用保険など |
---|---|
法定外福利厚生 | 法律により定められていない、各企業それぞれの従業員に対する報酬やサービス 社員食堂や社宅、住宅手当、通勤手当など |
法定外福利厚生が充実していると、業務とは直接関係のない私生活での出費を抑えることなどが可能で、従業員の満足度も上がると言えます。
任意で支給する「法定外福利厚生」が充実している企業は、従業員の働きやすさを考えているホワイト企業である可能性が高いと言えるでしょう。
5.女性が働きやすい制度や環境である
特に、結婚や出産などの人生のライフステージの変化があると、働き方を変える必要が出てくる場合が多くあります。
具体的には、以下のような項目に当てはまれば、「女性が働きやすい制度や環境である」と言えるでしょう。
- 育休・産休制度が整っている
- 時短勤務ができる
- フレックスタイム制度がある
- 職場に託児所がある
- 女性社員・役員が多い
女性にとって働きやすい会社を見つけるには、女性の転職におすすめの転職エージェントを選ぶと良いでしょう。
6.基本給が高い
ホワイト企業は適切な労働時間で、かつ基本給が平均より高い傾向にあります。
「基本給が高い」というのは、企業の業績が安定しており、倒産などのリスクが低く、その成果が給料として社員に還元されている証拠です。
万が一業績が悪くなった場合、ボーナスや法定外福利厚生などの手当を減らすことはあっても、基本給が下がる可能性は低く、引き続き安定した賃金を受け取ることができると言えます。
なお、労働時間が長く業務量が多いことから、基本給が高く設定されている場合もあり、「基本給が高い場合は必ずホワイト企業」と言い切ることは難しいでしょう。
7.業績が好調
業績が好調であれば、比較的給料が高く、福利厚生が充実しているホワイト企業である可能性が高いと言えます。
業績が良くない場合、このように待遇を良くすることができません。また、業績が良い場合、従業員がパフォーマンスを発揮できる環境が整っているとも考えることができます。
なお、上場企業であれば業績を決算資料で確認することができますが、特に「財務状況」と「中期経営計画」に注目すると良いでしょう。
8.オフィス環境が整理されている
ホワイト企業は、社員が働きやすいようにオフィス環境が整理されている傾向があります。
「オフィス環境」は、職場のレイアウトや部屋の大きさ、照明、温度、清潔さなど、職場全体の環境のことを指します。
こうしたオフィス環境に加えて、最近では、働くデスクが決まっていない「フリーアドレス型」にしたり、新しい発想が浮かびやすいように設備のデザインなどを工夫したりする企業もあります。
オフィス環境が整っていると、従業員は働きやすくなり、業務の効率化を図ることもできます。
9.離職率が3年以内で15%以下
一般的に3年以内の離職率が15%以下であればホワイト企業だと言われています。
離職率が低く、勤続年数が長い従業員が多いことが、働きやすい環境であると考えられているためです。
なお、新卒入社の3年後の離職率についてを、「就職四季報」で確認することができます。
また、離職率と合わせて、平均勤続年数が長い企業もホワイト企業の可能性が高いと言えるでしょう。
10.柔軟な働き方ができる
社会の変化に伴い、企業でも柔軟な働き方ができるような取り組みが求められています。
多くのホワイト企業では、育児や介護など、従業員のライフスタイルに合わせて、時間や場所にとらわれない、柔軟な働き方ができるような制度を整えています。
柔軟な働き方にはこのようなものがあります。
- テレワーク
- 時短勤務
- フレックスタイム制度
11.研修制度が充実している
ホワイト企業では従業員が能力を発揮し活躍できるように、人材育成に力を入れる傾向があります。
人材育成には時間も労力もかかりますが、長期的に見ると、従業員の成長、そしてそれが企業の成長にも繋がると考えられています。
どのような研修が行われているかは、企業の公式HPで見ることもできるので、「気になる企業の研修内容が充実しているか」を直接確認することがおすすめです。
12.評価制度が確立されている
ホワイト企業は、従業員の評価を適切に行える制度を整えている傾向があります。
評価は、賃金や昇進に関わる重要なことです。適切に評価されることで、従業員は企業への信頼をおきやすく、その企業で働くモチベーションにも繋がり、結果、離職率も低くなります。
このように評価制度に重きを置いているのは、従業員の働きやすさを考えている証拠と言えるのです。
13.コンプライアンスを重視している
コンプライアンスは「法令遵守」「社会的規範を守ること」を意味します。
企業においては、「労働基準法などの法を守ること」はもちろんのこと、「ハラスメント行為を防ぐこと」「社会倫理を守ること」などの意味も含まれます。
ホワイト企業は、こうしたコンプライアンスに対する意識が高く、相談窓口を設置したりや、コンプライアンス研修を行なったりします。
理想のホワイト企業へ転職するために特徴に優先順位をつけよう
ここまでで「ホワイト企業の特徴」を紹介しましたが、実際にこのページで紹介した特徴を網羅している企業はかなり少ないと言えます。
そのため、全ての特徴に当てはまる求人を見つけたとしても、人気企業で倍率が高く、入社が難しい可能性もあります。
そこで、自分の中で欠かせないと思う特徴に優先順位をつけて、3〜5番目までの特徴に当てはまる企業を探すことをおすすめします。
ホワイト企業を紹介してくれる転職エージェントを選ぼう
ホワイト企業に転職したい場合、ホワイト企業の案件をたくさん保有している転職エージェントを選べるかどうかが一番のポイントです。
もっと言うと、ホワイト企業を紹介してくれる「担当コンサルタント」に出会うことが一番大切です。
同じ転職エージェントでも、担当者の質はそれぞれ異なり、自分に合ったホワイト企業を薦めてきてくれる担当もいれば、ブラック企業だろうがお構いなしに手当たり次第に紹介してくる担当もいます。
良いコンサルタントの特徴はこちらです。
□ | 面談・キャリアカウンセリングの時間が充実している |
---|---|
□ | 一度に紹介する企業数が10件以下 |
□ | 一人のコンサルタントが担当している求職者数が100人以下 |
転職エージェントは、登録したら担当のコンサルタントとの面談が組まれます。このときに、自分の職歴や強み、希望の条件などをヒヤリングしてもらいます。このときに、表面的なことだけではなく、より深く自分のことを知ろうとしているのかどうかをチェックしてください。具体的には、「どうして?」「なぜ?」といった深掘り質問をしてくるコンサルタントは良いコンサルタントです。形式的に質問をしてくるだけの担当者は、仕事の質が低く、適当な会社を紹介してくる可能性があります。
たくさんの求人数を紹介してくれるコンサルタントが良いコンサルタントではありません。一度に大量の求人を紹介してくるということは、ブラック企業が紛れ込んでいるリスクもそれだけ高まります。見境なく、20社、30社とまとめて紹介してこられたら、ホワイト企業を見つけるのは難しくなります。
コンサルタントは自分だけでなく、他にもたくさんの求職者を担当しています。その人数が多ければ多いほど、自分に割いてもらう時間が減ることになります。面談時に、「◯◯さんは何人求職者を受け持ってらっしゃるのですか?」と聞いてみましょう。このとき、100人を超えていたら、要注意です。丁寧に吟味してホワイト企業を薦めてもらえる可能性は低くなります。
良いコンサルタントかどうかは、一度面談をしてみるまでわかりません。
大手の転職エージェントにはホワイト企業が集まりやすく、コンサルタントの研修制度も充実しているので、まずは大手転職エージェントを3社ほど登録して、良いコンサルタントを選び出すと良いです。
派遣会社 | 特徴 | リンク |
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リクルートエージェント | ■転職支援実績NO.1 株式会社リクルートが運営する転職支援実績NO.1、日本最大級の転職エージェントサービス。若手層~中堅・管理職層までの幅広い経験者、全国を対象。 |
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マイナビAGENT | ■34歳までの登録者が全体の80%以上 株式会社マイナビが運営する転職エージェントサービス。求人紹介から内定までをキャリアアドバイザーが一貫して支援。 |
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ホワイト企業の見分け方
ここからは、ホワイト企業の見分け方を「求人票」や「面接」、「口コミサイト」などに分けて解説します。
ホワイト企業の特徴が分かっても、実際に入社したい企業がホワイト企業かどうかを見分けることが難しく感じられることもあるでしょう。
ですが、いくつかのポイントを押さえることで、判断しやすくなるのです。
「求人票」での見分け方
ポイントは7つあります。
ポイント | 詳細 |
---|---|
残業の有無 | 残業の有無が記載されていて、さらに月の残業時間が20時間未満であれば、ホワイト企業の可能性が高い。 |
年間休日数 | 年間休日数が120日以上あれば、休日数が平均以上ということなので、ホワイト企業の傾向がある。 |
法定外福利厚生 | 社員食堂や社食などの法定外福利厚生が充実しているほど、ホワイト企業である傾向がある。 |
基本給 | 交通費や手当を含む"総額"ではなく、基本給が高いということは、業績が安定しているホワイト企業の可能性が高い。 |
求人が出る回数 | 求人が頻繁に出ていると、人員の入れ替えが激しい、つまり離職率が高い可能性がある。 |
従業員の年齢 | 若い世代が多い場合は、継続年数が短い可能性がある。反対に40〜50代が多い場合、若い世代が働きにくい環境の可能性も。 |
離職率・継続年数 | 離職率が低く、平均継続年数が長いのがホワイト企業。そのデータを公開しているかどうかも注目すべきポイントの一つ。 |
「面接」での見分け方
ポイントは3つあります。
ポイント | 詳細 |
---|---|
面接の回数や時間 | 面接の回数や時間が、適切に確保されているかどうか確認しよう。 |
面接官の態度 | 面接官の態度が横柄でないか、マナーが守られているかを確認しよう。 |
質問への回答 | 特に企業側が答えにくい質問も真摯に答えてくれるかに注目しよう。 |
「口コミサイト」での見分け方
ポイントは2つあります。
ポイント | 詳細 |
---|---|
具体的な情報 | 例えば、「残業が多い」という口コミがあったら、具体的な数値を確認しよう。「多い」のが20時間なのか50時間なのかは人により感覚が異なるので注意。 |
退職理由 | 退職理由にネガティブなものがないかを確認しよう。残業や業務量の他、職場環境や人間関係など、求人情報からは確認しづらいものに注目することがおすすめ。 |
口コミサイト利用時の注意点
「口コミサイト」を通して、ホワイト企業かどうかを見分けるときは以下のことに注意しましょう。
- あくまで一人の主観的な意見 口コミサイトはあくまで一人の主観的な意見であり、全員の総意ではありません。
- すべて鵜呑みにしない
口コミサイトには事実か確認できない情報も多く紛れている場合があります。
すべて鵜呑みにするのではなくて、参考程度にとどめておく方が良いでしょう。
「口コミサイト」の例
口コミサイトには以下のようなサイトがあります。
その他の見分け方
その他の方法で見分けるときのポイントを2つ、解説します。
ポイント | 詳細 |
---|---|
深夜でも窓が明るくないか | 深夜でもオフィスの明かりがついていないか、可能であれば確認しよう。 |
従業員が楽しそうに働いているか | 従業員が楽しそうに働いているかにも注目しよう。面接や体験入社のときに、従業員の様子を観察することで、企業の雰囲気が掴める。 |
ホワイト企業の証!国の認定制度も確認
ホワイト企業かどうかを判断するために、「国の認定制度」の有無を確認する方法もあります。
ここでは、4種類の認定制度について解説します。
安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク)
1つ目は、安全衛生優良企業認定ホワイトマークについてです。
厚生労働省が高い安全衛生水準を維持・改善している企業を認定している
安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク)とは、厚生労働省が認定する以下のような企業を指します。
労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のこと(引用:厚生労働省)
認定企業の条件(労働対策で約80項目の基準を満たす必要あり)
認定を受けるためには、過去3年間に労働安全衛生関連の重大な法違反がないことなどに加えて、労働者の健康保持増進やメンタルヘルス対策、過重労働防止対策など約80項目の基準を満たす必要があります。
ユースエール認定
2つ目は、ユースエール認定についてです。
厚生労働大臣が認定
ユースエール認定とは、厚生労働大臣が認定する以下のような制度です。
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。(引用:厚生労働省)
認定企業の条件(若い世代が働きやすい環境を整える必要がある)
若い世代の正社員の募集があったり、人材育成をしていたりするなど、若い世代が働きやすい環境を整えている必要があります。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定
3つ目は、えるぼし認定・プラチナえるぼし認定についてです。
厚生労働省が「女性の活躍に盛んな企業」を認定
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定とは、女性の活躍に関する取り組みが盛んな企業を厚生労働省が認定する制度です。
認定企業の条件に男女の差をつけていない
採用や継続就業、管理職比率などの評価項目を通して、男女の差をつけておらず、また女性が活躍していると判断される必要があります。
くるみん認定・プラチナくるみん認定
4つ目は、くるみん認定・プラチナくるみん認定についてです。
厚生労働省が「仕事と子育ての両立を促進している企業」を認定
くるみん認定・プラチナくるみん認定とは、仕事と子育ての両立を促進している企業を厚生労働省が認定する制度です。
認定企業の条件(子育て世代が働きやすい環境の提供)
育児休業の取得率が一定の基準を満たしていたり、残業の削減やフレックスタイム制度などを導入したりするなど、子育て世代が働きやすい環境であることが必要です。