転職活動を行っていると、非公開求人という言葉を目にする機会も多いかと思います。
非公開求人自体に興味はあるものの、わざわざ求人を非公開にする企業側の意図がわからず、警戒心を抱いている人もいるかもしれません。
そこで今回は、非公開求人の実態に焦点を当てて、企業があえて求人を非公開にする理由や、非公開求人のメリット・デメリットについて解説します。
非公開求人とは、転職エージェント経由でしか応募できない求人のこと
非公開求人とは、文字通り情報が一般公開されていない求人のことを指します。企業のホームページや転職サイトなどには情報が掲載されず、転職エージェント経由でしか応募できない点が大きな特徴です。
非公開求人は企業名はもちろんのこと、仕事内容や年収なども非公開となっているため、怪しさを感じてしまう人も多いかと思います。
ですが、先に結論を言うと、非公開求人は決して怪しいものではなく、有名企業や大手企業などの魅力的な求人も数多く存在します。
そんな非公開求人の実態について、これから順を追って見ていきましょう。
企業があえて求人を非公開にする理由
そもそも、なぜ企業は求人情報を非公開にして、採用活動を進めることがあるのでしょうか?
そこで本章では、企業があえて求人を非公開にする理由について解説します。
具体的には、以下の3つの理由が挙げられます。
- 社内外に極秘で求人を出したいから
- 採用業務の負担を減らしたいから
- 急ぎで人材を探しているから
社内外に極秘で求人を出したいから
企業があえて求人を非公開にする1つ目の理由は、「社内外に極秘で求人を出したいから」です。
時と場合によっては、企業は社内外に極秘で採用活動を進めなければならないケースがあります。例えば新規事業の立ち上げや極秘プロジェクトのメンバー募集といった、事業戦略に関わるような採用をする場合です。
このようなケースでは、競合他社に情報が漏れることを防ぐために、あえて求人を非公開にする企業もあります。
一方、社内的に知られたくないケースとは、役員や部長クラスといった、重要なポストの人間が退職することになり、その補充採用をする場合です。このようなケースで求人を一般公開してしまうと、退職の事実が社員に知れ渡ってしまい、社内で大きな混乱が生じる可能性があります。そのため、社内の混乱を防ぐために、あえて求人を非公開にする企業も少なくありません。
採用業務の負担を減らしたいから
企業があえて求人を非公開にする2つ目の理由は、「採用業務の負担を減らしたいから」です。
特に、有名企業や大手企業などの人気企業が求人を一般公開すると、応募が殺到してしまい、1日に100件前後の応募者が集まることも珍しくはありません。
また、求職者の中には「とりあえず応募しよう」というスタンスの人も多いため、安易に求人を一般公開してしまうと、人気企業でなくても想像以上の応募者が集まってしまい、採用活動がパンクする恐れがあります。
このように、必要以上の応募者が集まることを避けるために、あえて求人を非公開にする企業も存在するのです。
急ぎで人材を探しているから
企業があえて求人を非公開にする3つ目の理由は、「急ぎで人材を探しているから」です。
重要なポジションの人間や、もともと人手不足だった部署の人間が退職する場合には、早急に人材を補充する必要があります。非公開求人であれば、転職エージェントが企業の希望に合った求職者をピンポイントで紹介してくれるため、選考にかかる手間と時間を大幅に削減することが可能です。
このように、企業が急ぎで人材を探しているケースにおいては、非公開求人が活用されるケースがあります。
【求職者】非公開求人のメリット
前章で企業があえて求人を非公開にする理由について解説しましたが、一方の求職者側には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
そこで本章では、非公開求人のメリットについて解説します。
具体的には、以下の通りです。
- 転職活動の選択肢が増える
- 有名企業や大手企業の求人が多い
- 好条件の求人が多い
- 自分のスキルや専門性を活かしやすい
- ミスマッチが少ない
転職活動の選択肢が増える
非公開求人の1つ目のメリットとしては、「転職活動の選択肢が増える」点が挙げられます。
非公開求人は転職エージェント経由でしか応募ができない以上、非公開求人を活用すれば、公開求人だけで転職活動を進めている人に比べて、単純に転職活動の選択肢が増えることになるでしょう。
実際、大手転職エージェントの求人数のデータを見ると、3社とも多くの非公開求人を取り扱っていることがわかります。
◆大手転職エージェント3社の求人数
転職エージェント | 公開求人数 | 非公開求人数 |
---|---|---|
リクルートエージェント | 約365,000件 | 約268,000件 |
doda | 約190,000件 | 約39,000件 |
マイナビエージェント | 約45,000件 | 約18,000件 |
※2023年4月時点
求人数自体は非公開求人数の方が少ないものの、公開求人の中には内容が重複しているものや、ハローワークから転載しただけのものも含まれているため、実際の公開求人数と非公開求人数の割合は、半々くらいであると推測されます。
このように、転職エージェントでは多くの非公開求人を取り扱っており、これらも活用すれば、転職活動の選択肢が増えることは間違いないでしょう。
有名企業や大手企業の求人が多い
非公開求人の2つ目のメリットとしては、「有名企業や大手企業の求人が多い」点が挙げられます。
前述の通り、有名企業や大手企業などは求人を一般公開してしまうと、応募が殺到する可能性が高いため、人気企業では求人を非公開にしていることも珍しくありません。
もちろん、公開求人の中にも有名企業や大手企業の求人は存在します。
しかしながら、それらは通年採用(いわゆる「いい人がいれば採用したい」というスタンス)であるケースが多く、ライバルとの競争も激しいため、よほど企業の求める人材像にマッチしなければ、面接にすら進めないのが実情です。
その点、非公開求人では企業の採用意欲が高く、ライバルも少ないことから、転職エージェントの紹介があれば、採用されるチャンスは十分にあります。
以上の点から、有名企業や大手企業への転職を希望する人であれば、非公開求人はむしろ積極的に活用すべきとも言えるでしょう。
ホワイト(好条件)求人が多い
非公開求人の3つ目のメリットとしては、「好条件の求人が多い」点が挙げられます。
というのも、前述の通り、非公開求人では新規事業の立ち上げや極秘プロジェクトのための採用や、重要なポストの人間の補充のための採用も多いからです。
このような求人では、幹部クラスや即戦力の人材を求めているため、好条件の求人が集まりやすくなっています。
また、非公開求人では急ぎで人材を欲しているケースも多いため、一般的な公開求人に比べて、条件面で優遇される傾向があります。
もちろん条件が良いぶん、求められるスキルも高くなりますが、ハイクラス転職を希望する人であれば、非公開求人を活用するのも効果的でしょう。
自分のスキルや専門性を活かしやすい
非公開求人の4つ目のメリットとしては、「自分のスキルや専門性を活かしやすい」点が挙げられます。
公開求人では経験やスキルを不問として、応募者を広く集めることが多いのに対し、非公開求人では実績やスキルに細かい条件を付けて、求める人材像を絞っているのが一般的です。
そのため、自分のスキルや専門性を活かして転職活動を進めたい人であれば、非公開求人の方が適しているでしょう。
ミスマッチが少ない
非公開求人の5つ目のメリットとしては、「ミスマッチが少ない」点が挙げられます。
非公開求人では、企業側の希望する人材像が明確になっており、それを基に転職エージェントが候補者を選定しています。
そのため、転職エージェントから非公開求人を紹介された時点で、その企業が求める条件をクリアしていることになり、ミスマッチが生じる可能性は低いと考えられるでしょう。
また、非公開求人では公開求人のように応募が殺到することがなく、企業側も応募者一人ひとりの選考に時間を割けるため、結果的に入社後のミスマッチが生じるリスクも少なくなります。
▼非公開求人が多い3社の口コミ・評判はこちらを読んでください。
【求職者】非公開求人のデメリット
続いて、非公開求人のデメリットについて解説します。
具体的には、以下の通りです。
- 紹介がないと応募ができない
- 募集の締め切りが早い
- 未経験者用の求人が少ない
紹介がないと応募ができない
非公開求人の1つ目のデメリットは、「紹介がないと応募ができない」点です。
非公開求人は転職エージェントが独占しているため、転職エージェントからの紹介がなければ、そもそも応募ができません。
また、転職エージェントは企業側の希望する人材像を基に、非公開求人を紹介する候補者を選定しています。そのため、スキルや経験が不足していると、転職エージェントに登録しても、非公開求人を紹介してもらえない可能性があるため、注意が必要です。
なお、非公開求人を紹介してもらえない原因としては、自分自身のスキル不足だけでなく、担当者やサービス内容との相性が悪いことも考えられます。そのため、必要に応じて、担当者やサービスの変更も検討してみましょう。
募集の締め切りが早い
非公開求人の2つ目のデメリットは、「募集の締め切りが早い」点です。
非公開求人の多くは、1名もしくは数名の募集であるため、ある程度の候補者が集まったら、募集期間の終了前に締め切られる傾向があります。急ぎで人材が必要なケースであれば、その傾向はさらに強くなるでしょう。
そのため、非公開求人は公開求人に比べて、応募するかどうかを熟考できる時間が短く、迅速な判断が求められる点に注意が必要です。
未経験者用の求人が少ない
非公開求人の3つ目のデメリットは、「未経験者用の求人が少ない」点です。
非公開求人では、企業側が採用条件を細かく設定している関係上、即戦力の人材を求められているケースが多く、未経験者用の求人は少ないのが実情です。
また、そもそも未経験の業界・職種の非公開求人については、転職エージェントから紹介されないため、新たな業界・職種への転職を希望している人にとっては、非公開求人はあまり適していないと言えるでしょう。
▼転職エージェント以外の「仕事の探し方」については、こちらを参考にしてください。
非公開求人に関してのよくあるQ&A
本章では参考として、非公開求人に関してのよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
Q1.転職エージェントからの紹介以外で、非公開求人に応募できる?
残念ながら、できません。
前述の通り、非公開求人は転職エージェントが独占しています。そのため、非公開求人に応募したいのであれば、まずは転職エージェントに登録する必要があります。
なお、中には1社の転職エージェントとしか契約していない企業も存在するため、より多くの非公開求人の情報を得たいのであれば、なるべく複数の転職エージェントに登録した方がいいでしょう。
Q2.高卒でも非公開求人に応募できる?
可能です。
非公開求人においては、学歴よりもスキルや経験の方が重視される傾向があるため、学歴はそれほど関係ありません。
Q3.新卒向けの非公開求人はある?
あります。
ただし、新卒向けの非公開求人に応募したいのであれば、新卒向けの就職サービスに登録する必要があります。中途採用向けの転職サービスでは、新卒向けの非公開求人はほとんど取り扱っていないため、注意が必要です。
Q4.非公開求人に地方求人はある?
あります。
地方の求人に強い転職エージェントであれば、地方企業の非公開求人も多く取り扱っているため、Uターン・Iターン・Jターン転職も十分に可能です。
なお、地方の非公開求人に興味がある人は、地方の求人に力を入れている「doda」や、もともとの求人数が多い「リクルートエージェント」がおすすめです。
非公開求人まとめ
非公開と聞くと、最初は警戒してしまう人も多いでしょうが、決して怪しいものではありません。ここまで読んで、非公開求人に興味を持ったのであれば、まずは転職エージェントに登録してみましょう。
転職エージェントでは非公開求人の紹介だけでなく、キャリアに関するアドバイスや選考対策などのサポートも受けられるため、新たな可能性が見つかることもあります。
転職活動に行き詰っている人は、現状を打破するためにも、この機会に転職エージェントに登録してみてはいかがでしょうか?