
【筆者池田】採用人事としてリクナビネクスト・リクルートエージェント両方を利用した経験がある私が解説します。
リクナビネクストとリクルートエージェントは、ともに人材業界大手の株式会社リクルートが運営する転職サービスです。リクナビネクストは転職サイト、リクルートエージェントは転職エージェントと分類されますが、本記事では2つの違いについて解説しています。
また、違いを解説する前に、最初に結論としてどちらを使うべきなのかをまとめました。
転職経験は3回。前職では、ITソフトウェア開発企業で採用人事を務める。現在は、現役で人事の仕事をしつつ、転職支援サービスの専門家として活動中。リクナビネクストもリクルートエージェントも採用企業側・利用者側どちらの視点でも利用経験あり。
リクナビネクストとリクルートエージェントはサービス形態が違う
リクナビNEXTとリクルートエージェントの違いは大きく2つあります。一つはサービス形態の違い、もう一つは求人のタイプの違いです。
リクナビネクストは「サイト」リクルートエージェントは「エージェント」
リクナビNEXTは、国内最大級の転職サイトサービスです。リクルートエージェントは、転職支援実績No.1の転職エージェントサービスです。
まとめると、このような違いがあります。
◆リクナビNEXTとリクルートエージェントの違い
リクナビ NEXT |
リクルート エージェント |
|
---|---|---|
サービスの形態 | 転職サイト | 転職エージェント |
求人数 | 約101,000件 | 約635,000件 |
求人への応募方法 |
自身で求人を検索・応募
|
担当者を通じて応募
|
担当者 |
無
|
有
|
転職支援 | 無 | 有 |
非公開求人の取り扱い | 無 | 有 |
上記が大まかな違いになるのですが、私たちが利用をするときに具体的に違ってくるポイントを3つに分けて紹介します。
- 掲載している求人内容の質が違う
- 求人への応募方法や活動の流れが違う
- 転職活動にまつわる支援の有無が違う
それぞれ詳しく説明していきます。
リクナビNEXTとリクルートエージェントは求人の性質が違う

誰も言わない本当のことを言います。
リクナビNEXTに掲載している求人と、リクルートエージェントに登録している求人は、その性質が異なります。
あとで詳しく解説しますが、簡単にまとめるとこのようになります。
- 質よりも量。採用予定人数が多い求人。
- 転職回数が多い、ブランクがあるなど転職に不利な人も受けやすい求人。
- インセンティブ制度のある求人。
- 年収が低めの求人。
- 中小企業の求人。
- 量よりも質。厳選採用をしている求人。
- 固定給+賞与を基本とした給与設計の求人。
- 年収が高めの求人。
- 中小〜大企業の求人。
上記のように求人の性質に違いが出る理由は、「リクナビNEXTとリクルートエージェントでは企業側の料金体系が違う」からです。
企業側が求人を出す場合の料金は、以下のようになっています。
リクナビ NEXT |
リクルート エージェント |
|
---|---|---|
掲載費用 |
20万円〜/4週間
|
0円
|
成功報酬 |
0円
|
理論年収の35%
|
架空のA社を例に例えます。
A社では、新しく営業の部署へ10名の採用を計画しました。リクナビネクストに求人広告を出した場合、1ヶ月20万円で、何名でも採用ができます。そのため、スキルなし、未経験でもOKだけど、年収が低めの求人が多くなります。
一方で、リクルートエージェントだと1名採用するごとに、その人の年収の35%の金額を払わないといけません。年収400万で10名採用した場合は1400万円もかかってしまいます。リクルートエージェントの方が厳選された1名を選ぶ傾向にあるので、おのずとリクルートエージェントの方が年収帯の高い求人が多くなります。

ちなみに、リクナビネクストにはインセンティブ制度のある求人が目立ちます。インセンティブ制度の求人は成果を、出せなかった場合の離職率が高いため、大量採用になりやすいという特徴があるためです。
まとめると、「年収は低いけど採用されやすい求人」はリクナビネクスト。「年収は高いけど求められる要件も高い求人」はリクルートエージェントに多い傾向があります。
自分が転職活動を行なっている目的に合わせて選ぶと良いです。
非公開求人があるのはリクルートエージェントのみ
非公開求人とは、企業のホームページや転職サイトでは一般公開されていない求人のことです。企業が求人を非公開にする理由としては、「事業戦略を競合に知られたくないから」「応募が殺到されないようにするため」などがあり、有名企業や好条件の求人が多い傾向にあります。
リクナビネクストでは非公開求人を保有していませんが、リクルートエージェントでは非公開求人を取り扱っているため、担当者からの紹介があれば、非公開求人への応募が可能です。
そのため、非公開求人の紹介を受けたいのであれば、リクルートエージェントへの登録が必須となります。
リクナビネクストとリクルートエージェントは求人への応募方法が違う
上記のように、リクナビネクストとリクルートエージェントではシステム自体が違うため、求職者の応募方法も大きく変わってきます。
リクナビ NEXT |
リクルート エージェント |
|
---|---|---|
求人探し | 自分で検索のみ | 1:希望を伝えて担当が探す 2:自分で検索 |
求人への応募 | 自分で応募をする | 担当が書類を受け取って代わりに応募を出す |
制限 |
募集要件に関わらず全ての求人に自由に応募可
|
募集要件にあっていない場合は、担当NGで応募不可
|
メリット | 気になる求人へチャレンジできる | 通過しやすい求人を選んでくれる 応募の手間が省ける |
デメリット | 書類通過率が低くなりがち 時間がかかり手間がかかる |
希望に関わらず、受かりそうな求人への応募になる 担当のセンスや相性がある |
リクナビネクストは自分で応募をする
リクナビネクストでは担当者がつかず、自らサイト上の求人を検索し、応募していきます。応募条件を満たしていれば、基本的に自由に応募が可能です。
つまり、リクナビネクストで転職活動をするならば、自発的に行動をしないといけません。自由にできるメリットがある一方で、うまくいかない時に相談ができなかったり、やるべきことが多く忙しくなってしまうデメリットがあります。
リクルートエージェントは専属担当が活動を進めてくれる
一方、リクルートエージェントでは専属の担当者がつき、基本的に担当者から紹介を受けた求人の中から応募することになります。自ら希望の求人を探すこともできますが、応募する際は担当者を通す必要があり、スキルや経験が足りないと判断された場合には、応募を断られるケースもあります。
転職にかける時間が短くなり、プロが自分に合う求人を選んでくれるメリットがある一方で、希望する会社があっても自由にチャレンジできないデメリットがあります。
上記のように、リクナビネクストとリクルートエージェントでは応募に関するメリットとデメリットが真逆です。
リクナビネクストとリクルートエージェントは転職支援の有無が違う
リクナビネクストでは、転職支援は受けられません。そのため、応募から入社までの一連の流れ(書類選考や面接対策・面接の日程調整・入社日の調整・条件交渉・現職の退職など)は全て自身で完結させる必要があります。
一方、リクルートエージェントは転職支援を受けられるため、応募から入社までの一連の流れは、逐一サポートを受けながら進めることが可能です。
転職支援が不要な人はリクナビネクスト、転職支援を希望する人はリクルートエージェントという考え方をしてみるのも良いです。
一連の流れにおいてそれぞれの違いを表にまとめました。
リクナビ NEXT |
リクルート エージェント |
|
---|---|---|
求人探し | 自分で検索のみ | スキル・経験・希望をヒアリングしおすすめを提示 |
応募書類 | 自分で準備 | 添削し、書類通過率アップに貢献 |
面接対策 |
なし
|
企業に合わせて実施
|
面接 日程調整 |
自分で連絡 | 担当エージェントが仲介 |
内定通知 | 企業から直接 | 担当エージェントが仲介 |
条件交渉 | 自分で交渉 | 担当エージェントが仲介 年収アップもうまく交渉 |
入社連絡 | 自分で連絡 | 担当エージェントが仲介 |
リクルートエージェントは”支援”が強み
リクナビネクストとリクルートエージェントの大きな違いは支援にあります。リクルートエージェントは厚生労働省の調査で、正社員の転職支援人数がNo1という実績を出しています(2019年のデータ)。
また、リクルートエージェント独自の支援として、職務経歴書を簡単に作れるツールの提供や、面接の通過率を高めるためのセミナーなども利用者全員に提供しています。

例えば、リクルートエージェントで添削してもらった職務経歴書をもとに、リクナビネクストで好きな会社に応募するといった活用方法もできるため、両方併用するメリットもありますよ。
リクナビネクストを使うべき人・リクルートエージェントを使うべき人
以上の違いを踏まえ、リクナビネクストを使うべき人、リクルートエージェントを使うべき人をそれぞれまとめました。
リクナビネクストを使うべき人
リクナビネクストを使うべき・向いている人は、以下の通りです。
- 自分のペースで転職活動を進めたい人
- 応募から入社までの一連の流れを自己完結できる人
- 自分のキャリアに自信が無い人
- 年収350万円以下の求人でもOKな人
- 転職回数が多い人・ブランクがある人
- インセンティブありの求人に応募したい人
リクナビネクストでは担当者がつかず、自らサイト上の求人を検索して応募してくことになるため、自分のペースで転職活動を進めたい人に向いています。
それなりに転職経験があり、応募から入社までの一連の流れを自己完結できるような人も、リクナビネクストが向いているでしょう。
また、求人の年収帯はリクルートエージェントよりも低い求人が多いので、自分のキャリアに自信が無い人や、転職に不利な職歴を持っている人におすすめです。
リクルートエージェントを使うべき人


- 人材業界大手の株式会社リクルートホールディングスが提供する転職サービス
- 業界・業種や地域に制限なく幅広い求人を保有!非公開求人も多数
- 独自に分析した業界・企業情報の提供など転職サポートが充実
エリア | 求人数 | 利用料 |
---|---|---|
全国 | 公開求人:約55万件 非公開求人:約26万件 (2025年2月時点) |
無料 |
株式会社リクルートが運営する「リクルートエージェント」は、転職支援実績NO.1、日本最大級の転職エージェントサービスです。
公開求人が55万件以上、非公開求人が26万件以上、若手層~中堅・管理職層までの幅広い経験者、全国を対象としているので、転職初心者の方はまず登録をしてみるとよいでしょう。
リクルートエージェントを使うべき・向いている人は、以下の通りです。
- 転職経験がない、もしくは少なく、サポートを受けながら転職活動を進めたい人
- 自分で探すのは面倒な人
- 非公開求人に興味がある人
- スケジュール調整や交渉が苦手な人
- 自分のキャリアに自信がある人
- 年収350万円以下はNGな人
リクルートエージェントでは専属の担当者がつき、様々な局面で支援してくれるため、転職経験がない、もしくは少なく、サポートを受けながら転職活動を進めたい人に向いています。
また、非公開求人はリクナビネクストのような転職サイトでは取り扱っていないため、非公開求人に興味がある人は、リクルートエージェントへの登録が必要です。
リクナビネクストは、リクルートエージェントに比べて年収帯が低めなので、高年収の転職を考えている人は、リクルートエージェントを使いましょう。


- 人材業界大手の株式会社リクルートホールディングスが提供する転職サービス
- 業界・業種や地域に制限なく幅広い求人を保有!非公開求人も多数
- 独自に分析した業界・企業情報の提供など転職サポートが充実
エリア | 求人数 | 利用料 |
---|---|---|
全国 | 公開求人:約55万件 非公開求人:約26万件 (2025年2月時点) |
無料 |
株式会社リクルートが運営する「リクルートエージェント」は、転職支援実績NO.1、日本最大級の転職エージェントサービスです。
公開求人が55万件以上、非公開求人が26万件以上、若手層~中堅・管理職層までの幅広い経験者、全国を対象としているので、転職初心者の方はまず登録をしてみるとよいでしょう。
年収600万円以上の転職を希望している人は、リクルートダイレクトスカウト、ビズリーチ、doda Xの利用も併せて検討しましょう。
サービス名 | 転職サービス の種類 |
公開求人数 |
---|---|---|
リクルートダイレクトスカウト![]() |
スカウト型 | 543,110件 |
|
||
ビズリーチ![]() |
スカウト型 | 99,808件 |
|
||
doda X![]() |
スカウト型 | 39,574件 |
|
迷うならリクナビネクストとリクルートエージェントの併用がおすすめ
どちらを使うか悩むのに時間を使うくらいなら、両方とも使ってみることをおすすめします。
それぞれのサービスでしか取り扱っていない求人も多く存在するので、両者を併用することで、単純により多くの求人情報を入手できるようになり、転職活動の選択肢が広がることに期待できます。
また、リクルートエージェントでは転職支援を受けられるため、リクルートエージェントで培った書類選考や面接対策のノウハウを、リクナビNEXTで応募する際に活かすという相乗効果をもたらすこともできます。
リクナビNEXTとリクルートエージェントは運営元が同じなので、どちらか片方に登録すればもう片方の登録も簡単にできます。まずは両方とも使ってみて、そのあと自分に合った方をメインに活用していけばいいです。
リクナビネクスト・リクルートエージェントの細かな違い
本章では参考として、リクナビネクスト・リクルートエージェントに関してのよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
リクナビネクストとリクルートエージェントで利用料金は変わる?
リクナビネクスト・リクルートエージェントのどちらも求職者側は全てのサービスが完全無料で利用できます。
リクナビネクストとリクルートエージェントで内定率や合格率は異なる?
異なる可能性もありますが、一概にどちらが良いかはケースバイケースです。
リクナビネクスト経由の場合、企業側は低コストで採用できるため、応募者のスキルが若干足りていなくとも期待値やポテンシャルで採用判断をするケースがあります。一方で、リクナビネクストには書類や面接に関する対策がないため、自分のPRをうまくできずに不採用になる可能性もあります。
リクルートエージェント経由で応募した場合には、書類選考や面接の対策を受けられる他、担当者から企業への推薦も期待できるため、その点から合格率が高まる可能性があります。ただ、採用時に100万円以上を支払うと考えると、確実に活躍できるイメージが持てないと見送りになるという考えもあります。
同じ求人にリクナビネクストとリクルートエージェントの両方から応募してもいい?
リクナビネクストとリクルートエージェントで同じ求人があった場合には、必ずどちらか一方から応募してください。両方から応募自体はできるものの、採用担当は基本的に全ての応募に目を通しているため、2重で応募だとすぐに気が付きます。その分対応の手間などが発生するため、印象は良くないでしょう。

【筆者からのまとめ】
リクナビネクストは転職サイト、リクルートエージェントは転職エージェントであり、そもそものサービス形態やビジネスモデルが異なるため、特徴や機能も大きく異なります。それぞれ使うべき人をよく読んだ上で、迷っている人は両方に登録してみましょう。