世界進出を視野に。株式会社foriioが挑む「着実な急成長」と「プラットフォームへの進化」

ビジネスモデルの独創性や事業の成長性などで注目できる企業を紹介する本企画。今回はクリエイターのためのWebポートフォリオサービス「foriio」を展開する株式会社foriioをご紹介します。

株式会社foriioとは

2017年12月に設立された株式会社foriioは、2019年1月にWebポートフォリオサービス「foriio」のβ版をローンチしました。そこから事業の急成長が始まり、1年後の2020年初めには累計登録クリエイター数が1万人を突破しています。

さらには、2020年4月の緊急事態宣言による自粛の本格化が、登録者数の急増に拍車をかけることとなり、その年の中頃には2万人を突破しました。その後も勢いは衰えておらず、現在では9万3,000人を突破する日本最大級のポートフォリオサービスに成長を遂げています。

会社名 株式会社foriio
住所 東京都新宿区新宿5丁目10-15 The Corner SHINJUKU 5階
事業内容 クリエイターのポートフォリオプラットフォーム「foriio」の企画・開発・運用
設立 2017年12月
公式ページ https://www.company.foriio.com/

今回は株式会社foriioの代表取締役である山田寛仁さんに、「foriio」のサービス内容や事業化のきっかけ、これまでの成長の経緯、そして今後の進化の方向性を伺いました。さらには、メンバーの働き方をお聞きするとともに、採用におけるポイントや求めている人物像についてお伺いしています。

本日お話を伺った方
株式会社foriio代表取締役の山田寛仁様

株式会社foriio
代表取締役

山田 寛仁さん

クリエイターのためのWebポートフォリオ事業を展開

株式会社foriioのメンバー2名による執務風景

編集部

まずforiioさんの事業概要について、ご説明をお願いします。

山田さん

株式会社foriioは、社名と同じ「foriio」というWebサービスを運用しています。これはクリエイターが自分の作品や実績などを、簡単にまとめられるポートフォリオサービスです。クリエイターにとってのポートフォリオとは、ビジネスマンにとっての履歴書のようなものです。これをオンラインで簡単に作れるというツールを提供しています。

編集部

クリエイターが自分の過去の実績を、第三者に伝えるためのツールですね。

山田さん

そうです。このサービスが一番役立っていると思う部分は、クリエイターの「こういうものを作ってきました」という実績を、簡単にまとめられるということです。foriioを使ったからといって、それが必ずしも売り上げや依頼に直結するわけではありません。

ただクリエイターは、仕事を受注するために、まず大前提として「自分はこういうことができます」というスキルや実績をお見せしなければなりません。その上で「ではお願いしましょう」という流れになることが普通です。ですから「何を作れるか」を見せることは、ボトムラインなんですね。

ポートフォリオは、そのために不可欠なツールで、昔からずっと使われてきています。ただし昔でしたら、例えばイラストレーターの場合、大きなクリアファイルに自分の作品を挟んで持参して、お見せしていたわけです。

編集部

それをWeb化したサービスが「foriio」なんですね。

山田さん

その通りです。オンライン上のポートフォリオであれば、世界中のいろいろな人に見てもらえるチャンスが広がります。ただし、これをホームページでやろうとすれば、コーディングのスキルなどが必要になります。ノーコードのツールもありますが、それでもカスタマイズやテンプレートの修正などと手間がかかるんですね。

しかし「foriio」でしたら、そういった手間はまったくありません。誰でも簡単な操作で、自分の実績やスキルをきちんと整理して伝えられるポートフォリオが完成します。そういうツールとして、クリエイターの皆様にご活用いただいています。

フリーデザイナーとしての経験から生まれたサービス「foriio」

編集部

「foriio」を始めたきっかけは、どういったことだったのでしょうか。

山田さん

1つは私が元々デザイナーだったという背景があります。クリエイティブ系の専門スクールを卒業後、広告制作会社やスタートアップにてデザイナーやアートディレクターを5年半ほど経験しました。その後フリーランスになり、4年半ほど活動しています。

フリーランスになって実感したことは、クリエイターとして活動を続けることの難しさでした。それは同業者である友人や知人も同様で、新たなビジネス機会の獲得に苦労している人がとても多かったんです。そこでフリーランスのクリエイターが、もっと働きやすくなるような、そのきっかけを作れるサービスができないだろうかと考えたんですね。それが弊社設立の起点になりました。

編集部

ご自身のフリーランス・デザイナーとしてのご経験から生まれたサービスなんですね。

β版のローンチ以降、登録者数は週次で10%成長を実現

株式会社foriioの執務イメージ
▲foriioさんの執務イメージ(公式ページより引用)

編集部

資料を拝見すると2017年12月の会社設立から「foriio」のローンチまでには、少し時間がかかっていますね。

山田さん

はい。設立から少し間を置いてリリースしたという形になります。この間はプロダクトの開発をしたり、開発しながらプライベートでテストしてもらったりということを繰り返していました。その上で2019年1月に公式のβ版をローンチしました。

編集部

今に至るまでの成長プロセスは、どのような感じでしたか。

山田さん

設立の時点から、出資してくださった株主様もいらっしゃいました。ただ、多くの投資家からは、「このプロダクトはうまくいかないと思う」というご意見をいただきました。ですから当初は、私達のプロダクトが多くのクリエイターから使ってもらえることを、立証するために心血を注いだといっても過言ではありませんでした。

編集部

産みの苦しみですね。

山田さん

最初から多くの方に期待されて、「これはいけるよ」ということで始めたサービスではなかったんです。ただ私自身、当時はまだクリエイターとしても活動をしており、周囲のクリエイター達を見て「こういうツールが必要だ」ということを痛感していました。

そしてテストで使ってくれていた仲間達からのヒアリングで、「絶対にいける」という確信に変わっていったんです。しかし、その共感がなかなか得られませんでした。とにかくプロダクトを完成させて、使ってもらえることを証明するしかない。そう思いながら頑張っていました。

編集部

潮目が変わってきたのは、どのタイミングからでしょうか。

山田さん

β版をローンチしてからです。広告を打っていないにも関わらず、週次の登録クリエイター数が10%ペースの成長率で伸び始めたんです。皆さん、口コミで使ってくださるようになったんですね。このグロ-スを見て、「これはクリエイターに使ってもらえるサービスになる」ということに、自信を持てるようになりました。

コロナ禍での自粛が登録者数の急拡大に寄与

株式会社foriioの執務イメージ
▲foriioさんの執務イメージ(公式ページより引用)

編集部

新型コロナウイルスの影響による自粛も、結果として登録クリエイター数の拡大に繋がったと伺いました。

山田さん

確かにコロナ禍に入ってから、登録数の伸びにさらに拍車がかかったという印象があります。2020年の初めにようやく1万人を突破したのですが、その年の秋口までには一気に2万人を超えてしまいました。
自粛がマストになり、外に出られなくなった。けれども皆さん、仕事をしてお金を稼がなくてはいけない。個人のクリエイターであれば、なおさらですよね。そこでオンラインを強化する方向に向かったんですね。

ただし、そうはいっても先行きが不透明な中で、ホームページの作成に50万円や100万円という投資は難しかった。そんなタイミングで「foriio」という無料オンラインツールの存在を知ったのだと思うんです。2020年4月に緊急事態宣言が出ましたが、それから1週間も経たないうちに、1日の登録者数が2倍になりました。ユーザー数の伸びに、さらにブーストがかかってきたんです。

編集部

登録者数は今や9万人を突破したと伺いました。コロナ禍が一段落してからも、成長スピードは衰えていないようですね。

山田さん

成長スピードは引き続き衰えていませんね。最近はデイリーで、140~150人の方が登録してくださっている状態です。

クリエイターの口コミで一気に高まった「foriio」の認知度

編集部

広告を一切打たずに認知度が高まった要因は何でしょうか。

山田さん

これは本当に、いろいろあります。運がよかったということも、あると思っています。そして、そもそもでいえば、ポートフォリオというサービスの開発を選んだことです。これが本当によかったのだと思います。

編集部

どういうことでしょうか。

山田さん

先ほどもお話したように、ポートフォリオはクリエイターにとって、自分の作品を見せる最低限の営業ツールです。ですからこれを作った方は、たいていは営業をされます。何らかのアクションを起こして、他人に見せるんですね。

すると今度は、見せられた側が「foriio」というサービスがあることを知る。その人達もクリエイティブ関連の方が多いですから、次は自分でも使ってみようとなる。そうやって口コミで広がっていったんですね。

またSNSによる「僕のポートフォリオを見てみてください」という拡散もあります。そのユーザーのフォロワーであるデザイナーやクリエイターに「foriio」が伝わり、認知度が高まるという効果がありました。広告で広めるよりも実際のユーザーに伝えてもらった方が、はるかによさを伝えやすいですよね。ですから弊社は広告を打たずに、これまでずっとやってきたんです。

編集部

登録者数の急拡大にともない、組織も規模を拡大されてきたと思います。今はどんな状況でしょうか。

山田さん

確かに会社としても、少しずつ規模を大きくしている状態です。設立翌年の2018年は4名体制でしたが、直近では業務委託やパートの方を含めて20名ぐらいの規模になっています。

ただし、昨今のテック系企業と同様に弊社も、そこまで大人数にしなくても開発を進めることが可能です。ですから規模をどんどん拡大するというよりは、筋肉質な状態を維持しつつ、今のいいチームの形のまま進めていこうというマインドです。

9万人超の登録者数を生かしたプラットフォームへの進化

株式会社foriioの執務イメージ
▲foriioさんの執務イメージ(公式ページより引用)

編集部

今後の「foriio」は、どういった進化を目指しているのですか。

山田さん

現状のポートフォリオ「ツール」という部分を基軸にしつつ、今後は「プラットフォーム」として活用いただけるような形に成長していく必要があると思っています。特に法人のお客様には、クリエイターへの発注やクリエイターの採用など様々なニーズがあります。そこに応えられるサービスを展開していきたいと考えています。

編集部

それが実現すればクリエイターにとって「foriio」は、さらに頼もしい存在になるでしょうね。

山田さん

そうなりたいと思っています。今の登録者数は9万6,000件ほどです。ポートフォリオサービスとしては、国内最大級のクリエイターネットワークになっています。これだけの規模感があり、しかもクリエイティブの企画・制作にも対応できます。こういう会社は、なかなかないんですね。

規模感でいえば、小さな制作会社なら普通はマックスでも20~30人だと思います。そして大きな会社でも、多分100人ぐらいではないでしょうか。9万人というクリエイターを抱えている会社はないので、ここを弊社の強みとして展開します。まずはマッチングの部分ですね。そこに力を入れたいと思っています。

国内在住者は現状、全メンバーがオフィス出社

株式会社foriioの執務イメージ
▲foriioさんの執務イメージ(公式ページより引用)

編集部

続いてメンバーの働き方についてお聞きします。リモートワークについては今、どんな状況でしょうか。

山田さん

弊社には現状、海外在住のメンバーと日本在住のメンバーがいます。海外在住者は主にエンジニアなんですが、彼らは当然ながらリモートワークです。そして日本在住のメンバーは今、全員に出社をしてもらっています。

編集部

状況によって使い分けているんですね。

山田さん

働き方については、会社の状況やフェーズによって変えています。コロナ禍の時は全員がハイブリッド勤務でした。しかし今は、日本のメンバーに関してはオフィスにきてもらうという形で運用しています。

そして今後についていえば、海外での展開をはっきりと狙っていますので、海外勤務ということが十分に考えられます。そうなった時には、リモートワークの比重が増えることになりそうです。このように状況に応じて臨機応変に働き方を変えているのが現状です。

編集部

海外在住メンバーとのコミュニケーションは、やはりチャットツールなどが主体ですか。

山田さん

基本的にはテキストベースでのコミュニケーションですね。SlackやJiraなどの情報共有ツールを使っており、お互いにシェアしている情報の齟齬が、できるだけ少なくなるように意識しています。

弊社の場合、社内情報の8~9割は、全メンバーがアクセスできます。情報を共有し、他部署の事業計画やロードマップなどを見られるようにしています。オープンな状態にすることで、対面の機会が少なくても、会社が目指しているゴールや、他チームの状況などを常に把握できるようにしておくためです。

モニターヘッドセットの貸与でリモート会議の質をアップ

編集部

リモートワーク円滑化の一環で、モニターヘッドセットを貸与しているとお聞きしました。そういった福利厚生的なサポートについては、どんなお考えをお持ちですか。

山田さん

ヘッドセットの貸与は、全メンバーのリモートワーク環境のクオリティを、できる限り高めておきたいからなんです。

例えばクライアントとリモートでミーティングをするとしましょう。その際に対応するメンバーによって「あの人の声は聞きづらい」ということがおこってしまうと、foriioというブランド全体のイメージが変わってきてしまいます。ですから指向性があり音漏れやノイズが入らない最低限のものを全員に貸与して、オンラインミーティングにおける対話のクオリティを、一定レベル以上に保っています。

編集部

そこまでお考えになった上での貸与ですか。

山田さん

はい。もっとも、やっていることはヘッドセットとモニターの貸与です。そんなに、たいしたことはやっていません。そういう意図でやっている、というだけの話です。

一般的にテック系の企業というと、そういう福利厚生がかなり充実しているイメージがありますよね。ところが弊社の場合、まだまだ規模が小さいですし、これから結果を出して大きくなろうとしている段階です。ですから現状では「これもあります。あれもあります」という状態ではないということを、正直にお伝えさせていただきます。

foriioでは世界的なサービスへの飛躍を実現する仲間を募集中

株式会社foriioのミッションとビジョン
▲foriioさんのミッションとビジョン(公式ページより引用)

編集部

では最後に、この記事を読んでforiioさんに興味を持った読者へのメッセージをお願いいたします。

山田さん

今現在は「着実に急成長を狙う」という、少々無茶に聞こえるような目標を掲げて活動しています。ただ今の弊社は、そういった成長フェーズにあることは間違いないんです。

そして求めている人材は、今のこの成長フェーズをさらに急成長させるために、「自分もゴリゴリと一緒になって働きたい」と思ってくださる方ですね。「成長フェーズにあるのだから、それに乗っかればいい」という考え方では、ちょっと厳しいかもしれません。

編集部

「着実な急成長」ですか。

山田さん

弊社が生き残るためには、それしかないんですよ。今の弊社は「登録者数9万6,000人。国内最大級のポートフォリオサービス」といっています。

しかしWebベースのプラットフォームビジネスに、国境なんてありません。過去のインターネットサービスでは、国内でトップだったけれど、海外からの同じようなサービスの進出で簡単に取られてしまったという事例がたくさんありました。

弊社がそうならないためには、国内だけで満足している場合ではないんです。生き残るためには、世界中で使ってもらえるサービスを、当たり前のように実現しなければいけない。

ですから「着実に少しずつ伸ばす」ではなく、「着実な急成長」なんです。今後、黒船ではないですけれど、海外から進出してくるプラットフォームに負けるわけにはいきません。「foriioが一番便利なサービスをクリエイターに提供する」という自覚を持って、事業を進めていくことを肝に銘じています。

そのことをご理解いただき、世界展開というゴールに1日でも早くたどり着けるように働きたいという仲間を探しています。

編集部

そういう危機感を共有しつつ、次の展開を急ぐための仲間ですね。

山田さん

そうです。それにはまず、ミッションとビジョンに共感いただくこと。そしてこれを1日も早く実現する。そのために、「自分で成果を出すことにわくわくできる方」や「そこにチャレンジしたいと思ってくださる方」、そして「泥臭く動いていただける方」ですね。そういった方でしたら、一緒に仕事をして面白いと感じてもらえると思います。

編集部

海外進出を念頭に「どこまで迅速かつアクティブに動けるか」ですね。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社foriio:https://www.company.foriio.com/
採用ページ:https://www.company.foriio.com/recruit/