スキルアップのためには何をすればいい?具体的な方法や注意点を紹介

仕事にもある程度慣れてきて、次の段階に進むためにスキルアップを検討している人も多いかと思いますが、スキルアップとは具体的に何をすればいいのでしょうか?

そこで今回は、スキルアップに焦点を当てて、その具体的な方法やメリットなどを解説していきます。併せて、スキルアップを図る際の注意点についてもご紹介します。

スキルアップとは「学習や訓練を通して自分自身の能力を高めること」

スキルアップとは「学習や訓練を通して自分自身の能力を高めること」

スキルアップとは、「学習や訓練を通して自分自身の能力を高めること」で、能力向上や自己研鑽などとも呼ばれています。

スキルアップに似たものとして、キャリアアップという言葉が存在しますが、キャリアアップは「昇進や転職などによって、経歴・地位が上がること」を意味します。つまり、スキルアップは能力を高めることを目的としているのに対し、キャリアアップは経歴や地位を高めることを目的としており、この点が両者の違いです。

とはいえ、キャリアアップを実現するためにはスキルアップが必要不可欠であり、両者は深い相関関係があると言えます。

スキルアップをすることで、自分自身の市場価値を高めることに繋がり、現状維持からの脱却や将来的なキャリアの選択肢が増えることになります

キャリアアップについても詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

ビジネススキルの3分類

一口にスキルと言ってもその種類は多岐にわたりますが、ビジネスにおいて求められるビジネススキルは、大きく分けて以下の3つに分類されます。

  • テクニカルスキル
  • ヒューマンスキル
  • コンセプチュアルスキル

テクニカルスキル(業務遂行能力)

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは、与えられた職務を遂行するために必要な能力を指します。

テクニカルスキルは、職種や業種によってその内容は大きく異なりますが、仕事をする上で直接的に必要となるものであり、最優先で身につけるべきスキルと言えるでしょう。

◆テクニカルスキルの例

営業職 商品知識・進捗管理能力・資料作成能力など
企画職 商品知識・情報収集&分析能力・資料作成能力など
IT技術職 プログラミング言語スキル・PCスキル・進捗管理能力など
経理職 会計スキル・PCスキル・電話対応スキルなど


上記はあくまで一例であるため、同じ職種でも置かれている状況によって必要となるスキルは異なります。

例えば、IT技術職や経理職であっても、上司に提案する機会が多い人は資料作成能力が必要となったり、営業職であっても、取引先の財政状況を分析する機会が多い人は会計スキルが必要になったりするケースもあるでしょう。逆に、最低限の商品知識やPCスキルなどは、ほぼ全ての職種に必要なスキルとも言えます。

ヒューマンスキル(対人関係能力)

ヒューマンスキル(対人関係能力)とは、他者と円滑な人間関係を構築するための能力を指します。

仕事をする上で他者との接触は避けられません。そのため、ヒューマンスキルは職種・業種や階層を問わず、全ての人に求められるスキルと言えます。

ヒューマンスキル構成要素は、以下の7つです(参照:グロービス経営大学院『MBA用語集ヒューマン・スキル』)。

  • リーダーシップ
  • コミュニケーション能力
  • ネゴシエーション能力
  • プレゼンテーション能力
  • コーチング能力
  • ヒアリング能力
  • 向上心

ヒューマンスキルはどれも重要と言えますが、テクニカルスキルと同様、その人の置かれている状況によってより必要とされるスキルは変わってきます。

例えば、営業職や企画職であれば、ネゴシエーション能力やプレゼンテーション能力、人材開発やマネジメントに関わる人であれば、コーチング能力がより重視されるでしょう。逆に、コミュニケーション能力や向上心などは、全ての人に必要なスキルと言えます。

コンセプチュアルスキル(概念化能力)

コンセプチュアルスキル(概念化能力)とは、様々な事象を概念化して本質を見極める能力のことです。

コンセプチュアルスキルは、管理職や経営層といった、より上位の階級になるほど求められる能力と言われていますが、それ以外の人間にとっても仕事をする上で重要なスキルとなります。

◆コンセプチュアルスキルの例

ロジカルシンキング 物事を論理的に整理・理解できる能力
ラテラルシンキング 物事を多面的に捉え、自由な発想ができる能力
クリティカルシンキング 物事を批判的に捉え、客観的に分析できる能力
柔軟性 その場の状況や変化に応じて、適切な判断を下せる能力
受容性 多様な見解や未知の価値観を受け入れられる能力
俯瞰力 物事を俯瞰して、全体像を捉えられる能力


コンセプチュアルスキルの定義はどれも抽象的ではありますが、それゆえにどの職種・業種にも応用が可能です。そのため、日々の業務や自己分析を通して、自分の得意なコンセプチュアルスキルを見極めることが大切となります。

スキルアップを図る6つの方法

では実際にスキルアップを図る方法としては、どのようなものがあるのでしょうか?

そこで本章では、スキルアップを図る方法について解説します。

具体的には、以下の通りです。

方法 メリット デメリット
ビジネス書や
専門書を読む
・すぐに始められる ・インプットだけで終わりやすい
社内の研修・教育制度を
活用する
・無料で活用できる
・実務に直結させやすい
・そもそも制度がない企業もある
・他の社員と差別化を図りにくい
外部のセミナーや
ワークショップに参加する
・新たな気付きを得られる
・人脈が広がる
・時間が拘束される
・費用が発生する場合がある
資格を取得する ・スキルの証明になる
・履歴書等に記載できる
・時間や労力を要する
・途中で挫折する可能性がある
ジョブローテーションを
活用する
・日々の業務を通じて、
スキルアップが図れる
・業務の負担が大きくなる
・転勤が必要な場合もある
副業をする ・スキルアップを図りつつ、
収入を得られる
・本業との両立が難しい
・副業が禁止されている企業もある

ビジネス書や専門書を読む

手っ取り早くスキルアップを図りたいのであれば、ビジネス書や専門書を読む方法がおすすめです。

ビジネス書や専門書を通して、スキルアップに必要な知識やノウハウを学べるのはもちろんのこと、成功者や有識者の思考を取り込むことによって、仕事に対するモチベーションアップにも役立てることが可能です。書籍を入手すればすぐに始められるため、そのお手軽さも魅力と言えるでしょう。

ただし、ビジネス書や専門書を読む方法はインプットだけで終わりやすい傾向があるため、注意が必要です。書籍を読んだだけで満足するのではなく、「学んだことを実務でどう活かすか?」といった、アウトプットの視点も意識することがポイントとなります。

社内の研修・教育制度を活用する

スキルアップのために、社内の研修・教育制度を積極的に活用するのも有効です。

社内の研修・教育制度は人材開発の一環として、その企業に適したプログラムが組まれているため、実務に直結するスキルを効率よく習得できます。

ただし、研修・教育制度の中身は企業によって様々であり、そもそも制度そのものがない企業も存在するため、注意が必要です。また、対象者であれば基本的に誰でも参加できるため、他の社員との差別化を図りにくい点もデメリットとして挙げられます。

外部のセミナーやワークショップに参加する

社内の研修・教育制度を活用するのが難しい場合には、外部のセミナーやワークショップに参加するのも1つの選択肢です。

外部のセミナーやワークショップに参加すれば、スキルアップに繋がる知識や知見を得られるのはもちろんのこと、新たな人脈が生まれることにも期待できます。人脈が広がることによって、自分自身の視野が広がったり、新たなビジネスチャンスが生まれたりすることもあるでしょう。

ただし、外部のイベントに参加すれば、そのぶん時間が拘束されます。また、中には費用が発生するものもあるため、注意が必要です。

資格を取得する

スキルアップを図るために、資格を取得するのもおすすめです。

資格取得の最大のメリットは、資格という目に見える形でスキルを証明できることです。多くの資格が無期限で保有できるため、一度取得すれば資格を失うことは基本的にありません。

近年は資格ブームということもあり、新たな資格も次々と生まれています。民間のものであっても評価される資格は数多く存在するため、自分に合った資格がないか探してみるのもいいでしょう。

ただし、資格を取得するためにはそれ相応のコストや時間を要します。特に、難関資格になるほど取得の難易度が上がり、場合によっては予備校や通信講座の利用も検討しなければなりません。

なお、企業によっては、福利厚生の一環として資格取得支援制度(従業員が特定の資格を取得する際に、受験料や教材費といった費用の一部を企業が負担する制度)が設けられている場合があります。また、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講する場合には、国から受講費用の一部を受給することが可能です(参照:厚生労働省『教育訓練給付制度』)。

これらの制度を活用すれば、費用を抑えつつ資格の取得を狙えるため、活用できるものがないか事前に確認しておきましょう。なお、教育訓練講座を探す際は、『厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム』が便利です。

ジョブローテーションを活用する

ジョブローテーションが制度として導入されている企業であれば、ジョブローテーションを活用するのも有効です。

ジョブローテーションによって業務や部署などが変われば、それに伴い新たなスキルやノウハウを学ぶ必要があり、スキルアップのいい機会となるでしょう。環境が変われば、モチベーションの向上にも期待ができます。

ただし、新たな業務や環境に慣れるまでは、肉体的や精神的な負荷が大きくなりがちです。また、場合によっては転勤が必要となるケースもあるため、注意しましょう。

副業をする

副業が認められている企業であれば、副業を始めるのも1つの方法です。

以前はほとんどの企業で副業が禁止されていましたが、2018年に国が副業・兼業に関するガイドラインを新設したことをきっかけに、副業を解禁する企業が増えてきました(参照:厚生労働者『副業・兼業の促進に関するガイドライン』)。

最近はクラウドソーシングのサービスも充実しており、初心者であっても手軽に副業を始められる環境が整っています。うまくいけばスキルアップを図りつつ、年収アップに繋げることも十分に可能でしょう。

ただし、副業は本業と両立させなければならないため、オーバーワークになったり、副業に注力しすぎて本業が疎かになったりしないよう、注意が必要です。

スキルアップを図るメリットは評価・意欲の向上

スキルアップを図るメリットは評価・意欲の向上

前章でスキルアップを図る具体的な方法について解説しましたが、そもそもスキルアップを図ることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

そこで本章では、スキルアップを図るメリットについて解説します。

具体的には、以下の3つが挙げられます。

  • モチベーションが高まる
  • 周囲からの評価が上がる
  • 将来の選択肢が増える

モチベーションが高まる

スキルアップを図る1つ目のメリットは、「モチベーションが高まる」点です。

スキルアップにより業務遂行能力が上がれば、自ずと仕事に対するモチベーションも高まります。また、スキルアップを通じて自己成長が実感できれば、更なるレベルアップのモチベーションにも繋がっていくという、正の連鎖にも期待ができます。

さらに、生産性が高まることで業務時間を削減できれば、ワーク・ライフ・バランスも実現しやすくなり、そういった側面からもモチベーションの向上に繋がっていくでしょう。

周囲からの評価が上がる

スキルアップを図る2つ目のメリットは、「周囲からの評価が上がる」点です。

スキルアップに成功すれば、社内での評価はもちろんのこと、顧客も含めた社外からの評価も高まります。

周囲からの評価が上がれば、結果的に昇給や昇進による年収アップにも期待ができるでしょう。

将来の選択肢が増える

スキルアップを図る3つ目のメリットは、「将来の選択肢が増える」点です。

スキルアップによって実績を残していけば、社内での評価も上がり、希望の部署や職種への異動も実現しやすくなります。

また、スキルアップは社内外の評価が上がるだけでなく、自分自身の市場価値を高めることにも繋がるため、スキルアップを重ねて将来的に転職や独立を目指すことも可能です。

スキルアップを図る際のポイント3点!具体的に紹介

スキルアップを図る際のポイント3点!具体的に紹介

スキルアップをうまく成し遂げるためには、ポイントがいくつか存在します。

具体的には、以下の3つです。

  • 目標を明確にする
  • 計画を立てる
  • 費用対効果を意識する

目標を明確にする

1つ目のポイントは、「目標を明確にする」ことです。

スキルアップを図るにあたって、まずは「自分は将来どうなりたいのか?」といった目標を明確にすることが必要です。

前述の通り、一口にスキルと言ってもその種類は多岐にわたります。そのため、目標を明確にした上で現状と比較をしなければ、自分にとって本当に必要なスキルを見極めることが難しくなります。

目標と合致しないスキルの向上を図っても、結果的に時間や労力の無駄になってしまう可能性もあるため、まずは目標を明確にしておきましょう。

計画を立てる

2つ目のポイントは、「計画を立てる」ことです。

効率的にスキルアップを図るためには、計画を立てることが重要です。事前に計画を立てておかないと効率が悪くなるだけでなく、モチベーションの低下にも繋がってしまい、途中で挫折する可能性が高くなるでしょう。

また、長期的にスキルアップを図る場合(難関資格の取得を目指すケースなど)には、進捗状況や環境の変化に合わせて、定期的に計画を見直すことも重要となります。

費用対効果を意識する

3つ目のポイントは、「費用対効果を意識する」ことです。

当然のことながら、お金や時間は有限です。確かに、より高度なスキルを習得すれば、それだけ自分自身の市場価値も高められるでしょう。とはいえ、それに費やしたお金や時間に見合うだけのリターンを得られなければ、本末転倒と言えます。

例えば、会計スキル向上のために簿記に関する資格取得を考えている場合に、何年も費やして日商簿記1級の取得を目指すよりも、短期で2級や3級を取得し、早い段階から実務に活かした方が効率的なケースもあるでしょう。

このように、スキルアップを図る際は将来の目標と照らし合わせながら、長期的な視点で費用対効果を意識することも必要です。

スキルアップまとめ|自分自身の市場価値が高まる!

ここまでスキルアップについて、解説してきました。

スキルアップには時間や労力を要しますが、そのぶん自分自身の市場価値が高まり、現状維持からの脱却やキャリアの選択肢が増えることに繋がっていきます。スキルアップを重ねていけば、将来的な転職や独立を視野に入れることも、十分に可能です。

ぜひ長期的かつ戦略的な視点を持って、スキルアップを目指していきましょう。