転職を検討している方のなかには、「転職活動を始めるのに悪い時期・良い時期はあるのか」と気になっている場合もあるかもしれません。
この記事を読めば、どの時期に活動を始めるべきかを判断しやすくなるだけでなく、2021年現在が転職に適しているのかも知ることができます。
自分にとってベストな転職時期を見極めて、活動を効率的に進めていきましょう。
転職活動を始めるのに悪い時期・良い時期はない!転職したいと思った時が活動開始のタイミング
まず結論として、転職するのに悪い時期・良い時期はありません。「転職したいと思ったときが転職活動を始める良いタイミング」と考えるほうがよいでしょう。
その理由は、主に以下の2点です。
- 時期によって求人数は増減するが、ゼロになることはない
- 採用するとき、時期よりもコミュニケーション力・スキルを重視する採用担当者が多い
ただし、生活環境が大きく変わる予定がある場合は転職には不向きの時期と言えそうです。それぞれ詳しく解説していきます。
時期によって求人数は増減するが、ゼロになることはない
転職活動を始めるのに悪い時期・良い時期がないと言えるひとつの根拠は、どの月に始めても多くの新規求人案件が存在していることです。
※データ参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28129.html
求人がゼロになる時期があるのであれば、その時期に転職活動をしても転職できないことから「悪い時期」と言えます。
しかし、上記のデータを見てもわかる通り、求人数が減る時期はあるもののゼロではありません。
また、企業によって募集するタイミングが異なるため、良い・悪い時期はなく1年中転職活動を行うことがポイントです。常に活動することで、自分の条件に合う職場を見つけられる確率が高くなります。
採用するとき、時期よりもコミュニケーション力・スキルを重視する採用担当者が多い
2つめの根拠としては、採用担当者は時期よりも「コミュニケーション力やスキルマッチ」を重視する傾向がある点が挙げられます。
実際に採用担当者を対象としたアンケート調査で「採用するときに何を重視しますか?」と質問したところ、以下のような回答結果となりました。
【「採用するときに何を重視しますか?」の問いに対する回答結果(複数回答可)】
コミュニケーション能力 | 77.1% |
---|---|
スキル・経験 | 68.8% |
価値観・人間性 | 50% |
誠実さ・素直さ | 37.5% |
転職する背景・理由 | 35.4% |
仕事への熱意・積極性 | 33.3% |
向上心 | 18.8% |
タイミング(時期) | 8.3% |
コンピテンシー | 2.1% |
その他 | 8.4% |
中途採用では社会人としての基本的なマナーが身についているかはもちろん、業務を円滑に進めるためのコミュニケーション能力が大きく問われます。
また、前職で身につけたスキルや経験を活かして短期間で成果を上げることが期待されるため、即戦力のある人材かどうかも重視されます。
一方でタイミング(時期)について重視されるケースは少なく、時期が合っていてもスキルがマッチしなければ採用には至りにくいでしょう。
タイミングを考えるよりも「転職したい」と思ったときに転職活動を始めて、自分のスキルに合う企業を見つけることが大切です。
ただし、生活環境が大きく変わる予定がある場合は転職時期としては悪いかも
上記のように基本的には転職に悪い時期・良い時期はないものの、結婚や妊娠、出産など生活環境が大きく変わるタイミングでの転職は避けるほうがよいでしょう。
今後の生活に大きな変化が起こり得ることが企業側に知れると、採用を見送られる確率が高まるためです。
特に現在妊娠中の人は転職してすぐに産休に入ることが予想されるため、企業側が採用しにくいことは容易に想像できます。
自分にとっても負担が大きいため、そのような時期は避けて転職活動に集中できるタイミングに活動を始めるとよいでしょう。
採用担当者に聞いた転職活動に良い時期・悪い時期
転職活動を始めるのに悪い時期・良い時期はないとはいえ、「少しでも有利な時期があれば知りたい」とお考えの方もいることでしょう。
そこで、当サイトでは企業の採用担当者を対象に「転職活動を始めるのに良い時期・悪い時期」に関するアンケートを実施し、採用側から見る転職に適したタイミングを探ってみました。
特に多かった回答を以下でご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
質問:「転職活動を始めるのに良い時期・タイミングは?」
明確な退職理由があり、今後の目標が定まったタイミング
やはり採用担当者側としても「転職活動を始めるのに良い時期は人それぞれ」との意見が多かったものの、「退職理由や今後の目標が明確になったときが良いタイミング」と考える方が多く見られました。
現職を退職したい明確な理由があり、新しく働きたい場所や目標、勤務条件が定まってからのほうがいい。なぜならば、目標が定まってないとどこに転職したらいいのかわからなくなるから。
明確に転職理由を決めてからのほうがいい、なぜなら新たな仕事場でやりたいことがはっきりしている人と働きたいから。
企業は方向性が明確で向上心がある人材を求めているため、退職理由や目標が明確でなければスムーズな転職は難しいと言えます。また、中途採用の場合は選考スピードが速い傾向があることから、満足の転職を実現させるためにも転職したい理由や希望条件を明確化してから活動を始めるほうがよいでしょう。
転職できる時期が決まったタイミング
「ある程度退職や転職のタイミングが確定してからのほうがいい」という意見も多く見られました。
転職できる時期が確定してから活動をしてほしいです。なぜなら内定辞退されると困るので。
退職が確定してからのほうがいい。なぜならば、退職理由や入社時期が定まっていない限り、採用側としては話が進められないから。
中途採用の募集をしている企業は「なるべく早く自社で活躍してほしい」と考えるため、いつから入社できるのかがある程度確定したタイミングのほうが有利です。現職を続けながら転職活動を始めたい方は、現職における今後の予定などを考慮しながら活動を始める時期を検討するとよいでしょう。
質問:「転職活動を始めるのに悪い時期・タイミングは?」
転職してすぐのタイミング
良い時期と同様に「悪い時期は特にない」と回答した採用担当者が多かったものの、「転職してすぐのタイミングは避けるほうがいい」という意見が多く見られました。
転職1年以内は避けたほうがいい、なぜならば、長く続かない人だというイメージをもたれる危険性があるため。
転職してすぐは避けたほうがいい。なぜならば、何回も転職をして続かない人を雇って教える時間が教育する側の時間の無駄になるので、採用されない場合が多い。明確な理由があれば別。
採用する側は、早期で退職された場合のリスクも考慮して人材を選びます。短い職歴で転職を重ねる人は採用を見送られる可能性が高いため、現職である程度経歴と実績を重ねてから転職活動を行うほうが安心です。
2022年現在は転職に悪い時期なのか、良い時期なのか
2022年現在は落ち着いてきているとはいえ引き続きコロナ禍にあるため、「コロナが落ち着いてから転職活動するほうがいいのでは」と考える方もいるのではないでしょうか。
確かに業績悪化によるリストラなどの報道を見ると、時期的に求人数が少ない印象があるかもしれません。
しかし、2020年の夏以降は求人数が増加傾向にあり、転職成功の可能性は大いにあります。実際に2022年8月に転職エージェント「doda」が発表した転職求人倍率レポートを見ても、採用ニーズが戻りつつあることがうかがえます。
※データ参照元:https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/
上のデータで注目したいのが、求人数が増加している点だけでなく「有効求人倍率」も上昇傾向にあることです。
「有効求人倍率」とは求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値のことで、dodaの調査データによると2022年8月の求人倍率は前月比+0.11ptの「2.09倍」でした。
特に採用ニーズが高まっているのは、即戦力として活躍できる人材です。そのため、現職で培った業界への知見や仕事での実績を転職先で活かしたいとお考えの場合には、今がまさに狙い目の時期かもしれません。
一方で未経験の業種・職種への転職はなかなか厳しい状況にあり、他業種への転職を検討している方には「悪い時期」と言えそうです。
とはいえ、これまでの経験やスキルを即戦力として活用できることをアピールできれば、採用の可能性は高まることでしょう。
求人数が多くなる時期とその理由
求人数が多いと転職先の選択肢が広がるため、求人数が多くなる時期についてもチェックしておきたいところです。
ただし、「求人数が増える=転職活動をする人が増える」ことから必ずしも良い時期とは言えませんが、傾向として押さえておくとよいでしょう。
一般的には、1年のなかで以下の月に求人数が増える傾向があります。
- 1~3月
- 5~6月
- 8~10月
ここでは、それぞれの時期において求人数が多くなる理由を解説します。
1〜3月|年末・年度末退社で人が辞める時期
1~3月に求人数が多くなる理由は以下の通りです。
- 年末退社や3月末に退社す人がいる
- 採用予算を余らないようにしたい
- 人事異動で各ポジションに動きが空きが出る
年末にはボーナス退社を狙う人が一定数います。そして3月末には「年度末で区切りがいい」と退職を申し出る人が多いことから、欠員部分の人員を募集する企業が増える印象です。
また、企業は3月末までに年度の採用予算を立てており、この時期に求人を出してすべて消化しきりたいと考える企業も少なくありません。
さらに3月は人事異動も多く行われるため、組織体制を見直すために積極的に採用活動を進める企業が多く見られます。
5〜6月|新年度が開始、足りない人員がわかる時期
続いて、5~6月に求人数が多くなる理由は以下の通りです。
- 新卒採用が不発で、中途・第二新卒の採用を考えている企業が動く
- 4月始動のプロジェクトや部署に、足りない人員を確保する企業
つまり、新年度がスタートして足りない人員が明確になるのがこの時期です。企業としては夏前に採用を行って年度の後半で人員強化をしたいと考えることから、採用が活発化する傾向があります。
8〜10月|年末・年度末に向けての人員を補充する時期
そして、8~10月に求人数が多くなる理由は以下の通りです。
- 夏休み明けで採用をスタートする企業が増える
- 下半期に向けて強化したいポジションの人員獲得に動き出す
- 退職や人事異動によってポジションが空くため
まず、お盆の時期は長期休暇となる企業が多く、お盆明けから本格的に採用活動を行う傾向が見られます。
また、上期が終わって人員体制を見直す企業が多いなかで、下期に向けた体制強化のために新たな募集をかける時期であることも大きく関係しています。
さらに6~7月の賞与時期に退職する社員が多いこと、そして9~10月は社内の人事異動が増えるシーズンでもあることから、欠員補充や人員調整のために採用が活発化しやすいようです。
転職活動の方法をチェック
最後に、転職活動を行う方法についてご紹介します。転職先を探すならより多くの情報を得たほうがいいので、ぜひ以下のような転職支援サービスを活用してみてはいかがでしょうか。
- 転職エージェント
- 転職サイト
- ハローワーク
どのサービスも無料で利用できるため、登録をして損はありません。特にエージェントは「どのような転職を目指すのか」といった相談にも親身に対応してくれるため、転職するべきか迷っている段階から利用してみてもよいでしょう。
エージェントとそのほかのサービスにどのような違いがあるのか、以下で詳しく解説します。
転職エージェント(専任アドバイザーがサポートしてくれる)
専任のキャリアアドバイザーが付き、転職活動全般をサポートしてくれるサービスです。客観的なアドバイスを受けながら転職活動を進めたい方に向いています。
【転職エージェントのメリット】
- 面談を通じてキャリア相談ができる
- 一般には公開されていない非公開求人をチェックできる
- 書類作成や面接の受け答えに関するアドバイスをもらえる
- 面接日程の調整や年収交渉も行ってもらえる
【転職エージェントのデメリット】
- キャリアアドバイザーと相性が合わない場合もある
- のんびりと自分のペースで活動したい方には不向き
転職サイト(自分のペースで活動できる)
中途採用を行っている企業の求人広告が掲載されており、自分の条件に合った求人を検索できるサービスです。希望の業種や職種が明確で、自分のペースで転職活動を進めたい方に適しています。
【転職サイトのメリット】
- 希望条件に合わせて気軽に求人広告をチェックできる
- 何社でも自由に応募できる
- 社風や仕事内容といった情報が一通り掲載されており、比較検討しやすい
【転職サイトのデメリット】
- 多種多様な求人が掲載されているため、希望の業種や職種が定まっていないと迷いやすい
- すべての活動を自分で行う必要があり、徹底した自己管理が必要
ハローワーク(地域密着の求人がある)
国によって運営されている職業紹介機関で、条件に合う求人の紹介や就職支援などのサービスを受けられます。特に地域密着型の求人が多いため、住んでいるエリア内で勤務したい方は登録しておくとよいでしょう。
【ハローワークのメリット】
- 大手から中小、ベンチャー企業までさまざまな求人をチェックできる
- 住んでいるエリアの求人を見つけやすい
- 子育てママ向けの「マザーズハローワーク」や若い世代のサポートに特化した「わかものハローワーク」といったサービスもある
【ハローワークのデメリット】
- 地域密着型求人の割合が多く、都心部などの大手求人は少なめ
- 求人情報には必要最低限のことのみ記載されている傾向があり、企業に関する細かな情報は自分で入手する必要がある
まとめ|「転職したい」と思ったときから転職活動をスタートしよう
自分の条件に合う求人がいつ出てくるのかはわからないため、転職活動をするのに良い時期・悪い時期はありません。
あまり時期にこだわりすぎず、「転職したい」と思ったときから転職活動をスタートするとよいでしょう。
もしも転職を急がない場合、あるいは理想的な求人に巡り合えるまで妥協したくない場合には、1年中転職活動を行うのもひとつの方法です。
まずは転職したい理由やキャリアプランを明確にして、自分に合ったタイミング・方法で転職活動を進めてみてください。