この記事では派遣とアルバイト(パート)の違いを解説していきます。
派遣とアルバイトではどのくらい給与や福利厚生が変わるのか、派遣が多い理由とはなにか、といった疑問にも答えていきます。
派遣社員とアルバイトの違い
- アルバイト(パート)=雇用主の求人に応募して、選ばれたら採用される直接雇用
- 派遣社員=派遣会社と雇用を結び、派遣会社が紹介する企業と業務内容など契約して働く
違いとしてわかりやすい例が給料です。アルバイトの給料は、当然働いている会社やお店から支払われます。派遣社員の給料は、派遣会社から支給されます。では、実際に時給でアルバイトと派遣社員に差はあるのでしょうか?
派遣とアルバイトで「時給」はどれくらい違う?
派遣とアルバイトでは、時給がかなり違います。結論から言えば、派遣社員の方が時給はかなり高くなります。例えばフルタイムのアルバイトで事務職だと、全国平均時給が以下のようになります。
A社の場合 週5日×7時間 人事部の補助・事務作業
- アルバイトは時給約1,000円 社保加入(フルタイムだとアルバイトでも社保加入となります)
- 派遣社員は時給約1,500円 社保加入(派遣会社での社保加入)
なぜ400円以上も「時給に差」がつくのでしょうか。
会社が直接雇用をするのは意外と大変です。フルタイムともなると、社会保険も加入させなくてはならず、その半分は会社持ちです。費用的にも会社に負担がかかるのです。
採用までの選考も時間と手間がかかる上に、直接雇用した上は今ひとつの人材でも会社の信用性にも関わるのでそう簡単には辞めさせられません。
繁忙期でなくなったからといって「はい、2ヶ月ほど休んでね、また秋は忙しいからよろしくね」とは、なかなか出来ません。
派遣であれば、企業は多少高いお金を払うにしても、必要な時期に必要なスキルをもった人材を確実に確保できます。
企業としてはメリットが大きいので、少しくらいお金が高くても払います。その結果、派遣社員が貰う時給もアルバイトよりも高くなるわけです。
派遣とアルバイト「福利厚生」が全然違う?
もうひとつ、派遣とアルバイトの待遇で大きく違うのが「福利厚生」ですね。上の例ではフルタイム勤務なので、どちらも社会保険加入になっています。
ただ、アルバイトの場合、勤め先によっては条件を満たしていても社会保険加入の手続きをしてくれない所もあるようです。
厳密に言えば違反ですが、労働基準局や社会保険事務所もそうそう全ての会社をチェックできません。
福利厚生面では、大手派遣会社になると大企業なみに充実しています。年に1度の健康診断や、スポーツジムを優待で使えたりします。
実例をあげると、派遣会社のアデコは「アデコクラブオフ」という独自の福利厚生があり、ホテルやレストランのクーポンから様々なお祝い制度、映画の割引からレンタカーの優待まであります。
「派遣社員だが、夫の会社より福利厚生がすごい!」という口コミが集まるのも納得です。アルバイトにはこうしたメリットが一切ないのが残念ですね。
派遣とバイト・パートそのメリット&デメリット
では、派遣社員とバイトやパート、それぞれのメリットとデメリットを具体的に比べてみましょう。
派遣社員のメリット・デメリット5つ
▼メリット
- 時給が高い
- 働き方を選べる
- 福利厚生が充実している
- スキルアップできる
- 優良企業(大手企業)に入社出来る可能性が高い
「時給が高く、希望する働き方ができる」
派遣社員はアルバイトより時給が高くなっています。
最初に派遣会社でヒアリングを行い、自分の希望条件を伝えます。派遣は働く時間や期間、やりたい仕事を選べるのは大きなメリットですね。
将来を考えて、派遣会社のサポートでスキルアップをしながら「派遣社員として経験を積む」ことで、より良い条件の仕事へとステップアップも出来ます。
大手の派遣会社なら、優良企業と取引しているので、いわゆるブラック企業で働くといった不安もありません。
▼デメリット
- 更新されない不安がある
- 将来の保証がない
- 派遣会社の対応や規模で求人の質が全く違う
- ボーナスがない
- 仕事にブランクができる場合がある
「仕事がない時期を作らないで働けるか」
派遣社員の特徴のひとつが「更新」です。3ヶ月ごとに更新するので、「いつ切られてしまうのか」といった不安は確かにあります。
しかしこれも、複数の派遣会社に登録することで「仕事のブランクという不安」は解決します。
いくつかの派遣会社に登録しておけば、それだけ多くの求人を得られます。派遣先企業との契約期間を見据えながら、次の仕事を探してブランクなく働く事も可能です。
ボーナスがないのはデメリットですが、その分時給が高いのが派遣社員です。
特に実力があれば、非常に高い時給を得られるので、年収だけを見ると「正社員よりも高い」場合もあります。
ただし、気をつけたいのが「派遣会社選び」です。
今なお、小さな派遣会社の中には「条件通りの求人を紹介してもらえない」「社会保険に加入してもらえない」「聞いていた話とまるで違う業務に就かされた」・・・
こうしたトラブルがないわけではありません。
労働基準法を遵守し、きちんと対応をしてくれる大手派遣会社を選ぶこと、複数の派遣会社に登録し比較しながら仕事を選ぶことがポイントです。
アルバイト(パート)のメリット・デメリット5つ
▼メリット
- 比較的簡単に仕事が探せる
- 辞めやすい
- 正社員や派遣社員より休みやすい
- 残業など断れる
- 未経験でも採用されやすい
「仕事を見つけるのも辞めるのも簡単」
アルバイトといっても色々あります。例えばコンビニのアルバイトはいつでも募集がかかっており、採用される確率も高いでしょう。
とりあえずなんでもいいからお金を稼ぎたい、という時にスピーディーに仕事が決まるのはアルバイトです。
また、辞める時もあまり周囲の事や会社側の事情を考慮しなくても大丈夫な面はありますね。
▼デメリット
- 時給が安い
- 将来の保証がない
- 昇給がないか、あってもごくわずか
- 福利厚生がない
- ボーナスがない
「時給が安いのが一番のデメリット」
アルバイトの時給は安いですね。コンビニのバイトは採用されやすいと書きましたが、それなりの時給です。
ファミレスのパートなどもなかなか昇給もなく、「学生のバイト並みで家計の足しにならない」という主婦の声もよく耳にします。
アルバイトも派遣社員もボーナスはありませんが、時給が高く、充実した福利厚生がある分、派遣社員の方がメリットが大きいと言えるでしょう。
バイトやパートより派遣が選ばれる理由とは
バイトやパートと派遣を比べてみると、メリットが「派遣の方が大きい」のが一目瞭然です。なんといってもまず「派遣は時給が高い」のが大きいですね。
働き方としては「好きな時間を選べる」「働くスケジュールも希望を通せる」のは、アルバイトも派遣も同じです。
しかし、派遣社員の方が「きちんとした契約」がされます。例えば仕事の内容も契約時に確認し、それ以外の仕事を派遣にさせるのは基本的には違法なのです。
(もちろん程度にもよりますが。例えばコピー1枚を頼まれたなら、社会人の常識としてお手伝いするといった面はあるでしょう)
もし、契約と違う仕事を押しつけられたり、残業を強制されたら、すぐに派遣会社に相談すれば、間に入って改善するよう交渉してくれます。
こうした派遣会社のサポートは大きなものです。アルバイトは直接雇用ですから、問題が生じたら自分でどうにかするしかありません。
派遣社員には、派遣会社がついています。担当者が仲介に入ってくれたり、更新で時給アップの交渉をしてくれたり、将来を考えてスキルアップをし高い時給の求人を得られるようにキャリアデザインのアドバイスもくれます。
総合的に考えても、学生さんが一時的なお小遣い稼ぎをするのでもない限り、アルバイトやパートをするくらいなら派遣として働く方がメリットがたくさんあります。
バイト(パート)の経験しかなくても派遣社員になれるのか
バイトやパートしか経験がなくても、派遣社員になれます。
正社員になった事がない、社会人経験がなくとも派遣会社に登録できます。
全くの未経験者でも、派遣会社の担当者が相談にのりながらマッチした求人を探してくれます。企業の事務職はどうでしょう。
「OAスキルがない」「飲食店でのバイト経験しかない」そんな人でも、未経験者OKの仕事を紹介してくれます。
派遣に関するよくある質問
派遣社員の平均的な時給はどれくらいですか?
「関東では時給1680円が平均です」
エリアによって、物価も違いますから派遣社員の時給も違います。かなり幅があるのですが、特に大都市圏は時給が高い傾向があります。関東では、平均時給は1680円、同じ程度のアルバイトを見つけるのは大変です。
最近は、必要な時に必要な人材を得られる派遣に対する評価が上がっています。求人数も増えているので、時給も上昇傾向にあると言って良いでしょう。
派遣社員はお給料はいつ貰えるのですか?交通費とかは?
「通常は一般的な社員と同じように翌月払いです」
おおむね翌月25日が多いようです。ごく一般的な会社の社員同様と考えていいでしょう。末締め翌月の15、20、25日、末日といった支払いとなります。最初に口座を登録し、振り込みとなります。派遣社員は交通費が支給されません。その分、時給が高くなっています。
派遣で副業はできますか?
「派遣会社によって違います」
派遣会社の中でも、副業を認めているところと禁止しているところがあります。例えばスタッフサービスは副業を基本的に禁止しています。リクルートスタッフィングでは、他の派遣会社に複数登録をし、掛け持ちで働くことは認めています。それぞれ個別に対応が違いますから、まずは派遣会社に問い合わせをしましょう。副業ができなくても、それだけの給料を得られる仕事を紹介して貰えるのが派遣です。
更新時に次の仕事が見つからないといった問題はありませんか?
「複数の派遣会社に登録すれば大丈夫です」
確かに更新と更新の合間に、派遣の場合仕事がない時期が出来てしまう可能性はあります。そこで複数の派遣会社に登録しておきましょう。求人数も多くなり、タイミングよく仕事を入れやすくなります。
パソコンやOAのスキルがありません。派遣社員として事務職に就けますか?
「スキルがなくても派遣社員になれます」
パソコンやOAスキルは必須という仕事が多いですね。大手の派遣会社に登録すれば、OAスキルの無料講座がたくさんあります。
スキルアップをしながら、同時にまずアシスタント的な業務や未経験者OKの仕事に就いて経験を積みましょう。実力と経験が増えれば、それだけ高い時給の好条件の仕事に就けます。
派遣された企業に不満がある場合は辞められますか?
「辞めることは可能ですがまず担当者に相談しましょう」
派遣社員は最初に契約をします。途中で退職するのは、契約に反します。
とはいえ、企業側が無理な要求をしているとか、業務内容が契約時の約束と違う場合などは、担当者に相談しきちんと対応してもらって下さい。多くの場合、担当者が不満や不安を解消し、その後も勤められるよう交渉し改善してくれます。
個人的な理由だとしても、派遣社員が途中で辞めることで違約金などが発生することは普通はありません。
条件が良い派遣求人を探すコツ
アルバイトやパートよりも、ずっと条件が良いのが派遣社員ですね。
でも「少しでも高い時給」「好待遇」で働きたいのが本音です。その為には、複数の派遣会社に登録するようにしましょう。
- 複数の派遣会社に登録する事で求人数が増える
- 多くの求人の中から好条件の仕事が見つけられる
- 同じ仕事でも時給が高い方を選べる
- ブランクなく次々と仕事を見つけやすくなる
大切なのは、選択肢を広げることです。
複数の派遣会社に登録し求人の母数が多くなれば、それだけ「自分の希望にマッチした仕事」「高い時給」の求人を選べます。
また、同じ仕事でも派遣会社によって時給に違いがあります。2~3つの派遣会社に登録しておけば、時給の比較もできますね。
複数の派遣会社に登録し、それぞれの得意・不得意やカラーを把握しておきましょう。「こっちがダメでも、別の会社で」と希望の求人が見つかるかもしれません。
派遣社員でも、1つではなく、複数の派遣会社に登録することで「保険」をかけた状態(1つの派遣会社で希望通りの求人がなくても、別の所で仕事が見つかる)になれます。
もっといろんな派遣会社をみたい人は、こちらの記事をどうぞ!
スキルアップやサポートに強い派遣会社で、資格取得やキャリアプランを立てていきましょう。
高い時給の求人が見つかったら、そこで経験も積みながら、お金を貯めていけます。
少なくとも、派遣社員はアルバイトよりも今後のキャリアを考えて働くことが可能です。紹介予定派遣というシステムなら、正社員登用が前提となっているので、将来性もあります。
しかし、人気があるため、求人数が少ないのが難点です。これも複数の派遣会社に登録しておくことで可能性がアップしますね。
派遣社員として好待遇・好条件の求人を見つけ、キャリアアップをしていきましょう。
最終的に正社員を目指すのでも、目標としている金額を貯めるまででも、派遣はアルバイトやパートよりもずっと効率よく目標が叶うと思います。