キャリアアップをしたいと考えつつも、具体的に何から始めればいいのかわからなかったり、そもそも何をもってキャリアアップと言うのか、いまいち整理できていなかったりする人も多いかと思います。
そこで今回は、キャリアアップに焦点を当てて、その概要や具体的な実現方法などを解説していきます。併せて、キャリアアップを成功させるコツについてもご紹介します。
キャリアアップとは?役職や立場を向上させよう
キャリアアップとは、自分自身の能力を高めることによって経歴や地位を向上させることです。キャリアアップの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 昇進によって課長や部長などの役職に就く
- マネジメントや部下の育成に携わる
- アルバイトや契約社員から正社員転換を果たす
- 転職によって年収を上げる
- 専門性を活かして独立・起業する
キャリアアップは今後さらに必要になっていく可能性大
キャリアアップの捉え方は人によって様々ですが、終身雇用や年功序列といった従来の日本型雇用が終わりつつある現代においては、各人が自己責任のもとでキャリアアップを図っていく必要があります。
また、近年は一人ひとりの価値観や働き方がより多様化していることから、キャリアアップを通して自分自身の市場価値を高めていかなければ、理想のキャリアを歩むことは難しいでしょう。
このように、現代におけるキャリアアップの必要性は高く、今後もさらに高まっていくことが予測されます。
スキルアップとの違いは「目的」
キャリアアップに似た言葉として、スキルアップというものがありますが、スキルアップとは学習や訓練を通して自分自身の能力を高めることを意味します。
キャリアアップとスキルアップの最大の違いは、その目的です。すなわち、キャリアアップは経歴や地位を高めることを目的としているのに対し、スキルアップは能力を高めることを目的としています。
・スキルアップ・・・能力を高めることが目的
とはいえ、両者は全くの別ものというわけではなく、キャリアアップを実現するためにはスキルアップが必要不可欠であることから、両者は密接な関係にあると言えるでしょう。
キャリアアップ実現に向けたキャリアプランの立て方
キャリアアップを実現させるためには、具体的な行動計画となるキャリアプランが必要です。
そこで本章では、キャリアアップ実現に向けたキャリアプランの立て方について解説します。
具体的には、以下の通りです。
- STEP①:目標を明確にする
- STEP②:現状を把握する
- STEP③:目標と現状を比較する
STEP①:目標を明確にする
キャリアプランを立てるにあたって、まずは「自分が将来どうなりたいのか?」という目標を明確にする必要があります。目標が定まっていなければ、そこにたどり着くまでの具体的な計画を立てることはできません。
目標を定める際は、「出世したい」「年収を上げたい」といった漠然とした目標ではなく、なるべく具体的なイメージを持つようにしましょう。イメージが湧きづらい人は、最終目標から逆算して細かくマイルストーン(中間目標)を設定していく方法がおすすめです。
◆キャリアプランの例
営業職の場合 | 経理職の場合 | |
---|---|---|
最終目標 (3年後) |
3年後に課長の役職に就く | 3年後に上場企業の経理部で働く |
マイルストーン② (2年後) |
マネジメントの経験を積むために、2年後に プロジェクトのチームリーダーになる |
実績を残すために、2年後に決算業務 まで自己完結できるようにする |
マイルストーン① (1年後) |
チームリーダーに任命されるよう、1年後に 前年比20%増の営業成績を達成する |
決算業務を任されるよう、1年後に 年間の会計業務を一通り習得する |
STEP②:現状を把握する
目標を定めたら、続いて現状の把握を行います。目標が定まったとしても、スタート地点である現状を正しく把握できていなければ、具体的な計画を立てることはできません。
具体的には、自己分析とキャリアの棚卸しを行い、 「現在できること・できないこと」や「得意なこと・苦手なこと」などを洗い出していきましょう。
難しいと感じる人は、まずは今までに経験した業務を一通り書き出してみましょう。書き出した業務を「成功したor失敗したこと」や「人から褒められたor他人に迷惑をかけたこと」などに分類していけば、自分の強みや弱みが見えてきます。
STEP③:目標と現状を比較する
最後に目標と現状を照らし合わせて、両者のギャップを整理しましょう。目標と現状のギャップを把握し、何が足りないのかが明確になれば、キャリアプランの具体的な道筋も立てやすくなります。
先ほどの例で言うと、営業職の最初の目標である「チームリーダーに任命されるよう、1年後に前年比20%増の営業成績を達成する」ために、現時点において足りないものを分析します。新規のアポは取れるもののなかなか成約に結びつけられない人であれば、「交渉力を磨くために本を読んだり、先輩社員にロープレを何度も依頼する」というように、具体的に取るべき行動が見えてくるでしょう。
キャリアアップの実現方法【具体例あり】
では実際にキャリアアップを実現させる方法としては、どのようなものがあるのでしょうか?
そこで本章では、キャリアアップの実現方法について解説します。
具体的には、以下の通りです。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
現職で キャリアップする |
・これまでの経験等を活かせる ・周囲の協力を得やすい |
・社外でも通用するスキルを習得しづらい ・職場によってはキャリアアップが難しい |
資格を取得する | ・スキルの証明になる ・転職や独立にも役立つ |
・時間や労力を要する ・途中で挫折する可能性がある |
転職する | ・自分の望む環境を選べる ・最速でキャリアアップを実現できる可能性がある |
・失敗のリスクを伴う ・転職直後の負荷が大きくなる ・一時的に年収や階級が下がる可能性がある |
副業を始める | ・失敗したときのリスクが少ない ・副収入を得られる |
・本業との両立が難しい ・職場によっては副業が禁止されている |
現職でキャリアップする
キャリアアップの最もオーソドックスな方法は、現職でキャリアップすることです。
具体的には、今の職場でスキルを磨いたり経験を積んだりすることで実績を残していき、社内での昇格や昇進を目指すことです。職場によっては、社内の研修・教育制度が充実していたり、ジョブローテーション制度が導入されていたりすることもあるため、それらを積極的に活用するのもいいでしょう。ただし、部署異動や出向には転勤を伴うケースもあるため、注意が必要です。
現職でキャリアップを図ることの最大のメリットは、これまでの経験や今まで積み上げてきた信頼関係をそのまま活かせることです。既に人間関係が構築されているため、周囲からの協力が得やすい点もメリットと言えるでしょう。
その一方で、習得できるスキルがその職場でしか通用しないものが多く、社外でも通用するスキルを習得しづらい点がデメリットとして挙げられます。また、職場によってはポジションの空きがなく、そもそも昇進のチャンスがないケースもあるため、注意が必要です。
資格を取得する
キャリアアップを実現するために、資格を取得するのもおすすめです。
資格を取得することの最大のメリットは、資格という目に見える形でスキルの証明ができることです。将来的に転職や独立をする場合にも役立ちます。
一方で、資格を取得するためにはそれ相応のお金と時間が必要であり、途中で挫折するリスクも含んでいるため、注意が必要です。特に、難関資格になるほど独学での合格が難しく、予備校や通信講座の利用も検討する必要があります。
なお、企業によっては、資格取得支援制度(従業員が特定の資格を取得する際に、受験料や教材費といった費用の一部を企業が負担する制度)が設けられている場合もあるため、現職にそのような制度がないか一度確認しておきましょう。
また、ハローワークの教育訓練給付制度を活用することによって、予備校や通信講座の受講費用の一部を受給することも可能です(参照:厚生労働省『教育訓練給付制度』)。対象講座は厚生労働大臣が指定する教育訓練講座に限定されていますが、取得を考えている資格で教育訓練講座に該当する講座がないか一度確認してみることをおすすめします。
※教育訓練講座については、『厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム』で検索が可能です。
転職する
キャリアアップのために、思い切って転職するのも1つの方法です。
転職の最大のメリットは、選択肢が一気に広がる点です。望んだキャリアのチャンスが現職になかったとしても、それが叶う会社があるかもしれません。
ただし、転職には失敗のリスクも伴うため、その点はあらかじめ認識しておく必要があるでしょう。また、転職後は人間関係等を再び0から構築する必要があるため、肉体的や精神的な負荷が大きくなる他、一時的に年収や階級が下がる可能性もあるため、注意が必要です。
なお、転職を考えている場合には、転職エージェントの活用も検討してみましょう。転職エージェントに登録すれば、求人の紹介や転職活動に関するサポートを受けられるだけでなく、そもそも転職すべきかどうかの相談もできるため、キャリアプランに関してのヒントを得られるかもしれません。
副業を始める
副業が認められている職場で働いている場合には、キャリアアップの方法として副業を始めるのも有効です。
副業であれば、本業である現職を手放さずに始められるため、失敗したときのリスクも比較的低いと言えます。
最近はクラウドソーシングのサービスもどんどん増えているため、初心者であっても手軽に副業を始めめることができます。副業が軌道に乗れば、スキルを磨きつつ年収アップを図ることも可能でしょう。
その一方で、副業は本業との両立が難しく、場合によってはオーバーワークになったり本業が疎かになったりする可能性もあるため、注意が必要です。
なお、副業が認められていない職場に勤めている場合には、プロボノ(職業上のスキルや知識を無償で提供するボランティア活動全般)という選択肢もあります。プロボノは一般的なボランティア活動とは違い、職業上のスキルや知識を活かせるため、キャリアアップのいい機会となります。
キャリアアップを成功させるには?コツを3つ紹介
キャリアアップは基本的に長期で取り組むものであるため、成功させるためにはいくつかのコツがあります。
そこで本章では、キャリアアップを成功させるコツをご紹介します。
具体的には、以下の3つです。
- キャリアプランを周囲に発信する
- 定期的に目標を見直す
- 他者への貢献を意識する
キャリアプランを周囲に発信する
1つ目のコツは、「キャリアプランを周囲に発信する」ことです。
自分のキャリアプランは、普段から周囲に発信しておきましょう。周囲に発信することによって、チャンスを与えられる場面も増えてきます。逆に黙々と努力を重ねているだけでは、なかなかチャンスは巡ってこないため、注意が必要です。
特に、人事や上司との面談の場は絶好の機会となるため、積極的に発信することをおすすめします。
定期的に目標を見直す
2つ目のコツは、「定期的に目標を見直す」ことです。
自分自身の状況や職場の環境あるいは時代の変化に応じて、目標は変わってくるものです。そのため、定期的に目標を見直し、その時々の状況に合わせて目標を修正する柔軟さも必要となります。
当初の目標にこだわり過ぎると目標の達成が困難になるだけでなく、間違ったキャリアを歩んでしまう可能性もあります。そういった事態に陥らないためにも、目標は定期的に見直しましょう。
他者への貢献を意識する
3つ目のコツは、「他者への貢献を意識する」ことです。
キャリアアップを成功させるためには、自身の目標達成ばかりに目を向けるのではなく、キャリアアップを通じて他者へ貢献することも意識する必要があります。
キャリアアップの目標は人によって異なるでしょうが、最終的に組織や社会に貢献できなければ、本当の意味でのキャリアアップを果たしたことにはならないでしょう。また、自分のことしか考えていない人は周囲からの協力が得づらく、キャリアアップの実現も難しくなります。
このように、キャリアアップを図る際は他者への貢献も意識することが大切であり、結果的にその方がキャリアアップも成功しやすく、周囲ともWin-Winの関係を築けるでしょう。
キャリアアップまとめ|捉え方は人それぞれ、自己分析しよう
ここまでキャリアアップについて、解説してきました。
キャリアアップの捉え方は人によって様々であり、特に正解があるわけではありません。理想のキャリアを歩むためには、しっかりと自己分析を行い、自分なりの具体的なキャリアプランを立てることが重要となります。
いずれにせよ、最初の一歩を踏み出さなければ何も始まりません。まずは行動してみましょう。
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